共通テスト対策のまとめ(2021年度〜2026年度)

本記事では2021年度〜2026年度の本試験を分析して各教科・科目ごとにまとめています。

共通テストの情報は公式サイトをご確認ください。

2027年度の共通テストは2027年1月16日(土)、17日(日)です。

英語リーディング

2021〜2026年度から見える「傾向」と、点数を伸ばすための具体的な対策

大学入学共通テストの英語リーディングは、単純に「英文を読んで意味が分かれば解ける試験」ではありません。

2021年度の共通テスト開始以降、問題を追っていくと一貫して問われているのは、

「必要な情報を探す」
「複数の情報を整理する」
「事実と意見を区別する」
「文章を読んで図・表・メモ・スライドを完成させる」
「文章全体から筆者の意図を推測する」

といった、いわば情報処理型の読解力です。

さらに2025年度以降は、文章をただ理解するだけではなく、「文章を改善する」「発表資料を作る」「複数の意見を比較して自分の文章を構成する」といった、より実践的な読解が目立っています。

今回は、アップロードいただいた2021年度〜2026年度の共通テスト英語リーディング6年分をもとに、出題の変化と共通する傾向を分析し、具体的な勉強法までまとめます。


1.まず知っておきたい共通テスト英語リーディングの本質

共通テストは80分100点です。2021年度の問題冊子でも「100点・80分」と明記されており、各大問について英文や図表を読み、最適な選択肢を選ぶ形式になっています。

ここで重要なのは、

80分でかなり多くの英文と資料を処理しなければならない

ということです。

難関大学の記述式長文のように、一文一文を精密に和訳する時間はありません。

したがって共通テストで求められる能力は、

精読力 × 速読力 × 情報検索力 × 情報整理力

の4つです。

そして6年間の問題を見る限り、後ろの2つ、つまり情報検索・情報整理の重要性が非常に高いと言えます。


2.2021〜2024年度――「情報処理型リーディング」の基本形

まず2021〜2024年度を見てみましょう。

この4年間にはかなり明確な共通パターンがあります。


第1・2問――広告・案内・ウェブサイトなどから必要情報を拾う

前半では、

  • メッセージ
  • 広告
  • ウェブサイト
  • 商品説明
  • イベント案内
  • 口コミ
  • 学校施設案内

といった、日常生活で実際に目にしそうな英文が頻繁に登場します。

例えば2023年度では、第1問で演劇・ミュージカルの案内を読み、双方に当てはまる内容などを判断させています。また英語サマーキャンプのウェブサイトでは、コース内容や申し込み後の流れを読み取らせています。

2024年度でも、インターナショナルイベントの案内、観光ツアー、ゲームクラブの紹介、旅行保険などが使われています。

ここで必要なのは高度な英文解釈ではありません。

むしろ、

「設問で聞かれた情報が、本文のどこにあるかを素早く見つけられるか」

です。

つまり第1・2問は、全文を丁寧に訳そうとする受験生ほど時間を失いやすい問題です。


3.「事実」と「意見」の区別は超重要

共通テストで繰り返し出ているテーマの一つが、

fact(事実)と opinion(意見)の区別

です。

2021年度では、学校方針についてのオンラインフォーラムを読み、

  • Kenの考え
  • 文章中に述べられた事実
  • 他者の主張
  • 反対意見を補強するために調べるべき情報

などを判断させています。

2023年度の靴の広告・口コミでも、メーカーの説明と利用者の意見を分けて判断する問題が出ています。

これは共通テスト対策で非常に重要です。

Fact

客観的に確認できる情報。

例:

The event starts at 10 a.m.

Opinion

話者の評価や判断。

例:

The event was fantastic.

共通テストでは、

「本文中に書いてある=fact」ではありません。

本文中に書かれていても、それが話者の評価ならopinionです。

特に、

  • I think
  • I believe
  • I feel
  • wonderful
  • useful
  • better
  • important
  • should
  • probably

などがあれば意見である可能性が高くなります。


4.第3問前後で増える「時系列整理」

6年間を通して非常に重要なのが、

出来事の順番を並べる問題

です。

2022年度では「Three Peaks Challenge」の登山記録を読んで、起こった出来事を時系列に並べます。

2023年度では「Home Adventure」の体験談で、出来事を発生順に並べる設問があります。

2024年度でも仮想フィールドトリップの記事を読み、参加者のコメントを出来事が起きた順番に配置させています。

さらに2025年度、2026年度でも物語文の流れを整理するタイプが続いています。

したがって、

「時系列問題は偶然出る問題」ではなく、共通テストの定番技能

と考えた方がよいでしょう。

対策

物語文を読むときは、

Before → Event → Result

あるいは

①最初
②問題発生
③対応
④結果

のように頭の中で整理します。

特に、

  • first
  • initially
  • then
  • later
  • after
  • before
  • finally
  • eventually
  • suddenly

といった時系列表現には敏感になってください。

ただし共通テストでは、このような接続詞がない部分からも順番を推測させます。

そのため「単語を見る」だけではなく、

因果関係から前後関係を考える力

も必要です。


5.複数資料を同時に処理する力が大きな差になる

共通テストの最大の特徴の一つが、

本文だけ読めばよい問題が少ない

ことです。

文章に加えて、

  • グラフ
  • イラスト
  • メール
  • コメント
  • メモ
  • タイムテーブル
  • プレゼン資料

などを同時に処理します。

例えば2021年度第4問では、姉妹校の生徒を受け入れる一日の計画について、メール、時刻、施設情報などを組み合わせてスケジュールを判断します。

2022年度第4問でも、中古品販売の情報と価格比較表を読み、条件に合う購入先を判断させています。

2024年度第4問では、教室改善に関する英文だけでなく、生徒アンケートのグラフやコメントを合わせて読ませています。

このタイプで非常に危険なのが、

英文だけ読んで解こうとすること

です。

共通テストでは、

本文A+表B+条件C

を全部合わせないと答えが決まらない設問があります。


6.「本文→別形式への変換」が共通テストの中心

後半になるほど重要になるのが、

文章で読んだ情報を、別の形に整理し直す力

です。

代表的なのがプレゼンテーション問題です。

2021年度第5問では、Astonという牛についての長いニュース記事を読み、

  • プレゼンのタイトル
  • 登場人物
  • 出来事の順番
  • Astonの能力
  • 現在の状況

などをスライドに整理します。

2022年度第5問でも、テレビ開発者Farnsworthについての記事を読み、

  • タイトル
  • 若い頃の情報
  • 出来事の順番
  • 結果
  • 功績

を発表用メモにまとめる形式です。

つまり、

英文理解 → 要点抽出 → 情報再構成

という3段階の処理が必要です。

これは普通の長文問題とはかなり違います。

「文章の意味はだいたい分かった」というレベルでは足りません。

どの情報が重要で、どのカテゴリーに入るのか

まで判断する必要があります。


7.2023・2024年度で特に目立つ「複数文章の比較」

2023年度第4問は象徴的です。

「効果的な勉強法」について2人の文章を読み、

  • Oxfordの主張
  • Leeの主張
  • 両者の共通点
  • 片方の主張を補強する追加情報

などを判断します。

ここでは、英文1本だけの理解ではありません。

頭の中で、

OxfordLee
主張A主張B
理由A理由B
共通点相違点

のように整理する必要があります。

この比較読解は、後の年度にもつながる重要な能力です。


8.2025年度から問題の性格がさらに変わった

2025年度は、新課程対応という意味でも非常に重要です。

2021〜2024年度の「情報検索・情報整理」という特徴は残っていますが、より強くなったのが、

英文を使って何かを完成させる

タイプです。

例えば第4問では「Try a Slow Life」という英文原稿に対して教師からコメントが付き、

  • 接続語を追加する
  • 段落の結論文を補う
  • 不自然な表現を書き換える

といった、文章改善型の読解になっています。

これは単純な内容一致問題とは大きく異なります。

文章の意味だけでなく、

「この段落は何を言いたいのか」
「この一文は前後とどうつながるのか」

を考えなければなりません。


9.2025年度第5問――複数メール+表+図を統合

2025年度第5問では、大学のボランティア活動に関するメールと返信を読みながら、会議のタイムテーブルや座席配置まで処理します。

設問では、

  • 書き手の不安
  • 発表タイトル
  • 再検討が必要な事項
  • ディベート会場の座席配置
  • 返信メールに含めるべき情報

まで判断します。

これは非常に共通テストらしい問題です。

単なる英語長文というより、

英語で仕事をしている状況を疑似体験させる問題

に近くなっています。

この傾向から考えると、今後も、

「英文を読んで理解してください」

ではなく、

「英文を読んだ上で、目的を達成してください」

というタイプを重視すべきでしょう。


10.2025年度には「物語を批評・改善する」問題も登場

2025年度第6問では、友人Harryが書いたヒーロー物語を読み、それに対するフィードバックを完成させます。

単にストーリーの内容を尋ねるだけではなく、

  • 主人公の人生の段階を並べる
  • 登場人物の能力を整理する
  • 発言の意味を判断する
  • 物語に追加すべき情報を考える

といった課題になっています。

ここで求められているのは、

「読み手として文章を評価する能力」

です。

これは従来のセンター試験と比較した場合、共通テストを象徴する特徴と言ってよいでしょう。


11.2025年度第7・8問――後半は「学術+要約+統合」

2025年度後半では、動物の睡眠を扱った比較的長い説明文を読んで、プレゼンテーションのアウトラインを完成させる問題が出ています。

重要なのは、

文章を読んで、そのまま答えるわけではない

ことです。

本文から、

  • 睡眠の役割
  • 睡眠パターン
  • 睡眠時間を左右する条件
  • 特殊な睡眠

などを分類します。

つまり、

本文の順番

プレゼンの整理順

が必ずしも一致しません。

そのため、

「どこに何が書いてあったか」ではなく「情報の意味」

を理解していなければ解けません。

さらに第8問では、宇宙開発に対する複数人物の意見を読み比べ、共通点や立場を整理します。

これは今後の共通テスト対策を考えるうえで重要で、

複数情報源を横断して読む力

がますます必要になっていることを示しています。


12.2026年度――「実用文」と「要約力」がさらに洗練

2026年度もこの方向性は継続しています。

第1問ではダンス衣装についてのチャットを読み、

  • 誰が安全面を心配しているのか
  • 最終的な衣装がどのようになるのか
  • 翌日に何をするのか

を判断します。

つまり短い英文でも、

複数人物の発言を統合しなければ正解できません。

第2問では大学の学生寮満足度調査と学生コメントが組み合わされ、大学側の説明、客観的データ、個人の感想を分けて読ませています。

ここでも、

事実・意見・推論

の区別が重要です。


13.2026年度でも「文章を完成させる」問題が継続

2026年度第4問では、高校のEco Weekについてのニュースレター原稿に対して指導者のコメントが入り、

  • ポスターを作る目的
  • 文を挿入する位置
  • 不自然な文章の書き換え
  • 要約として適切な表現

を判断させます。

これは2025年度第4問と非常によく似た発想です。

したがって、

「文章構成問題」は今後も要注意分野

と考えるべきです。


14.2026年度第5・6問――大量情報を「選別」する

2026年度第5問では図書館のブックフェアについて、

  • チラシ
  • オンライン申込フォーム
  • 複数の書籍紹介
  • 図書館からのメール

を横断して読む必要があります。

ここで重要なのは、

すべて覚える必要はない

ということです。

設問が「どの本が条件を満たさないか」を聞いているなら、

  1. 条件を確認
  2. 各本の必要な情報だけチェック
  3. 不適合なものを探す

という手順が最速です。

また第6問では物語を読んだ後、その内容を「Story Outline」に変換します。登場人物、重要な出来事、物語の教訓などを整理する形式です。

ここでも中心となるのは、

要約力です。


15.2026年度第7問が示す今後の方向性

2026年度後半では「Mind-Wandering(心がさまようこと)」についての説明文を読み、その内容をプレゼン用スライドに整理します。

文章内容は、

  • mind-wanderingとは何か
  • 悪影響
  • 良い影響
  • incubation period
  • 脳科学研究
  • 活用方法

など、比較的学術的です。

それを、

Occurrence → Effects → Incubation → Neuroscience

のように再構成していきます。

今後、高得点を狙う受験生に特に必要になるのは、

英文を「構造」で読む力

でしょう。


16.6年間から分かる出題傾向をまとめると

2021〜2026年度を通して見ると、次の力が繰り返し問われています。

能力重要度
必要情報を素早く検索する★★★★★
言い換えを見抜く★★★★★
複数資料を統合する★★★★★
時系列を整理する★★★★☆
要旨・要約を判断する★★★★★
事実と意見を区別する★★★★☆
図表を読み取る★★★★☆
筆者・登場人物の意図を推測する★★★★☆
文章構成を判断する★★★★☆
難しい文法を解析する★★☆☆☆

ここが非常に重要です。

共通テストで苦戦している受験生の中には、

「単語帳と英文解釈ばかり勉強している」

人が少なくありません。

もちろん語彙や文法は必要です。

しかしそれだけでは共通テストの得点は完成しません。


17.対策①「全文和訳」から卒業する

まず最優先で直したいのが、

頭の中で一文ずつ日本語に訳す読み方

です。

例えば、

Participants will park in the university parking area.

「参加者たちは/駐車するでしょう/大学の駐車場に……」

と訳す必要はありません。

participants → university parking area

という情報が取れれば十分です。

共通テストでは、

英語 → 日本語 → 理解

ではなく、

英語 → 内容理解

へ近づける必要があります。


18.対策②「言い換え」を徹底的に鍛える

共通テストでは、本文と正解選択肢がまったく同じ単語になるとは限りません。

例えば、

inexpensive

が選択肢では

affordable

になったり、

was worried about

was concerned about

になったりします。

したがって過去問復習では、

「なぜ正解なのか」だけでは不十分です。

必ず、

本文のどの表現

選択肢のどの表現

に言い換えられたのかを確認してください。

これだけで共通テストの得点はかなり安定します。


19.対策③設問を「型」に分類する

過去問を解くときは、正答率だけを見るのではなく、

①内容一致

②情報検索

③時系列

④事実/意見

⑤推論

⑥要旨

⑦複数資料統合

⑧図表

⑨文章構成

のどれで間違えたか記録してください。

たとえば70点だったとしても、

時系列4問中4問正解、複数資料6問中2問正解

なら、課題は明確です。

単純に「もっと長文を読む」より、

複数資料問題だけ10題練習する

方がはるかに効率的です。


20.対策④前半と後半で読み方を変える

すべての大問を同じ読み方で解いてはいけません。

前半

広告・メール・ウェブサイト

設問先読み+必要情報検索

中盤

物語・体験談

時系列と人物関係を意識

後半

説明文・複数資料・プレゼン

段落構造と要点を意識

という切り替えが効果的です。


21.時間配分の目安

80分を最大限に使うなら、一例として

  • 前半:約20分
  • 中盤:約20〜25分
  • 後半:約35〜40分

を意識するとよいでしょう。

特に避けたいのが、

序盤の1問に3〜4分使ってしまうこと。

第1・2問で一問を落としても数点ですが、そこで時間を使い過ぎて後半の10点以上を失えば意味がありません。

分からない問題は、

30秒〜1分考えて決め手がなければ仮マークして進む

判断力も必要です。


22.目標点別の学習戦略

50〜60点を目指す場合

最優先は、

第1〜中盤を確実に取ること。

難しい説明文を全部理解しようとするより、

  • 広告
  • メール
  • ブログ
  • 時系列

を正確に解けるようにします。

単語は英検準2級〜2級程度の基礎語彙をまず固めましょう。


70〜80点を目指す場合

ここから重要になるのが、

複数資料・要約・推論

です。

過去問を解いたあと、

「本文の根拠を必ず示す」

復習をしてください。

正解していても根拠が曖昧なら、実力としてはまだ不安定です。


90点以上を目指す場合

90点以上では、

読む能力より「判断速度」

が重要になってきます。

知らない単語が多少あっても、

  • 文脈
  • 対比
  • 因果関係
  • 言い換え

から判断できる状態が必要です。

また、後半問題を解き切るため、

80分ではなく70〜75分程度で一度全問を処理する練習

をしておくと、本番で余裕が生まれます。


23.過去問の最も効果的な復習方法

おすすめは、一年度につき3回使う方法です。

1回目:80分で本番通り解く

目的は点数測定。


2回目:時間無制限で根拠を探す

すべての問題について、

「本文のどこが根拠か」

を確認します。


3回目:時間短縮して解く

一度解いた問題を高速で処理します。

ここでは、

正解を覚えているか

ではなく、

情報をどれだけ高速に見つけられるか

を確認してください。

この3段階を行うと、

「読めるけれど時間が足りない」

という共通テスト特有の問題をかなり改善できます。


24.結論――共通テスト英語は「長文読解」ではなく「英語情報処理」の試験

2021〜2026年度を通して最も強く感じるのは、

共通テスト英語リーディングを普通の長文問題だと思わない方がよい

ということです。

2021年度からすでに、複数メール、表、プレゼン資料、事実と意見の区別、時系列整理などが重視されていました。2021年度第5問・第6問でも、英文からプレゼン資料やポスターを完成させる形式が明確に採用されています。

2022〜2024年度もその基本路線は続き、複数文章や図表を組み合わせて情報を整理する問題が繰り返されています。2024年度第4問の「英文+アンケート+コメント+改善案」は、その典型です。

そして2025〜2026年度では、その方向がさらに発展し、

「文章を改善する」
「アウトラインを作る」
「複数人物の意見を統合する」
「文章からプレゼン資料を作成する」

という課題がより目立っています。

したがって今後の対策で大切なのは、

単語を増やすことだけでも、英文解釈を極めることだけでもありません。

英語を読みながら、

「何が重要なのか」
「誰の意見なのか」
「どの情報とどの情報を組み合わせるのか」
「結局この段落は何を言っているのか」

を高速で判断できるようにすること。

これこそが、共通テスト英語リーディングで安定して高得点を取るための最重要ポイントです。

特に2025・2026年度を見る限り、今後も単純な内容一致だけに戻る可能性は低く、「読んだ情報を整理・利用する力」が中心になると考えて対策するのが妥当です。

言い換えれば、目標は「英文をすべて日本語にできる受験生」ではありません。

英文から必要な情報を最短距離で取り出し、整理し、目的に合わせて使える受験生。

この力を過去問演習で身につけることが、共通テスト英語リーディング攻略の王道です。

英語リスニング

共通テスト英語リスニングというと、「英語を聞き取れるかどうかを測る試験」と考える受験生が多いでしょう。

もちろん、英語を正確に聞き取る力は必要です。しかし、2021年度から2026年度までの問題を並べて分析すると、それだけでは十分ではありません。

むしろ共通テストのリスニングで一貫して求められているのは、

「音声から必要な情報を取り出す力」
「絵や図表と音声を照合する力」
「複数の条件を整理する力」
「話者の意見や結論を把握する力」
「講義の内容をメモ・表・グラフとして再構成する力」

です。

つまり、共通テスト英語リスニングは、

英語の聞き取り+リアルタイム情報処理

の試験だと考えた方が実態に近いのです。

今回は、アップロードいただいた2021〜2026年度の共通テスト英語リスニング6年分をもとに、各大問の特徴、6年間を通した変化、頻出する能力、そして実際に点数を伸ばすための勉強方法を詳しく解説します。

なお、今回の資料は主として問題冊子であるため、以下では音声そのものの発話速度・アクセントの細かな年度差ではなく、問題形式、設問内容、図表、聞き取り後に求められる処理を中心に分析しています。


1.共通テストリスニングは「前半」と「後半」で別の試験

まず最初に理解しておきたいのが、

第1・2問と、第3〜6問では要求される能力がかなり違う

ということです。

たとえば2025年度では、第1問は「音声は2回流れます」と明記され、短い英文の内容一致と、音声に合う絵を選ぶ形式です。

一方、第4問以降は音声が1回のみとなり、図表・条件・複数人物の意見などを処理する問題になります。2025年度第4問では、音声を1回聞いて、発表内容からグラフを完成させる問題が出ています。

したがって、リスニングを一括りにして、

「毎日英語を聞いていれば伸びる」

と考えるのは危険です。

必要なのは、

前半=正確な聞き取り
後半=聞き取り+情報処理

という二段階の対策です。


2.第1問A――短文を聞いて「意味の言い換え」を判断する

第1問Aは、6年間を通して非常に安定した形式です。

短い英文を聞き、

その内容と最も合う英文を4つから選ぶ

問題です。

2025年度では、

  • Lilyに車に乗せてもらう話
  • 宿題と水泳の予定
  • 自動販売機で使えるお金
  • 旅行予定

など、ごく日常的な内容が出ています。

2026年度でも、

  • クラスメートのために踊る
  • 子どもの世話
  • スケートを怖がっていたか
  • 問題について後で考えるか

といった短い内容を判断させています。

ここで最大のポイントは、

音声と選択肢が同じ言葉になるとは限らない

ことです。

リーディングと同じく、リスニングでも「言い換え」が重要です。

たとえば音声で、

Can you give me a ride?

と言われたときに、選択肢が

The speaker is asking Lily for a ride.

になっている。

このような、

音声表現 → 意味の同じ別表現

を瞬時に結び付ける必要があります。


3.第1問Aで狙われやすいのは「時制・否定・主体」

前半の短文問題は簡単に見えます。

しかし、実際にはかなり巧妙です。

よく差がつくのが、

  • did / will / has done
  • before / after
  • already / not yet
  • speaker / friend
  • give / receive
  • want / decide / suggest

といった違いです。

たとえば2021年度の第1問Aでは、

「Davidが話者にアイスをあげたのか」
「話者がDavidにあげたのか」
「今日なのか明日なのか」

のような、主体と時間関係を細かく区別させる選択肢があります。

したがって第1問A対策では、

すべての単語を聞き取ることよりも、S・V・時制・否定を正確につかむこと

が重要です。


4.第1問B――絵を選ぶ問題は「差分」を見る

第1問Bでは、英文を聞いて4枚の絵から最も合うものを選びます。

2021年度では、

  • 人物の服装
  • 商品を渡している場面
  • 絵を描いている人物の位置

などが選択肢になっています。

2023年度では、

  • 瓶の中身の量
  • 動物の位置
  • スケートボードと人物
  • 人物の服装

など、視覚情報の細かな違いを聞き分けます。

2026年度でも、ベンチと像の位置、作業中の人物、横断歩道、海辺の動物などが使われています。

この問題で大切なのは、

4枚を全部眺めるのではなく、4枚の「違うところ」だけを見る

ことです。

例えば、

  • 帽子あり/なし
  • 右/左
  • 立つ/座る
  • 1個/2個
  • 中/外
  • Before/After

という差を事前に確認します。

すると音声中で注意するポイントが絞れます。

これは非常に重要な共通テストのテクニックです。


5.第2問――「場面」を理解したうえで絵と結び付ける

第2問も音声は2回流れる形式が基本です。

しかし第1問Bとの違いは、

日本語で場面設定が与えられている

ことです。

2024年度では、

  • 交通事故に遭った猫の説明
  • 子どもの頃の写真
  • 職場の机にある物
  • レストランの座席予約

といった具体的な場面が提示されています。

2026年度では、

  • 来豪生が昔の学校について話す
  • ゴルフの練習
  • タンポポの成長

などが使われています。

ここでは音声を聞く前に、

「何の情報を聞けばよいのか」

を予測できるかどうかが大きな差になります。

例えばレストランの図なら、

  • 窓際か
  • 入口近くか
  • 人数
  • テーブルの位置

などが問われそうだと予測できます。

共通テストでは、

聞く前から問題は始まっています。


6.第3問――ここから「1回読み」が始まる

第3問から難易度が一段上がります。

2021〜2026年度を通して、原則として音声は1回です。

2021年度第3問では、卒業生との会話、荷物、メール、旅行、映画などさまざまな場面について、聞いた内容から適切な選択肢を判断させています。

2023年度でも、

  • 地下鉄の路線
  • 夕食の予定
  • 授業中の行動
  • 海外から来た学生
  • 薬局
  • ペット

などの会話が出されています。

第3問で問われるのは、単なる単語の聞き取りではありません。

典型的には、

「結局、この人は何をするのか」

です。


7.第3問では「途中の情報」に引っ掛からない

ここで非常によく起きる失敗があります。

会話の途中で、

Let’s go by train.

と言っていたので「電車」を選んだ。

ところがその後、

Actually, the train won’t be running, so let’s take the bus.

と変更される。

共通テストでは、このような

最初の案 → 問題発生 → 最終決定

という会話構造が重要です。

したがって、

聞こえた単語にすぐ飛びついてはいけません。

特に、

  • but
  • actually
  • however
  • instead
  • then
  • in that case
  • maybe
  • I think I’ll …
  • let’s …

の後は要注意です。

正解に必要なのは途中経過ではなく、

会話終了時点での結論

であることが多いからです。


8.第4問A――共通テスト最大の特徴「音声+図表」

第4問から、共通テストらしさが一気に強くなります。

2021年度第4問Aでは、

  • 生徒が学校外で過ごす時間の円グラフ
  • DVD商品の発売年と割引率

などについて、音声を聞いて図表の空欄を埋めます。

2022年度では、

  • クリスマスの出来事の順序
  • 集めた衣類の分類表

を処理します。

2023年度では仕事を選ぶ際に重視する要素のグラフと、ゲーム大会の結果表が使われています。

2024年度では出来事の順序と授業時間割、2025年度では朝食の好みの推移グラフ、2026年度では絵の順番と大学フェアの展示内容といった形式になっています。

つまり第4問Aは、

音声を聞きながら情報を図表へ変換する問題

です。


9.第4問Aでは「全部メモする」のが間違い

リスニング対策で、

「聞こえたことを全部メモしよう」

とする受験生がいます。

第4問ではむしろ逆効果です。

文章を全文メモする必要はありません。

実戦では、

  • ×
  • A
  • B
  • 1
  • 2

程度の記号で十分です。

大切なのは、

音声を文字にすることではなく、設問に必要な形へ変換すること

です。


10.第4問B――「条件整理問題」は毎年ほぼ必須

共通テストリスニングで、特に対策効果が高いのが第4問Bです。

2021年度では、ニューヨークで見るミュージカルについて、

  • 楽しさ
  • 人気
  • 平日に公演

といった複数条件から作品を選びます。

2022年度では本を選ぶ条件として、

  • 長さ
  • 出版時期
  • ノンフィクションか
  • 人物を扱っているか

などを照合します。

2023年度では生徒会長候補、2024年度では文化祭の出し物、2025年度ではサーフィンをする海、2026年度では自習場所がテーマです。

2025年度では「サーファーが少ない」「約1mの波」「海岸清掃活動がある」という3条件を4つのビーチと照合します。

2026年度でも、自習場所について複数条件を4候補に照らして選ぶ構造が維持されています。

ここは明確に、

英語+論理パズル

です。


11.第4問Bは「○×表」を作れば劇的に安定する

この形式では、頭だけで処理してはいけません。

問題冊子にも表が用意されていることが多いため、

候補ABC
×
×
×

のように処理します。

そして重要なのが、

一つ条件を満たさなかった候補は、その時点で消す

こと。

最後まで4候補すべてを覚えておく必要はありません。

第4問Bは英語力の問題に見えますが、実際には

ワーキングメモリを節約できるか

でかなり得点差がつきます。


12.第5問――講義を聞きながら「要点を構造化する」

第5問は共通テストリスニングの中でも重要度が非常に高い大問です。

2021年度では「hygge」と幸福度についての講義を聞き、ワークシートを完成させ、最後にはWork-Life Balanceのグラフと講義内容を統合します。

2022年度では「Gig Work」、つまりデジタルプラットフォームを介した働き方を扱い、

  • 定義
  • 企業側のメリット
  • 労働者側のメリット
  • 広がり

などをワークシートに整理させています。さらに別のグラフ情報と講義を統合します。

2023年度はアジアゾウ、2024年度はガラス、2025年度はregifting、2026年度は新しい魚の養殖方法など、テーマは毎年変わります。

しかし形式は非常に似ています。


13.第5問で必要なのは「専門知識」ではない

第5問を見ると、

  • 幸福
  • ギグワーク
  • アジアゾウ
  • ガラス
  • 養殖

など、高校生には詳しくないテーマも出てきます。

しかし心配する必要はありません。

共通テストは専門知識を問う試験ではありません。

むしろ必要なのは、

講義構造を聞き取ること

です。

特に、

Today I’d like to talk about …

First …

Another advantage is …

However …

For example …

As a result …

In conclusion …

といった「道しるべ」を聞きます。

内容を一語一句記憶するのではなく、

テーマ

特徴

原因

メリット・問題

具体例

結論

という構造を把握することが大切です。


14.第5問後半は「音声+新しい資料」の統合

さらに第5問では、講義を聞いた後にグラフなどが提示され、

「この資料と講義の内容を合わせると何が言えるか」

を問われます。

2023年度ではアジアゾウについての講義後、「Sri Lankaにおける人間とゾウの遭遇による死亡者数」のグラフを読み、講義内容と整合する結論を選ばせています。

2024年度ではガラスについての講義後、複数国の「ガラス容器を選ぶ理由」のグラフを読み取らせています。

2026年度でも、魚介類消費量のグラフを、講義で説明された新しい養殖方法と関連付ける設問があります。

これは重要です。

グラフだけを見ても解けない。
音声だけ覚えていても解けない。

両方を組み合わせる必要があります。


15.第6問A――2人の「主張」を聞き分ける

第6問Aでは2人の対話を聞き、

  • 誰がどんな意見なのか
  • 主張の中心は何か
  • 最終的に何を決めたのか

を判断します。

2021年度ではフランス留学について、Janeの主張とShoが決めるべき選択を問います。

2022年度では料理についてTomとJuliaの意見を判断します。

2024年度では旅行中の交通手段について、Michelleの意見と会話終了時の決定を答えます。

2025年度では食事の仕方についてKelseyの意見とDanの最終判断が問われています。

2026年度でも、フランス語授業についてDerekの意見とJessicaが最終的に選んだ授業形式を判断します。

つまり重要なのは、

「誰が」「何について」「どう思っているか」

の3点です。


16.第6問B――最難関は「複数人物の立場管理」

多くの受験生にとって最大の難所になりやすいのが第6問Bです。

2021年度では4人が紙のレシートについて意見交換し、「紙のレシートに賛成した人が何人か」を判断したうえで、一人の意見の根拠となる図表を選びます。

2022年度では4人がエコツーリズムについて議論し、賛成者の人数と、Brianの考えを裏付ける図表を選びます。

2023年度では4人が就職後に住む場所について、2024年度では4人が運動習慣について、2025年度では3人が鳥への餌やりについて、2026年度では3人が音楽の聴き方について意見を述べています。

2025年度ではHaruka、Emily、Dougの三者について、最終的に鳥へ餌を与えるべきではないと考えている人数を判断させます。

2026年度でもMartin、Tetsuya、Vickyの意見をメモし、会話終了後の立場や、その根拠となる図表を判断します。


17.第6問Bは「人物×立場」でメモする

ここでも全文メモは禁止です。

例えば、

人物最初最後根拠
A安全
B×環境
C×費用

程度で十分です。

重要なのは、

最初の意見と最後の意見が変わる可能性がある

ことです。

会話中で、

I used to think so, but now…

That’s a good point.

