京都大学(前期日程)の地学対策

本記事では京都大学(前期日程)の地学対策について記載してます。

地学の試験時間は教育学部が90分で、他学部が2科目で180分です。
配点はこちらをご参照ください。

目標得点率は65以上に設定して勉強していきましょう。

京都大学の入試情報

京都大学の公式サイトをご参照ください。

各項目の傾向と対策

京都大学の地学は、入試科目としての受験者数こそ多くありませんが、出題の骨格が明確で、正しい準備を積み重ねれば得点を安定させやすい科目です。2017~2026年度の10年分を見ると、基本的に大問4題で、第Ⅰ問に天文、第Ⅱ問に大気・海洋、第Ⅲ問に地球物理・プレートテクトニクス、第Ⅳ問に地質・地史が置かれる年度が多くなっています。

しかし、「出題分野が予想しやすい=簡単」という意味ではありません。京大地学では、空欄補充や選択問題だけでなく、計算過程、現象の理由、観測方法、地質図の解釈などを文章や図で表現させます。公式を知っているだけでは足りず、文章・図・数値を往復しながら、地球や宇宙の現象を物理的に説明する力が必要です。

1.京大地学の基本構成

この10年間は、原則として大問4題、100点満点です。理科1科目なら90分、2科目なら計180分で、2科目受験の場合も科目ごとの時間が厳密に分割されているわけではありません。生物や化学など、もう一方の科目とのバランスを含めて時間を管理する必要があります。

解答形式は、空欄補充、語句記述、正誤・選択、数値計算、論述、作図などの組合せです。問題文には教科書の内容を発展させた説明が与えられ、前半で基礎知識を確認し、後半で計算や考察へ進む構成が多く見られます。大問一つの中に複数の小テーマが入ることもありますが、現象同士のつながりは明確です。

過去問を通して特に目立つのは、計算と論述の多さです。計算では答えだけでなく導出過程を要求されることがあり、論述では字数指定がなくても、解答欄に合わせて必要事項を簡潔にまとめなければなりません。2025年度の河合塾分析でも、論述問題の比率が高く、計算問題も多いこと、解答欄を埋めること自体より内容を簡潔にまとめることが重要だと指摘されています。

2.10年分の出題テーマ一覧

各大問には複数の内容が含まれるため、表では中心となる題材をまとめています。

年度第Ⅰ問第Ⅱ問第Ⅲ問第Ⅳ問特徴
2017太陽の構造・活動、電磁波、核融合、放射海水の成層、溶存酸素、海洋循環熊本地震、プレートの沈み込み、地震波地質図、貫入岩、鉱物、地史太陽・海洋・地震・地質図という典型的な4分野構成でした。
2018シリウス連星、白色矮星、等級、光度・密度大気大循環、エルニーニョ、エアロゾルプレート運動、オイラー極、海洋底磁気異常ケイ酸塩鉱物、結晶構造、地球内部計算量が多く、天文とプレート運動で式の意味が問われました。
2019恒星進化、主系列星、HR図惑星磁場、地球の放射収支、大気・海洋重力異常、アイソスタシー、海溝型地震、津波地質図、鉱床、岩石・鉱物観測値から地球内部や地史を推定する問題が目立ちました。
2020銀河系、恒星分布、天体の距離・運動大気の安定度、断熱変化、雲の形成地球内部構造、地震波速度、マントル地質図、化石、断層、地史大気と地球内部でグラフや数値を丁寧に読む必要がありました。
2021恒星進化、惑星状星雲、主系列星の寿命緯度間の熱輸送、オゾン層、大気循環プレート、地震波、海洋底、火山・地震地質図、断層、地史教科書事項を短い説明に変える力が幅広く問われました。
2022天体観測、望遠鏡、ブラックホール大気の鉛直構造、放射・安定度、気象地震、マグニチュード、津波、地球熱流量大気の進化・気候変動、堆積構造、化石、地層地震計算と、地球史・現在の環境問題を結ぶ融合性が特徴でした。
2023宇宙の距離測定、年周視差、宇宙膨張放射収支、温室効果、大気、気象プレートテクトニクス、地震、古地磁気日本列島の地史、火成岩、変成作用各分野の標準事項を、計算と短い論述で確実に処理する構成でした。
2024太陽の構造・活動、惑星海洋循環、地衡流、深層循環火山、マグマ、噴火様式、火成岩地質図、褶曲・断層、地史計算量は前年より少なめでしたが、第Ⅳ問は注意深い図の読解が必要でした。
2025太陽、黒点、フレア、放射500 hPa高度、地衡風、エネルギー収支走時曲線、モホ面、地震波トモグラフィー、ジオイド、重力異常地質図、貫入岩、断層、地史空欄補充が減り、論述・計算・正誤判断など形式が多様でした。
2026プロキオン連星、等級、黒体放射、恒星半径地磁気、伏角・偏角、古地磁気マントル対流、ホットスポット、プレート運動ケイ酸塩鉱物、固溶体、結晶構造定番の枠組みを保ちつつ、地磁気と鉱物を独立大問として深く扱いました。

