上智大学 TEAP利用型の物理対策

本記事は上智大学の物理(TEAP利用型)対策について記載しています。
上智大学には受験方式がさまざまありますが、本記事はTEAPスコア利用型にて出題される物理試験の対策記事となります。*TEAPの公式サイトはこちら。
物理の試験時間は90分で、配点は下記の通りです。
| 試験区分 | 試験教科 | 科目 | 配点 |
| 英語外部検定試験 | 英語 | TEAP、TEAP CBTの検定試験を利用 *入試当日の英語試験はありません | 100点 |
| 本学独自試験 | 数学 | 数学ⅠⅡⅢAB(数列)C(ベクトル、平面上の曲線と複素数平面) | 150点 |
| 理科 | 物理、化学、生物のうちから2科目選択 | 150点(各75点) |
TEAP利用型の入試情報
上智大学の公式サイトをご参照ください。
各項目の傾向と対策
大問は全部で2つです。
下の表で出題される問題を確認しましょう。
| 2026年度 | 2025年度 | 2024年度 | |
| 1 | ・ケプラーの法則、第1・第2宇宙速度、複数の天体間にはたらく万有引力 設問数11問 | ・滑車を通して伸びない糸で結ばれた2物体の運動 設問数10問 | ・ばねを取り付けられた小球と壁との衝突、衝突後の小球の運動 設問数9問 |
| 2 | ・交流電流による自己誘導、コイルに蓄えられるエネルギー、コイルで消費する電力 設問数9問 | ・抵抗につながれたダイオード 設問数9問 | ・金属中を運動する自由電子の運動とエネルギー 設問数10問 |
| 2023年度 | 2022年度 | 2021年度 | |
| 1 | ・ばねおよびゴムひもに取り付けられた小球の単振動、エネルギー保存則 設問数11問 | ・自由落下と鉛直投げ上げ、一直線上での2物体の衝突 設問数9問 | ・鉛直ばね振り子と衝突 設問数7問 |
| 2 | ・コンデンサーの極板移動にともなう電気量および静電エネルギーの変化 設問数8問 | ・電池の内部抵抗、コンデンサー、コイル 設問数6問 | ・抵抗の接続、動摩擦力 設問数9問 |
上智大学TEAP利用方式の物理は、難しい公式を数多く知っているかを問う試験ではありません。
2021~2026年度の過去問を見ると、力学と電磁気を中心に、条件が段階的に変化する現象を、設問の誘導に沿って最後まで正確に処理する力が求められています。
解答は導出過程を書かず、結果のみを記入する形式です。
そのため、途中式に対する部分点は期待しにくく、前半の計算ミスが後半へ影響しやすいという厳しさがあります。
一方で、各大問は段階的に設問が並んでいるため、前の設問で得た結果を正しく利用できれば、複雑な問題でも解き進めることができます。
●対策
過去6年間では力学と電磁気を中心とする2大問構成
2021~2026年度では、大問1が力学、大問2が電磁気という構成が続いています。
2021年度はばねと衝突、可動金属棒を含む回路、2022年度は落下と衝突、コンデンサーとコイル、2023年度はばねとゴムひもの振動、可動極板を含むコンデンサー、2024年度はばねでつながれた2物体、自由電子と抵抗率が出題されています。
2025年度は滑車と2物体の運動、ダイオード回路、2026年度は万有引力と天体運動、交流とコイルが出題されています。
ただし、今後も必ず同じ構成になるとは限りません。
また、2024年度には温度による抵抗率の変化、2025年度には摩擦によって生じた熱の分配が扱われており、熱の内容が力学や電磁気に組み込まれることもあります。
そのため、波動、熱、原子を捨てるのではなく、全範囲の基本事項を学習したうえで、力学と電磁気を重点的に仕上げることが大切です。
長い誘導に沿って解き進める力が重要
上智大学の物理では、一つの現象について設問が段階的に続きます。
前半で基本的な式を求め、後半で条件を変更し、その結果を利用してさらに考えさせる構成が多く見られます。
2023年度の力学では、2本のばねによる単振動を扱った後、片側をゴムひもに変え、さらに壁の間隔を変えた場合へと進みます。
同年度の電磁気では、3枚の金属板を固定した状態、中央の金属板を移動した状態、スイッチを開いた状態へと条件が変化します。