I hadn’t thought about that.

I agree with you.

などが出てきたら立場が変化する可能性があります。

したがって第6問Bでは、

最初に○×を決めて安心しない

ことが重要です。


18.6年間を通して変わっていない「核」

2021〜2026年度を比較すると、テーマそのものは毎年かなり変化しています。

しかし、測定される能力は驚くほど安定しています。

必要能力重要度
短文を正確に理解する★★★★★
言い換えを判断する★★★★★
絵の差を聞き分ける★★★★☆
会話の最終結論をつかむ★★★★★
数字・時間・位置を処理する★★★★☆
図表へ情報を変換する★★★★★
複数条件を整理する★★★★★
講義の構造を把握する★★★★★
複数人物の意見を区別する★★★★★
音声とグラフを統合する★★★★★

ここから重要なことが分かります。

共通テストリスニング対策は、

「英語をたくさん聞く」だけでは不十分

なのです。


19.最重要対策①――「先読み」を技術として身につける

共通テストリスニングで最も得点に直結する技能の一つが、

先読み

です。

先読みとは、単に選択肢に目を通すことではありません。

例えば、

① 5:30
② 6:00
③ 6:30
④ 7:00

なら、

「時間を聞く問題だ」

と判断します。

選択肢が、

① take the bus
② take the train
③ walk
④ drive

なら、

「最終的な移動手段を聞けばよい」

と判断します。

つまり先読みの目的は、

何を聞き取るべきか決めること

です。


20.対策②――2回読み問題では1回目と2回目の役割を分ける

第1・2問では音声が2回流れます。

にもかかわらず、

1回目も2回目も同じように聞いている

受験生が多いです。

おすすめは、

1回目

大意と正解候補をつかむ。

2回目

迷ったポイントだけ確認する。

という使い方です。

例えば、

「帽子があるかないかだけ分からなかった」

なら、2回目は帽子だけを聞きます。

最初から全文をもう一度理解しようとしないことです。


21.対策③――1回読みでは「復元しようとしない」

第3問以降は1回しか流れません。

一語聞き逃したときに、

「今なんて言った?」

と考え始めると、その後の3〜5秒も聞き逃します。

これは致命的です。

聞き取れなかった部分は、

捨てる勇気

が必要です。

リスニングでは、

聞けなかった1語を思い出す

より、

次の10語を聞く

方が圧倒的に重要です。


22.対策④――数字と比較表現を重点的に訓練する

共通テストでは数字が重要です。

  • 時刻
  • 金額
  • 割引
  • 人数
  • 割合
  • 距離

などが頻繁に登場します。

さらに、

  • more than
  • less than
  • twice
  • half
  • the most
  • the least
  • cheaper
  • earlier
  • later

などとの組み合わせが多い。

数字単体ではなく、

数字+比較関係

で聞く練習をしてください。


23.対策⑤――第4問Bだけは専用練習をする価値がある

第4問Bの条件問題は、6年間で非常に安定しています。

したがって、

過去6年の第4問Bだけ連続で解く

という練習は非常に効果的です。

やることは単純です。

  1. 条件を先に読む
  2. A・B・Cを短く日本語化
  3. 候補ごとに○×
  4. 条件を満たさない候補を即消去
  5. 最後まで残ったものを選択

この型を固定してください。


24.対策⑥――第5問は「講義ノート」を作る練習

第5問対策には、普通のディクテーションより、

要約メモ練習

が向いています。

例えば2分程度の英語を聞いたあと、

  • Topic
  • Problem
  • Cause
  • Advantage
  • Disadvantage
  • Example
  • Conclusion

だけを書き出します。

文章を再現する必要はありません。

共通テストで問われるのは、

言葉そのものより内容の構造

だからです。


25.対策⑦――シャドーイングは「答え合わせ後」に行う

リスニング対策としてシャドーイングは非常に有効です。

しかし順番が重要です。

おすすめは、

①普通に問題を解く

②スクリプトを見る

③聞けなかった原因を特定

④音声を聞きながら英文を見る

⑤音読

⑥オーバーラッピング

⑦シャドーイング

⑧最後にスクリプトなしで再度聞く

です。

いきなりシャドーイングしても、

「意味の分からない音を真似するだけ」

になりやすいからです。


26.聞き取れなかった原因を4種類に分類する

復習するときは、単に

「聞けなかった」

で終わらせてはいけません。

原因を、

①単語を知らなかった
②単語は知っているが音で分からなかった
③聞こえたが意味処理が間に合わなかった
④聞き取れたが問題処理を間違えた

の4つに分けます。

この分類は非常に重要です。

①なら語彙。

②なら音読・シャドーイング。

③なら英語を語順で理解する練習。

④なら共通テスト形式の演習。

同じ「不正解」でも処方箋がまったく違います。


27.目標点別の戦略

50〜60点を目指す場合

まず第1・2問と第3問前半を安定させましょう。

優先順位は、

短文理解 > 絵問題 > 日常会話

です。

後半の難しい講義を完璧にするより、2回流れる問題を落とさない方が得点は安定します。

基礎層では、

「難しい第6問を解けるようにする」より「前半で失点しない」

ことを優先してください。


70〜80点を目指す場合

第4問Bと第5問が重要になります。

  • ○×表
  • メモ
  • 講義構造
  • グラフ

の処理を練習します。

特に、

聞こえているのに処理が間に合わない

タイプの受験生は、この段階で大きく伸びます。


90点以上を目指す場合

90点以上では、

英語力だけでなく情報処理の自動化

が必要です。

第1〜3問に余計な脳の容量を使わず、

後半で、

  • 誰が賛成か
  • 誰が途中で考えを変えたか
  • 講義とグラフがどう関連するか

を処理できる状態が理想です。


28.過去問6年分のおすすめの使い方

6年分を一度ずつ解いて終わりにするのは非常にもったいないです。

おすすめは、

1年分を3段階で使う方法

です。

1回目――本番形式

音声回数もそのまま。

実力を測ります。


2回目――分析

不正解について、

  • 聞き取れなかったのか
  • 意味が分からなかったのか
  • メモに失敗したのか
  • 条件整理に失敗したのか

を分析します。


3回目――音声教材として使う

スクリプトがあれば、

音読
→ オーバーラッピング
→ シャドーイング
→ スクリプトなし

まで行います。


29.「大問別演習」を入れると伸びやすい

年度別に、

2021 → 2022 → 2023

と進めるだけではなく、

第4問Bだけ6年分

第5問だけ6年分

第6問Bだけ6年分

と横断して解く方法もおすすめです。

こうすると、

「この問題はまたこの処理か」

とパターンが見えるようになります。

本番ではこの「型の認識」が非常に重要です。


30.6年間を通して最も重要な結論

2021〜2026年度を通して見ると、共通テスト英語リスニングの基本設計はかなり一貫しています。

前半では2回の音声を使って短文・絵・具体的状況を正確に理解させ、後半では1回の音声から会話の結論、図表、条件、講義、複数人物の主張を処理させる構造です。

特に第4問では複数条件から候補を絞る形式、第5問では講義内容をワークシートやグラフへ変換する形式、第6問では複数人物の意見・最終判断を把握する形式が繰り返されています。2021年度第6問Bでも4人の意見を管理したうえで根拠となる図表を選ばせており、2026年度まで基本思想は変わっていません。

したがって、共通テストリスニングの勉強で目指すべきなのは、

「全部聞き取れる人」ではありません。

むしろ、

必要な情報を予測し、
必要な部分を聞き、
不要な部分を捨て、
絵・表・人物・条件に整理し、
最終的な答えを決められる人

です。

英語を聞いた瞬間から、

「これは誰の意見か」
「結局何をするのか」
「条件Aを満たしたのはどれか」
「この数字は表のどこに入るか」

と処理していく。

これができるようになると、共通テストリスニングは「聞こえるか聞こえないか」という不安定な試験ではなく、

かなり対策可能なパターン型試験

に変わります。

特に2021〜2026年度の6年間から見る限り、今後も重要になるのは、単純な音声認識より、

聞き取った情報を目的に合わせて使う力

でしょう。

そのため、今後の対策では、

語彙・音読・シャドーイングなどの純粋なリスニング力と、先読み・メモ・条件整理・図表処理という共通テスト専用技能をセットで鍛えること

が最も効果的です。

共通テスト英語リスニングで高得点を取るためのキーワードを一つだけ挙げるなら、

「聞く」ではなく「聞きながら整理する」

です。

これを意識して過去問6年分を反復すれば、単純な耳の慣れだけでは得られない、本番で再現性の高い得点力を作ることができます。

国語

共通テスト国語は、「文章を読める人なら何とかなる試験」ではありません。

2021年度から2026年度までの問題を並べてみると、むしろ一貫して要求されているのは、

文章を正確に読む力、複数の文章や資料を結び付ける力、選択肢を論理的に比較する力、限られた時間で情報を処理する力

です。

そして2025年度からの新課程では、この特徴がさらに強くなりました。

2024年度までは評論・小説・古文・漢文の4大問でしたが、2025年度以降は実用的な文章・資料を扱う問題が加わり、5大問構成になっています。単に文章量が増えたというより、「文章だけを読む国語」から「複数種類の情報を読み、目的に応じて整理する国語」へと一段階進んだと考えるべきでしょう。

今回は、アップロードいただいた2021〜2026年度の共通テスト国語6年分を分析し、現代文・実用文・古文・漢文それぞれについて、出題傾向と具体的な対策をまとめます。


1.まず押さえたい、共通テスト国語の大きな変化

2021〜2024年度の共通テスト国語は、基本的に

第1問 評論
第2問 小説
第3問 古文
第4問 漢文

という構成でした。

2024年度の問題冊子には200点・80分と明記され、問題は4題で、第1・第2問が近代以降の文章、第3・第4問が古典という構成になっています。

これに対して2025年度からは、

評論+小説+実用的文章・資料+古文+漢文

の5題構成になりました。

2025年度第3問では、「外来語に関する意識の調査」の複数グラフと、「インフォームドコンセント」の言い換え提案に関する資料を組み合わせて読ませています。つまり、普通の評論や小説とは異なる資料読解型の大問が独立して出題されました。

2026年度でもこの形式は継続しています。ただし題材は大きく変わり、絵本制作についての文章、編集者へのインタビュー、実際の絵本の一部、さらにイワシの回遊に関する解説・図などを組み合わせて考えさせる問題になりました。

ここから分かるのは、新課程の第3問は単純な「グラフ問題」ではないということです。

本質は、

複数の資料を読んで、目的に必要な情報を選び、関係付ける力

にあります。


2.共通テスト国語は「本文を読めば終わり」の試験ではない

6年間を通して見ると、共通テスト国語の最大の特徴は、

本文以外の情報が非常に重要

という点です。

たとえば2021年度第1問では、「食べること」をテーマとして、宮沢賢治『よだかの星』を参照した評論と、食べられる豚肉の側から考察した別文章を組み合わせて読ませています。文章Ⅰでは、人間と動物、「食べること」「生きること」の問題が論じられています。

そして設問では、単独の文章理解だけでなく、二つの文章の共通性を判断させています。たとえば「二つとも似ているところ」を問う設問では、それぞれの文章の視点を比較しなければ正解できません。

これは共通テスト全体を象徴する形式です。

必要なのは、

「この文章は何を言っているか」

だけではなく、

「文章Aと文章Bはどこが同じで、どこが違うのか」

まで整理する能力です。


3.評論――難しい言葉より「論理関係」を読む

評論文を見ると、テーマ自体はかなり幅広くなっています。

2023年度第1問ではル・コルビュジエの建築・デザインを題材とした文章、2024年度では芸術・複製・オリジナルなどに関する議論、2025年度では観光をめぐる議論、2026年度では作品・素材・身体・コミュニケーションに関する論考が扱われています。

つまり、

テーマを予想して知識を入れておく方法はほとんど通用しません。

哲学、美術、建築、社会、観光、文化論など、題材は毎年変化します。

それでも問題を解く方法はかなり共通しています。

評論で読むべきなのは、知識ではなく、

対比・因果・具体例・言い換え・結論

です。

例えば、

「AではなくB」
「確かにA。しかしB」
「つまり」
「このように」
「なぜなら」
「一方で」

といった論理関係を追います。

共通テストの評論では、難解な一文を完璧に理解できなくても、

筆者がAを否定してBを主張している

という骨格が取れていれば解ける問題が非常に多いのです。


4.評論で重要なのは「傍線部の前後だけ」で解かないこと

センター試験時代からよくある失敗ですが、

傍線部の直前・直後だけ読んで答える

という方法は、共通テストではかなり危険です。

2021年度第1問の「われわれすべてが共有するものではないか」という箇所についても、正解するためには、よだかの惨めさ、無意識に他者の生命を奪っていることへの気付き、その際の違和感という一連の流れを押さえる必要があります。選択肢も、「存在理由」「弱肉強食」「自己変革」「罪深さ」など本文中の要素を少しずつ組み替えて作られています。

共通テストの誤答選択肢は、

「全部間違っている」のではなく、「大部分は合っているが、一箇所だけずれている」

ことが多いのです。

したがって、

「なんとなく本文と似ている」

ではなく、

選択肢を意味のパーツに分解して照合する

必要があります。


5.選択肢問題の鉄則――「一番それっぽいもの」を選ばない

現代文が苦手な受験生の多くは、

「①も③も正しそうだから、感覚で③」

という解き方をしています。

これは非常に危険です。

おすすめは選択肢を、

原因/対象/行為/結果

のように分解することです。

例えば、

Aという状況に置かれたため、Bに気付き、Cという感情を抱いた。

という選択肢なら、

「Aは本文と一致するか」
「Bは本当に気付いているか」
「Cは感情として適切か」

を一つずつ確認します。

4項目のうち3項目が正しくても、一つ違えば不正解です。

共通テスト現代文で80〜90%を取る受験生は、文章を「感覚的に深く読める」というより、

選択肢の誤りを細かく発見できる

ケースが多いです。


6.小説――「気持ち」を想像してはいけない

第2問の小説でも、共通テスト独特の難しさがあります。

2023年度では梅崎春生の文章が出題され、登場人物の会話や行動を追いながら心理を判断させています。

2024年度でも人物同士の関係や会話、過去の記憶などを追う長めの小説が使われています。

2025・2026年度でも同様に、人物の心理変化、発言の意味、回想と現在との関係が中心になります。

ここで最も避けたいのが、

「自分ならこう思う」

という読み方です。

小説問題で問われているのは、受験生の共感力ではありません。

例えば人物が怒っているように見えても、

  • 本当に怒っているのか
  • 不安なのか
  • 照れを隠しているのか
  • 相手を気遣っているのか

は、本文の描写から決めなければなりません。


7.小説では「心理」ではなく「心理の根拠」を探す

小説を読むときは、

出来事 → 人物の認識 → 感情 → 行動

の流れを追ってください。

例えば、

ある言葉を聞く

過去の出来事を思い出す

相手に対する見方が変わる

行動が変化する

という構造です。

「悲しい」「うれしい」だけでは不十分です。

むしろ、

なぜその感情になったのか

を説明できることの方が重要です。

選択肢も、

「悲しくなった」

だけではなく、

「○○だと思っていたが、△△に気付いたため、□□と感じた」

のような形になっています。

したがって、人物の心理を一語でメモするより、

心理変化のきっかけ

に線を引く方が効果的です。


8.2025年度から最重要になった第3問「実用的文章」

新課程共通テスト国語の最大の変更点が第3問です。

2025年度では「外来語」に関する問題が出題されました。

問題中には、

  • 外来語の言い換えについての調査結果
  • 年代別の意識
  • 「インフォームドコンセント」の言い換え提案
  • 意味説明
  • 手引き

など、性格の違う複数資料があります。

つまり、

文章を上から順番に読んで理解するだけではない

のです。

「設問で何を求められているか」を確認してから、必要な資料へ移動する読み方が必要です。


9.2026年度第3問で分かったこと――毎年同じ資料形式ではない

2025年度だけを見て、

「第3問=グラフ・統計対策」

と考えてはいけません。

2026年度では、絵本を題材として、

  • 本を作ることについての本文
  • 科学的な絵本の編集者へのインタビュー
  • 実際の絵本の文章
  • イワシの回遊モデル
  • イワシの生態についての説明

などを読ませています。

これは非常に重要な変化です。

第3問の本質は「統計問題」ではなく、

資料統合問題

です。

したがって今後も、

パンフレット+グラフ
メール+資料
文章+図
インタビュー+メモ
説明文+写真

など、形式は自由に変えられる可能性があります。

対策すべきなのは「グラフの読み方」だけではなく、

異なる形式の情報を関連付ける能力

です。


10.新課程第3問の攻略法は「先に設問を見る」

通常の評論では本文から読む方法も十分有効ですが、第3問は設問先読みのメリットがかなり大きいです。

なぜなら資料が多いからです。

最初から資料1〜4を全部精読すると、

「この数字は重要かな」
「この説明は覚えるべきかな」

と判断できず、時間がかかります。

それより、

問1は資料ⅠとⅡの関係
問2はグラフの読み取り
問3は資料ⅡとⅢの比較

と把握してから必要箇所を探した方が速い。

英語リーディングに近い処理とも言えます。

ただし、数字だけを拾って答えるのではありません。

グラフの、

  • 母集団
  • 年代
  • 単位
  • 比較対象
  • 「分からない」を含むか

なども確認してください。


11.2025年度以降は「時間管理」がさらに重要

第3問が追加されたということは、その分だけ処理対象が増えています。

したがって、新課程の国語では

一問にこだわり過ぎないこと

が以前より重要です。

おすすめの目安としては、

分野時間の目安
評論20〜22分
小説20〜22分
実用的文章12〜15分
古文16〜18分
漢文13〜15分

程度から自分に合う配分を作るとよいでしょう。

重要なのは「この配分が正解」ということではありません。

過去問演習によって、

自分が何分使うと最後まで到達できるのかを固定する

ことです。

古文が得意なら先に古文・漢文を処理するのも構いません。

国語では大問を解く順番に決まりはありません。


12.古文――結局、一番大事なのは基礎知識

共通テスト古文を見ると、

「複数文章になった」
「人物関係図が出た」
「会話形式の設問が出た」

など形式面に目が向きがちです。

実際、2025年度第4問では複数文章と人物関係を合わせて読む構成になっています。

2026年度第4問でも本文だけでなく人物関係図が付され、複数人物の関係を整理しながら読む必要があります。

しかし、古文攻略の根本は変わっていません。

必要なのは、

古文単語・助動詞・敬語・主語判定

です。

資料問題だからといって、古典文法を捨てて資料読解だけ練習しても点数は伸びません。


13.古文は「誰が誰に何をしたか」を追う

共通テスト古文では人物が複数登場し、

「誰の発言か」
「誰に対する敬語か」
「誰が行動したのか」

が分からなくなった瞬間に崩れます。

したがって本文を読みながら、

A→B
帝→中納言
女君←男

程度の簡単な人物関係を書いて構いません。

特に、

「給ふ」
「侍り」
「奉る」
「参る」
「聞こゆ」

などは、単に敬語の種類を暗記するのではなく、

敬意の方向

を判断します。

これはそのまま主語判定に使えます。


14.古文単語は「現代語と意味が違う語」を最優先

古文単語対策では、500語・600語と増やす前に、

現代語と意味がずれる基本語

を固めてください。

「いみじ」
「をかし」
「あはれ」
「ゆかし」
「ありがたし」
「めでたし」
「つれなし」
「おどろく」

などです。

本文中に出る語のすべてを知っている必要はありません。

むしろ、頻出基本語で意味を取り違える方が致命的です。


15.和歌は「現代語訳」だけでは足りない

古文では和歌が文章中に出てくることがあります。

和歌問題では、

「何と言っているか」

だけではなく、

なぜここでこの歌を詠んだのか

を考えます。

前後の状況、贈答関係、人物の感情が重要です。

特に、

  • 掛詞
  • 縁語
  • 比喩
  • 季節
  • 贈答歌

などの基本知識は必要ですが、最終的には文脈です。

和歌単独で意味を考えず、

誰が・誰に・どんな状況で詠んだか

を確認してください。


16.漢文――共通テストでも「句法」が最強の武器

漢文は、国語の中で最も対策効果が出やすい分野です。

2021年度では複数の漢文資料を関連付け、本文Ⅰと本文Ⅱを踏まえて空欄を判断する問題が出ています。また、返り点・書き下し文を問う基本的な問題も出題されています。

2025年度でも複数の漢文を読み比べる構成になっており、内容理解と語句・句法の両方が必要です。

2026年度では漢詩を含む文章が出題されています。

形式は変化しても、

再読文字・使役・受身・否定・反語・比較・限定

などの句法が分かれば読みやすさは大きく変わります。


17.漢文は「全部訳そう」としない

漢文が苦手な受験生は、

一字一字すべて日本語にしようとして止まります。

しかし重要なのは文の骨格です。

例えば、

A使B為C

なら、

AがBにCをさせる

という構造が取れればよい。

語彙が一つ分からなくても、

  • 誰が主体か
  • 肯定か否定か
  • 原因か結果か
  • 疑問か反語か

が分かれば選択肢をかなり絞れます。


18.2021〜2026年度から見える「共通テスト国語の頻出能力」

6年間をまとめると、重要度はおおよそ次のように整理できます。

能力重要度
本文の根拠を正確に探す★★★★★
選択肢の微妙な誤りを見抜く★★★★★
複数文章を比較する★★★★★
図表・資料を統合する★★★★★
評論の対比・因果を把握する★★★★★
小説の心理変化を追う★★★★☆
古文の主語を判断する★★★★★
古文単語・文法★★★★★
漢文句法★★★★★
背景知識★★☆☆☆

ここから、かなり重要な結論が得られます。

共通テスト国語は、

知識不要の読解試験ではありません。

現代文は読解処理中心ですが、古文・漢文では語彙・文法・句法という明確な知識が必要です。

一方で、

知識だけ覚えても高得点にはなりません。

その知識を使って、複数資料や長い選択肢を処理する能力が必要です。


19.現代文対策①「根拠に線を引く」

過去問演習では、正解したかどうかだけを見るのをやめてください。

各問題について、

「正解の根拠は本文のどこか」

を必ず確認します。

さらに、

なぜ①ではなく③なのか

まで説明できるようにします。

最も効果的なのは、

正解の根拠と、不正解の理由を両方確認すること

です。

「③が正解だから」で終わらせず、

①=言い過ぎ
②=因果逆転
④=本文にない

のように分類すると、選択肢を見る力が急速に上がります。


20.現代文対策②「言い過ぎ」を見抜く

共通テストで非常に多い誤答パターンが、

本文より強く言っている

ものです。

本文:

~の場合がある。

選択肢:

必ず~である。

本文:

~という側面もある。

選択肢:

~だけが重要である。

本文:

~する可能性がある。

選択肢:

~することが証明された。

この違いを見抜けるだけでかなり正答率が上がります。

特に、

「すべて」「必ず」「完全に」「唯一」「のみ」

などが入った選択肢は、本文にそこまで書かれているか慎重に確認してください。


21.実用文対策――普段から「資料を読む」

新課程第3問対策として有効なのは、国語問題集だけではありません。

新聞・自治体資料・アンケート・パンフレットなどを見たときに、

このグラフから直接言えるのは何か
この説明文とグラフはどう関係するか

と考える練習が役立ちます。

ポイントは、

自分の知識を加えないこと。

例えばグラフ上で高齢者の数値が高くても、

「高齢者だから○○を重視している」

と勝手に因果関係を作ってはいけません。

資料から分かるのは、

高いという事実

までかもしれません。

共通テストでは、この「事実と推測の区別」が非常に重要です。


22.古文対策――順番は「単語→文法→読解」

古文が苦手な受験生ほど、いきなり共通テスト過去問を大量に解こうとします。

しかし、

「なむ」が何なのか分からない
「給ふ」の敬意方向が分からない
「む」の意味が毎回勘

という状態では、読解演習の効率が悪いです。

まず、

古文単語300語前後+助動詞+敬語

を固める。

その後、

短文で主語判定

を練習し、最後に共通テスト形式へ進む方が効率的です。


23.漢文対策――句法を先に完成させる

漢文も同じです。

過去問を何十題も解くより、

再読文字
否定
疑問・反語
使役
受身
比較
限定
抑揚

などの頻出句法を一通り覚える方が先です。

句法が固まったら、過去問では、

誰が何を主張しているのか

を中心に読みます。

複数資料が出ても、それぞれの主張を

文Ⅰ=A
文Ⅱ=Aを補足
詩=Aを具体化

のように整理するとかなり解きやすくなります。


24.過去問の最も効果的な復習方法

共通テスト国語の過去問は、一度解いて点数を出して終わりでは非常にもったいない教材です。

一年度につき、

①本番時間で解く → ②時間無制限で根拠を確認 → ③数日後にもう一度解く

という3段階をおすすめします。

復習時には間違いを、

知識不足/本文の読み違い/選択肢比較ミス/時間不足

に分類してください。

例えば古文を落としても、

単語を知らなかったのか、
主語を間違えたのか、
選択肢を最後まで比較できなかったのか、

では対策がまったく違います。


25.目標点別の勉強法

60%前後を目指すなら、まず古文単語・文法・漢文句法など努力で安定させやすい知識分野を固めることが重要です。現代文では漢字や語句問題を落とさず、難問に時間を使い過ぎないようにします。