この表から分かるように、出題順には強い傾向があります。ただし、2023年度には通常の意味での地質図問題がなく、2026年度には第Ⅳ問が鉱物中心になるなど、毎年完全に同じではありません。順番の傾向は演習の見通しを立てる材料にはなりますが、単元を捨てる根拠にはなりません。

3.傾向① 第Ⅰ問は天文がほぼ固定されています

10年間を通して、第Ⅰ問は一貫して天文分野です。太陽、恒星の進化、連星、銀河、距離測定、天体観測が繰り返されています。2018年度のシリウス、2026年度のプロキオンのように、連星を題材として等級、光度、半径、質量、密度などを計算させる問題もあります。

天文対策では、公式を孤立して暗記しないことが重要です。見かけの明るさは光度に比例し距離の2乗に反比例すること、光度は半径の2乗と表面温度の4乗に比例すること、等級が5違えば明るさが100倍になることを、一つの関係図として整理します。ケプラーの第三法則、万有引力、年周視差、ハッブルの法則も、使う単位まで含めて確認してください。

恒星進化では、質量によって主系列星の寿命や最終段階が変わる理由を説明できるようにします。質量が大きい恒星は燃料を多く持ちますが、それ以上に光度が大きく、核融合の進行が速いため寿命が短くなります。このような「一見逆に思える現象」を因果関係で説明させるのが京大らしい問いです。

太陽については、光球・彩層・コロナ、黒点、フレア、太陽風、オーロラ、磁気嵐までを関連づけます。電磁波の波長、スペクトル、黒体放射も頻出です。図表集の太陽スペクトルやHR図は眺めるだけでなく、縦軸・横軸の向き、等半径線、星の進化経路を自分で説明してください。

4.傾向② 大気・海洋は「力とエネルギー」で理解します

第Ⅱ問では、大気または海洋が高い頻度で出題されています。大気大循環、地衡風、大気の安定度、断熱変化、放射収支、温室効果、エルニーニョ、海洋表層循環、深層循環などが主要テーマです。暗記項目が多く見える分野ですが、京大は「なぜその向きに風や海流が生じるのか」「なぜ上昇した空気が雲をつくるのか」を説明させます。

風の問題では、気圧傾度力、コリオリの力、摩擦力の向きから考えます。上空の地衡風は気圧傾度力とコリオリの力がつり合い、北半球では進行方向の右向きにコリオリの力が働きます。地上風では摩擦のため風速が小さくなり、コリオリの力も弱まるので、風は等圧線を横切って低圧側へ吹き込みます。図を暗記するだけでなく、力の矢印から風向を再現できることが重要です。

断熱変化では、未飽和か飽和かを最初に判断します。乾燥断熱減率、湿潤断熱減率、露点の変化を使って雲底高度を求める問題は、温度と露点を別々の式で追うと整理できます。安定度は、持ち上げた空気塊の温度と周囲の気温を同じ高度で比較します。「気温が高い方が上昇する」という基準に戻れば、複雑な数値でも判断できます。

海洋では、風成循環と熱塩循環を分けます。表層では風、コリオリの力、海面高度の傾きが関わり、深層では主に水温と塩分による密度差が原動力になります。2024年度のような海面高度・地衡流の問題では、圧力傾度力とコリオリの力がどちらを向くかを図示すると、流向の取り違えを防げます。

5.傾向③ 地震・プレート・地球内部は計算の中心です

第Ⅲ問は、地震、プレートテクトニクス、地球内部、重力、火山などが中心です。マグニチュードとエネルギー、地震波の走時、津波の速さ、プレートの移動速度、地球熱流量、重力異常など、計算題材が豊富です。

計算では、まず求める量と単位を書きます。次に、問題文で与えられた関係式または教科書の基本式を記号のまま立て、最後に数値を代入します。最初から数値だけを並べると、10の累乗や単位換算を誤りやすくなります。kmとm、年と秒、度とラジアン、WとJ、震源距離と震央距離を区別してください。

マグニチュードは1増えると振幅が10倍、放出エネルギーはおよそ32倍になります。発生回数が減っても、大地震一回のエネルギーが小地震多数の総和を上回る場合があります。津波速度は浅水波として水深に依存し、海岸へ近づいて水深が浅くなると速度が低下し、波高が大きくなります。このように、式から物理的意味まで説明できる状態が理想です。