2025年度のダイオード回路も、抵抗をつないだ場合、コンデンサーに置き換えた場合、ダイオードの性質を変えた場合へと設問が発展します。
このような問題では、各設問を独立した問題として考えるのではなく、前の設問で求めた式が次にどのように使われるかを意識することが重要です。
条件が切り替わる位置や時刻を見抜く
上智大学では、途中で物理法則の使い方が変わる問題が多く出題されます。
例えば、衝突前と衝突後、糸がたるんでいる間と張った後、ゴムひもが伸びている場合と縮んでいる場合、ダイオードに電流が流れる場合と流れない場合などです。
2023年度のゴムひもは、自然長より伸びたときだけ復元力が働き、縮んだときには力が働きません。
2025年度のダイオードは、加わる電圧の向きや大きさによって、電流が流れる区間と流れない区間に分かれます。
このような問題では、最初に「どこで条件が変わるか」を見つけ、その前後で使う法則を分けて考える必要があります。
式を立てる前に、運動や回路の状態を簡単な図やメモで整理すると、取り違えを防ぎやすくなります。
前半の基本設問を確実に取る
各大問の前半では、運動方程式、運動量、エネルギー、周期、電流、電気量、電位差など、後半の土台になる量を求めることが多くなっています。
これらは一見すると基本的ですが、後半の設問に直結しています。
前半で符号や文字を誤ると、その式を使う後半の設問にも影響します。
一方で、前半を正確に処理できれば、後半の複雑な設定でも見通しが立ちやすくなります。
過去問演習では、答えが合ったかだけでなく、「この式が何を表しているか」「次の設問でどう使われるか」まで確認することが大切です。
グラフやベクトルを描く問題が多い
上智大学の物理では、位置と時間、質量と最高到達高度、位置と電流、時間と電力、時間と電位などのグラフを描かせる問題が繰り返し出題されています。
2021年度は物体の高さと時間、金属棒の位置と電流、2022年度は質量と最高到達高度、2023年度と2024年度は位置と時間、2025年度は電力やコンデンサーの電位と時間の関係が問われています。
2026年度には、万有引力の向きや重心の位置を図に記入する問題もあります。
グラフ対策では、単に直線、放物線、正弦曲線の形を覚えるだけでは不十分です。
初期値、最大値、最小値、周期、傾きの符号、条件が切り替わる点を先に確認し、特徴的な点を打ってから、その間を結ぶ練習が必要です。
衝突の瞬間には位置は連続していても、速度に対応する傾きが変わることがあります。
ダイオード回路では、電流が流れる区間を判断してからでなければ、正しい電力や電位のグラフを描くことはできません。
高校物理の範囲で細かく分けて考える
上智大学では、自由電子の運動、温度分布をもつ金属、コイルを流れる交流など、やや発展的に見える設定が出題されます。
しかし、大学数学の知識が必要なわけではありません。
2026年度の交流とコイルの問題では、正弦と余弦の短い時間における変化の関係が問題文中に与えられています。
2024年度の温度が場所によって変化する金属でも、金属を細かい部分に分けて抵抗を考える流れになっています。
必要なのは、物体や時間を細かく分け、それぞれに高校物理の公式を当てはめる力です。
「見たことのない設定だから難しい」と考えるのではなく、どの部分なら既知の公式を使えるかを探すことが重要です。
用語や人名は補助的に確認する
上智大学では、計算問題の中に物理用語や法則名を答える問題が含まれることがあります。
2024年度には内力や重心の運動、2025年度にはダイオードの順方向、逆方向、整流作用、2026年度にはケプラー、ファラデー、レンツなどが問われています。
ただし、人名や用語の暗記を学習の中心にする必要はありません。
教科書に太字で載っている基本用語、法則名、現象名を、計算内容と結び付けて確認しておけば十分です。
結果のみを記入する形式への対策
上智大学の物理は、導出過程を書かず、結果のみを解答欄に記入する形式です。
そのため、途中式を書けば部分点がもらえる試験に比べると、一つ一つの最終結果の正確さが重要になります。
ただし、一つのミスで大問全体が必ず0点になるわけではありません。
後半が前半の結果に依存しない場合もあり、条件が変わったところから立て直せることもあります。