70〜80%を目指すなら、現代文の選択肢分析が中心になります。「なぜ正解か」だけでなく、「残り3つのどこが違うか」を説明できるところまで復習してください。さらに新課程第3問の資料統合を安定させる必要があります。

90%前後を目指す場合は、特別に難しい知識を増やすよりも、取りこぼしを減らすことが重要です。評論・小説では選択肢を根拠ベースで処理し、古文・漢文では知識問題をほぼ落とさない状態を作ります。そして最大の敵は時間不足です。


26.2025・2026年度から考える今後の方向性

新課程2年分を見る限り、今後の共通テスト国語は、

単純な文章量勝負になるというより、「情報の種類」が増える方向

と考えるのが自然です。

2025年度は外来語に関する統計資料・説明資料、2026年度は絵本、インタビュー、図、科学的解説という全く違う素材でした。

したがって、

「2025年型のグラフ問題を練習すればよい」

という発想では不十分です。

どんな形式でも、

目的を確認する
→ 必要情報を探す
→ 情報同士を結ぶ
→ 選択肢と照合する

という手順を使えるようにする必要があります。


27.結論――共通テスト国語は「読解力」より「根拠処理力」で差がつく

2021〜2026年度の問題を見渡してみると、共通テスト国語の本質はかなり明確です。

2021年度の時点ですでに、現代文で二つの文章を比較して共通点を判断させる問題が存在していました。

その後も、本文+別文章、本文+生徒のノート、複数資料といった形式が繰り返され、2025年度からはついに「実用的文章・資料」が独立した大問になりました。

古文でも単独本文だけでなく人物関係や複数文章を扱い、漢文でも複数資料・漢詩などを関連付ける問題が出ています。

つまり共通テストが一貫して求めているのは、

「文章を読んで感想を持つ力」ではありません。

必要なのは、

本文のどこに根拠があるかを特定し、その情報を別の文章・資料・選択肢と正確に照合する能力

です。

そのため、国語対策で最も避けたいのが、

「国語はセンスだから、とにかくたくさん問題を解く」

という勉強法です。

評論なら論理構造。

小説なら心理変化とその根拠。

実用文なら資料統合。

古文なら単語・文法・敬語・主語。

漢文なら句法と論旨。

それぞれ必要な能力を分解して鍛えるべきです。

そして過去問を解くときには、点数だけでなく、

「なぜ間違えたのか」

を徹底的に分析してください。

共通テスト国語で安定して高得点を取れる受験生とは、「なんとなく国語が得意な人」ではありません。

どの問題でも本文に戻り、根拠を探し、誤答との差を説明できる人です。

2025・2026年度の新課程問題を見る限り、この力の重要性は今後さらに高まるでしょう。

共通テスト国語対策の中心に置くべき言葉を一つ挙げるなら、

「感覚ではなく、根拠」

です。

この意識で6年分の過去問をやり直せば、評論・小説だけでなく、新しい第3問、古文、漢文まで含めて、得点の再現性はかなり高くなります。

数学ⅠA

共通テスト数学ⅠAは、「公式を覚えていれば解ける試験」ではありません。

2021年度から2026年度までの過去問を並べてみると、共通して問われているのは、

数学の基本知識を使って、長い問題文や会話、図表、実生活の設定を数学的に整理する力

です。

計算そのものは、難関大学の二次試験ほど重くありません。しかし、

  • 問題文が長い
  • 条件が途中で追加される
  • 太郎さん・花子さんの会話を読み取る
  • グラフや表から必要な情報を選ぶ
  • 前問の結果を次の問いで利用する
  • 「なぜその式になるのか」を理解しないと誘導に乗れない

といった特徴があります。

つまり共通テスト数学ⅠAは、

知識 × 読解力 × 情報処理力 × 計算力 × 時間管理

の総合試験です。

今回は、アップロードいただいた2021〜2026年度の共通テスト数学ⅠA・6年分をもとに、どのような問題が繰り返されているのか、新課程で何が変化したのか、そして具体的にどのような勉強をすればよいのかを詳しく分析していきます。


1.まず知っておきたい「旧課程」と「新課程」の違い

2021〜2024年度と、2025年度以降では問題構成が変わっています。

2021〜2024年度は、

第1問・第2問が必答、
第3問〜第5問から2問選択

という形式でした。

2022年度の問題冊子でも、第1問・第2問が必答で、第3〜5問から2問を選ぶ構成になっています。

選択問題は概ね、

  • 場合の数と確率
  • 整数の性質
  • 図形の性質

に対応していました。

例えば2022年度第3問ではプレゼント交換を題材にした場合の数・確率、第4問では不定方程式など整数、第5問では三角形と比を扱う図形が出題されています。

一方、2025年度以降は新課程対応となり、4大問すべて必答になりました。

2025年度では、第3問が空間図形、第4問が確率・期待値を扱う問題になっています。

2026年度でも、第3問で図形、第4問でリーグ戦を題材とした確率が出題されています。

したがって、現在の受験生にとって最も重要なのは、

「苦手な分野を選択で捨てる」という発想が通用しにくくなった

という点です。

全範囲を一定水準まで仕上げる必要があります。


2.6年間を通して変わらない最大の特徴は「誘導型」

共通テスト数学ⅠAで最も特徴的なのは、

一つの問題を小問に分けて、考え方そのものを誘導していく形式

です。

例えば、

①まず簡単な場合を計算する

②そこから規則を見つける

③一般の場合を考える

④別の条件に応用する

という構造です。

つまり、最初から難しい公式を思いつく必要はありません。

むしろ重要なのは、

問題作成者が用意した流れを読み取ること

です。

この意味で、共通テストは「自力でゼロから解法を発明する試験」ではありません。

一方で、誘導の意味が理解できないと、途中から急激に解けなくなります。


3.数学Ⅰの「数と式」は単純計算だけでは終わらない

数と式の問題では、

  • 展開・因数分解
  • 絶対値
  • 根号
  • 不等式
  • 必要条件・十分条件
  • 集合

などが中心となります。

こうした問題を見ると分かるのは、

基礎公式を知っているだけでは不十分

ということです。

例えば因数分解そのものは簡単でも、

「この式を何のために変形しているのか」

を理解しなければ、その先の設問で詰まります。


4.「必要条件・十分条件」は軽視できない

共通テストでは論理分野が単独で大問になることは少なくても、他分野に組み込まれることがあります。

2022年度第2問では、二次関数・二次不等式と集合を組み合わせ、

x\in Ax\in B であるための必要条件か十分条件か」

を判断させています。

このタイプは、

「必要条件・十分条件の定義だけ暗記」

では安定しません。

おすすめは、

AならばB

を見たら必ず

A ⊂ B

あるいは

A ⇒ B

と置き換えることです。

言葉のまま処理すると、

「どっちが必要だっけ?」

と混乱しやすくなります。


5.図形と計量――毎年のように「現実の状況」が登場する

共通テストの三角比では、単純に

\sin A,\cos A,\tan A

を求めるだけではありません。

2022年度ではキャンプ場から山頂を見上げる角度をテーマにし、地図の縦横の縮尺が違うことを考慮して実際の角度を計算させています。

2024年度では、坂道に立つ電柱とその影から電柱の高さを求める設定が出ています。問題中には道路標識の7%勾配、太陽高度、影の長さなどが登場します。

このような問題では、

文章の内容を図に翻訳する力

が重要です。

三角比の公式を覚えていても、

「どの角が求めたい角か」
「どの長さが水平距離か」
「どこが直角か」

を整理できなければ式が立ちません。


6.三角比対策では「自分で図を書く」

文章題で苦戦する受験生ほど、問題冊子の図を眺めるだけで解こうとします。

おすすめは、

自分で簡略化した図を書くこと

です。

例えば電柱なら、

  • 地面
  • 電柱
  • 太陽光

だけを書きます。

元の図に大量の情報があっても、数学的に必要なのは三角形一つという場合がよくあります。

共通テストでは、

複雑な状況を単純な数学モデルに変換する能力

が非常に重要です。


7.2025・2026年度でも図形分野は重要

新課程になっても図形の重要度は下がっていません。

2025年度第1問では、二つの円が直線に接する図形について、正弦定理や外接円半径を利用して辺の長さなどを求めています。

また第3問では、三角形や四角形からなる立体を扱い、平面の交線や相似、辺の長さ、位置関係を判断させています。

2026年度第1問でも四角形や三角形の面積、正弦などを利用する問題があり、第3問では正三角形を基礎にした立体図形を扱っています。

したがって、

平面図形だけでなく、空間図形を図として捉える練習

も必要です。


8.二次関数――「式を作る力」が最重要

二次関数は共通テスト数学ⅠAの中心分野の一つです。

2023年度では、バスケットボールのシュート軌道を放物線としてモデル化する問題が出題されています。

座標上でボールの軌道を

y=ax^2+bx+c

と置き、複数の条件から放物線を決定し、シュートがリングに入るかを考察します。

2025年度では公園の噴水の軌道を放物線として表し、頂点や高さを求める問題が出ています。

2026年度では、最大値・最小値に関する条件から二次関数そのものを決定する問題が出ています。

ここで共通するのは、

最初から二次関数の式が全部与えられるとは限らない

ということです。


9.二次関数で必要な3つの型

最低限、次の3形式を自在に使えるようにしてください。

一般形

y=ax^2+bx+c

頂点形式

y=a(x-p)^2+q

因数分解形

y=a(x-\α)(x-\β)

問題によって使いやすい形が違います。

例えば、

「頂点が分かっている」

なら頂点形式。

「x軸との交点が分かっている」

なら因数分解形。

「3点を通る」

なら一般形。

これを瞬時に選べるようになるだけで、かなり時間を短縮できます。


10.最大・最小では「定義域」が勝負

共通テストの二次関数では、

単純に頂点を求めるだけでは終わりません。

2026年度では、

「0≤x≤aにおける最大値・最小値」

のように、定義域そのものが条件に含まれています。

このタイプでは、

軸が定義域の中にあるか

を必ず確認します。

二次関数が苦手な受験生は、

頂点=最小値

と機械的に処理しがちです。

しかし頂点が定義域の外なら、最小値は端点で取ります。

共通テストでは、この基本事項を文章条件の中に隠して問うのが特徴です。


11.データの分析――6年間で最重要分野の一つ

数学ⅠAで最も安定して出題されている分野の一つが、

データの分析

です。

2023年度では、地域ごとの家計調査を用いて、

  • ヒストグラム
  • 箱ひげ図
  • 中央値
  • 四分位数
  • 分散
  • 共分散
  • 相関係数

を扱っています。

2024年度では長距離競技の記録を題材に、ヒストグラムや箱ひげ図、標準化した値、散布図、相関を読ませています。

2025年度では外国人宿泊者数と日本人宿泊者数の関係を散布図で分析し、外れ値、四分位範囲、分散、相関などを考えさせています。

2026年度では競泳選手のタイムについて、

  • 散布図
  • 平均
  • 標準偏差
  • 共分散
  • 相関係数
  • 外れ値
  • 箱ひげ図

などを扱っています。

これは明確な頻出分野です。


12.データの分析は「計算」より「意味理解」

データの分析で一番危険なのが、

公式だけ覚えている状態です。

例えば相関係数について、

r=sx​/sy​sxy​​

を覚えていても、

  • 正なら右上がり
  • 負なら右下がり
  • 0に近ければ線形関係が弱い
  • 外れ値の影響を受ける

といった意味を理解していなければ、共通テストでは解けません。

箱ひげ図も同様です。

「箱の左端が第1四分位数」

という知識だけではなく、

「少なくとも何%がこの範囲に入るか」

を判断できる必要があります。


13.箱ひげ図では「分かること」と「分からないこと」を区別する

共通テストでは、

図から断定できないことを見抜く

問題がよく出ます。

例えば箱ひげ図から、

  • 最小値
  • 最大値
  • 中央値
  • 第1・第3四分位数

は分かります。

しかし、

平均値は基本的に分かりません。

また、

「この範囲に何人いるか」

についても、人数まで厳密に特定できない場合があります。

2024年度でもヒストグラムと箱ひげ図を比較しながら、どこまで情報を読み取れるかを判断させています。

この「断定可能性」は頻出テーマです。


14.散布図は「見た目だけ」で判断しない

散布図では、

右上がりだから相関が強い、

と即断するのは危険です。

2024年度ではマラソン・10000m・5000mの記録の散布図を比較しています。

2025年度では外国人宿泊者数と日本人宿泊者数の散布図について、外れ値を除く場合まで考えています。

つまり、

外れ値を含むかどうかで相関が変わる

ことまで意識しなければなりません。


15.共通テスト数学の象徴「太郎さん・花子さん」

6年間の問題を見ていると頻繁に登場するのが、

太郎さんと花子さんの会話

です。

2022年度では二次方程式について、

「解の個数はどうなるのか」

を二人が議論しています。

2024年度でも√13の小数部分をどう調べるかについて会話があります。

2025年度では二つの噴水の高さを比較する際に、グラフの頂点をどう考えるかを話しています。

この会話文を「読み物」として流してはいけません。

会話にはたいてい、

次に使う解法のヒント

が書かれています。


16.会話問題では「発言の役割」を読む

例えば、

「じゃあ、まず○○を求めればよさそうだね」

と書いてあれば、

その直後の問題では○○を使う可能性が高い。

「でも、それだけでは十分じゃないね」

とあれば、

それまでの条件に追加チェックが必要です。

つまり、会話は単なる演出ではなく、

誘導そのもの

です。

数学が苦手な受験生ほど、

「文章が長いから飛ばす」

ということをしてしまいます。

しかし共通テストではむしろ逆で、

会話を読めば解法が書いてある

ことがあります。


17.旧課程の確率――場合分けと補集合が中心

2022年度第3問では、プレゼント交換が何回目で終了するかを考える問題が出ています。

自分のプレゼントを受け取る人数によって場合分けし、全体から「終了しないケース」を数えるという構想が示されています。

2024年度第3問では、箱からA・B・C・Dのカードを繰り返し引き、「初めて全部そろうのが何回目か」を求めています。

こうした問題では、

正面から数えるより、反対側を数える

発想がよく使われます。

つまり補集合です。


18.2025年度の確率は「期待値」まで重視

2025年度第4問はゲームを題材にしています。

1〜3回目に当たる確率が設定され、賞品1200円に対して参加者の支払額をどう決めるかを考察します。

ここでは、

  • 当たる確率
  • 外れる確率
  • 確率変数
  • 期待値
  • 主催者側の期待利益

といった考え方が使われます。

これは新課程の特徴として非常に重要です。

確率を単なる

\frac{\text{場合の数}}{\text{全体}}

で終わらせず、

現実の意思決定に利用する

形式です。


19.2026年度第4問も「設定理解」が最優先

2026年度第4問では、A・B・C・Dがリーグ戦を行い、勝敗によって優勝者を決める設定です。

3人リーグ、4人リーグの場合について、

  • 全勝
  • 2勝1敗
  • 1勝1敗
  • 抽選

などを整理して優勝確率を求めます。

この問題も計算力というより、

大会ルールを正確に読み取れるか

が最大のポイントです。

共通テストの確率では、

「何を1ケースと数えるのか」

が理解できれば半分解けたようなものです。


20.旧課程「整数の性質」は現在も無意味ではない

2021〜2024年度では整数問題を選択できました。

2022年度では、

  • 不定方程式
  • 余り
  • 互いに素
  • 整数解

を組み合わせた問題が出ています。

2024年度第4問では、3進数・4進数・6進数表示をするタイマーがテーマになっています。

現在の新課程では旧課程と出題構成は変わっていますが、

余り・進数・整数的思考は、問題解決力を鍛える教材として非常に優秀

です。

ただし現在の受験生が過去問を利用する際は、

「2021〜2024年度の選択問題を全部、本番と同じ重要度でやる」

必要はありません。

新課程範囲との対応を確認しながら使うのが効率的です。


21.図形の性質――暗記だけでは解けない

図形問題では、

  • 円周角
  • 接弦定理
  • 方べきの定理
  • チェバ・メネラウス的な比
  • 重心
  • 相似
  • 外接円
  • 内接円

などが重要です。

しかし共通テストでは、

「この定理を使いなさい」

とは書かれていません。

例えば2022年度第5問では、三角形の重心と複数の交点を使いながら辺の比を求めます。

2024年度第5問では星形の図形に複数の円や線分を加え、辺の比・円の位置関係を考えています。

必要なのは、

図を見た瞬間に候補となる定理を複数思い出せる状態

です。


22.図形問題は「何が同じか」を探す

共通テストの図形で非常に重要な視点が、

共通するものを見つけること

です。

例えば、

  • 共通角
  • 円周角
  • 同じ弧を見る角
  • 共通する高さ
  • 同じ底辺
  • 相似
  • 同一円周上

などです。

図が複雑でも、

「この2つの三角形に共通点はないか」

と考えると、解法が見えやすくなります。


23.新課程では「全問を一定レベルまで解ける力」が必要

旧課程では選択問題があったため、

「整数を捨てて確率と図形」

のような戦略が可能でした。

しかし2025・2026年度では、4大問すべてが本番の得点源になります。

2025年度では、

第1問:数と式+図形と計量
第2問:二次関数+データの分析
第3問:図形の性質
第4問:場合の数・確率

という形がはっきり見えます。

2026年度でも、

第1問:集合・図形と計量
第2問:二次関数・データ
第3問:図形
第4問:確率

という構成です。

したがって今後は、

得意分野で稼いで苦手分野を捨てる戦略より、穴を作らない戦略

が重要です。


24.共通テスト数学ⅠAで必要な能力を整理すると

6年間を分析すると、重要度は次のようになります。

能力重要度
基本公式・定理の理解★★★★★
長い条件文を整理する力★★★★★
誘導に乗る力★★★★★
図・グラフを読む力★★★★★
データ分析★★★★★
二次関数★★★★★
三角比・図形★★★★★
場合分け・確率★★★★★
計算速度★★★★☆
難しい発想力★★★☆☆

ここが重要です。

共通テストで60点前後の受験生が、

難問集を大量に解く

必要性はそれほど高くありません。

まず必要なのは、

教科書レベルを高速かつ正確に使えること

です。


25.対策①「公式暗記」から「公式を使う条件」へ

例えば二次関数の頂点公式を覚えるだけでなく、

いつ平方完成するのか

を理解する。

正弦定理を覚えるだけでなく、

辺とその対角が分かっているときに使いやすい

と理解する。

余弦定理なら、

2辺と間の角
3辺から角

という使いどころを覚えます。

共通テストでは、

公式名を答える問題ではなく、状況から公式を選ぶ問題

だからです。


26.対策②問題文を全部同じ濃さで読まない

共通テスト数学の文章は長いですが、全部が同じ重要度ではありません。

注目するのは、

  • 数値
  • 条件
  • 「ただし」
  • 「このとき」
  • 「一方」
  • 「したがって」
  • 「これを用いると」

です。

特に、

「これを用いると」

の後は、前問の結果を利用する合図です。

最初から別解を考え直すより、与えられた誘導を利用した方が速いことが多いです。


27.対策③計算途中をきれいに書く

共通テストは時間との勝負なので、

「途中式を書かない方が速い」

と思う受験生もいます。

しかし実際には、

必要な途中式だけ書いた方が速い

です。

特に、

  • 符号
  • 分数
  • 場合分け
  • 二次関数の軸
  • 確率の分母
  • 平均・標準偏差

は書いた方がミスが減ります。

問題冊子の余白を、

考えを外部保存する場所

として使ってください。


28.対策④データ分析は毎週触れる

データの分析は、一度覚えて放置すると忘れやすい分野です。

おすすめは週1回、

  • 箱ひげ図
  • ヒストグラム
  • 散布図
  • 分散
  • 標準偏差
  • 共分散
  • 相関係数

のうち1〜2テーマを短時間復習することです。

特に、

公式を見ずに意味を説明できるか

を確認してください。

例えば、

標準偏差が大きいとはどういうことか

に対して、

「データが平均から散らばっている」

と即答できる状態が理想です。


29.対策⑤「会話文だけ」を読む練習も有効

過去問復習時に、

太郎さん・花子さんの会話だけを読み、

この発言は何を示唆しているのか

を考える練習もおすすめです。

例えば、

「それだけで本当に十分かな?」

なら、

必要条件と十分条件の確認

別ケースの存在

を疑います。

共通テストでは、会話の中に解法設計が埋め込まれています。


30.目標50〜60点の場合

50〜60点を目標にするなら、

難しい後半問題に固執する必要はありません。

優先するのは、

各大問の前半を確実に取ること

です。

  • 数と式の基本計算
  • 二次関数の頂点・最大最小
  • 三角比
  • 箱ひげ図
  • 基本確率

を固めます。

大問後半で3分以上止まったら、次へ進む練習も必要です。


31.70〜80点を目指す場合

70〜80点を狙うなら、

「公式は知っている」

だけでは足りません。

必要なのは、

初見設定への対応力

です。

過去問演習では、

なぜこの式を立てたのか

を説明してください。

解説を読んで理解したあと、

問題を閉じて、

解法の流れだけ再現する

練習が効果的です。


32.90点以上を目指す場合

90点以上では、

難問を解けること以上に、

簡単な問題を落とさないこと

が重要です。

共通テストは途中の空欄一つを間違えると、その結果を使う後続問題まで崩れることがあります。

したがって、

  • 符号
  • マーク位置
  • 四捨五入
  • 条件の読み落とし

まで含めて精度を上げます。

90点層では、

数学力より処理精度の差

で決まることも少なくありません。


33.過去問6年分のおすすめの使い方

年度別に1回解いて終了するのは非常にもったいありません。

おすすめは、

1回目

本番時間で解く。

2回目

時間無制限で、すべて自力で解き直す。

3回目

解説を読み、

どこで方針が決まったか

を確認する。

4回目

1〜2週間後に再挑戦。

このとき、

答えを覚えているかではなく、

解法を再現できるか

を見ます。


34.ミスを4種類に分類する

復習では不正解を、

①知識不足
②方針が立たなかった
③計算ミス
④時間不足

に分類してください。

例えば、

三角比の問題を間違えたから三角比を全部復習する、

では効率が悪いです。

正弦定理そのものを知らなかったなら①。

知っていたが使うと気付かなかったなら②。

式は合っていたが符号を間違えたなら③。

最後まで到達できなかったなら④。

原因によって対策は完全に違います。


35.2021〜2024年度の過去問を今後どう使うか

新課程になったからといって、旧課程過去問が使えなくなったわけではありません。

むしろ、

第1問・第2問は非常に価値が高い

です。

二次関数、三角比、数と式、データ分析などは現在も重要だからです。

選択問題については、

現在の出題範囲・構成に照らして優先順位をつけます。

特に、

  • 確率
  • 図形

は今でも非常に有効です。

一方、旧課程特有の整数問題については、他分野より優先度を下げてもよいでしょう。


36.2025・2026年度から見える今後の方向性

新課程2年分を見る限り、共通テスト数学ⅠAの方向性はかなり明確です。

2025年度では噴水、宿泊統計、ゲームの賞金など、現実的な場面が多く使われています。

2026年度でも競泳データやリーグ戦など、実際の状況を数学的にモデル化する問題が続いています。

したがって今後も、

教科書の公式をそのまま聞く問題より、未知の設定に公式を適用する問題

が中心になると考えて対策するのが自然です。


37.結論――共通テスト数学ⅠAは「難問を解く試験」ではない

2021〜2026年度の6年分を通して見ると、共通テスト数学ⅠAの本質はかなりはっきりしています。

難関大学の二次試験のように、

「この発想が出なければ絶対に解けない」

という問題ばかりではありません。

むしろ、

必要な公式や考え方は高校数学の基本範囲にある。
しかし、それを長い文章・図表・会話・現実的な設定の中から選び出さなければならない。

これが共通テストです。

特に重要なのは、

①基本事項を理解していること
②問題文から数学的条件を抽出すること
③誘導を利用すること
④グラフ・表・図を正しく読むこと
⑤時間内に処理すること

です。

2022年度のキャンプ場の縮尺、2023年度のバスケットボール、2024年度の電柱の影、2025年度の噴水、2026年度の競泳やリーグ戦と、題材は毎年大きく変わっています。

しかし、数学的に整理すれば使う知識は教科書レベルです。

だからこそ、共通テスト対策では、

難しい問題集へ進む前に、基本問題を「速く・正確に・使える形」で完成させること

が最も重要です。

共通テスト数学ⅠA攻略のキーワードを一つにまとめるなら、

「公式を覚える」から「状況を数学に変換する」へ

です。

過去問演習でも点数だけを見るのではなく、

「どこで問題の意図を見失ったのか」
「どの条件を式にできなかったのか」
「なぜその公式を選べなかったのか」

まで分析してください。

そこまで復習できれば、初めて見るテーマが出題されても、

「結局これは二次関数だ」
「これは条件付き確率だ」
「これは相似を使えばよい」
「これは相関の問題だ」

と、表面的な題材の奥にある数学を見抜けるようになります。

それこそが、共通テスト数学ⅠAで安定して高得点を取るための最も重要な力です。

数学ⅡBC

共通テスト数学ⅡBCは、数学ⅠA以上に「公式を覚えただけでは点数にならない」科目です。

2021年度から2026年度までの過去問を並べて分析すると、毎年扱われる題材そのものは大きく変わっています。しかし、出題者が受験生に要求している能力にはかなり一貫性があります。

それは、

基本公式を使えること
長い誘導を読み取れること
グラフと式を往復できること
条件が変わったときに結果を一般化できること
計算だけでなく、その計算が何を意味するのか理解できること

です。

特に2025年度から「数学Ⅱ・数学B・数学C」となり、旧課程の数学ⅡBと比較して試験構成が大きく変わりました。

そこで今回は、アップロードいただいた2021〜2026年度の共通テスト数学ⅡB・数学ⅡBCの6年分を分析し、

  • 新課程で何が変わったのか
  • どの単元が頻出なのか
  • 共通テスト特有の問題にはどう対応するべきか
  • 50〜60点、70〜80点、90点以上では何を勉強すべきか

まで詳しく解説していきます。


1.まず理解したい「2024年度まで」と「2025年度以降」の違い

最初に大きな制度変更を押さえておきましょう。

2021〜2024年度の「数学Ⅱ・数学B」は、

第1問 必答
第2問 必答
第3〜5問 3題から2題選択

という構成でした。

2021年度の問題冊子でも、第1・2問が必答、第3〜5問から2問を選択する形式になっています。

したがって旧課程では、

「数列とベクトルを選び、統計を捨てる」

といった戦略が可能でした。

例えば2021年度では、第3問が確率分布・統計的な推測で、高校生の読書時間を題材に二項分布、正規分布近似、母平均の信頼区間などを扱っています。

一方、2025年度から試験科目は**「数学Ⅱ・数学B・数学C」**となりました。

2025年度の構成は、

第1問 必答
第2問 必答
第3問 必答
第4〜7問から3問選択

です。問題冊子にもこの選択方法が明記されています。

2026年度も同じ構成です。

この変化は非常に大きいです。

今の数学ⅡBCでは、

数学Ⅱ部分が3題必答になり、そのうえでB・Cの選択分野から3題を選ぶ

という意識が必要です。


2.現在の数学ⅡBCは「90分をどう使うか」が最大の課題

旧数学ⅡBと比べ、新課程数学ⅡBCでは処理すべき内容が増えています。

特に重要なのは、

全部解こうとする試験ではなく、「取る問題」を判断する試験でもある

という点です。

第1〜3問は避けられません。

しかし第4〜7問は4題中3題なので、自分の選択分野によって戦略を作れます。

2025年度では、

  • 第4問:数列
  • 第5問:統計的な推測
  • 第6問:ベクトル
  • 第7問:複素数平面

が並んでいます。

第5問ではレモンの重量を題材に、正規分布・信頼区間・仮説検定を扱っています。

第6問では球面上の点とベクトルを扱い、第7問では複素数平面上の直線・垂直条件などを考察しています。

したがって受験前に、

「どの3題を選ぶか」

をある程度決めておくことも重要です。


3.数学Ⅱ部分の最重要分野①――三角関数

三角関数は非常に重要です。

2021年度では

y = sin θ + p cos θ

の最大値を扱い、三角関数の合成をパラメータ付きで考えています。

2023年度では、

sin x, sin 2x, sin 3x, sin 4x

などの大小比較がテーマとなっています。

2025年度では、

sin(θ + π/6) = sin 2θ

のような方程式を、単なる公式計算ではなく単位円上の点との関係まで利用して解かせています。

2026年度でも加法定理から

sin A + sin B

の公式を導き、その結果を複数の三角関数の和に応用しています。

ここから分かることは明確です。

共通テストでは、

加法定理を覚えているだけでは不十分

です。


4.三角関数対策は「単位円」と「グラフ」が最優先

三角関数が苦手な人ほど公式を大量暗記します。

しかし共通テストで重要なのは、

sin θ, cos θ

単位円とグラフで理解することです。

最低限、

  • 各象限での符号
  • 周期
  • 対称性
  • θ + πθ - π
  • 加法定理
  • 2倍角
  • 合成

を図と結び付けて理解してください。

例えば

sin θ = sin α

を見た瞬間に、

「同じ高さになる単位円上の点はどこか」

を考えられるようにします。

2025年度の問題は、まさにこの力を要求しています。


5.指数・対数――「公式」から「関数理解」へ

指数・対数も頻出です。

2022年度では、

log_a(b), log_b(a)