地震波と地球内部では、P波・S波の性質、走時曲線、低速度層、核・マントル境界、モホ面を関連づけます。S波が液体を伝わらないことから外核が液体だと推定できるように、「観測事実→波の性質→内部状態」の順で説明します。重力異常やジオイドでは、測定値にどの補正を行い、何の密度差を反映する量なのかまで確認します。

プレート問題では、境界の名称だけでなく、運動方向、断層型、地震・火山の分布、海洋底の年代、地磁気縞模様を一枚の図にまとめます。2026年度に独立して問われた地磁気も、偏角・伏角、地磁気極、逆転、古緯度、海洋底拡大と結びつけて学習すると対応しやすくなります。

6.傾向④ 地質図は頻出で、作業手順が得点を決めます

第Ⅳ問では、地質図、地層、断層、褶曲、貫入、化石、地史が繰り返し出題されています。地質図はひらめきの問題ではありません。一定の手順で情報を書き込めば、複雑に見える図でも整理できます。

最初に、水平な地層か傾斜した地層かを判定します。地層境界が等高線と平行なら水平層の可能性が高く、谷を横切る境界の曲がり方から走向・傾斜を推定できます。次に、上下関係、褶曲軸、断層によるずれ、貫入岩との切断関係を確認します。最後に、堆積、変形、断層、貫入、侵食の順序を並べます。

地史では「切っているものが新しい」「覆っているものが新しい」という相対年代の原則を使います。ただし、逆断層や褶曲によって地層が逆転している場合があるため、示準化石や堆積構造も併用します。級化層理、斜交層理、リップルマーク、底痕などは、名称だけでなく、地層の上下や流向をどのように示すかまで覚えてください。

2026年度はケイ酸塩鉱物と固溶体が第Ⅳ問の中心でした。鉱物分野では、SiO4四面体の共有の仕方とSi:Oの比、独立四面体・単鎖・二重鎖・層状・立体網状の構造、代表鉱物を対応させます。岩石も、名称の暗記だけでなく、化学組成、組織、冷却場所、形成環境を表で整理する必要があります。

7.傾向⑤ 論述は「現象・原因・結果」の三段階で書きます

京大地学では、知識を一語で答える問題と同じくらい、理由や仕組みを説明する論述が重要です。論述答案は、次の型に分類すると書きやすくなります。

  • 理由説明:観測された現象→原因となる性質・法則→結果
  • 比較説明:共通の比較軸→Aの特徴→Bの特徴
  • 観測方法:測定対象→観測量→そこから推定できる量
  • 地史説明:古い出来事から新しい出来事へ順に記述
  • 図表説明:変化の方向→変化する条件→物理的理由

たとえば「フレアと磁気嵐の発生時刻が一致しない理由」を問われたら、現象名だけでは足りません。電磁波と荷電粒子の伝播速度が異なるため、地球へ到達する時刻が異なる、と比較対象を明示します。「大気が安定だから上昇しない」ではなく、持ち上げた空気塊が周囲より低温・高密度となって下降するため、と仕組みまで書きます。

解答欄が大きくても、関連知識をすべて書く必要はありません。問われた対象、比較、方向、原因を含めた二、三文で十分なこともあります。反対に、解答欄が小さくても、理由を二つ求める設問では二要素が必要です。設問の「それぞれ」「二つ」「理由も含めて」「図を用いてもよい」といった指示に印を付けてください。

8.計算・作図対策――途中過程を答案にする方法

計算答案は、採点者が追える形に整えます。基本形は「使用する関係式→単位をそろえた代入→計算結果→有効数字と単位」です。途中で近似を使った場合は、その内容も示します。答えが違っても、立式や途中過程が正しければ評価される可能性があるため、暗算だけで済ませない方が安全です。

検算には、次元と概算を使います。距離を求めたのに単位が速度になっていないか、恒星の半径が太陽の何万倍という不自然な値になっていないかを確認します。グラフの端や選択肢から、おおよその範囲を先に見積もることも有効です。

作図では、芸術的な正確さより、何を表す図かが伝わることが重要です。大気循環なら緯度、上昇・下降流、地表風を、断面図なら地層境界、傾斜、断層、地形面を明確にします。矢印、凡例、単位、方位を忘れないようにしてください。教科書や図表集の代表図を、見ずに30~60秒で再現する練習が効果的です。

9.分野別の勉強法

天文

HR図、恒星進化、等級、黒体放射、ケプラーの法則、距離測定を優先します。典型計算を解いた後、「距離が2倍なら明るさはどうなるか」「温度が2倍で半径が同じなら光度はどうなるか」と条件を変えて確認します。単位換算では天文単位、光年、パーセクを整理してください。

気象・海洋

大気の鉛直構造、断熱変化、安定度、地衡風、大気大循環、放射収支を一つの軸にし、海流・深層循環へ広げます。天気図、高層天気図、気温減率のグラフを読む練習を重ねます。数式を使った後、結果を言葉で説明するところまで行います。