重要なのは、前半の誤りを後半まで連鎖させないことです。
設問の区切りごとに、単位、符号、力の向き、保存される量、初期値を確認する習慣をつけましょう。
単位と極端な場合を使って検算する
文字式を求めた後は、両辺の単位が一致しているかを確認します。
また、質量や抵抗、摩擦係数などを極端に小さくした場合や、時刻を0とした場合に、物理的に不自然な結果にならないかを見ることも有効です。
さらに、上智大学では状態の切り替えが多いため、今どの段階を扱っているかを確認する必要があります。
衝突前後で保存される量を取り違えていないか、コンデンサーやコイルがスイッチを入れた直後と十分時間が経った後でどのような状態になるか、グラフの初期値と終値が式に合っているかを確認しましょう。
全範囲の基本を固めた後に力学と電磁気を重点化する
過去6年間では力学と電磁気が中心ですが、熱の内容が融合されることもあり、今後ほかの分野が出題される可能性もあります。
そのため、波動、熱、原子を完全に捨てるのは危険です。
まずは全範囲の基本問題を一通り解ける状態にします。
そのうえで、力学と電磁気については、複数物体の運動、衝突、単振動、万有引力、コンデンサー、コイル、交流、電磁誘導、条件の切り替わる回路を重点的に練習しましょう。
おすすめ教材
基礎固めには、教科書、『物理のエッセンス』、『良問の風』などが適しています。
まずは、図を描き、力や電流の向きを整理し、基本法則を迷わず使える状態を目指しましょう。
その後、『物理重要問題集』などで複数物体、衝突、単振動、コンデンサー、コイル、電磁誘導の標準問題を演習します。
『名問の森』や『物理[物理基礎・物理]標準問題精講』は、基本が固まった後に、条件分岐や複数分野の融合問題を補強する教材として使うと効果的です。
最も重要なのは、上智大学TEAP利用方式の過去問です。
上智特有の長い誘導、結果のみを記入する形式、グラフやベクトルの描画、条件変更の多い設問は、過去問でなければ十分に慣れることができません。
過去問演習では状態を整理する
過去問を解くときは、文章を上から順番に読むだけでなく、状況が変わるたびに簡単な図や表を作ると効果的です。
衝突前、衝突直後、その後の運動、糸がたるんでいる間、糸が張った瞬間、スイッチを閉じた直後、十分時間が経過した後など、各段階の状態を分けて整理します。
それぞれについて、速度、力の向き、保存される量、回路の状態を書き出すと、現在どの式を使うべきかが明確になります。
最初の数年分は時間を気にせず、誘導の意味や条件の切り替わりを丁寧に確認しましょう。
その後、40~50分程度で解き切る練習へ移ります。
本番では大問を均等に分けすぎない
大問2題を約22分ずつ解く方法は、一つの目安にはなります。
しかし、年度によって力学と電磁気の計算量は異なります。
2022年度の力学は複数回の衝突を処理する必要があり、2024年度の電磁気は自由電子の運動から抵抗率を求めた後、温度分布の異なる金属まで扱います。
最初に2題を確認し、見通しの立ちやすい大問から解き始める方が実践的です。
理科2科目で90分であるため、物理に使う時間は必ず45分ちょうどではありません。
もう一方の科目とのバランスを考え、40~50分程度で調整できるようにしておきましょう。
まとめ
上智大学TEAP利用方式の物理は、発展公式や大学数学の知識を競う試験ではありません。
高校物理の基本法則を使い、条件が段階的に変化する現象を、設問の誘導に沿って最後まで正確に処理する力が求められます。
対策では、全範囲の基本事項を身につけたうえで、力学と電磁気を重点的に学習し、条件の切り替わる位置や時刻を見抜く力を鍛えることが重要です。
また、グラフやベクトルを描くときは、初期値、最大値、周期、傾き、変化点を確認し、結果のみを記入する形式に備えて、単位や符号をこまめに検算する必要があります。
過去問を繰り返し解き、前の設問の結果を次へつなげる力、状態を図や表で整理する力、限られた時間の中で正確に答えを出す力を身につけることが、合格への最も確実な対策となります。
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