の大小関係を調べる問題が出ています。

単なる底の変換公式の適用ではなく、

log_a(b) = t

と置き、その逆数関係を考えて不等式へ発展させています。

2023年度でも、対数が有理数になる条件を考察する問題があります。

2024年度第1問では、

y = log_a(x), y = log_(ak)(x)

などのグラフの位置関係や対数不等式を扱っています。

したがって対数では、

計算+グラフ

の両方を仕上げる必要があります。


6.対数では「底が1より大きいか小さいか」が生命線

共通テスト対数問題では、

a>1

0<a<1

かを読み落とすと、一気に崩れます。

対数関数は、

a>1

右上がり

0<a<1

右下がり

です。

そのため不等式では、

底が0〜1なら不等号が逆転する

という基本を徹底してください。

これは暗記というより、

「グラフが右下がりだから大小関係が反転する」

と理解する方が忘れません。


7.微分・積分は毎年級の最重要分野

数学ⅡBCで最も落としたくない分野の一つが微分・積分です。

2021年度では二次・三次関数について接線、グラフ、共有点、最大値などを扱っています。

2022年度では三次関数の増減・共有点・二つの曲線で囲まれた面積が出題されています。

2023年度では円錐の中に入る円柱の体積最大化や、気温データを関数で近似し、積分から累積量を考える問題になっています。

2024年度では、

S(x) = ∫[0→x] f(t) dt

のような積分で定義された関数について、そのグラフと元の関数との関係を考えています。

2025年度第3問でも、導関数と原始関数の関係、グラフの極値、面積を組み合わせています。

2026年度第3問でも三次関数・導関数・グラフ・面積が中心です。

これは明確な最重要分野です。


8.微分では「導関数を求めて終わり」ではない

共通テストで問われるのは、

f'(x)

そのものより、

f'(x)から何が分かるか

です。

つまり、

f'(x)>0

なら増加、

f'(x)<0

なら減少。

そして

f'(x)=0

の前後で符号が変化すれば極値候補です。

2025・2026年度では、式だけでなく複数のグラフから正しいものを選ばせる問題が出ています。

したがって、

増減表を書かずに頭だけで処理する習慣

はおすすめできません。


9.積分は「面積」と「累積」を区別する

積分について重要なのが、

∫[a→b] f(x) dx

と面積が必ずしも同じではないことです。

f(x)<0の部分は定積分ではマイナスになります。

一方、面積なら絶対値を考えます。

共通テストではこの違いを、

  • グラフ
  • 面積
  • 積分で定義された関数

を行き来しながら問います。

特に2024年度の問題では、f(x)と積分によって定義されたS(x)のグラフの関係を考察させています。

ここでは、

S'(x)=f(x)

という関係を意味まで理解していることが重要です。


10.「グラフを選ぶ問題」は共通テストの超頻出形式

6年間を通じて、

計算結果から正しいグラフを選択する

形式が目立ちます。

これは一見簡単そうですが、実際には差がつきます。

グラフ問題では全部描く必要はありません。

まず、

  1. 最高次係数の符号
  2. x切片
  3. y切片
  4. 極大・極小
  5. 接するか横切るか

を見るだけで候補をかなり消せます。

例えば三次関数なら、

「右端が上か下か」

だけで半分程度に絞れる場合もあります。

グラフ選択問題を計算問題だと思わず、

特徴抽出問題

と考えてください。


11.数列――「一般項を求める」だけではない

数学Bの代表分野が数列です。

2022年度では歩行者と自転車の動きを数列として表現し、時刻と位置に関する漸化式を作っています。

2023年度では預金の増え方を漸化式としてモデル化しています。

2026年度では、階差数列を利用して一般項や和を求める問題が出ています。

共通しているのは、

最初から「これは等差数列です」と教えてくれない

ことです。

現実的な設定や漸化式の中から、

どんな数列なのか自分で見抜く

必要があります。


12.数列では「差」と「比」を最初に見る

数列を見たら、

a(n+1) - a(n)

a(n+1) / a(n)

を意識します。

差が一定なら等差。

比が一定なら等比。

差そのものが数列なら階差数列。

さらに漸化式が

a(n+1) = p・a(n) + q

なら、

特性方程式的な定数を引く変形

を考えます。

共通テストでは難しい漸化式をゼロから解かせるより、会話や誘導に従って変形させることが多いため、

途中の誘導を利用する力

が重要です。


13.統計的な推測――新課程で重要度が大きく上がった

旧課程でも統計問題は存在しました。

2021年度では高校生の読書時間を題材に、

  • 二項分布
  • 正規分布近似
  • 母平均
  • 信頼区間

を扱っています。

2023年度ではピーマンの重量を題材に、標本平均、標準偏差、信頼区間、二項分布の正規近似を扱っています。

2024年度では天気を題材に、標本比率や信頼区間などを考えています。

そして2025・2026年度では、統計的な推測が数学Bの主要選択分野として定着しています。

2025年度第5問ではレモンの重さについて95%信頼区間や仮説検定を扱っています。

2026年度では資格試験の合格率について、標本比率から仮説検定を行っています。


14.統計は「公式暗記」だけでは危険

統計で最も重要なのは言葉です。

特に、

  • 母集団
  • 標本
  • 母平均
  • 標本平均
  • 母比率
  • 標本比率
  • 帰無仮説
  • 対立仮説
  • 有意水準
  • 棄却

の意味を説明できるようにしてください。

例えば5%有意水準で帰無仮説を棄却した場合、

「帰無仮説が絶対に間違いである」

という意味ではありません。

共通テストはこのような統計的判断の意味まで問います。

計算だけを覚えるより、

「何を判定しているのか」

を理解することが重要です。


15.ベクトル――図形を「座標計算」に変える力

ベクトルも非常に安定した出題分野です。

2022年度では円周上の点と内分点をベクトルで表し、内積などを利用しています。

2025年度第6問では球面上の点を座標・ベクトルで扱っています。

2026年度第6問では三角形と六角形の配置を用い、

ベクトルMP

を複数のベクトルの一次結合として表して点Pの存在条件を考えています。

共通テストのベクトルでは、

図を眺め続けるより式にすること

が重要です。


16.ベクトル対策の核心は「基準を決める」

点Pを表したいなら、

ベクトルOP = s・ベクトルOA + t・ベクトルOB

のように、まず基準となるベクトルを決めます。

その後、

  • 内分点
  • 中点
  • 重心
  • 垂直
  • 共線
  • 共面

を式に変換します。

特に重要なのが、

ベクトルa・ベクトルb = 0

なら垂直、

ベクトルa = k・ベクトルb

なら平行、

という基本です。

複雑な図も、式に変換すると一気に簡単になることがあります。


17.数学Cの新顔――複素数平面

新課程で対策が必要になったのが複素数平面です。

2025年度第7問では、複素数

α, β, γ

を点として考え、直線ABとACの垂直条件や軌跡を扱っています。

2026年度第7問では、

w = z + 1/z

という変換を扱い、複素数平面上で動く点から楕円などの軌跡を考察しています。

これは旧数学ⅡBには存在しなかった重要分野です。


18.複素数平面では「代数」と「図形」をつなぐ

複素数平面が苦手な受験生は、

z=a+bi

をただの計算記号として見ています。

しかし重要なのは、

|z|

=原点からの距離、

|z-a|

=点aからの距離、

arg z

=偏角、

と図形的に理解することです。

また、

(β - α) / (γ - α)

の偏角は、

二つの方向の角度差

を表します。

したがって、複素数計算をするたびに、

「これは図形では何を意味しているのか」

を確認してください。


19.軌跡問題では「x+iy」と置く

複素数平面の軌跡では、

w=x+iy

と置き、

実部・虚部を比較してx、yの関係式を作ります。

2026年度では、複素数による変換から最終的に楕円型の方程式へつなげる問題が出ています。

したがって、

円・楕円・双曲線など数学Cの曲線と複素数平面は別々の単元ではない

と考えた方がよいでしょう。


20.共通テスト数学ⅡBC最大の特徴――「既知の公式を未知の状況に使う」

6年間を通して非常によく見られるのが、

習った公式そのものではなく、その応用方法を考えさせる問題

です。

2023年度では気温変化と積分、2024年度では積分で定義された関数、2025年度では植物の成長を指数・対数でモデル化しています。

2025年度第2問では、水草の量が一定の割合で増加する状況を指数関数として扱い、その後の作業計画まで考えさせています。

つまり、

「指数関数の公式を書けますか」

ではなく、

この現象を指数関数で表現できますか

という問題なのです。


21.文章が長くても、数学的には単純なことが多い

共通テストが苦手な受験生から、

「文章が長すぎて何をしているのか分からない」

という声をよく聞きます。

ここで重要なのは、

文章すべてを記憶しようとしないこと

です。

数学的に必要なのは、

  • 何を変数とするか
  • 何が一定か
  • 何が変化するか
  • 求めたいものは何か

の4点です。

例えば植物の量なら、

「毎日r倍になる」

と分かれば、

a(n) = a(0)・r^n

です。

背景説明を全部覚える必要はありません。


22.「太郎さん・花子さん」は解法のヒント

共通テスト数学では会話文が頻繁に登場します。

これを飛ばしてはいけません。

例えば、

「まず○○を調べよう」

なら次の小問で○○を使います。

「でも、それだけでは判断できないね」

なら追加条件が必要です。

共通テストの会話文は、

問題作成者から受験生へのヒント

と考えてよいでしょう。

会話を無視して自己流で解くと、かえって計算が重くなる場合があります。


23.前問の結果は必ず利用できないか考える

共通テストには、

(1)で公式を導く

(2)で特殊な値を代入

(3)で一般化

という構成が非常に多く見られます。

したがって後半で詰まったときには、

「前の空欄で何を求めたか」

を確認してください。

問題作成者がわざわざ前問で求めさせた式には、ほぼ必ず役割があります。


24.6年間から見る重要分野ランキング

過去問6年分を踏まえると、現在の数学ⅡBCでの重要度は次のように整理できます。

分野重要度
微分・積分★★★★★
三角関数★★★★★
指数・対数★★★★☆
数列★★★★★
ベクトル★★★★★
統計的な推測★★★★☆
複素数平面★★★★☆
平面上の曲線★★★★☆
方程式・図形と方程式★★★★☆
難解な計算技術★★★☆☆

重要なのは、

難問を解く特殊テクニックより、基本事項を組み合わせる能力

です。


25.対策①まず「教科書レベルを瞬殺」できるようにする

共通テスト対策というと、

いきなり共通テスト形式問題集へ進む人がいます。

しかし、

(sin x)' = cos x

で少し考える、

等比数列の和の公式を思い出すのに30秒かかる、

ベクトルの内積公式が曖昧、

という状態では情報処理に脳の余裕がありません。

共通テストでは、

基本計算を考えずに処理できること

が大前提です。


26.対策②「式→グラフ」「グラフ→式」の往復を練習する

数学ⅡBCではグラフ問題が非常に多いため、

式だけ解く勉強は不十分です。

例えば、

f'(x)=(x-1)(x-3)

なら、

  • x<1:増加
  • 1<x<3:減少
  • x>3:増加

と瞬時に判断し、

元の関数は極大→極小

と描けるようにします。

逆にグラフを見て、

「ここではf'(x)>0

と判断する練習も必要です。


27.対策③選択問題は「3分野を主力」に決める

現在の第4〜7問では3題選択です。

そのため、

数列・統計・ベクトル・複素数平面等のうち、自分が受験する範囲で得意な3分野を明確にする

ことが大切です。

ただし、「第4問だから必ず数列」のように大問番号だけを機械的に覚えるより、問題冊子を開いて分野を確認する習慣をつけてください。

本番では最初に軽く眺め、

最も取りやすい3題

を判断するのが理想です。


28.時間配分の一例

90分なら、一つの目安として、

第1問 12〜14分
第2問 12〜14分
第3問 15〜17分
選択① 13〜15分
選択② 13〜15分
選択③ 13〜15分
見直し 5分前後

程度です。

もちろん個人差はあります。

重要なのは、

大問一つに25分使わないこと

です。

後半1問を粘って4点を取るより、別大問の前半8点を確実に取る方が有利です。


29.50〜60点を目指すなら「各大問前半」を取る

50〜60点目標なら、難問完答は不要です。

優先順位は、

  • 三角関数基本公式
  • 指数・対数計算
  • 微分
  • 基本積分
  • 等差・等比数列
  • ベクトル基本
  • 統計なら平均・分散・正規分布の基本

です。

大問後半で複雑になったら一度飛ばし、

全大問の前半を回収する

方が得点しやすくなります。


30.70〜80点を目指すなら「誘導の理解」がポイント

70〜80点層では基本公式はほぼ知っています。

差がつくのは、

問題文を式へ変換する能力

です。

復習では、

「答えが出たから終了」

ではなく、

なぜこの式を立てたのか
前問のどの結果を利用したのか
他の式ではなぜダメなのか

を説明してください。

ここまでできれば、初見問題にも対応しやすくなります。


31.90点以上を目指すなら「処理速度」と「撤退判断」

90点以上では、数学力だけでなく試験運営が重要です。

共通テストは一つの問題に時間を使い過ぎると致命傷になります。

90点を狙う人ほど、

一度飛ばす勇気

が必要です。

「あと少しで解けそう」

で5分使うのが最も危険です。

印を付けて先へ進み、最後に戻りましょう。


32.過去問6年分の使い方

おすすめは、年度別演習と分野別演習を組み合わせる方法です。

まず、

2025 → 2026

を90分で本番通り解きます。

この2年は現行課程と同じ形式なので最重要です。

その後、

2021〜2024年度については、

数学Ⅱ部分・数列・統計・ベクトルなど、現在の範囲に対応する問題を分野別に利用

します。

例えば、

「微積だけ4年分連続」

「統計だけ6年分」

「数列だけ6年分」

という使い方です。

これをすると、

「テーマは違うけれど聞いていることは同じ」

と気付けるようになります。


33.復習ではミスを4種類に分類する

不正解は必ず、

①知識不足
②方針が立たない
③計算ミス
④時間不足

の4種類に分けてください。

例えば微分問題を間違えても、

微分公式を忘れた→①

公式は分かるが何を微分すればよいか分からない→②

符号ミス→③

最後まで到達できなかった→④

では、やるべき勉強がまったく違います。


34.2025・2026年度から見える今後の方向性

新課程2年分を比較すると、今後の方向性はかなり明確です。

まず第1〜3問では、

三角・指数対数・微積など数学Ⅱの基本事項を、単独ではなく考察型問題として出す

傾向があります。

2025年度では水草の増加を指数関数として扱い、2026年度では加法定理から三角関数の和を整理するなど、「公式を知っているか」より「公式をどう利用するか」を重視しています。

また選択分野でも、2025年度のレモン、2026年度の資格試験など、現実のデータを利用する統計問題が続いています。

複素数平面でも単純な計算ではなく、直線・垂直・軌跡・楕円などの幾何的理解が要求されています。

したがって今後も、

短い計算問題を大量に並べる方向へ戻るのではなく、「基本事項を使って考察する」形式

を中心に対策するべきでしょう。


35.結論――共通テスト数学ⅡBCは「公式の試験」ではなく「公式を運用する試験」

2021〜2026年度の過去問を通して見ると、共通テスト数学ⅡBCの本質は非常にはっきりしています。

三角関数なら単に加法定理を使うだけではなく、その意味を単位円・グラフまで利用する。

指数・対数なら単なる計算ではなく、関数の大小や現象の変化を考える。

微積なら微分計算だけではなく、グラフ・極値・面積との関係を考える。

数列なら一般項を求めるだけでなく、現実の変化を漸化式としてモデル化する。

統計なら公式を代入するだけでなく、信頼区間・仮説検定から何を判断できるのか考える。

ベクトルなら成分計算ではなく、図形条件を式へ変換する。

複素数平面なら複素数計算だけでなく、点・距離・角度・軌跡として理解する。

つまり、高得点を取るために必要なのは、

「この公式を覚えた」

という状態ではありません。

「この状況なら、この公式を使えば数学的に整理できる」

という状態です。

そのため共通テスト数学ⅡBCの対策では、難しい参考書を何冊もこなすこと以上に、

教科書〜標準問題レベルを素早く正確に使えるようにし、その知識を共通テスト形式の長い誘導の中で利用する練習

が重要になります。

過去問を解くときも、点数だけを確認するのではなく、

「なぜこの式を立てさせたのか」
「前の小問は何の伏線だったのか」
「グラフから何を読み取らせたかったのか」
「この現象をどの単元の数学に変換したのか」

まで分析してください。

そこまで復習すると、初めて見る題材でも、

「結局これは三角関数の合成だ」
「これは指数関数だ」
「これは導関数の符号だ」
「これは漸化式だ」
「これは標本比率の検定だ」
「これはベクトルの一次結合だ」

と、表面的な設定の奥にある数学を見抜けるようになります。

共通テスト数学ⅡBC攻略を一言で表すなら、

「覚えた数学を、初見の状況で使えるようにする」

こと。

これが、2021〜2026年度の6年分から見える最も重要な傾向であり、今後の共通テスト数学ⅡBCで安定して高得点を取るための中心的な対策です。

歴史総合、世界史探究

共通テスト世界史を勉強するとき、

「教科書の太字語句を全部覚えれば高得点が取れる」

と思っている受験生は少なくありません。

もちろん、世界史では知識が必要です。王朝名、人物名、戦争、条約、宗教、文化史などを知らなければ解けない問題は現在でも数多くあります。

しかし、2021年度から2026年度までの過去問を通して見ると、共通テスト世界史が測ろうとしているのは単純な暗記量だけではありません。

むしろ重要なのは、

「知っている歴史知識を、初めて見る資料にどう適用するか」

という能力です。

実際の問題には、

  • 歴史資料
  • 会話文
  • 地図
  • 系図
  • 絵画・写真
  • グラフ
  • 統計
  • 生徒のメモ
  • 研究者による解釈
  • 仮説

などが大量に登場します。

さらに2025年度からは科目名が「世界史B」から「歴史総合、世界史探究」へ変わり、日本史・世界史を完全に切り離さず、近現代を中心として世界との関係を考えさせる問題もより重要になっています。

今回は、アップロードいただいた2021〜2026年度の6年分をもとに、共通テスト世界史の出題傾向を分析し、具体的な学習方法までまとめます。


1.まず押さえたい、2025年度からの大きな変化

2021〜2024年度は「世界史B」として出題されていました。

これに対して2025年度からは、

「歴史総合、世界史探究」

へ移行しました。

単なる名称変更ではありません。

2025年度第1問から象徴的です。写真・図版を読みながら帝国主義や国際関係などを考えさせ、ベルリンで開かれた国際会議、日本とドイツとの関係、綿糸生産量と自給率のグラフなど、多様な資料を組み合わせています。

2026年度第1問でも、19世紀のパリにおける建物の断面図、社会階層分布図、東京の人口や都市構造、公営住宅関連のグラフなどを使い、「都市の変化」を日本と世界の双方から考えさせています。

つまり新課程では、

フランス史はフランス史
日本史は日本史

と完全に分断して覚えるより、

同じ時代に世界各地でどのような変化が起きていたか

という横断的な理解が以前にも増して重要になっています。


2.ただし「基本知識の重要性」は全く下がっていない

資料問題が増えたからといって、

「資料を読めば知識がなくても解ける」

というわけではありません。

これは非常に重要です。

例えば2022年度第1問では、シーボルトについての文章を出発点として、

  • 李時珍と『本草綱目』
  • 東南アジアの都市の位置
  • 中国と朝鮮の関係
  • イスラーム世界のウラマー
  • ハディース
  • イランへのキリスト教伝播
  • アッバース朝

など、地域・時代を次々と横断しています。

資料はあくまで「入口」です。

最終的には、

資料から時代・地域・テーマを特定し、自分の世界史知識を呼び出す

必要があります。

したがって、

「共通テストだから一問一答は不要」

という考え方も極端です。

一問一答的な基本知識は必要ですが、それだけでは完成しない、と考えるのが正確でしょう。


3.共通テスト世界史最大の特徴①「テーマ史」

センター試験型の世界史では、

「中国史」
「イスラーム史」
「フランス史」

といった地域別の出題も目立ちました。

共通テストでは、ある一つのテーマから世界史全体へ話を広げる問題が非常に多くなっています。

2022年度第1問のテーマは「学者や知識人」です。

シーボルトから始まり、イスラーム世界の学者、中国の史書へと展開していきます。

同年度には、歴史上の人物・出来事の「評価」をテーマとして、ジョージ・オーウェルによるスペイン内戦の記録や、ファシズムをどう評価するかという問題も扱われています。

2024年度では「法」「交通」といったテーマから異なる時代・地域をつないでいます。アメリカ合衆国の法律、ASEAN、中国の第一次五カ年計画などが一つの流れの中で問われます。

つまり、今後の学習では、

縦の世界史+横の世界史

の両方が必要です。


4.「縦の歴史」と「横の歴史」を両方覚える

例えば中国史なら、





魏晋南北朝











という「縦の流れ」があります。

これは当然必要です。

しかし共通テストではさらに、

同じ13世紀に世界の他地域では何が起こっていたか

のような「横の関係」が重要になります。

例えば、

モンゴル帝国

ユーラシア交易の活発化

東西交流

イスラーム・中国・ヨーロッパを接続

という見方です。

単元別に覚えた知識を、

交易・宗教・都市・女性・移民・交通・帝国・教育・文化交流

などのテーマで再整理しておくことが効果的です。


5.共通テスト世界史最大の特徴②「資料は読ませるが、知識で判定する」

2021年度から一貫して資料問題が非常に多くあります。

例えば2021年度では、18世紀中国で行われた大規模な図書編纂事業について、書簡の「改ざん前」と「改ざん後」を比較させ、編纂された図書や改ざんの意図を考えさせています。

これは典型的な共通テスト問題です。

単に、

「四庫全書とは何ですか?」

とは聞きません。

史料を示した上で、

なぜこのように書き換えたのか

まで考えさせます。

つまり必要なのは、

知識→選択肢

だけではなく、

資料→時代特定→知識→推論→選択肢

という処理です。


6.資料を読むときは「誰・いつ・どこ」を最初に確認する

長い史料が出てきたとき、一字一句を精読する必要はありません。

最初に探すべきなのは、

①誰が書いたか
②いつ書かれたか
③どの地域についてか
④何を問題にしているか

です。

例えば、

「ジョージ・オーウェル」
「スペイン内戦」

が見えれば、

1930年代
→人民戦線
→フランコ
→ドイツ・イタリアの介入
→ファシズム

という知識が連想できます。

資料の文章そのものを覚えるのではなく、

資料を知識検索のスイッチとして使う

のがポイントです。


7.写真・絵画・図版は「見るだけ」ではない

共通テストでは視覚資料が非常に多く使われます。

2023年度ではフランス王家の紋章・系図を用いた問題があり、王位継承を視覚情報と歴史知識から判断します。

2025年度では、帝国主義期を扱う写真、女性を扱った資料や風刺的な図版、バンコクの都市図などが使われています。

2026年度ではパリの建物断面図、社会階層分布図、エチオピア周辺の地図、さらには漫画まで登場しています。

重要なのは、

図版そのものから直接分かる情報

歴史知識を使わないと分からない情報

を区別することです。


8.地図問題は「国名暗記」ではなく位置関係

世界史で地図が出たときに、

「地図問題は苦手だから捨てる」

のは非常にもったいありません。

2022年度第1問では、シーボルトが赴任した東南アジアの拠点を地図上で判断します。

2024年度ではインドの主要交通路を示す地図を使い、ムガル帝国期などの都市と交通の関係を考えています。

地図対策として最低限、

  • 地中海
  • バルカン半島
  • 黒海
  • 中央アジア
  • インド
  • 東南アジア
  • 中国周辺
  • アフリカ主要地域
  • ラテンアメリカ

について主要都市と国家の位置を確認しましょう。

特に、

交易路・帝国領域・植民地

とセットで覚えると効果的です。


9.グラフ問題――「数字を計算する」のではなく変化を見る

新課程では特にグラフの存在感が強くなっています。

2024年度では、中国の第一次五カ年計画における投資額を円グラフで示し、工業・農林水利・運輸などへの比率と政策を関連付けています。

またアメリカの旅客輸送量・貨物輸送量の推移から交通手段の変化を考える問題もあります。

2025年度では、日本・中国の綿糸生産量と自給率をグラフで比較します。

2026年度でも東京の公営住宅などをめぐる変化がグラフ化されています。

グラフでは細かい数値を覚える必要はありません。

見るのは、

増えた/減った
逆転した
急増した
横ばい
前後関係

です。


10.グラフ問題の鉄則――「因果関係」を勝手に作らない

ここは重要です。

例えばグラフで、

「1920年代以降、自動車利用が増えた」

ことが分かったとします。

そこから、

「○○法が成立したから必ず自動車利用が増えた」

と勝手に因果関係を作ってはいけません。

資料から直接言えるのは、

同じ時期に増えた

ということまでかもしれません。

共通テストでは、

資料から確認できる事実

世界史知識から説明できる背景

を区別する必要があります。

これは世界史だけではなく、国語や英語の資料問題と共通する能力です。


11.年代問題は「年号丸暗記」だけではない

共通テストでも年代整序は重要です。

2021年度では朝鮮史について、

  • 壬午軍乱
  • 甲申政変
  • 東学農民運動

を年代順に並べさせています。

このタイプに対して、

「1882・1884・1894を全部覚える」

だけでも解けます。

しかし、より強いのは、

出来事同士の因果関係で覚えること

です。

例えば、

壬午軍乱

清の朝鮮への影響拡大

急進改革派による甲申政変

日清両国の対立

東学農民運動

日清戦争

という流れです。

このように覚えれば、細かい西暦を忘れても復元できます。


12.年代対策では「世紀」と「前後関係」を優先

すべての事件の西暦を覚える必要はありません。

優先順位は、

①世紀
②前半・後半
③重要事件との前後関係
④最重要事件の西暦

です。

例えばフランス革命なら1789年は覚える。

しかし周辺のすべての出来事を西暦まで暗記する必要はありません。

「革命前」
「革命期」
「ナポレオン期」
「ウィーン体制」

という流れが作れれば、多くの年代問題に対応できます。


13.新課程でさらに重要になった「歴史総合」

2025・2026年度を見て特に注意すべきなのが、近現代史です。

2025年度第1問では、日本とドイツの関係、帝国主義、国際会議、日本・中国の工業生産などを扱っています。

2026年度第1問では、19世紀パリの都市改造から東京の都市問題、さらに植民地化されたアジアの都市や香港の経済史へと展開しています。

つまり歴史総合対策では、

日本史だけ勉強するのでも、世界史だけ勉強するのでも足りません。

特に、

  • 産業革命
  • 帝国主義
  • 国民国家
  • 世界大戦
  • ファシズム
  • 植民地支配
  • 脱植民地化
  • 冷戦
  • 高度経済成長
  • 国際機構