固体地球・地球物理

地震波、地球内部、プレート、火山、地磁気、重力を関連づけます。模式図に震源分布、火山帯、海溝、海嶺、プルームを書き込みます。マグニチュード、津波、走時、熱流量の計算は、時間を測って反復してください。

岩石・鉱物・地質・地史

火成岩、堆積岩、変成岩を、鉱物組成・組織・生成条件で比較します。地質図は問題集で数をこなし、必ず地史を文章にします。化石と地質年代は、時代名だけでなく、生息期間、環境、示準化石・示相化石の違いまで確認します。

10.90分の時間配分

おすすめは、最初の3~5分で4題を見渡し、解く順番を決める方法です。出題順が安定していても、自分にとって解きやすい順に処理して構いません。

第一周では、空欄補充、知識選択、短い計算、図から直接読み取れる問題を回収します。第二周で、標準的な計算と短い論述に進みます。第三周で、煩雑な天文計算、地震計算、地質図の後半などに戻ります。最後の5~10分は、単位、有効数字、方位、選択肢番号、論述の主語を確認します。

大問1題の目安は20分前後ですが、難問に25分以上固執しないことが重要です。方針が立たない問題には印を付け、同じ大問の独立した小問または別の大問へ移ります。京大地学は小問数が多いため、一問を完答することより、全体で標準問題を落とさないことが得点につながります。

理科2科目の場合は、180分通しの演習が必要です。地学を先に解くか、後に解くか、何分で切り上げるかを事前に決めます。計算が重い年度では地学に時間がかかるため、固定的に90分ずつ分けるのではなく、85~95分程度の幅を想定して練習すると実戦的です。

11.過去問10年分の使い方

第一段階では、分野別に解きます。天文10題、大気・海洋10題というように縦に並べると、同じ基本法則が別の題材で繰り返されていることが分かります。時間は測らず、教科書や図表集へ戻りながら、計算式と論述の根拠を確認します。

第二段階では、大問ごとに20~25分を設定します。採点後は、誤答を「知識不足」「図の読み違い」「立式ミス」「単位・計算ミス」「論述要素の不足」「時間不足」に分類します。地学では、知識不足だと思っていた失点が、実は単位換算や方位の読み違いであることも少なくありません。

第三段階では、直近5年程度を本番形式で使います。もう一方の理科と合わせて180分で解き、着手順と終了時刻を記録します。復習では、模範解答を写すのではなく、①使う原理、②図表から読み取る事実、③計算の立式、④30~80字程度の改善答案を残します。

2025・2026年度については、京都大学が問題と出題意図等を公表しています。出題意図を確認し、自分の答案が「何を測りたい問題だったか」に合っているかを点検すると、単なる正誤確認より深い復習になります。

12.時期別の学習計画

基礎期には、教科書を全範囲読み、章末問題まで解きます。地学は用語が多い一方、図を伴う理解が不可欠です。教科書本文と図表集を必ずセットで使い、重要な模式図を自分で再現します。

夏から秋には、標準問題集で計算・作図・地質図を補強し、京大過去問を分野別に始めます。週に数題は論述答案を実際に書いてください。頭の中で説明できることと、採点可能な文章にできることは別です。

秋以降は、大問単位の時間演習へ移ります。解答欄の大きさに合わせる練習、複数段階の計算を整理する練習、地質図を一定の手順で読む練習を重ねます。苦手分野があっても丸ごと捨てず、前半の基本問題を取れる水準には仕上げます。

共通テスト後は、180分の実戦演習を中心にします。新しい難問集を広げるより、10年分で間違えた基本事項、計算、論述を解き直します。直前用のまとめには、頻出公式、単位換算、代表的な図、論述の因果関係だけを集約すると効果的です。

まとめ――京大地学は「予測しやすい構成」と「深い説明力」の試験です

2017~2026年度を通して、京大地学は大問4題で、天文、大気・海洋、固体地球、地質・地史を広く扱う構成を維持しています。特に天文は第Ⅰ問、地質図・地史は第Ⅳ問に置かれることが多く、対策の方向は立てやすいといえます。

一方、合格点を取るには、用語暗記だけでなく、公式の意味、観測と推論のつながり、地質図の作業手順、簡潔な論述が必要です。対策の柱は、①教科書の全範囲を図とともに理解する、②頻出計算を途中過程まで書く、③現象・原因・結果の順で論述する、④90分で標準問題を回収する、の四つです。

京大地学で求められるのは、大学レベルの知識を先取りすることではありません。初めて見る数値や観測例に対しても、教科書の法則を選び、図にし、計算し、言葉で説明することです。10年分を単元横断で繰り返せば、表面的な題材が変わっても使える解法の骨格が身につきます。

旧帝大対策のまとめはこちらです!↓

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