慶應義塾大学 理工学部の物理対策

本記事は慶應義塾大学の理工学部の物理対策について記載しています。
理工学部の試験時間は物理と化学の2科目で120分で、配点は200点です。
合格最低点は60%程度で推移していますので、目標得点率は70%以上に設定して勉強していきましょう。
物理が得意な人は80%以上の得点率を目標に勉強していきましょう。
理工学部の入試情報
| 年度 | 募集人員 | 志願者数 | 受験者数 | 合格者数 | 競争率 | 合格最低点 |
| 2026 | 650 | 8,461 | 7,785 | 2,449 | 3.2 | 280/500(56.0%) |
| 2025 | 650 | 8,637 | 8,139 | 2,728 | 3.0 | 297/500(59.4%) |
| 2024 | 650 | 8,248 | 7,747 | 2,495 | 3.1 | 321/500(64.2%) |
| 2023 | 650 | 8,107 | 7,627 | 2,452 | 3.1 | 290/500(58.0%) |
| 2022 | 650 | 7,847 | 7,324 | 2,641 | 2.8 | 340/500(68.0%) |
| 2021 | 650 | 7,449 | 7,016 | 2,309 | 3.0 | 266/500(53.2%) |
各項目の傾向と対策
大問は全部で3つです。
大問ごとの問題と構成は下の表を参照してください。
| 2026年度 | 2025年度 | 2024年度 | |
| 1 | ・斜面上のばね、摩擦、二体問題 設問×2 | ・円筒面内での小球の運動 設問×3 | ・水に浮かぶ物体の運動、単振動、弾性衝突 設問×3 |
| 2 | ・3枚の極板からなる平行板コンデンサー 設問×4 | ・固定された導体レールの磁場と回路 設問×2 | ・長方形コイルの磁場中への斜め方向からの進入、電気泳動 設問×3 |
| 3 | ・動く境界面における音波の反射、屈折 設問×1 | ・理想気体が封入されているシリンダー 設問×2 | ・光電効果、コンプトン効果 設問×2 |
| 2023年度 | 2022年度 | 2021年度 | |
| 1 | ・円筒面内での小球の運動 設問×3 | ・三角柱の斜面上での質点の移動 設問×3 | ・逆U字型物体と小球の運動 設問×3 |
| 2 | ・回転する扇形コイルによる電磁誘導 設問×2 | ・コンデンサーとLC電気振動 設問×2 | ・磁場中の導体棒の回転 設問×3 |
| 3 | ・ストッパーのついたシリンダー内でピストンによって閉じ込められた理想気体の状態変化 設問×2 | ・光の屈折、全反射とニュートンリング 設問×2 | ・容器とピストンでつながれた理想気体 設問×3 |
マーク式での回答です。
大問1が力学、大問2が電磁気学、大問3が熱力学、波動、原子のどれかから出題されます。
計算量などが多いため時間内で解ききることが難しいタイプの試験です。
●対策
① 力学:動く台(二体問題)と「微小振動・単振動」の徹底的な偏愛
過去6年、ほぼ全ての年度で「固定された台での運動」から「動く台(あるいは水面など動く環境)での運動」へと発展する構成が取られています。
- 二体問題の処理:水平方向の運動量保存則、重心速度の不変性、相対速度を用いた力学的エネルギー保存則の立式が必須です。
- 単振動・微小振動への帰着:問題の後半で、必ずと言っていいほど「単振動の周期」や「近似を用いた往復運動」を問われます(2023年衝突後の往復、2024年浮力の復元力、2026年動く台での振動など)。
② 電磁気:電磁誘導(力学融合)と「LC回路(電気振動)」の連動
- 電磁誘導と力学の融合:導体棒が回転するパターン(2021年、2023年)や、レール上を滑車を介して運動するパターン(2025年)など、回路に生じる誘導起電力と、導体棒が受ける外力やアンペール力のつり合いを解かせる問題が頻出です。
- LC回路・過渡現象へのスイッチ:前半で導体棒や極板を動かして電荷を蓄えさせた後、後半でスイッチを切り替えてコンデンサーやコイルによる「電気振動(周期や最大値)」を計算させる流れがパターン化しています。
③ 大問3:設定の高度化と物理の本質的理解の要求
分野は交代制ですが、いずれの分野も教科書の公式を当てはめるだけでは解けないひねりがあります。
- 熱力学:ばねやストッパーによる制約だけでなく、2025年のように「ポアソンの法則の導出プロセス」そのものを問題文中で誘導しながら解かせるなど、極めて数式処理能力の高い問題が出ます。
- 波動:ニュートンリングのような定番の干渉(2022年)だけでなく、2026年の「動く境界面での音波の屈折」のように、ドップラー効果とホイヘンスの原理を幾何学的に融合させる目新しい設定が好まれます。
- 原子:2024年度に出題。コンプトン効果において「最初からターゲットの電子が動いている」という設定など、標準的な設定から一歩踏み込んだ応用力が試されます。
対策方針
1. 力学:相対運動と単振動のスピード処理
動く台の上での運動を「床から見た座標系」と「台から見た相対座標系(慣性力を含む)」の双方で自在に行き来できるようにしてください。
2. 電磁気:エネルギーの追跡とLC振動の公式化
電磁誘導やコンデンサーの極板移動において、「外力のした仕事」「電源のした仕事」「コンデンサーの静電エネルギー変化」「抵抗でのジュール熱」のエネルギー収支式(第一法則に似た関係)を瞬時に立てられるようにしましょう。
3. 熱力学・波動:微小変化の計算と幾何学(作図)の強化
- 熱力学:微小変化の式を状態方程式の微分形と連動させる、高度な文字式の変形に慣れておきましょう。
- 波動:経路差を求める際の近似計算や、波面と射線の関係(ホイヘンスの原理)を正しく図示して幾何的に解く力を養ってください。
4. 時間配分と空欄補充の割り切り
慶應理工の物理は計算量が非常に多く、まともに全てを計算していると時間が足りなくなります。
一方で、後半の難所(グラフ選択や極限、複雑な文字式)で詰まった場合は、深追いせずに次の大問へ移る割り切りが合格点を確保する上で極めて重要です。
過去問演習の際は、必ず化学とセットで120分を測り、時間の使い方を身体に染み込ませてください。
設問が誘導形式になっているため、前の空欄の答えをそのまま利用して次の空欄を埋める連鎖が基本です。
前の計算ミスが命取りになるため、序盤の文字式処理は極めて慎重に行う必要があります。
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