などは日本との関係まで整理しておきましょう。


14.政治史だけではなく「社会史」が非常に重要

共通テスト世界史の特徴として、

王朝・戦争だけではなく社会そのものを扱う

問題が多いことも見逃せません。

例えば、

  • 女性
  • 都市生活
  • 教育
  • 社会福祉
  • 労働
  • 交通
  • 貨幣
  • 農村
  • 移住
  • 住宅

などです。

2023年度第1問では女性が政治的権利を獲得していく歴史をテーマにしています。

2024年度ではイギリスの福祉制度改革を扱っています。

2025年度でも女性の髪型・服装・政治参加などが資料を通して問われています。

2026年度では都市の社会階層や住宅問題が冒頭から扱われます。

したがって、

政治史だけ完璧にして文化史・社会史を後回し

という学習は危険です。


15.文化史は「作品名だけ」の暗記では足りない

文化史も共通テストで狙われやすい分野です。

しかし、

「誰が何を書いたか」

だけを聞くとは限りません。

2021年度ではインド教育政策に関連して『シャクンタラー』などの文学作品を扱い、植民地政策と教育・言語を結び付けています。

2025年度では、『五経正義』の注釈書の図版そのものを示し、その成立背景や印刷・注釈の意味を判断させています。

文化史は、

人物+作品+時代+地域+思想

を一組にしてください。

例えば、

李時珍
→明
→『本草綱目』
→本草学

のように整理します。


16.宗教史は地域横断で覚える

宗教史も非常に出題しやすいテーマです。

2022年度ではイスラーム教へ改宗した人物を題材に、

ウラマー、ハディース、キリスト教、アッバース朝などを一つの資料の中で関連付けています。

このような問題に対応するには、

「キリスト教だけ」
「イスラームだけ」

という単独暗記ではなく、

どこへ伝わったか
誰が保護したか
政治とどう結び付いたか

を理解する必要があります。

例えばキリスト教なら、

ローマ帝国
→国教化
→東西教会
→カトリック/正教会
→宗教改革

という流れだけでなく、

ネストリウス派の東方伝播

まで地図上で確認すると強くなります。


17.「正しいものを選ぶ」より「間違いを切る」技術

共通テスト世界史では、

「最も適当なもの」

を選ばせる問題が大量にあります。

しかし実戦では、

正解を直接探すより誤りを消す

方が安定します。

例えば選択肢を、

人物

正しいか

地域

正しいか

時代

正しいか

内容

正しいか

に分解します。

「人物は合っているけれど時代が違う」

という誤答が非常に多いからです。


18.典型的な誤答パターンを覚える

世界史の誤答選択肢にはいくつか典型があります。

①王朝の入れ替え

唐が行ったことを漢にする。

②人物の入れ替え

ルターの業績をカルヴァンにする。

③地域の入れ替え

インドの出来事を東南アジアにする。

④年代の入れ替え

第一次世界大戦後の出来事を第二次世界大戦後に置く。

⑤前半は正しいが後半が間違い

これが最も危険です。

選択肢を最後まで読む癖を付けてください。


19.過去問復習では「正解だけ」を見ない

世界史で過去問を解いた後、

①が正解だった。覚えよう。

だけでは不十分です。

おすすめは、

4択すべてを直すこと

です。

例えば、

①○
②× 唐ではなく漢
③× 19世紀ではなく18世紀
④× イギリスではなくフランス

のように訂正します。

すると1問から4つ近い知識を復習できます。

世界史ではこれが非常に効率的です。


20.資料問題の復習は「資料なしでも説明できるか」

過去問を解いた後は、

資料に書いてある内容を丸暗記する必要はありません。

むしろ、

なぜこの資料からこの時代だと分かったのか

を確認します。

例えば、

「ファシズム」
「スペイン」
「人民戦線」
「ムッソリーニ」

が出てきたら、

1930年代ヨーロッパ

と判断できる。

この歴史キーワードから時代を特定する能力を鍛えてください。


21.目標60点前後なら「通史の穴」をなくす

50〜60点台の受験生は、資料読解技術以前に基本知識に穴があることが多いです。

まず、

通史を一周完成させる

ことを優先してください。

特に、

  • 中国王朝
  • イスラーム王朝
  • ヨーロッパ近代
  • 19世紀
  • 二つの世界大戦
  • 冷戦

を重点的に。

この段階では細かすぎる文化史を大量暗記するより、

誰が・いつ・どこで・何をしたか

を安定させます。


22.70〜80点を目指すなら「横のつながり」

70点台まで来ると、有名語句はかなり覚えているはずです。

ここから差がつくのが、

同時代史とテーマ史

です。

例えば1850年前後なら、

ヨーロッパ
中国
インド
オスマン帝国
日本

で何が起きていたか並べてみる。

あるいは「帝国主義」をテーマに、

イギリス
フランス
ドイツ
ロシア
アメリカ
日本

の動きを比較する。

この横断学習が共通テストに非常に強くなります。


23.90点以上を目指すなら「選択肢の精度」

90点以上になると、

「知らないから間違えた」

より、

選択肢の微妙な違いを見落とした

という失点が増えます。

必要なのは、

  • 地名
  • 時代
  • 王朝
  • 条約相手
  • 因果関係

の精密化です。

また、資料を読んで考え過ぎるのも危険です。

自分の知識で明確に×と判断できれば、必要以上に資料を読み込まず処理しましょう。


24.60分の時間配分をどう考えるか

世界史は数学ほど極端に時間不足になりやすい科目ではありません。

しかし近年は資料量が多いため、じっくり読んでいると後半で焦る可能性があります。

目安として、

最初の45〜50分で全問処理
残り10〜15分で見直し

を目指します。

一問で2〜3分停止するのは危険です。

迷った問題には印を付け、先へ進みましょう。

共通テスト世界史では、

知らない1問に時間を使っても知識が突然出てくるわけではありません。


25.おすすめの過去問の使い方

6年分を1回ずつ解いて終了するのは非常にもったいありません。

おすすめは、

1回目

60分で本番通り解く。

2回目

資料を確認しながら全選択肢を訂正する。

3回目

間違えた単元を教科書・資料集へ戻って復習する。

4回目

数週間後にもう一度解く。

という方法です。

特に2025・2026年度は現行課程なので最優先です。

2021〜2024年度の世界史Bも、

世界史探究部分の演習教材として非常に有効

です。


26.資料集は「眺める本」ではなく過去問復習に使う

世界史対策では資料集が非常に重要です。

ただし最初から全部暗記する必要はありません。

過去問に、

「この都市どこ?」

と出たら地図を見る。

「この絵画は何時代?」

なら文化史ページを見る。

「この帝国の範囲は?」

なら歴史地図を見る。

という使い方がおすすめです。

過去問→資料集

を繰り返すことで、必要な図版・地図が自然に頭へ入ります。


27.6年間から見える重要能力ランキング

2021〜2026年度を通して見ると、共通テスト世界史で必要な能力は次のように整理できます。

能力重要度
通史の基本知識★★★★★
時代・地域の特定★★★★★
資料読解★★★★★
選択肢の誤り発見★★★★★
年代前後関係★★★★★
地図読解★★★★☆
グラフ・統計読解★★★★☆
同時代史★★★★★
社会史・文化史★★★★☆
細かい年号暗記★★★☆☆

ここから分かるのは、

「世界史=暗記科目」という理解は半分正しく、半分間違っている

ということです。

暗記は絶対に必要です。

しかし問われるのは、

覚えた知識を使えるか

です。


28.2025・2026年度から考える今後の方向性

新課程2年分を見ると、今後の方向性はかなり明確です。

第一に、

歴史総合との融合

です。

日本と世界の関係、産業化、帝国主義、戦争、都市化、女性、経済発展などが横断的に扱われています。

第二に、

複数資料の統合

です。

2025年度では写真・グラフ・地図・文章を組み合わせ、2026年度でも建物図、階層地図、人口・住宅関連資料、植民地都市の地図などを利用しています。

第三に、

歴史を研究する方法そのもの

も意識されています。

2021年度では史料の改ざん、2022年度では歴史評価の違い、2025年度では資料・都市図、2026年度では法史料や資料の性格を考えさせる問題が見られます。

つまり、

「教科書に書いてあるから正しい」

だけではなく、

「この資料から何が分かるのか」

を考える姿勢が必要です。


29.結論――共通テスト世界史は「暗記+歴史的推論」の試験

2021〜2026年度の6年間を通して見ると、共通テスト世界史攻略の方向性はかなりはっきりしています。

必要なのは、単に用語をたくさん知っていることではありません。

まず基本知識を身につける。

そして、

資料から時代・地域を特定する。
地図やグラフから必要情報を取る。
自分の世界史知識と結び付ける。
選択肢の時代・地域・因果関係を確認する。
誤りのある選択肢を消す。

この一連の処理が必要です。

特に2025年度以降の「歴史総合、世界史探究」では、世界史を地域ごとのバラバラな知識として覚えるより、

「同じ時代に世界各地で何が起きていたか」
「人・物・宗教・制度がどのように地域を越えて移動したか」
「世界の変化と日本がどう結び付いていたか」

という視点が重要になっています。

したがって、これからの共通テスト世界史対策で最も避けたいのは、

一問一答だけを何周もして、資料問題は直前に少し練習する

という方法です。

おすすめは、

通史を完成
→一問一答で知識確認
→資料集で地図・文化史を補強
→過去問で知識を使う
→誤答選択肢をすべて訂正
→教科書へ戻る

というサイクルです。

共通テスト世界史攻略を一言で表すなら、

「覚える世界史」から「使える世界史」へ

ということです。

王朝名や人物名を覚えることはスタート地点。

その知識を地図、史料、写真、グラフ、会話文などの中で瞬時に呼び出せるようになって初めて、共通テストで安定して高得点を取れる世界史力になります。

歴史総合、日本史探究

共通テスト日本史の勉強について、

「教科書の太字語句を覚えれば得点できる」
「日本史は暗記科目だから、最後は暗記量で決まる」

と考えている受験生は少なくありません。

もちろん、共通テストでも基本的な歴史知識は必要です。人物・制度・事件・文化・年代などを知らなければ、資料を読んでも正解を判断できません。

しかし、アップロードいただいた2021〜2026年度の6年分を分析すると、共通テスト日本史で測られているのは、単純な暗記量だけではないことが分かります。

中心となっているのは、

「歴史知識を、初めて見る史料・図版・グラフ・地図の中で使えるか」

という能力です。

実際の問題には、文章史料だけでなく、

  • 会話文
  • 生徒の発表資料
  • 授業用スライド
  • 地図
  • 絵画
  • 写真
  • 統計表
  • グラフ
  • 系図
  • 年表
  • 模式図
  • 研究者の見解
  • 生徒の仮説やまとめ

などが大量に登場します。

さらに、2025年度からは科目名が「日本史B」から**「歴史総合、日本史探究」**へ変更されました。日本国内の出来事だけでなく、世界とのつながりや、歴史をどのように調べ、考察するかという学習過程がいっそう重視されています。

今回は、2021〜2026年度の過去問から見える共通テスト日本史の特徴と、得点帯別の具体的な対策を解説します。


1.2025年度から何が変わったのか

2021〜2024年度は「日本史B」、2025年度以降は「歴史総合、日本史探究」として出題されています。

ただし、旧課程の問題が急に使えなくなったわけではありません。

古代・中世・近世・近現代の基本事項、史料の読解、年代整序、正誤判定など、中心となる能力は共通しています。そのため、2021〜2024年度の日本史Bも、日本史探究部分の演習として非常に有効です。

一方、2025年度以降には明確な変化もあります。

2025年度第1問では、「歴史上における境界」というテーマの下、19世紀後半の東アジアの国境、琉球、台湾出兵、日本と朝鮮の関係などを扱っています。

「境界」を単なる国境線として捉えるのではなく、

  • 前近代の国際秩序
  • 近代国家の領域
  • 外交関係
  • 民族や地域の帰属
  • 日本と周辺地域との関係

という複数の視点から考察させています。

2026年度第1問では「災害の歴史」がテーマとなり、マラリアをめぐるモノ・人・病原体の移動、歴史的な災害、社会の変化との関係を資料から考えさせています。

つまり新課程では、

日本史の知識を現代的なテーマと結び付け、複数の地域・時代・資料を横断して考える

ことが重視されています。


2.知識の重要性は下がっていない

資料問題が多いと聞くと、

「資料をきちんと読めば、知識がなくても解けるのではないか」

と思うかもしれません。

しかし、実際には逆です。

資料を読むためにも知識が必要です。

例えば2021年度第1問では「貨幣の歴史」が扱われています。資料から貨幣の形や流通を読み取るだけでなく、律令国家、宋銭、撰銭、江戸時代の貨幣制度などの知識と結び付ける必要があります。

2022年度第1問では、ある歴史上の人物を考察する中で、近世の政治や対外関係、人物の評価、史料の性格などを判断します。

2023年度第1問の「地図から考える日本の歴史」でも、鎌倉時代の地図、七道、国絵図、近代の測量や海図などが取り上げられます。図を眺めるだけではなく、それぞれの地図がどの政治体制や時代背景の下で作られたのかを判断しなければなりません。

つまり共通テストでは、

資料を読む力+知識を呼び出す力

の両方が必要です。

一問一答や用語暗記は不要なのではなく、

一問一答は必要だが、それだけでは完成しない

と考えるのが正確です。


3.最大の特徴①「テーマ史」で時代を横断する

共通テスト日本史では、一つのテーマを入口にして、複数の時代へ話を広げる構成が頻繁に使われます。

2021年度第1問は「貨幣の歴史」、第2問は「文字使用の歴史」、第4問は「儀式・儀礼」です。

2022年度には「古代の法」「中世の海と人々」「近世の身分」「日本とハワイ」「鉄道」などが登場します。

2023年度第1問は「地図から考える日本の歴史」で、古代の行政区分から中近世の国絵図、近代の測量や海図へと進みます。

2024年度第1問は「印刷の歴史」です。百万塔陀羅尼から中世の印刷、近世・近代の出版文化までを扱います。

2025年度は「境界」、2026年度は「災害」という、より抽象度の高いテーマが設定されています。

このことから、共通テスト対策では、教科書を古代から順番に覚える「縦の通史」に加えて、

  • 貨幣
  • 交通
  • 交易
  • 外交
  • 災害
  • 疫病
  • 女性
  • 身分
  • 都市
  • 地図
  • 文字・印刷
  • 食文化
  • 漁業
  • 鉱山
  • 城郭
  • 教育
  • 社会運動

などの「横のテーマ史」でも知識を整理する必要があります。


4.テーマ史対策は、表を丸暗記することではない

テーマ史の勉強というと、分厚いテーマ史参考書を新しく買う必要があるように感じるかもしれません。

しかし、最初から特別な教材を用意する必要はありません。

例えば「貨幣」であれば、教科書を復習しながら、

  • 富本銭・和同開珎
  • 皇朝十二銭
  • 宋銭の流入
  • 撰銭
  • 江戸幕府の三貨制度
  • 金銀貨の改鋳
  • 明治政府の新貨条例
  • 日本銀行と兌換銀行券
  • 金本位制
  • 管理通貨制度

という流れを一本につなぎます。

「地図」なら、

  • 古代の五畿七道
  • 荘園・公領
  • 中世の境界認識
  • 江戸幕府の国絵図
  • 伊能忠敬の測量
  • 明治政府の地図作成
  • 海図と対外進出

というように整理します。

重要なのは、語句を並べるだけでなく、

なぜその時代に、その制度や技術が必要になったのか

まで説明できるようにすることです。


5.最大の特徴②「史料から分かること」を問う

共通テスト日本史には多くの史料が登場しますが、単純に史料名を当てさせるだけではありません。

2023年度では、『朝野群載』や『九条殿遺誡』などを用いて、古代社会における暦や日常行動への影響を考えさせています。

同年度の中世分野では、『犬内氏掟書大意』に示された貨幣使用の規制を読み、中央の幕府法との一致・不一致や、地域における貨幣需要を推測させています。

2024年度では、古代の食物に関する木簡や文献資料を使い、

  • どのような食物が移動したか
  • 国家がどのように徴税したか
  • 貴族や役人がどのような食生活をしていたか
  • 史料の性格によって何が分かるか

を判断させています。

2025年度では、砂糖の輸入と消費を記した近世史料から、著者の問題意識や幕府の経済政策を読み取らせています。

史料問題では、史料の現代語訳を読むだけで終わってはいけません。

確認すべきなのは、

①誰が書いたか
②いつ書かれたか
③誰に向けたものか
④何を目的に作られたか
⑤史料から直接言えることは何か
⑥背景知識を使って判断する部分はどこか

です。


6.「史料に書いてあること」と「知識による推論」を分ける

史料問題で多い失敗は、知っている歴史知識を史料へ勝手に付け加えてしまうことです。

例えば史料に、

「ある品物が大量に江戸へ運ばれた」

と書かれていたとします。

そこから直接分かるのは、その品物が江戸へ流入していたという事実です。

しかし、

「その品物はすべて庶民が消費した」
「その輸入によって国内生産が衰退した」

とまでは、別の根拠がなければ言えません。

共通テストでは、この区別を狙った選択肢がよく作られます。

したがって、選択肢を見るときは、

それは史料に書かれているか
教科書知識から正しいと判断できるか
史料にも知識にも根拠がない推測ではないか

を分けましょう。


7.最大の特徴③「歴史を調べる過程」が出題される

共通テストでは、生徒が授業や課題研究で歴史を調べている設定が非常に多く使われます。

例えば、

  • 図書館で史料を探す
  • 博物館を見学する
  • 地域の遺跡を調査する
  • 発表用スライドを作る
  • 史料と研究者の解説を比較する
  • 仮説を立てる
  • 追加で必要な資料を考える
  • 最後に学習内容をまとめる

といった流れです。

2025年度には、太宰府周辺の博物館を見学し、外交と文化の関係についてワークシートを作る問題があります。

2026年度には、日野富子について従来の「悪女」という評価と現在の研究を比較し、史料を基に人物像を再検討する問題が出ています。

ここでは単に、

「日野富子は何をした人物か」

と聞くのではなく、

史料が増えたり、研究の視点が変わったりすると、歴史上の人物の評価も変化する

ことを考えさせています。

今後も、研究者の見解、歴史評価、仮説の妥当性、追加調査などは重要な出題形式になるでしょう。


8.地図・絵画・写真は「見たことがあるか」だけではない

視覚資料も6年間を通して頻繁に登場します。

2023年度第1問では、鎌倉時代の日本地図を使って、古代以来の行政区分や道の意味を考えさせています。

2024年度では、百万塔陀羅尼、古代の木簡、食器、印刷器具などの写真が使われています。

2025年度では、東アジアの地図、交通・交易を表す図、文化財、都市や港に関する資料が見られます。

2026年度でも、地引網漁の絵画、城郭・城下町の図、災害や病原体移動の模式図などが使われています。

図版問題では、次の順番で確認してください。

①題名・年代・出典を見る
②図から直接読み取れるものを確認する
③時代・地域を特定する
④関連する教科書知識を呼び出す
⑤選択肢が図の内容と一致するか判断する

図版そのものを暗記していなくても、年代・地域・用途が分かれば解ける問題は少なくありません。


9.グラフ・統計は「数値」より変化を見る

共通テストでは、数量を扱う資料も重要です。

貨幣の流通量、人口、産業構成、貿易、交通、土地制度、社会階層などがグラフや表で示されます。

グラフ問題で確認するのは、

  • 増加しているか
  • 減少しているか
  • どの時点で変化したか
  • 順位が逆転したか
  • 地域差があるか
  • 割合と実数のどちらか
  • 資料の対象期間はいつか

です。

細かい数字をすべて計算する必要はありません。

ただし、「割合が増えた」ことと「実数が増えた」ことは別です。全体量が大きく変われば、割合が下がっても実数は増えている可能性があります。

また、グラフと同じ時期にある事件が起きたからといって、直ちに因果関係があるとは限りません。

資料が示している事実と、その背景として考えられる歴史知識を区別する

ことが大切です。


10.年代整序は「重要年号+因果関係」で攻略する

日本史では、出来事を年代順に並べる問題や、史料が作成された時期を判断する問題が継続的に出題されています。

すべての出来事の西暦を丸暗記する必要はありません。

優先順位は、

①時代・世紀
②前半か後半か
③政治体制
④重要事件との前後関係
⑤最重要年号

です。

例えば近代史なら、

開国
→幕末の政治対立
→明治維新
→廃藩置県
→自由民権運動
→大日本帝国憲法
→日清戦争
→日露戦争
→韓国併合

という流れを作ります。

江戸時代の改革であれば、

享保の改革
→田沼意次の政治
→寛政の改革
→天保の改革

という順番に、担当者・政策・社会背景を組み合わせます。

2026年度には、浅間山噴火後の農村政策について、百姓の出稼ぎ、甘藷栽培、年貢政策などを年代順に並べる問題があります。単なる年号暗記ではなく、幕府・藩の政策転換や農村社会の変化を理解しているかが問われています。


11.政治史だけでなく社会経済史が重要

共通テスト日本史では、政治制度や政争だけを勉強しても高得点には届きません。

6年間を通して、次のような社会経済史のテーマが頻繁に扱われています。

  • 貨幣と金融
  • 土地制度
  • 年貢
  • 商業
  • 交通
  • 鉄道
  • 漁業
  • 鉱業
  • 織物業
  • 食文化
  • 災害
  • 疫病
  • 都市
  • 農村
  • 女性
  • 身分
  • 教育
  • 社会運動

2026年度第2問では漁業の歴史が扱われ、江戸時代の地引網漁から、網元と網子の関係、肥料需要、長崎貿易との関係などを考えさせています。

同年度には鉱山開発も登場し、戦国大名の領国支配、貨幣鋳造、流通経済の発展との関係が問われます。

共通テストでは、

誰が政権を握ったか

だけでなく、

その時代に人々がどのように生産し、働き、移動し、生活していたか

まで理解しておく必要があります。


12.文化史は「人物と作品」の暗記で終わらせない

文化史も頻出です。

2023年度では、江戸で刊行された文化人名簿を使い、文化人の居住地、職業、活動分野から江戸文化の特徴を考えさせています。

2024年度は印刷の歴史が大きなテーマとなり、仏教と印刷、出版技術、書物の流通を時代横断的に扱っています。

2025年度では、太宰府をめぐる外交・文化交流の中で、中国や朝鮮半島からもたらされた文物、宗教、美術が問われます。

文化史は、

人物+作品+時代+地域+担い手+政治・社会背景

のセットで整理してください。

例えば、

池大雅
→江戸中期
→文人画
→中国文化の影響
→都市知識人の文化

のように関連付けます。

作品名だけを覚えても、初見の図版や文化交流を扱った資料問題には対応しにくいからです。


13.女性史・民衆史にも注意する

2021年度には女性解放運動の先駆者・景山英子が登場し、自由民権運動や女性の社会参加が扱われました。

2023年度では、岸田俊子の史料を通して、男女の知識差が教育や人的交流の機会の差から生じたという議論を読ませています。

2024年度には古代の女性と食物管理、2026年度には日野富子の歴史評価などが登場します。

ここから分かるのは、女性を単独の「女性史」として覚えるだけでは足りないということです。

  • 女性と政治
  • 女性と教育
  • 女性と労働
  • 女性と社会運動
  • 女性と家族制度
  • 女性の歴史評価

という形で、各時代の政治史・社会史の中に位置付けましょう。

同じことは、農民・町人・職人・被差別民・労働者・植民地の人々についても言えます。


14.歴史総合では「日本と世界の関係」が重要

2025年度以降、近現代史では日本国内の出来事だけでなく、国際的なつながりがより重視されています。

特に整理しておきたいのは、

  • 市民革命と産業革命
  • 近代国家の形成
  • 帝国主義
  • 東アジアの国際秩序
  • 開国と条約
  • 国境・領土
  • 日清・日露戦争
  • 植民地支配
  • 第一次世界大戦
  • 大衆社会
  • 世界恐慌
  • ファシズム
  • 第二次世界大戦
  • 戦後改革
  • 冷戦
  • 高度経済成長
  • 国際協力

です。

学習するときは、日本史の出来事だけを縦に並べるのではなく、

同じ時期に中国・朝鮮・ヨーロッパ・アメリカでは何が起きていたか

を確認してください。

例えば明治維新を、日本国内の政治改革としてだけでなく、

  • 欧米列強のアジア進出
  • 清朝の動揺
  • 朝鮮をめぐる国際関係
  • 不平等条約
  • 国民国家の形成
  • 産業化と軍事力

の中に位置付ける必要があります。


15.正誤問題は「文章を分解して」判断する

共通テストの選択肢には、一見すると正しそうな文章が多くあります。

典型的な誤答は、

①人物の入れ替え
業績は正しいが、人物が違う。

②時代の入れ替え
制度は実在するが、その時代にはまだ成立していない。

③地域の入れ替え
京都の出来事を鎌倉の出来事にする。

④原因と結果の逆転
出来事の順序は近いが、因果関係が逆になっている。

⑤前半だけ正しい
文章の前半は正しいが、後半に誤りがある。

選択肢は、

誰が/いつ/どこで/何を/なぜ/結果どうなったか

に分解して確認しましょう。

「知っている語句が入っているから正解」と判断するのは危険です。


16.過去問復習では4択すべてを訂正する

過去問を解いた後に、

「正解は③だった」

と確認するだけでは、学習効果が十分ではありません。

おすすめは、すべての選択肢について、

  • どこが誤りか
  • 何に直せば正しいか
  • どの時代の内容か
  • どの資料を根拠に判断したか

を確認することです。

例えば、

①× 人物が違う
②○
③× 享保ではなく寛政
④× 原因と結果が逆

という形で訂正します。

1問につき四つの知識を確認できるため、得点力が大きく伸びます。


17.目標60点なら、まず通史の骨格を完成させる

50〜60点前後の受験生は、資料読解以前に通史の知識が不足していることが多いです。

まずは、

  • 各時代の政権担当者
  • 土地制度
  • 税制度
  • 対外関係
  • 主要な戦乱
  • 政治改革
  • 産業・交通
  • 文化の特徴
  • 近現代の重要事件

を一通り説明できるようにしましょう。

特に苦手になりやすいのは、

  • 律令制度
  • 荘園公領制
  • 鎌倉・室町の制度比較
  • 江戸時代の社会経済
  • 幕末外交
  • 明治前期の制度改革
  • 大正・昭和戦前
  • 戦後改革

です。

この段階では、細かすぎる史料名を大量に覚えるより、まず時代の流れを安定させることが優先です。


18.70〜80点なら、資料とテーマ史を強化する

70点前後を取れる受験生は、基本用語をかなり覚えています。

ここから差がつくのは、

  • 初見史料の読解
  • テーマ史
  • 社会経済史
  • 文化史
  • 年代前後関係
  • 複数資料の比較

です。

教科書を読み直すときは、

「この制度は何か」

だけでなく、

前の時代から何が変わったのか
誰にどのような影響があったのか
なぜその制度が必要だったのか

を考えてください。

また、過去問で出たテーマを一つ選び、古代から現代まで追いかける復習が効果的です。


19.90点以上なら、根拠の精度を高める

90点以上を目指す段階では、「知らなかった」ことによる失点より、

  • 史料を読み過ぎた
  • 選択肢の限定表現を見落とした
  • 資料から言えないことまで推測した
  • 人物と時代を取り違えた
  • 割合と実数を混同した
  • 正しい文を誤りだと深読みした

という失点が増えます。

選択肢中の、

「すべて」
「初めて」
「一貫して」
「完全に」
「直ちに」
「唯一」

などの強い表現には注意しましょう。

高得点者に必要なのは、知識量を無制限に増やすことより、

どの資料・どの知識を根拠に判断したかを明確にすること

です。


20.60分の時間配分

共通テスト日本史は、知識が十分であれば極端な時間不足にはなりにくい科目です。

ただし、近年は資料量が多く、すべての会話文や史料を丁寧に読み過ぎると、後半で時間が足りなくなる可能性があります。

目安は、

  • 最初の45〜50分で全問を処理
  • 残り10〜15分で見直し

です。

資料を読む前に設問を確認し、

「人物を判断する問題なのか」
「年代を並べる問題なのか」
「資料から読み取る問題なのか」

を把握すると、読むべき部分が明確になります。

知識が思い出せない問題に長時間止まっても、答えが突然出てくる可能性は高くありません。印を付けて先へ進みましょう。


21.おすすめの過去問演習法

6年分を一度ずつ解いて終わるのは非常にもったいありません。

おすすめは次の四段階です。

1回目

60分で本番と同じように解きます。

2回目

時間を気にせず、史料・図表・選択肢を詳しく分析します。誤答選択肢もすべて訂正してください。

3回目

間違えた内容を教科書・資料集へ戻って確認します。出題されたテーマについて、同じ時代の関連事項も復習します。

4回目

数週間後にもう一度解き、資料の内容を覚えているからではなく、根拠を説明して正解できるか確認します。

優先順位は、現行課程の2025・2026年度が最上位です。その後、2021〜2024年度を日本史探究の演習として利用しましょう。


22.6年間から見える重要能力ランキング

必要な能力重要度
通史の基本知識★★★★★
史料読解★★★★★
時代・人物・地域の特定★★★★★
選択肢の誤り発見★★★★★
年代の前後関係★★★★★
社会経済史の理解★★★★★
テーマ史★★★★★
地図・図版の読解★★★★☆
グラフ・統計の読解★★★★☆
日本と世界の関係★★★★★
細かい年号の丸暗記★★★☆☆

ここから分かるのは、

「日本史は暗記科目」という説明は半分正しく、半分間違っている

ということです。

知識は絶対に必要です。

しかし、共通テストが最終的に測っているのは、

覚えた知識を資料の中で使えるか

という点です。


23.今後の出題で重視されそうな方向性

2025・2026年度から、今後の方向性はかなり明確です。

第一に、歴史総合との融合です。

日本と東アジア・欧米との関係、国境、感染症、災害、産業化、戦争、植民地、国際秩序などが引き続き重要になります。

第二に、複数資料の統合です。

文章史料だけでなく、地図・写真・グラフ・模式図などを組み合わせ、一つの結論を導く問題が増えるでしょう。

第三に、歴史研究の方法です。

史料から分かる範囲、従来の評価と新しい評価、仮説を検証するために必要な資料などが問われます。

第四に、政治史と社会史の接続です。

政権交代だけでなく、その変化が農民・商人・女性・労働者・地域社会にどのような影響を与えたかが重要です。

第五に、現代的課題との接続です。

災害、疫病、環境、移動、境界、地域社会といったテーマを歴史的に考察する出題は、今後も十分に考えられます。


結論――共通テスト日本史は「暗記した知識を使う試験」

2021〜2026年度の6年分を通して見ると、共通テスト日本史の攻略法は明確です。

まず、通史の基本知識を身につける。

その上で、

史料から時代と立場を特定する。
地図・図版・統計から必要な情報を取る。
歴史知識と資料を結び付ける。
資料から直接言えることと推測を区別する。
選択肢を人物・時代・地域・因果関係に分解する。
誤りのある選択肢を根拠を持って消す。

この一連の処理を身につける必要があります。

特に2025年度以降の「歴史総合、日本史探究」では、日本史を国内だけで完結した出来事として覚えるのではなく、

世界の変化と日本がどのようにつながっていたか
社会の変化が人々の生活にどのような影響を与えたか
史料から何が分かり、何までは分からないのか

を考える姿勢が重要です。

したがって、避けたい勉強法は、

一問一答だけを何周も行い、資料問題は直前に少し練習する

というものです。

おすすめの学習サイクルは、

通史を理解する
→一問一答で基本知識を確認する
→資料集で地図・図版・文化史を補強する
→テーマごとに知識をつなぐ
→過去問で知識を使う
→全選択肢を訂正する
→教科書へ戻る

という流れです。

共通テスト日本史の攻略を一言で表すなら、

「覚えた日本史」から「根拠を持って使える日本史」へ

ということです。

人物名や制度名を覚えることはゴールではなく、スタート地点です。

初めて見る史料や図表を前にしても、

「これはどの時代か」
「誰の立場から書かれたのか」
「この資料から何が分かるのか」
「どの教科書知識と結び付くのか」

を判断できるようになったとき、共通テスト日本史で安定して高得点を取れる力が完成します。

地理総合、地理探究

共通テスト地理の勉強について、

「地名や農産物の生産国を暗記すればよい」
「統計資料集の順位を覚えれば得点できる」
「地理は知識がなくても、グラフを読めば何とかなる」

と考えている受験生は少なくありません。

しかし、アップロードいただいた2021〜2026年度の6年分を分析すると、いずれの考え方も十分ではないことが分かります。

共通テスト地理で必要なのは、

地理的な基本知識を使い、初めて見る地図・統計・写真・模式図から地域の特徴を推論する力

です。

実際の問題では、単純に「この国で生産される農産物は何か」と聞く形式よりも、

  • 世界地図
  • 地形図
  • 統計地図
  • 分布図
  • 雨温図
  • 人口ピラミッド
  • 散布図
  • 統計表
  • 棒グラフ・折れ線グラフ
  • 景観写真
  • 衛星画像
  • 土地利用図
  • 模式図
  • 生徒の調査メモ
  • フィールドワークの結果

などを組み合わせ、複数の情報から判断させる問題が中心となっています。

さらに、2025年度からは科目名が「地理B」から**「地理総合、地理探究」**へ変わりました。

ただし、地図・統計を読み、自然環境、産業、人口、都市、世界の諸地域、地域調査を考察するという基本構造は、2021〜2024年度から一貫しています。

今回は6年分の問題をもとに、出題傾向と具体的な勉強法を解説します。


1.6年間を通して変わらない基本構成

2021年度地理Bは、次のような構成でした。

  • 世界の自然環境
  • 産業
  • 都市と人口
  • アメリカ合衆国
  • 宮津市を対象とした地域調査

2022年度は、

  • 世界の自然環境と自然災害
  • 持続可能な資源利用
  • 村落・都市と人口
  • ラテンアメリカ
  • 苫小牧市と周辺地域の地域調査

を扱っています。

2023・2024年度も、自然環境、産業・資源、人口・都市、世界の地域地誌、日本の地域調査という枠組みを基本的に受け継いでいます。

2025・2026年度の「地理総合、地理探究」では、防災、持続可能性、地理的課題、地域間の結び付き、生活圏の調査という要素が、以前より明確に組み込まれました。

したがって、共通テスト地理の対策は大きく分けて、

  1. 自然地理
  2. 産業・資源・交通
  3. 人口・村落・都市
  4. 世界の諸地域
  5. 地理総合・防災・持続可能性
  6. 日本の地域調査

の六分野で考えると整理しやすくなります。


2.2025年度から何が変わったのか

2025年度から「地理総合、地理探究」へ移行しましたが、単に科目名が変わっただけではありません。

新課程では、従来から重視されていた資料読解に加え、

  • 地図やGISの活用
  • 国際理解
  • 地球的課題
  • 自然災害と防災
  • 持続可能な地域づくり
  • 生活圏の調査
  • 複数資料を用いた探究

が、より明確に試験へ反映されています。

2025年度の問題では、世界の分布図、地域ごとの統計、自然環境と人間活動の関係、日本の土地利用や地域課題など、多様な資料を組み合わせて判断させています。

2026年度でも、地形・気候・植生に関する写真や地図、農業や産業を示す統計、人口構造、地域間の結び付き、世界の特定地域、日本国内の地域調査などが出題されています。

一方で、旧課程の地理Bでも自然災害や持続可能性、地域調査はすでに出題されていました。

そのため、

2021〜2024年度の問題も、現在の地理探究対策として十分に利用できる

と考えてよいでしょう。

特に、統計・地図・写真の読み取り方を練習する教材として、旧課程の過去問は非常に有効です。


3.最大の特徴①「知識を直接聞かない」

共通テスト地理では、教科書知識をそのまま答えさせる問題は多くありません。

例えば、

「地中海性気候の特徴を選べ」

と単純に聞くのではなく、

  • 月別気温と降水量
  • 植生の写真
  • 農業景観
  • 河川流量
  • 世界地図上の位置

などを示し、その地域を特定させます。

受験生は、

夏に乾燥する
→地中海性気候の可能性
→亜熱帯高圧帯の影響
→オリーブやぶどうの栽培
→地中海沿岸や大陸西岸

というように、複数の知識をつながなければなりません。

同じように農業問題でも、

「アメリカでは適地適作が行われている」

と覚えるだけでは不十分です。

降水量、気温、市場への距離、土地の広さ、輸送手段などから、

なぜその地域で、その農業が行われているのか

を説明できる必要があります。


4.ただし基本知識は絶対に必要

資料問題が多いからといって、

「資料を読めれば、地理の暗記は不要」

というわけではありません。

雨温図を見ても、気候区分や大気循環の知識がなければ判断できません。

人口ピラミッドを見ても、少子高齢化、人口転換、移民、出生率などの知識がなければ、その形の背景を説明できません。

工業統計を見ても、産業構造、工業化の段階、資源分布、国際分業を知らなければ国を特定できません。

共通テスト地理で必要なのは、

知識か資料読解か

という二者択一ではなく、

知識を使った資料読解

です。

知識は選択肢を判断するための道具です。

したがって、用語を覚えるときには、単語と意味だけではなく、

  • どこで見られるか
  • なぜそこで見られるか
  • 地図やグラフではどう表れるか
  • 他地域と何が違うか

まで確認しましょう。


5.自然地理は「仕組み」で理解する

2021年度は「世界の自然環境」、2022年度は「世界の自然環境や自然災害」が第1問で扱われました。

2023〜2026年度にも、地形、気候、植生、水資源、自然災害に関する地図・グラフ・写真が継続的に登場しています。

自然地理で特に重要なのは、

  • プレート境界
  • 地震・火山
  • 造山帯
  • 河川地形
  • 海岸地形
  • 氷河地形
  • カルスト地形
  • 気温と降水
  • 大気大循環
  • 季節風
  • 海流
  • 植生・土壌
  • 洪水・干ばつ
  • 防災

です。

これらを個別の用語として暗記するのではなく、因果関係で整理してください。

例えば扇状地なら、

山地から平野へ出る
→傾斜が急に緩くなる
→河川の運搬力が低下する
→砂礫が堆積する
→水が地下へ浸透しやすい
→扇央では水田に向きにくい
→果樹園や畑が見られる

という流れです。

この仕組みを理解していれば、初めて見る地形図や土地利用図でも判断できます。


6.気候は雨温図の形を丸暗記しない

雨温図は共通テスト地理の定番資料です。

しかし、都市ごとの雨温図を画像として丸暗記する方法には限界があります。

必要なのは、次の順序で読むことです。

①最暖月・最寒月の時期を見る

北半球か南半球かを判断します。

②年較差を見る

大陸内部か沿岸部か、低緯度か高緯度かを考えます。

③降水の季節変化を見る

夏雨、冬雨、年中湿潤、年中乾燥などを判断します。

④気温と降水量を組み合わせる

熱帯雨林、サバナ、砂漠、地中海性、西岸海洋性などへ絞り込みます。

⑤緯度・海流・季節風・標高で理由を説明する

最後に位置と結び付けます。

雨温図を見て気候区分を当てるだけではなく、

なぜその気温・降水パターンになるのか

を言葉で説明できるようにしましょう。


7.自然災害と防災は新課程でも最重要

地理総合では「自然環境と防災」が明確な学習項目になっています。

2022年度には自然災害が自然環境とともに出題され、2025・2026年度でも地形・気候と人間生活、災害リスク、地域の対応を結び付ける視点が重視されています。

防災問題では、

  • どのような災害が起こるか
  • 地形や気候とどう関係するか
  • 人口・土地利用と被害がどう関係するか
  • ハザードマップから何が分かるか
  • 避難場所や避難経路が適切か
  • 防災施設だけで十分か
  • 災害後の復旧・復興をどう考えるか

が問われます。

例えば洪水であれば、降水量だけを見るのではありません。

低地の分布、河川との距離、土地の標高差、土地利用、人口密度、堤防、過去の流路などを総合的に判断する必要があります。

自然現象の大きさ=被害の大きさではない

ことも重要です。

同じ規模の災害でも、人口、建築物、防災体制、情報、貧困などによって被害は変わります。


8.地形図は「記号探し」から卒業する

共通テストでは、日本の地域調査を中心に地形図が頻繁に使われます。

地形図問題で必要なのは、地図記号の暗記だけではありません。

確認する順序は、

①方位と縮尺
②等高線
③河川・海岸線
④道路・鉄道
⑤集落の形
⑥土地利用
⑦新旧地形図の変化

です。

特に重要なのが等高線です。

等高線の間隔が狭ければ傾斜が急、広ければ緩やかです。谷では等高線が上流側へ入り込み、尾根では反対方向へ張り出します。

また、新旧地形図を比較する問題では、

  • 市街地の拡大
  • 道路や鉄道の建設
  • 河川改修
  • 海岸の埋め立て
  • 農地の減少
  • 工業団地の形成
  • 郊外住宅地の開発

などを確認します。

一つの変化だけでなく、複数の変化を関連付けて考えましょう。


9.統計問題は「順位暗記」より国の構造を見る

地理対策として、農産物や鉱産資源の生産順位を暗記している受験生は多いでしょう。

重要国を覚えること自体は必要です。

しかし、共通テストでは統計年次や品目が変えられるため、順位だけでは対応できません。

統計を読むときは、その国の構造を考えます。

例えば、

  • 国土面積
  • 人口規模
  • 一人当たり所得
  • 気候
  • 資源
  • 産業構成
  • 輸出入
  • 都市化率
  • 発展段階

です。

小麦の生産量が大きい国でも、人口が非常に多ければ輸出国とは限りません。

原油の生産量が多くても、国内消費が大きければ輸出量は相対的に少なくなることがあります。

また、

生産量・輸出量・輸入量・自給率・一人当たり量

はそれぞれ別の指標です。

設問が何を示しているのかを必ず確認してください。


10.散布図は「軸」を確認してから読む

2021〜2026年度では、複数の指標を組み合わせた散布図が数多く登場します。

散布図を見たら、すぐ点の位置を追うのではなく、最初に、

  • 横軸は何か
  • 縦軸は何か
  • 単位は何か
  • 実数か割合か
  • 対数目盛か
  • 対象年次はいつか

を確認します。

その後、

  • 右上にある国
  • 左下にある国
  • 全体の傾向から外れた国
  • 正の相関か負の相関か
  • 地域ごとのまとまり

を見ます。

例えば、一人当たり所得と都市人口率には一定の関連が見られますが、すべての国が同じ線上に並ぶわけではありません。

共通テストでは、その「外れた国」に注目させ、産油国、都市国家、農業国、人口大国などの特徴を考えさせる場合があります。


11.グラフは計算より「比較」が中心

棒グラフや折れ線グラフでは、細かい数値計算よりも変化と比較が重要です。

見るべきポイントは、

  • 増加・減少
  • 急増・急減
  • 横ばい
  • 順位の逆転
  • 時期による変化
  • 国や地域の差
  • 構成比の変化
  • 全体量と割合の違い

です。

ただし、選択肢に具体的な数値が示された場合は、簡単な割合計算が必要になることもあります。

その際も厳密な筆算を始めるのではなく、

「およそ2倍」
「半分より多い」
「全体の4分の1程度」

という概算で選択肢を絞れることが多いです。


12.産業分野は立地条件と変化を押さえる

産業は毎年重要な出題分野です。

2021年度は産業全般、2022年度は持続可能な資源利用が大きく扱われました。2023〜2026年度にも、農林水産業、資源・エネルギー、工業、流通、サービス、貿易などが形を変えて出題されています。

産業問題では、単に「何を生産しているか」だけでなく、

  • 自然条件
  • 原料
  • 労働力
  • 市場
  • 交通
  • 技術
  • 政策
  • 国際分業
  • 環境負荷
  • 時代による立地変化

を考えます。

例えば工業立地なら、

原料立地
→港湾立地
→市場立地
→高速道路・空港周辺
→研究開発型・知識集約型

という変化を理解します。

企業は単に原料の近くへ立地するのではありません。輸送費、労働費、地価、取引先、消費市場など、複数の条件を考えて立地します。


13.農業は気候だけで判断しない

農業地域を判定するとき、気候は重要です。

しかし、実際の農業は気候だけで決まりません。

  • 土壌
  • 地形
  • 水資源
  • 土地所有
  • 経営規模
  • 労働力
  • 市場との距離
  • 輸送手段
  • 政府の政策
  • 国際価格

も影響します。

同じ温帯でも、大規模な穀物農業、酪農、園芸農業、混合農業など、地域によって形態は異なります。

共通テストでは、農業景観の写真と統計、地図を組み合わせる問題が多いため、

作物名を覚えるだけでなく、その農業経営が成立する理由を理解する

ことが重要です。


14.資源・エネルギーは持続可能性まで考える

2022年度第2問では、持続可能な資源利用をテーマに探究活動が展開されました。

新課程でも資源・エネルギーは、地球的課題と結び付く重要分野です。

最低限、次の内容を整理しましょう。

  • 石炭・石油・天然ガスの分布
  • 資源輸出国と輸入国
  • 火力・水力・原子力発電
  • 太陽光・風力・地熱
  • 発電量と発電割合の違い
  • 資源価格
  • エネルギー安全保障
  • 二酸化炭素排出
  • 再生可能エネルギーの長所と課題

再生可能エネルギーなら何でも環境に優しい、と単純化してはいけません。

水力発電には地形と水量が必要であり、ダム建設の環境・社会的影響もあります。風力発電は風況のよい地域が適しますが、出力の変動や送電網などの課題があります。

共通テストでは、長所と短所の両方を資料から考えさせます。


15.人口問題は人口ピラミッドを中心に整理する

人口・村落・都市は6年間を通して重要です。

2021年度は「都市と人口」、2022年度は「村落・都市と人口」が大問として出題されました。新課程でも人口移動、少子高齢化、都市化、移民などは頻出分野です。

人口ピラミッドでは、

  • 富士山型
  • つりがね型
  • つぼ型

という名称だけで判断しないでください。

確認するのは、

  • 年少人口の幅
  • 生産年齢人口
  • 高齢人口
  • 男女差
  • 特定年齢層の膨らみ
  • 出生数の急減
  • 移民の影響
  • 戦争・飢饉などの痕跡

です。

また、人口転換について、

多産多死
→多産少死
→少産少死

という流れと、経済発展・医療・教育・女性の就業・都市化との関係を理解しましょう。


16.都市問題は先進国と発展途上国を比較する

都市問題では、先進国と発展途上国を分けて整理すると効果的です。

先進国では、

  • 郊外化
  • 都心の空洞化
  • 再都市化
  • ジェントリフィケーション
  • 高齢化
  • 商店街の衰退
  • 公共交通の維持
  • コンパクトシティ

などが重要です。

発展途上国では、

  • 急速な人口流入
  • インフォーマルセクター
  • スラム
  • 住宅不足
  • 交通渋滞
  • 上下水道不足
  • 大気汚染

などが問題となります。

ただし、現実には単純な二分法だけでは説明できません。

統計や都市図から、

その都市がどの発展段階にあり、どのような人口移動が起きているか

を判断する必要があります。


17.地域地誌は「特徴の暗記」ではなく要素を結ぶ

2021年度ではアメリカ合衆国、2022年度ではラテンアメリカが地域地誌として扱われました。

2023〜2026年度でも、特定の大陸・国家・地域について、自然環境、農業、産業、人口、民族、都市、貿易などを総合的に考える問題が出ています。

地域地誌の対策では、

「ブラジル=コーヒー」
「アメリカ=適地適作」

のような一対一の暗記では不十分です。

例えばラテンアメリカなら、

  • アンデス山脈
  • アマゾン川流域
  • 高度による気候差
  • プランテーション
  • 鉱産資源
  • 植民地支配
  • 混血
  • 大土地所有
  • 都市への人口集中
  • 経済格差
  • 地域統合

を相互に結び付けます。

地域地誌は、その地域だけの特殊事項を覚える分野ではありません。

系統地理で学んだ知識が、特定地域でどのように組み合わさっているかを見る分野

です。


18.位置関係を覚えることが地理の土台

地理では、国名を知っていても位置が分からなければ得点できません。

最低限、白地図上で、

  • 主要国
  • 主要都市
  • 山脈
  • 河川
  • 海峡・運河
  • 砂漠
  • 主要な農業地域
  • 鉱産資源地域
  • 工業地域
  • 経済圏

を確認してください。

ただし、地名だけを点として覚えるのではなく、

  • 内陸か沿岸か
  • 緯度はどのくらいか
  • 大陸の東岸か西岸か
  • 山脈の風上か風下か
  • 主要市場へ近いか
  • どの国と接しているか

という位置関係を意識します。

地理では位置そのものが、気候・産業・交通・政治を説明する情報になります。


19.地域調査は毎年対策が必要

共通テスト地理の最後に置かれることが多いのが、日本国内の地域調査です。

2021年度は京都府宮津市、2022年度は北海道苫小牧市と周辺地域が対象でした。2023年度以降も、日本の特定地域について地形図、写真、統計、土地利用、産業などを調べる形式が続いています。

地域調査では、

  • 調査地域を設定する
  • 仮説を立てる
  • 地図や統計を集める
  • 現地調査を行う
  • 聞き取りを行う
  • 結果を地図やグラフにまとめる
  • 仮説を検証する
  • 地域課題と改善策を考える

という流れが重要です。

単に地域の観光地や特産物を知っているかを問うのではありません。

限られた資料から地域の変化を読み、原因と課題を考える

ことが求められます。


20.地域調査では調査方法の適切さも問われる

地域調査問題では、調査結果だけでなく、方法の適切さが問われることがあります。

例えば商店街の利用状況を調べるなら、一つの曜日、一つの時間帯だけで結論を出すのは危険です。

必要に応じて、

  • 平日と休日
  • 朝・昼・夕方
  • 複数地点
  • 複数年代
  • 住民・観光客・事業者
  • 統計と聞き取り

を組み合わせる必要があります。

また、聞き取り調査で個人情報を扱う場合には、回答者への説明や配慮も必要です。

今後の共通テストでも、

「この仮説を検証するには、どの資料が必要か」
「この調査結果だけで結論を出せるか」

という探究型の問題は増える可能性があります。


21.複数資料問題の解き方

近年の問題では、一つの設問に地図・グラフ・文章・写真が同時に与えられます。

情報量が多いため、最初からすべてを詳しく読むと時間がかかります。

おすすめの順序は、

①設問文を読む
②何を特定する問題か確認する
③各資料のタイトル・単位・年次を見る
④必要な資料から条件を一つずつ取る
⑤条件に合わない選択肢を消す

です。

例えば四つの都市を特定する問題なら、

雨温図から二都市へ絞る
→人口統計から一都市へ絞る
→位置関係で最終確認する

というように、資料を段階的に使います。

すべての情報を一度に処理しようとしないことがポイントです。


22.選択肢は正解を探すより矛盾を消す

共通テスト地理では、正解を直接言い当てるより、条件に合わない選択肢を消す方が安定します。

選択肢を確認する観点は、

  • 位置
  • 気候
  • 地形
  • 人口規模
  • 産業構造
  • 発展段階
  • 時期
  • 統計の大小関係

です。

例えば候補国について、

「この国は南半球だから季節が逆」
「内陸国なので、この貿易港の説明は合わない」
「人口が小さい国なので総生産量がこの規模になるとは考えにくい」

というように消去します。

地理は、すべてを知っていなくても、複数の条件から正解へ近づける科目です。


23.過去問復習では「なぜ」を説明する

過去問を解いた後、

「正解は②だった。覚えておこう」

だけで終わらせてはいけません。

地理では、正解の根拠を言葉で説明する復習が重要です。

例えば、

「Aは年較差が小さく、年間を通して降水があるので、低緯度の海洋に近い地域と判断した」

「Bは高齢人口の割合が高く、年少人口が少ないため、人口減少の進む先進国型と判断した」

「Cは港湾と高速道路の両方に近く、輸入原料を利用する工業の立地に適している」

という形です。

さらに、誤答選択肢についても、

「どの条件と矛盾するか」

を確認してください。


24.目標60点なら教科書の基本原理を固める

50〜60点前後の受験生は、資料を読む以前に基本概念が不安定なことが多いです。

最初に優先するのは、

  • 世界の位置関係
  • 気候区分
  • 代表的な地形
  • 農業形態
  • 資源・工業
  • 人口転換
  • 都市化
  • 主要地域の特徴
  • 日本の地形と産業

です。

統計順位を細かく覚えるより、

「なぜこの地域は乾燥するのか」
「なぜこの国で都市人口が急増するのか」
「なぜ港の近くに工業地帯が形成されたのか」

を説明できるようにしましょう。

この段階では、教科書と地図帳を常にセットで使うことが重要です。


25.70〜80点なら初見資料の処理を強化する

70点前後の受験生は、基本知識は身に付いているものの、複数資料問題や見慣れない統計で失点しやすい傾向があります。

重点的に練習するのは、

  • 雨温図
  • 人口ピラミッド
  • 散布図
  • 統計地図
  • 新旧地形図
  • 写真判定
  • 国や都市の組合せ
  • 複数資料の統合

です。

過去問では、正解するだけでなく、

どの資料を最初に見れば、最も速く選択肢を絞れたか

まで検討してください。

解法の順番を改善すると、得点と時間の両方が安定します。


26.90点以上なら資料の条件を精密に読む

90点以上を目指す場合は、知識不足よりも読み違いが大きな敵になります。

特に注意するのは、

  • 総数と割合
  • 生産量と輸出量
  • 国内総生産と一人当たり所得
  • 人口密度と人口規模
  • 年平均と特定月
  • 増加量と増加率
  • 国全体と特定地域
  • 資料の年次

です。

また、資料にない因果関係を勝手に作らないことも重要です。

二つの数値が同時に増加していても、一方が他方の原因だとは限りません。

高得点を取るためには、

資料から直接分かる事実と、地理知識による説明を区別する

習慣が必要です。


27.60分の時間配分

地理は図表が多いため、一つの問題に時間を使い過ぎると、最後の地域調査まで十分に到達できません。

目安としては、

  • 最初の45〜50分で全問を解く
  • 残り10〜15分で見直す

という配分がおすすめです。

大問が五つなら、1大問につき8〜10分程度です。

計算や複雑な組合せ問題で迷った場合は、一度飛ばします。

見直しでは、

  • 単位
  • 年次
  • 選んだ記号
  • 「適当でないもの」かどうか
  • 組合せの対応関係

を優先して確認しましょう。


28.おすすめの過去問の使い方

6年分を一度ずつ解くだけでは、資料読解力は十分に伸びません。

おすすめは次の方法です。

1回目

60分で本番と同じ条件で解きます。

2回目

時間を気にせず、すべての図表について、タイトル・単位・年次・地域を確認します。

3回目

全選択肢について、正しい理由または誤っている理由を書きます。

4回目

関連分野を教科書・地図帳・資料集で復習します。

5回目

数週間後に再び解き、資料を暗記したからではなく、読み方を再現して正解できるか確認します。

2025・2026年度は現行課程なので最優先です。

2021〜2024年度は、系統地理、地誌、統計、地域調査の演習として使いましょう。


29.6年間から見える重要能力ランキング

必要な能力重要度
地図・分布図の読解★★★★★
統計・グラフの比較★★★★★
自然現象の因果関係★★★★★
地理的な位置関係★★★★★
基本用語・基本知識★★★★★
複数資料の統合★★★★★
人口・都市問題の理解★★★★☆
産業立地の理解★★★★★
地域地誌★★★★☆
防災・持続可能性★★★★★
地域調査の手順★★★★★
統計順位の丸暗記★★☆☆☆

この表から分かるように、地理では暗記が不要なのではありません。

ただし、細かい順位や数値の丸暗記よりも、

場所・仕組み・因果関係を理解し、資料の中で使えるようにすること

の方が重要です。


30.今後の出題で重視されそうな方向性

2025・2026年度の新課程問題から、今後の方向性はかなり明確です。

第一に、防災・地球的課題の重視です。

気候変動、自然災害、資源・エネルギー、食料、人口、都市問題などが、持続可能性と結び付けて問われるでしょう。

第二に、GIS的な資料の活用です。

複数の分布図や統計地図を重ね合わせ、地域差の原因を考える問題が増えると考えられます。

第三に、複数資料の統合です。

一つの資料から答えを出すのではなく、地図・写真・グラフ・文章を段階的に組み合わせる形式です。

第四に、探究過程の重視です。

仮説、調査方法、資料の選択、結果の解釈、追加調査、地域課題への提案などが引き続き重要になります。

第五に、知識の応用です。

教科書と同じ図や有名な統計ではなくても、基本原理を使えば判断できる問題が中心になるでしょう。


結論――共通テスト地理は「場所と理由を考える試験」

2021〜2026年度の6年分を通して見ると、共通テスト地理の攻略法は明確です。

まず、地理の基本知識を身につける。

その上で、

地図から位置関係をつかむ。
グラフの軸・単位・年次を確認する。
写真から自然環境や土地利用を読み取る。
複数資料から共通する条件を探す。
条件に合わない選択肢を消す。
地域の特徴を自然・産業・人口・歴史から説明する。

この一連の処理を身につける必要があります。

特に2025年度以降の「地理総合、地理探究」では、

現代の課題を地理的に考えること
地図やGISを使って地域差を捉えること
生活圏を調査し、持続可能な地域の在り方を考えること

がより重要になっています。

避けたい勉強法は、

統計順位と地名だけを暗記し、資料問題は過去問演習のときだけ考える

という方法です。

おすすめの学習サイクルは、

教科書で仕組みを理解する
→地図帳で位置を確認する
→資料集で統計や写真を見る
→基本問題で知識を確認する
→過去問で初見資料を読む
→全選択肢の根拠を説明する
→教科書と地図帳へ戻る

という流れです。

共通テスト地理攻略を一言で表すなら、

「どこにあるか」を覚え、「なぜそこにあるか」を考える

ことです。

気候、農業、工業、人口、都市、交通、災害は、それぞれ独立して存在しているのではありません。

自然環境が産業に影響し、産業が人口移動を生み、人口移動が都市を変え、都市の拡大が環境や災害リスクに影響します。

このつながりを地図と資料の中で発見できるようになれば、見たことのない統計や地域が出題されても、根拠を持って正解へ近づけます。

それこそが、共通テスト地理で安定して高得点を取るための最も重要な力です。

公共、政治・経済

共通テスト政治・経済の勉強について、

「用語集を暗記すれば高得点を取れる」
「政治制度と経済用語を知っていれば十分」
「計算問題は少ないから後回しでよい」

と考えている受験生は少なくありません。

もちろん、政治・経済では基本知識が不可欠です。日本国憲法、国会・内閣・裁判所、地方自治、国際政治、市場経済、金融、財政、労働、社会保障、国際経済などの知識がなければ、選択肢の正誤を判定できません。

しかし、アップロードいただいた2021〜2026年度の6年分を分析すると、共通テスト政治・経済が測っているのは、用語を知っているかどうかだけではないことが分かります。

中心となっているのは、

制度や理論の知識を、初めて見る会話文・統計・模式図・事例に適用できるか

という能力です。

実際の問題では、

  • 生徒同士の会話
  • 授業の発表資料
  • 新聞記事
  • 公開講座の資料
  • 法律や憲法の条文
  • 判例
  • 国際機関の資料
  • 統計表
  • 棒グラフ・折れ線グラフ
  • 需要・供給曲線
  • 経済循環図
  • 政策の比較表
  • 仮説とその検証
  • 生徒が作成したメモ

などが数多く使われます。

さらに2025年度からは、科目名が「政治・経済」から「公共、政治・経済」へ変わりました。

今回は2021〜2026年度の6年分から、出題傾向と具体的な対策を、政治分野・経済分野・国際分野・新課程の公共分野に分けて解説します。


1.2025年度から「公共、政治・経済」へ

2021〜2024年度は「政治・経済」、2025年度以降は「公共、政治・経済」として出題されています。

ただし、旧課程と新課程が完全に別の試験になったわけではありません。

日本国憲法、民主政治、選挙、地方自治、国際政治、市場機構、金融、財政、労働、社会保障、国際経済など、中心となる知識は共通しています。

そのため、2021〜2024年度の過去問も、現在の政治・経済部分の演習として十分に利用できます。

一方、2025・2026年度では、

  • 現実社会の具体的な課題
  • 異なる立場や価値観
  • 公共的な意思決定
  • 資料を用いた探究
  • 持続可能な社会
  • 社会参加
  • 政治・経済制度と個人の生活との関係

が以前よりも明確に意識されています。

単に「制度名を答える試験」ではなく、

その制度が現実社会でどのような役割を持ち、どのような課題があるのか

まで考えさせる方向が強まっています。


2.6年間を通して一貫する「探究型」の構成

2021年度第1問では、生徒が「望ましい社会の姿」をテーマとして、経済成長、所得分配、持続可能性を調べています。

これは共通テスト政治・経済の特徴をよく表しています。

GDPや経済成長率を知っているだけではなく、

  • 経済成長によって生活は必ず豊かになるのか
  • 所得格差をどのように把握するか
  • 経済成長と環境保全を両立できるか
  • 社会の豊かさを何で測るか

を、複数の資料から考えさせています。

2022年度では、生徒が地方自治やまちづくり、経済主体、新聞記事、住民生活の向上を目的とした政策などを調べる構成でした。

2024年度第1問では、「成人年齢の引下げと生活の変化」をテーマとする公開講座を通して、

  • 選挙
  • 住民参加
  • 裁判員・検察審査員
  • 職業選択
  • 賃金
  • 消費者としての生活

などを考えさせています。

2025・2026年度でも、授業・調査・発表・メモといった探究場面を使い、政治制度や経済現象を日常生活と結び付ける形式が継続しています。

つまり、今後の対策では、

教科書知識を覚えることと、知識を現実の事例へ当てはめること

の両方が必要です。


3.資料問題が多くても、基本知識の重要性は下がっていない

会話文や資料が増えたことから、

「問題文を読めば、知識がなくても解けるのではないか」

と思うかもしれません。

しかし、実際には知識がなければ資料の意味を判断できません。

例えば、ある制度について、

「住民が条例の制定を求める」
「議会の解散を求める」
「首長の解職を求める」

という事例が示されても、直接請求制度の種類、必要な署名数、提出先、その後の手続を知らなければ正誤を判定できません。

経済分野でも、物価と名目GDPの資料を読ませる問題では、

  • 名目GDP
  • 実質GDP
  • GDPデフレーター

の関係を知っている必要があります。

資料は知識の代わりではありません。

共通テストでは、

資料を読む
→分野を特定する
→必要な知識を呼び出す
→資料と知識を照合する
→選択肢を判定する

という処理が求められます。


4.政治分野の最重要テーマ①――日本国憲法と基本的人権

日本国憲法と基本的人権は、6年間を通じて最重要分野の一つです。

特に整理しておきたいのは、

  • 基本的人権の尊重
  • 国民主権
  • 平和主義
  • 法の下の平等
  • 自由権
  • 社会権
  • 参政権
  • 請求権
  • 新しい人権
  • 公共の福祉
  • 違憲審査制

です。

共通テストでは、「これは何権か」という単純な分類だけでなく、具体的な法律・裁判・社会問題を通して権利の意味を考えさせます。

例えば、表現の自由なら、

  • 検閲の禁止
  • 集会・結社の自由
  • 報道の自由
  • 知る権利
  • プライバシーとの調整

まで関連付ける必要があります。

新しい人権についても、環境権、プライバシー権、知る権利、自己決定権などの名称だけを覚えるのではなく、

どの憲法上の権利を根拠として主張されているか

を整理しましょう。


5.判例は「事件名と結論」だけでは足りない

政治・経済では、最高裁判所の判例がよく出題されます。

しかし、

「尊属殺重罰規定違憲判決は違憲」
「薬事法距離制限違憲判決は違憲」

という結論だけを暗記する方法では不十分です。

判例は、

①何が争われたか
②どの権利と関係するか
③裁判所はどのように判断したか
④その後、制度がどう変わったか

をセットで整理してください。

特に、

  • 尊属殺重罰規定
  • 薬事法の距離制限
  • 衆議院議員定数不均衡
  • 津地鎮祭
  • 愛媛玉串料
  • 在外邦人選挙権
  • 非嫡出子相続分
  • 再婚禁止期間
  • 砂川事件
  • 長沼ナイキ訴訟

などは、権利・制度・判決を結び付けて確認する必要があります。

共通テストでは判例名が直接書かれず、事例の説明から判断させる場合もあります。


6.政治分野の最重要テーマ②――国会・内閣・裁判所

統治機構は、政治分野の土台です。

まず三権の関係を正確に整理しましょう。

国会については、

  • 国権の最高機関
  • 唯一の立法機関
  • 二院制
  • 衆議院の優越
  • 常会・臨時会・特別会
  • 法律案・予算・条約・内閣総理大臣指名
  • 国政調査権
  • 弾劾裁判所

が重要です。

内閣については、

  • 行政権
  • 議院内閣制
  • 内閣総理大臣の指名
  • 国務大臣の任免
  • 衆議院の解散
  • 法律の執行
  • 条約の締結
  • 予算の作成
  • 連帯責任

を整理します。

裁判所では、

  • 司法権の独立
  • 三審制
  • 最高裁判所
  • 下級裁判所
  • 違憲審査権
  • 付随的違憲審査制
  • 裁判員制度
  • 検察審査会

を確認してください。

制度ごとに暗記するだけでなく、

どの機関が、どの機関をどのように抑制するか

という権力分立の関係を図にして理解すると効果的です。


7.衆議院の優越は項目ごとに区別する

頻出にもかかわらず、受験生が混同しやすいのが衆議院の優越です。

法律案、予算、条約、内閣総理大臣の指名では、両院の議決が異なった場合の処理が異なります。

また、

  • 衆議院だけが持つ内閣不信任決議権
  • 衆議院だけにある解散
  • 予算の先議権
  • 条約承認における優越

を区別する必要があります。

「衆議院の方が強い」とだけ覚えるのではなく、各項目について、

  • 両院協議会が必須か
  • 何日経過すると衆議院の議決になるか
  • 再可決に必要な多数は何か

を表にして整理しましょう。


8.選挙制度は計算・比較問題に注意する

選挙制度も頻出です。

最低限、

  • 小選挙区制
  • 大選挙区制
  • 比例代表制
  • 小選挙区比例代表並立制
  • 一票の格差
  • 普通選挙
  • 直接選挙
  • 秘密選挙
  • 平等選挙

を整理します。

制度の特徴については、

小選挙区制
→大政党に有利、政権が安定しやすい、死票が多くなりやすい

比例代表制
→民意を反映しやすい、小党も議席を得やすい、政党が分立しやすい

という基本比較が重要です。

比例代表制では、得票率や議席配分を題材とした簡単な計算が出る可能性があります。

計算そのものは難しくありませんが、資料の条件を正確に読む力が必要です。


9.地方自治は新課程の「公共」と特に相性がよい

2022年度ではまちづくり、2024年度では住民参加が扱われているように、地方自治は身近な社会参加を考えさせやすい分野です。

重要事項は、

  • 地方自治の本旨
  • 団体自治
  • 住民自治
  • 首長と議会の二元代表制
  • 条例
  • 地方税
  • 地方交付税交付金
  • 国庫支出金
  • 直接請求
  • 住民投票
  • 地方分権改革

です。

直接請求制度では、

  • 条例の制定・改廃
  • 監査請求
  • 議会の解散
  • 議員・首長の解職

について、署名数、提出先、最終的な手続を整理します。

地方財政では、自主財源と依存財源の区別も重要です。

新課程では、地域課題に対する住民・自治体・企業・NPOの役割を考える問題が増える可能性があります。


10.経済分野の最重要テーマ①――市場機構

市場経済は、経済分野全体の基礎です。

理解すべき中心概念は、

  • 需要
  • 供給
  • 均衡価格
  • 均衡取引量
  • 需要曲線
  • 供給曲線
  • 価格弾力性
  • 消費者余剰
  • 生産者余剰
  • 市場の失敗

です。

共通テストでは、需要・供給曲線を示して、

  • 所得の増加
  • 原材料価格の上昇
  • 技術革新
  • 補助金
  • 課税
  • 輸入解禁
  • 代替財の価格変化

などによって曲線がどちらへ移動するかを判断させます。

ここで最も重要なのは、

価格が変わったことによる曲線上の移動と、価格以外の条件による曲線そのものの移動を区別すること

です。

例えば商品の価格が上昇すれば、通常は需要曲線上を移動して需要量が減ります。

一方、消費者の所得や嗜好が変化すれば、需要曲線そのものが移動します。


11.市場の失敗は具体例と結び付ける

市場に任せるだけでは望ましい資源配分にならない状態を、市場の失敗といいます。

代表例は、

  • 公共財
  • 外部経済・外部不経済
  • 情報の非対称性
  • 独占・寡占
  • 所得格差

です。

用語だけでなく、具体例を確認しましょう。

工場の公害
→第三者に損失を与える外部不経済

予防接種
→本人以外にも利益を与える外部経済

国防や街灯
→非排除性・非競合性を持つ公共財

中古車市場や保険
→情報の非対称性

という対応です。

また、市場の失敗に対して政府が、

  • 規制
  • 課税
  • 補助金
  • 情報公開
  • 公共サービスの提供

などを行う理由も考えられるようにしてください。


12.GDPは実質・名目・一人当たりを区別する

GDPは6年間を通して重要な経済指標です。

覚えるべき基本は、

GDP
=一定期間に国内で生産された付加価値の合計

という定義です。

特に区別したいのは、

  • 名目GDP
  • 実質GDP
  • GDPデフレーター
  • 経済成長率
  • 一人当たりGDP
  • GNI

です。

名目GDPはその年の価格で計算し、実質GDPは基準年の価格を用いて物価変動の影響を除きます。

GDPデフレーターは、基本的に、

GDPデフレーター = 名目GDP ÷ 実質GDP × 100

で求めます。

2024年度でもGDPデフレーターを題材とした資料問題が見られました。

共通テストでは高度な数学は必要ありませんが、割合、変化率、指数を正確に処理する必要があります。


13.経済成長と豊かさを同一視しない

2021年度の「望ましい社会の姿」が示すように、GDPが増えれば社会のすべての問題が解決するわけではありません。

GDPには、

  • 家事労働
  • ボランティア
  • 余暇
  • 環境悪化
  • 所得分配
  • 生活の安全
  • 主観的幸福

などが十分に反映されません。

そのため、共通テストではGDPとともに、所得格差、環境、社会保障、生活の質などの資料を比較させることがあります。

資料を見るときは、

その指標が何を測れて、何を測れないか

を考えることが重要です。


14.金融分野は日本銀行の政策手段を整理する

金融も頻出分野です。

重要事項は、

  • 日本銀行
  • 発券銀行
  • 銀行の銀行
  • 政府の銀行
  • 金融政策
  • 公開市場操作
  • 政策金利
  • 預金通貨
  • 信用創造
  • マネーストック
  • インフレーション
  • デフレーション

です。

金融緩和では一般に、市中へ資金を供給し、金利を低下させ、企業の投資や家計の消費を促します。

金融引締めではその逆を目指します。

暗記するときは、

中央銀行が国債を買う
→市場へ資金が供給される
→金利が低下しやすい
→投資・消費を刺激する

という流れで理解してください。

「買いオペは金融緩和」と結論だけを覚えるより、因果関係を追える方が資料問題に強くなります。


15.財政は歳入・歳出と景気対策をつなぐ

財政分野では、

  • 租税
  • 国債
  • 一般会計
  • 特別会計
  • 財政投融資
  • 累進課税
  • 直接税・間接税
  • 自動安定化装置
  • 財政政策
  • プライマリーバランス
  • 財政赤字

を整理します。

景気後退期には、政府支出の拡大や減税によって総需要を増やす政策が考えられます。

景気過熱期には、政府支出の抑制や増税によって総需要を抑える方向が考えられます。

また、所得税の累進課税や失業給付は、景気変動を自動的に緩和するビルト・イン・スタビライザーとして機能します。

財政問題では、歳入・歳出の円グラフや推移を示す折れ線グラフが出題されるため、数値だけでなく構成比の変化も確認しましょう。


16.物価・景気・雇用を一つの流れで理解する

2021年度第3問では、現代の経済状況として雇用や物価などが扱われました。

経済分野では、それぞれを別々に覚えず、

景気
→企業収益
→設備投資
→雇用
→賃金
→消費
→物価

というつながりを理解することが重要です。

インフレーションについても、

  • 需要インフレ
  • コストプッシュ・インフレ
  • 貨幣価値の低下
  • 債務者・債権者への影響

まで整理します。

失業では、

  • 摩擦的失業
  • 構造的失業
  • 循環的失業
  • 完全失業率

を区別しましょう。

完全失業率の分母は総人口ではなく、労働力人口です。


17.労働分野は法律と現実の統計を結び付ける

労働問題も、公共と政治・経済を接続しやすい重要テーマです。

最低限、

  • 労働基本権
  • 団結権
  • 団体交渉権
  • 団体行動権
  • 労働基準法
  • 労働組合法
  • 労働関係調整法
  • 最低賃金制度
  • 男女雇用機会均等法
  • 育児・介護休業法
  • 非正規雇用
  • 同一労働同一賃金

を整理します。

2024年度では、成人後の生活や職業選択、賃金などを通して、労働者としての生活が扱われています。

労働分野では法律名だけでなく、

  • 正規・非正規雇用の割合
  • 男女の賃金格差
  • 労働時間
  • 失業率
  • 労働組合組織率

などのグラフを読む力が必要です。


18.社会保障は四つの柱から整理する

社会保障は、

  • 社会保険
  • 公的扶助
  • 社会福祉
  • 公衆衛生

の四つに整理します。

社会保険には、

  • 医療保険
  • 年金保険
  • 雇用保険
  • 労災保険
  • 介護保険

があります。

生活保護は公的扶助であり、社会保険ではありません。

また、

  • 少子高齢化
  • 現役世代の負担
  • 世代間格差
  • 社会保障給付費
  • 国民負担率
  • 財源

なども資料問題の題材になります。

制度名だけを暗記するのではなく、

誰が保険料・税を負担し、誰が給付を受けるのか

を考えましょう。


19.国際政治は国際機関の役割を比較する

国際政治では、

  • 国際連合
  • 安全保障理事会
  • 総会
  • 国際司法裁判所
  • 国際刑事裁判所
  • PKO
  • 集団安全保障
  • 集団的自衛権
  • 核軍縮
  • 難民
  • 人権保障

などが重要です。

2024年度第4問では、「国際社会における日本の立場と役割」をテーマに、国際経済、ODA、国際法、宇宙に関する国際的ルールなどが扱われました。

国際機関については、名称と本部所在地を覚えるだけでは足りません。

  • 加盟主体は国家か
  • 強制力があるか
  • 常任理事国の拒否権があるか
  • 個人を裁くのか国家間紛争を扱うのか
  • 国連の機関か独立した条約機関か

を比較してください。


20.国際経済は為替・貿易・国際収支が中心

国際経済では、

  • 比較生産費説
  • 自由貿易
  • 保護貿易
  • WTO
  • EPA・FTA
  • 為替相場
  • 円高・円安
  • 国際収支
  • 貿易収支
  • 所得収支
  • 経常収支
  • 多国籍企業
  • 経済統合

が重要です。

為替問題では、用語暗記よりも具体例で考えましょう。

円高
→同じ1ドルを得るために必要な円が少なくなる
→輸入品は安くなりやすい
→日本からの輸出品は海外で高くなりやすい
→海外旅行はしやすくなる

円安では基本的に逆です。

ただし、現実の企業行動や物価は為替だけで決まるわけではありません。

共通テストでは、資料から直接分かることと一般論を区別する必要があります。


21.統計問題は「タイトル・単位・年次」を最初に見る

政治・経済では、多くの統計資料が使われます。

資料を見たら、最初に確認するのは、

①何を示した資料か
②単位は何か
③実数か割合か
④対象国・対象者は誰か
⑤年次はいつか

です。

例えば「社会保障給付費が増えた」という資料でも、

  • 総額
  • GDP比
  • 国民一人当たり
  • 高齢者向け給付の割合

では意味が異なります。

また、複数の国を比較する資料では、人口規模の違いにも注意が必要です。

総額が大きいから制度が充実しているとは限りません。一人当たりやGDP比で見る必要がある場合があります。


22.計算問題は捨てず、基本式を練習する

政治・経済の計算問題は、数学としては難しくありません。

しかし、準備をしていない受験生は、式の意味を理解できずに失点します。

練習すべき代表例は、

  • GDPデフレーター
  • 経済成長率
  • 物価指数
  • 完全失業率
  • 預金通貨・信用創造
  • 比例代表の議席配分
  • 税率・税負担
  • 為替換算
  • 比較生産費

です。

例えば完全失業率は、

完全失業率 = 完全失業者数 ÷ 労働力人口 × 100

です。

経済成長率は、

経済成長率 =(今年の実質GDP − 前年の実質GDP)÷ 前年の実質GDP × 100

です。

公式だけでなく、分母が何になるのかを正確に確認してください。


23.会話文は全部を同じ強さで読まない

共通テストでは、生徒同士の長い会話が多く使われます。

しかし、会話文のすべてが解答に必要とは限りません。

最初に設問を確認し、

  • どの下線部について聞かれているか
  • どの資料を使うか
  • 空欄に制度名を入れるのか
  • 正誤を判断するのか
  • 組合せを選ぶのか

を把握しましょう。

会話文では、

「つまり」
「一方で」
「しかし」
「この資料から」
「では、この場合は」

などの表現に注目すると、議論の転換点を見つけやすくなります。


24.選択肢は一文を分解して判断する

政治・経済の誤答選択肢には、前半は正しいが後半が誤っているものが多くあります。

選択肢を、

  • 主体
  • 対象
  • 条件
  • 手続
  • 数字
  • 結果

に分けて確認してください。

例えば、

「内閣総理大臣が国会を解散する」

という文章は、「国会全体」ではなく「衆議院」でなければなりません。

「国際司法裁判所が個人の戦争犯罪を裁く」

という文章では、主体と対象が誤っています。

知っている用語が含まれているだけで正しいと判断しないことが重要です。


25.過去問復習では4択すべてを訂正する

過去問を解いた後に正解番号だけを確認しても、得点力は十分に伸びません。

おすすめは、すべての選択肢について、

  • 正しい理由
  • 誤っている部分
  • 正しく直した文章
  • 関連する制度や用語

を確認することです。

例えば、

①× 参議院ではなく衆議院
②○
③× 国際司法裁判所ではなく国際刑事裁判所
④× 金融引締めではなく金融緩和

という形で訂正します。

政治・経済は選択肢の誤り方が典型的なので、全選択肢を復習すると判定速度が上がります。


26.目標60点なら、政治・経済の基本骨格を完成させる

50〜60点前後の受験生は、資料読解より先に基本知識の穴を埋める必要があります。

優先するのは、

  • 日本国憲法
  • 基本的人権
  • 国会・内閣・裁判所
  • 選挙・地方自治
  • 需要・供給
  • GDP
  • 金融・財政
  • 労働・社会保障
  • 国際連合
  • 為替・貿易

です。

まず教科書の太字語句について、一文で説明できる状態を目指してください。

細かい統計数値や例外的な制度を大量に覚えるより、中心制度の違いを正確に理解することが優先です。


27.70〜80点なら、資料と制度を結び付ける

70点台まで来ると、有名用語はかなり覚えているはずです。

ここから差がつくのは、

  • 統計資料の読み取り
  • 制度間の比較
  • 判例の論点
  • 経済の因果関係
  • 計算問題
  • 国際機関の区別

です。

過去問を解くときは、

この資料は、教科書のどの制度・理論を使わせるために置かれているのか

を考えてください。

GDPのグラフなら名目・実質・物価、雇用統計なら労働力人口と失業率、地方財政なら自主財源と依存財源、というように資料を知識へ翻訳します。


28.90点以上なら、表現の精度と処理速度を高める

90点以上を目指す段階では、

「知らなかった」

という失点より、

  • 条件を読み落とした
  • 主体を取り違えた
  • 年次を見落とした
  • 総額と割合を混同した
  • 正しい一般論を資料の結論だと思った
  • 選択肢の後半を確認しなかった

という失点が増えます。

必要なのは、より細かい用語を無制限に覚えることではありません。

制度・主体・数字・因果関係を、根拠を持って判定する精度

を高めることです。

計算問題を後回しにせず、短時間で処理できるようにしておくことも重要です。


29.60分の時間配分

政治・経済は、知識が安定していれば極端な時間不足にはなりにくい科目です。

ただし、近年は会話文と統計資料が多いため、最初からすべてを精読すると時間を失います。

目安は、

  • 最初の45〜50分で全問を解く
  • 残り10〜15分で見直す

という配分です。

一問で長く止まった場合は、印を付けて先へ進みましょう。

見直しでは、

  • 「適当でないもの」を選ぶ問題か
  • 組合せを正しくマークしたか
  • 計算の分母を間違えていないか
  • 資料の年次・単位を見落としていないか

を確認します。


30.6年分のおすすめの使い方

過去問は一度解いて終わりにしないでください。

おすすめは次の四段階です。

1回目

60分で本番と同じように解きます。

2回目

時間を気にせず、会話文・資料・選択肢を詳しく分析します。

3回目

誤答選択肢をすべて正しい文章へ直し、関連分野を教科書で復習します。

4回目

数週間後にもう一度解き、正解番号ではなく根拠を再現できるか確認します。

2025・2026年度は現行課程なので最優先です。

2021〜2024年度は、政治・経済部分の知識と資料読解の演習として利用しましょう。


31.6年間から見える重要能力ランキング

必要な能力重要度
政治・経済の基本知識★★★★★
制度の比較★★★★★
統計・グラフの読解★★★★★
選択肢の誤り発見★★★★★
経済の因果関係★★★★★
憲法・判例の理解★★★★★
計算処理★★★★☆
国際機関の区別★★★★☆
現実社会への応用★★★★★
細かい統計数値の暗記★★☆☆☆

ここから分かるのは、

政治・経済は暗記科目ではあるが、暗記だけの科目ではない

ということです。

制度・用語を覚えることは出発点です。

その知識を初めて見る事例や資料へ適用できなければ、安定した高得点にはつながりません。


32.今後の出題で重視される方向性

2025・2026年度の新課程問題から、今後の方向性はかなり明確です。

第一に、公共と政治・経済の融合です。

政治制度、労働、消費者、社会保障、地域社会などが、個人の生活や社会参加と結び付けて問われます。

第二に、複数資料の統合です。

文章、統計、模式図、制度の説明を組み合わせ、一つの結論を導く問題が増えるでしょう。

第三に、現代的課題です。

少子高齢化、財政、格差、環境、エネルギー、国際協力、情報社会、持続可能性などが重要になります。

第四に、異なる立場の比較です。

政府、企業、労働者、消費者、住民、国際機関などの立場を区別し、利害を調整する仕組みが問われます。

第五に、資料を批判的に読む力です。

一つの統計だけで結論を出せるのか、別の指標も必要ではないか、因果関係を本当に示しているか、といった視点が重要になります。


結論――共通テスト政治・経済は「知識を社会の中で使う試験」

2021〜2026年度の6年分を通して見ると、共通テスト政治・経済の攻略法は明確です。

まず基本知識を身につける。

その上で、

資料が扱う分野を特定する。
制度の主体・対象・手続を確認する。
グラフの単位・年次・割合を読む。
経済現象の因果関係をたどる。
資料から言えることと一般論を区別する。
選択肢の誤りを根拠を持って消す。

この処理を身につける必要があります。

特に2025年度以降の「公共、政治・経済」では、

制度を知っているか

だけでなく、

その制度が自分たちの生活や社会の課題とどう関係しているか

を考えることが重要です。

避けたい勉強法は、

用語集だけを何周もして、統計・計算・事例問題は直前に少し練習する

という方法です。

おすすめの学習サイクルは、

教科書で制度と理論を理解する
→用語集で知識を確認する
→資料集で統計・判例・国際機関を補強する
→基本的な計算を練習する
→過去問で知識を使う
→全選択肢を訂正する
→教科書へ戻る

という流れです。

共通テスト政治・経済攻略を一言で表すなら、

「覚えた制度を、現実社会の中で使えるようにする」

ことです。

国会、金融政策、社会保障、為替相場などを、単なる試験用語として覚えるのではありません。

「誰が決定するのか」
「誰が負担するのか」
「誰が利益を得るのか」
「どのような副作用があるのか」
「別の立場から見たらどう評価できるのか」

まで考えられるようになったとき、初めて見る資料や社会問題が出題されても、根拠を持って正解へ到達できるようになります。

公共、倫理

共通テスト倫理の勉強について、

「思想家と用語を一問一答で覚えればよい」
「人物名と主著を組み合わせて暗記すれば得点できる」
「倫理は国語のように文章を読めば解ける」

と考えている受験生は少なくありません。

もちろん、倫理では思想家・用語・著書についての基本知識が必要です。

ソクラテス、プラトン、孔子、ブッダ、親鸞、カント、ベンサム、キルケゴール、サルトルなどの思想を知らなければ、選択肢を正確に判定できません。

しかし、アップロードいただいた2021〜2026年度の6年分を分析すると、共通テスト倫理で求められているのは、思想家の名前を暗記することだけではないと分かります。

中心となっているのは、

思想家の考え方を理解し、初めて見る文章や現代社会の問題へ適用できるか

という能力です。

実際の問題には、

  • 高校生同士の会話
  • 授業中の議論
  • 生徒の発表
  • 思想家の原典資料
  • 複数の思想の比較
  • 芸術作品や写真
  • 統計資料
  • 青年期の心理
  • 高齢化や孤立
  • 生命・環境・情報をめぐる問題
  • 現代社会の具体的な事例

などが登場します。

さらに2025年度からは、科目名が「倫理」から「公共、倫理」へ変わりました。

今回は、2021・2022・2024年度の本試験、2023年度の追試験、2025・2026年度の「公共、倫理」をもとに、出題傾向と具体的な学習方法を解説します。


1.2025年度から「公共、倫理」へ

2021〜2024年度は「倫理」、2025年度以降は「公共、倫理」として出題されています。

ただし、新課程になっても、

  • 青年期
  • 源流思想
  • 日本思想
  • 西洋近現代思想
  • 現代の倫理的課題

という倫理の中心分野がなくなったわけではありません。

そのため、2021〜2024年度の問題も、倫理分野の対策として十分に利用できます。

一方、2025・2026年度では、

  • 個人と社会の関係
  • 公共的な空間
  • 対話と合意形成
  • 自由・公正・正義
  • 社会参加
  • 現代的な倫理問題
  • 複数の立場を比較する探究

が以前より強く意識されています。

単に、

「カントは何を主張したか」

と聞くのではなく、

カントの考え方を用いると、現代の問題をどのように考えられるか

まで求める方向が強まっているのです。


2.2023年度は追試験である点に注意

今回の6年分のうち、2023年度のPDFは本試験ではなく追試験です。

したがって、年度間で平均点や難易度を比較する場合には注意が必要です。

ただし、追試験でも、

  • 会話文を入口にする
  • 各時代の思想を横断する
  • 現代的な課題と結び付ける
  • 思想内容の正確な理解を問う

という共通テスト倫理の基本的な出題方針は同じです。

演習教材としては非常に有効です。

特に、本試験の問題を覚えてしまった受験生が、初見資料への対応力を確認するために利用できます。


3.最大の特徴①――日常的なテーマから思想史へ展開する

共通テスト倫理では、抽象的な思想をいきなり説明するのではなく、高校生に身近な話題を入口にすることが多くあります。

2021年度第1問は「恥」がテーマでした。

高校生が発表の準備を怠ったことを恥ずかしく感じたという会話から、

  • 他者の目
  • 共同体
  • 理想的な生き方
  • 内面的な良心
  • 自己評価

などへ話が広がります。

2022年度第1問では、友人との言い争いをきっかけに「真理」や議論の在り方が扱われました。

2023年度追試験第1問では、倒れている高齢者へ声を掛けるか迷ったという事例から、

  • 善い行為
  • 実践
  • 行為の結果
  • 義務
  • 道徳的判断

などが問われています。

この形式に対応するには、思想家の言葉を暗記するだけでなく、

日常のどのような場面に、その思想が関係するのか

を考える必要があります。


4.最大の特徴②――一つのテーマで複数の思想家を横断する

共通テスト倫理では、思想史が人物別に分断されていません。

2021年度第3問では、「良心」をテーマとして、西洋近現代思想の流れをたどっています。

ルターの信仰と良心から始まり、デカルト、スピノザなどへ展開し、人間が悪を避ける根拠をどこに求めるかを比較させています。

2023年度追試験第3問では、「社会」をテーマとして、

  • エラスムス
  • トマス・モア
  • 社会契約思想
  • 近代社会思想
  • 現代社会をめぐる考え方

などを関連付けています。

つまり、教科書を、

「ソクラテスのページ」
「カントのページ」
「サルトルのページ」

と個別に覚えるだけでは不十分です。

  • 幸福
  • 正義
  • 自由
  • 良心
  • 真理
  • 社会
  • 他者
  • 労働
  • 宗教
  • 生と死
  • 責任

といったテーマで思想家を比較する必要があります。


5.人物名・用語・文章を三点セットで覚える

倫理の基本知識は、

人物名+重要用語+その用語の説明

を一組にして覚えてください。

例えば、

ソクラテス
→無知の知
→自分が知らないことを自覚し、対話を通じて真理を探究する

プラトン
→イデア
→感覚世界を超えた、真に実在する普遍的本質

アリストテレス
→中庸
→過剰と不足を避け、状況に応じた適切さを実践する徳

カント
→定言命法
→条件や結果に左右されず、無条件に従うべき道徳法則

ベンサム
→功利主義
→できるだけ多くの人の幸福を実現しようとする立場

という形です。

用語だけ覚えても、原典風の文章から思想家を特定できません。

反対に説明だけを曖昧に覚えると、似た思想家との区別ができなくなります。


6.原典資料は一字一句を訳そうとしない

共通テスト倫理では、教科書にそのまま載っていない文章や、思想家の著作を要約・翻訳した資料が使われます。

このとき、一字一句を完全に理解しようとすると時間がかかります。

まず確認するのは、

①誰が書いた文章か
②何を問題にしているか
③何と何を対比しているか
④どの語句が繰り返されているか
⑤結論はどこか

です。

例えば文章中に、

「義務」
「普遍的法則」
「人格を目的として扱う」

という表現があれば、カントとの関連が考えられます。

「快楽」
「幸福の総量」
「最大多数」

なら、功利主義を疑います。

「主体的選択」
「不安」
「実存」

なら、実存主義との関係を考えます。

資料をすべて理解してから知識を思い出すのではなく、

文章中の特徴語を、思想家を検索する手掛かりとして使う

ことが重要です。


7.源流思想は「人間観」の違いを押さえる

源流思想では、

  • 古代ギリシア思想
  • ユダヤ教
  • キリスト教
  • イスラーム
  • 古代インド思想
  • 仏教
  • 中国思想

が中心です。

ここでは人物名だけでなく、それぞれが人間や世界をどう捉えたかを比較してください。

古代ギリシア思想では、

  • ソフィスト
  • ソクラテス
  • プラトン
  • アリストテレス
  • ストア派
  • エピクロス派

の違いが重要です。

特にストア派のアパテイアと、エピクロス派のアタラクシアを混同しないようにしましょう。

どちらも平静な心を重視しますが、その思想的背景と到達方法が異なります。

キリスト教では、

  • 原罪
  • 贖罪
  • 隣人愛
  • アガペー
  • 信仰
  • 恩寵

を、イエス、パウロ、アウグスティヌス、トマス・アクィナスなどと結び付けて整理します。


8.仏教思想は用語のつながりを理解する

仏教は、日本思想にもつながる最重要分野です。

2023年度追試験第2問では、「縁」を入口として仏教の縁起や人間関係を考えています。

仏教では、

  • 四法印
  • 四諦
  • 八正道
  • 縁起
  • 無常
  • 無我
  • 慈悲
  • 中道

をばらばらに覚えないことが大切です。

例えば縁起とは、すべてのものが原因と条件によって成立し、独立した固定的実体を持たないという考え方です。

そこから、

縁起
→固定した自己は存在しない
→無我
→あらゆるものは変化する
→無常
→執着によって苦が生じる

という関係を理解できます。

大乗仏教では、個人の解脱だけでなく、菩薩による衆生救済が重視されることも押さえましょう。


9.中国思想は「理想の人間」と「政治」を比較する

中国思想では、

  • 孔子
  • 孟子
  • 荀子
  • 老子
  • 荘子
  • 墨子
  • 韓非子
  • 朱子
  • 王陽明

などが頻出です。

儒家では、仁・礼・徳・孝などの関係を整理します。

孔子
→仁と礼、君子

孟子
→性善説、四端、王道政治

荀子
→性悪説、礼による教育

という基本比較が重要です。

老荘思想では、人為的な価値判断や制度から距離を取り、自然に即して生きる姿勢が重視されます。

墨子は兼愛と非攻、韓非子は法による統治を説きました。

選択肢では、主張だけを別の思想家へ入れ替える誤りが頻繁に使われます。


10.日本思想は外来思想の受容と変容を見る

日本思想では、

  • 古代日本人の自然観・倫理観
  • 神仏習合
  • 鎌倉仏教
  • 儒学
  • 国学
  • 町人思想
  • 幕末思想
  • 近代日本思想

を学びます。

2021年度第2問では、「日本における時間の捉え方と人生観・世界観」がテーマとなり、『古事記』などを通して古代から日本思想を考えさせています。

2022年度第2問では、「理想」をめぐる日本思想が扱われました。

日本思想を学ぶときは、

中国・インド・西洋から入った思想を、日本人がどのように受け止め、変化させたか

という視点が重要です。

例えば仏教は、神道や日本人の死生観と関係しながら受容されました。

儒学も、江戸幕府の身分秩序や政治、町人の生活倫理と結び付きました。


11.鎌倉仏教は「救いの方法」を比較する

鎌倉仏教は頻出です。

法然
→専修念仏

親鸞
→絶対他力、悪人正機

一遍
→踊念仏

栄西
→臨済宗、公案

道元
→曹洞宗、只管打坐、修証一等

日蓮
→題目、法華経

という基本知識を整理します。

しかし、名称だけではなく、

  • 誰を救済対象としたか
  • 自力か他力か
  • 念仏・坐禅・題目のどれを重視したか
  • 修行と悟りをどう捉えたか

まで比較しましょう。

親鸞と法然、栄西と道元など、近い思想家の違いが特に重要です。


12.近世日本思想は朱子学だけで終わらせない

江戸時代では、

  • 朱子学
  • 陽明学
  • 古学
  • 国学
  • 町人思想
  • 民衆思想

が問われます。

朱子学では、理気二元論、居敬窮理、大義名分論などが重要です。

陽明学では、心即理、致良知、知行合一を押さえます。

古学では、山鹿素行、伊藤仁斎、荻生徂徠の違いを整理してください。

国学では、

  • 賀茂真淵
  • 本居宣長
  • 平田篤胤

を、古道、もののあはれ、漢意などと結び付けます。

町人思想では、石田梅岩の心学や、二宮尊徳の報徳思想も確認しましょう。


13.西洋近代思想は「何を確実な根拠としたか」を見る

近代西洋思想では、合理論と経験論の比較が基本です。

合理論では、

  • デカルト
  • スピノザ
  • ライプニッツ

経験論では、

  • ベーコン
  • ロック
  • バークリー
  • ヒューム

を整理します。

重要なのは、

正しい知識の根拠を、理性に置くのか経験に置くのか

という違いです。

デカルトは方法的懐疑を通して、「われ思う、ゆえにわれあり」に確実性を求めました。

ベーコンは、イドラを排除し、観察と実験から一般法則へ進む帰納法を重視しました。

ロックは人間の精神を白紙と捉え、知識が経験から生じると考えました。

用語を個別に覚えるのではなく、同じ問いに対する異なる答えとして比較してください。


14.カントは共通テスト倫理の最重要思想家

カントは、認識論と倫理学の両面で非常に重要です。

認識論では、合理論と経験論を統合し、認識する主体の働きを重視しました。

倫理学では、

  • 善意志
  • 義務
  • 定言命法
  • 自律
  • 人格
  • 目的の王国

が中心です。

特に、

「自分が採用する行為のルールが、すべての人に通用する普遍的法則となり得るか」

と考える点が重要です。

また、人間を単なる手段としてではなく、同時に目的として扱うべきだとしました。

カントの問題では、

  • 行為の結果
  • 個人的な感情
  • 社会的評価

よりも、義務と普遍性を重視する点を見抜きましょう。


15.功利主義は「結果を重視する思想」として理解する

功利主義では、

ベンサム
→量的功利主義、最大多数の最大幸福

J.S.ミル
→質的功利主義、自由の尊重

という違いが重要です。

功利主義は、行為や制度を、その結果として生じる幸福や効用によって評価します。

カントが動機や義務、普遍的法則を重視するのに対して、功利主義は結果を重視するという対比が頻出です。

ただし、ミルは快楽の量だけでなく質の違いも認めました。

また、個人の自由は、他者へ危害を与えない限り尊重されるべきだという危害原則も押さえましょう。


16.社会契約思想は自然状態と抵抗権を比較する

ホッブズ、ロック、ルソーは頻繁に比較されます。

ホッブズ
→自然状態は万人の万人に対する闘争
→強力な主権国家

ロック
→自然権を持つ比較的平和な自然状態
→政府は権利保障のために成立
→抵抗権

ルソー
→一般意志
→人民主権
→直接民主制

という違いを整理してください。

三人とも社会契約を説いたから同じ、ではありません。

  • 自然状態をどう評価したか
  • 人間は何を国家へ委ねたか
  • 主権は誰にあるか
  • 政府への抵抗を認めるか

を比較する必要があります。


17.実存主義は「主体的に生きる」とは何かを考える

実存主義は、青年期や現代社会の問題と結び付きやすい分野です。

キルケゴール
→主体的真理、単独者、実存の三段階

ニーチェ
→神は死んだ、ニヒリズム、超人

ヤスパース
→限界状況、実存的交わり

ハイデガー
→死への存在、本来的実存

サルトル
→実存は本質に先立つ、自由、アンガージュマン

を整理します。

共通するのは、抽象的な人間一般ではなく、一人ひとりが現実の状況でどのように生きるかを問題にした点です。

ただし、各思想家が自由・不安・死・他者・宗教をどのように捉えたかは異なります。


18.青年期は心理学者と発達課題を結び付ける

青年期は倫理独自の重要分野です。

頻出人物・用語は、

  • ルソーの第二の誕生
  • ホールの疾風怒濤
  • レヴィンのマージナル・マン
  • エリクソンのアイデンティティ
  • マズローの欲求階層
  • フロイトの無意識・自我・超自我
  • ユングの集合的無意識
  • 防衛機制
  • モラトリアム

などです。

人物名と用語を覚えるだけでなく、具体的な高校生の事例と結び付けて判断できるようにしてください。

例えば、

「進路を決められず、社会的責任を猶予された状態」

ならモラトリアム、

「受け入れがたい感情を他人が持っていると思う」

なら投影、

というように事例化して覚えます。


19.他者・共同体・社会は新課程で一層重要になる

2021年度の「恥」、2023年度追試験の「社会」や「高齢者の孤立」は、個人と他者・共同体の関係を扱っています。

2023年度追試験第4問では、高齢者の孤立や中高年のひきこもりを題材に、社会全体で人を支えることの意味を考えさせました。

新課程の「公共、倫理」では、

  • 個人の自由
  • 他者への責任
  • 公共性
  • コミュニケーション
  • ケア
  • 承認
  • 社会的連帯
  • 公正な制度

などがさらに重要になります。

思想家の知識を、

孤立、差別、格差、支援、対話などの問題にどう生かせるか

まで考えましょう。


20.生命倫理は立場の違いを整理する

現代倫理では、生命倫理が頻出です。

重要テーマは、

  • インフォームド・コンセント
  • パターナリズム
  • 患者の自己決定
  • 脳死
  • 臓器移植
  • 生殖補助医療
  • 遺伝子診断・遺伝子操作
  • 終末期医療
  • 尊厳死
  • 安楽死
  • QOL

です。

これらは単純な賛成・反対では整理できません。

例えば生命維持治療をめぐっては、

  • 生命の尊重
  • 患者の自己決定
  • 家族の意向
  • 医療者の責任
  • 意思確認の方法

など、複数の価値が関係します。

共通テストでは、どの立場が絶対に正しいかではなく、

それぞれの立場が、どの価値を優先しているか

を見抜くことが大切です。


21.環境倫理は人間中心主義だけで考えない

2022年度第4問では「未来世代に対する責任」が取り上げられました。

現在の人々が便利さを求める一方で、将来世代へ環境負荷や資源枯渇を残す可能性があります。

環境倫理では、

  • 世代間倫理
  • 持続可能性
  • 人間中心主義
  • 生態系全体の価値
  • 自然の権利
  • 環境正義
  • 予防原則

を整理します。

未来世代は現在の意思決定に参加できません。

そのため、現在世代が未来世代の利益をどのように考慮するかが問題になります。

ヨナスの責任倫理なども、科学技術が将来へ及ぼす巨大な影響との関係で理解しましょう。


22.情報倫理では自由と責任の両方を見る

「公共、倫理」では、情報社会の問題も重要です。

  • プライバシー
  • 個人情報
  • 表現の自由
  • 知る権利
  • フェイクニュース
  • フィルターバブル
  • デジタル・デバイド
  • AI
  • アルゴリズムによる判断
  • 情報発信者の責任

などを確認してください。

2021年度第4問では、歴史の記述やフェイクニュースが会話の中で扱われました。

ここで重要なのは、

「情報は事実をそのまま写すものではなく、選択や解釈が含まれる」

という視点です。

だからといって、すべての解釈が同じ価値を持つわけではありません。根拠、検証可能性、複数資料との整合性が必要です。


23.選択肢問題は思想家と主張を分解する

倫理の誤答選択肢には典型的な作り方があります。

①思想家の入れ替え

カントの主張をベンサムの説明にする。

②重要用語の入れ替え

アタラクシアとアパテイアを交換する。

③前半だけ正しい

人物と時代は正しいが、後半の思想内容が違う。

④似た思想を混合する

親鸞と法然、朱子と王陽明、ホッブズとロックなどを混ぜる。

⑤正反対にする

自律を他律、性善説を性悪説にする。

選択肢は、

人物/時代/用語/主張/目的

に分解して判断しましょう。


24.原典問題では「誰の文章か」を先に決め付けない

文章中に「自由」という言葉があるからサルトル、「幸福」があるからベンサム、と即断するのは危険です。

同じ言葉でも、思想家によって意味が異なります。

例えば自由は、

  • カントの自律
  • J.S.ミルの他者危害原則
  • サルトルの選択と責任
  • バーリンの消極的自由・積極的自由

など、複数の文脈で使われます。

特徴語を手掛かりにはしますが、文章全体の論理と一致するかを確認してください。


25.資料から言えることと思想知識を区別する

新課程では、文章だけでなく統計や図表が使われることがあります。

例えば孤立や意識調査のグラフが示されたとき、資料から直接分かるのは、

  • どの割合が高いか
  • 年代や集団で差があるか
  • どのように変化したか

ということです。

しかし、

「なぜその差が生じたか」

は資料だけでは分からない場合があります。

自分の常識で因果関係を付け加えず、

資料が示す事実と、思想を使った考察を区別する

ことが重要です。


26.過去問復習では4択すべてを訂正する

倫理の過去問を解いた後、

「正解は③だった」

と覚えるだけでは不十分です。

すべての選択肢について、

  • 誰の思想か
  • どの用語が誤っているか
  • 正しく直すとどうなるか
  • 似た思想家と何が違うか

を確認してください。

例えば、

①× ロックではなくホッブズ
②× アパテイアではなくアタラクシア
③○
④× 他力ではなく自力

という形です。

倫理では、一つの問題から複数の思想家を復習できます。


27.目標60点なら人物と重要語句の対応を固める

50〜60点前後の受験生は、まず基本知識の穴をなくしてください。

優先順位は、

  • 青年期
  • 古代ギリシア思想
  • 仏教・儒教
  • 鎌倉仏教
  • 近世日本思想
  • 合理論・経験論
  • カント・功利主義
  • 社会契約思想
  • 実存主義
  • 生命・環境倫理

です。

一問一答を使う場合も、

「人物名を見て用語を答える」
「用語を見て人物名を答える」

の両方向で確認しましょう。


28.70〜80点なら思想家同士を比較する

70点台まで来ると、有名用語はかなり覚えているはずです。

ここから差がつくのは、似た思想家の区別です。

特に、

  • ソクラテスとソフィスト
  • ストア派とエピクロス派
  • 孟子と荀子
  • 法然と親鸞
  • 朱子と王陽明
  • デカルトとベーコン
  • カントと功利主義
  • ホッブズとロックとルソー
  • キルケゴールとサルトル

を比較表にしてください。

共通点と相違点の両方を書くのがポイントです。


29.90点以上なら原典と選択肢の精度を高める

90点以上を目指す場合、「知らない思想家」が原因の失点より、

  • 似た思想を混同した
  • 選択肢の後半を読み落とした
  • 原典を深読みし過ぎた
  • 資料にないことを推測した
  • 会話の発言者を取り違えた

という失点が増えます。

必要なのは、用語数を無制限に増やすことより、

その思想家が何を肯定し、何を批判したのかを正確に説明すること

です。

正解選択肢だけでなく、誤答選択肢を別の思想家へ正しく対応させる練習が有効です。


30.60分の時間配分

倫理は文章量が多く、国語のようにすべてを丁寧に読むと時間が不足することがあります。

目安は、

  • 最初の45〜50分で全問を処理
  • 残り10〜15分で見直し

です。

会話文では設問に関係する下線部や資料を優先します。

思想家の知識だけで即答できる問題は、長い導入文を必要以上に読み込まず処理しましょう。

迷った問題には印を付け、後回しにすることも重要です。


31.6年分のおすすめの使い方

過去問は次の四段階で利用してください。

1回目

60分で本番と同じように解きます。

2回目

時間を気にせず、原典・会話文・全選択肢を分析します。

3回目

誤答選択肢を正しい文章へ直し、教科書や資料集へ戻ります。

4回目

数週間後に解き直し、思想家名ではなく根拠を説明して選べるか確認します。

2025・2026年度は現行課程なので最優先です。

2021・2022・2024年度の本試験で旧課程の典型形式を練習し、2023年度追試験を追加の初見演習として使うとよいでしょう。


32.6年間から見える重要能力ランキング

必要な能力重要度
思想家と重要用語の知識★★★★★
思想内容の正確な理解★★★★★
思想家同士の比較★★★★★
原典資料の読解★★★★★
選択肢の誤り発見★★★★★
日常事例への応用★★★★★
日本思想の流れ★★★★☆
青年期の心理★★★★☆
現代倫理・公共的課題★★★★★
著書名の細かい暗記★★★☆☆

倫理は暗記科目です。

しかし、暗記しただけでは高得点を安定させられません。

問われているのは、

覚えた思想を、初めて見る文章や社会問題の中で使えるか

ということです。


33.今後の出題で重視される方向性

2025・2026年度から、今後の方向性はかなり明確です。

第一に、公共分野との融合です。

個人の生き方だけでなく、他者との対話、社会参加、正義、公正、公共性などが重視されます。

第二に、現代的課題への応用です。

生命、環境、情報、AI、孤立、格差、差別、ケア、世代間責任などが思想と結び付けて問われるでしょう。

第三に、複数の立場の比較です。

一つの正解を暗記するのではなく、それぞれの立場が何を優先するかを考えさせます。

第四に、原典・会話・資料の統合です。

思想家の文章と高校生の考察、統計資料などを組み合わせる問題が今後も中心になるでしょう。

第五に、探究過程の重視です。

仮説、調査、対話、反論、考察といった学習活動そのものが出題場面になります。


結論――共通テスト倫理は「思想を使って考える試験」

2021〜2026年度の6年分を通して見ると、共通テスト倫理の攻略法は明確です。

まず基本知識を身につける。

その上で、

文章のテーマを特定する。
特徴語から関連する思想家を呼び出す。
人物・用語・主張の対応を確認する。
似た思想家との違いを考える。
現代の事例に思想を適用する。
資料から言えることと推測を区別する。
誤りのある選択肢を根拠を持って消す。

この処理を身につける必要があります。

特に2025年度以降の「公共、倫理」では、

思想家が何を言ったか

だけでなく、

その思想を用いて、私たちは他者や社会の問題をどう考えられるか

が重要になっています。

避けたい勉強法は、

思想家と用語の一問一答だけを何周もして、原典・会話文・現代倫理は直前に練習する

という方法です。

おすすめの学習サイクルは、

教科書で思想の内容を理解する
→一問一答で人物・用語を確認する
→比較表で似た思想家を整理する
→原典資料で特徴語を探す
→過去問で日常事例へ適用する
→全選択肢を訂正する
→教科書へ戻る

という流れです。

共通テスト倫理攻略を一言で表すなら、

「思想家を覚える」から「思想家とともに考える」へ

ということです。

思想家の言葉を試験用の知識として暗記するだけではなく、

「この人は何を問題にしたのか」
「何を人間らしい生き方と考えたのか」
「別の思想家ならどう反論するか」
「現代の問題へ当てはめると何が見えるか」

まで考えられるようになったとき、初めて見る原典や事例が出題されても、根拠を持って正解へ到達できるようになります。

物理

共通テスト物理の勉強について、

「公式を全部覚えれば得点できる」
「難しい計算問題をたくさん解けば対応できる」
「二次試験の物理ができれば、共通テスト対策は必要ない」

と考えている受験生は少なくありません。

もちろん、運動方程式、力学的エネルギー保存則、電磁誘導、波の式などの基本公式は必要です。

しかし、アップロードいただいた2021〜2026年度の6年分を分析すると、共通テスト物理で求められているのは、公式を記憶していることだけではないと分かります。

中心となるのは、

初めて見る実験や装置を、既知の物理法則へ翻訳する力

です。

実際の問題には、

  • 生徒同士の会話
  • 実験装置
  • 観察結果
  • 測定値の表
  • グラフ
  • 複数の仮説
  • 実験方法の改善
  • 身近な現象
  • 見慣れない機械や装置
  • 数値シミュレーション
  • 前問の結果を利用する誘導

などが数多く登場します。

公式をそのまま代入するだけの問題より、

現象を理解する
→必要な物理量を選ぶ
→関係式を立てる
→グラフや実験結果と照合する

という問題が中心です。

今回は2021〜2026年度の6年分をもとに、共通テスト物理の出題傾向と具体的な対策を解説します。


1.6年間を通して変わらない基本構成

共通テスト物理は、年度によって題材や設問数に違いはありますが、基本的には、

  • 力学
  • 電磁気
  • 波動
  • 熱力学
  • 原子物理
  • 各分野を横断する小問

から構成されています。

大問数は年度によって見え方が異なるものの、近年は複数の小テーマをまとめた第1問と、特定分野を実験・考察形式で深く扱う大問を組み合わせる構成が定着しています。

力学と電磁気は毎年の中心です。

波動も実験やグラフと組み合わせやすく、安定して出題されます。

熱力学と原子物理は、単独の大問になる年もあれば、総合的な小問や他分野と関連した形で問われる年もあります。

したがって、

力学と電磁気だけを仕上げ、熱・波・原子は後回しにする

という学習は危険です。


2.最大の特徴①――題材は新しくても、使う法則は基本的

共通テスト物理では、教科書の例題と同じ図がそのまま出るとは限りません。

例えば、

  • 台車
  • ロケット
  • センサー
  • 音声波形
  • ばねを含む装置
  • 電気回路
  • 荷電粒子
  • 光学装置
  • 実験用レール
  • 身近な乗り物

など、さまざまな題材が使われます。

一見すると複雑に見えますが、必要となる法則は、

  • 運動方程式
  • 運動量保存則
  • 力学的エネルギー保存則
  • 円運動
  • 単振動
  • 波の基本式
  • オームの法則
  • キルヒホッフの法則
  • ローレンツ力
  • 電磁誘導
  • 気体の状態方程式

など、教科書の基本事項です。

重要なのは、

装置の見た目に惑わされず、その奥にある標準的な物理モデルを見抜くこと

です。


3.最大の特徴②――実験考察が得点を大きく左右する

共通テスト物理では、単に計算結果を求めるだけでなく、

  • どの物理量を測定すべきか
  • グラフの縦軸・横軸に何を取るか
  • 実験結果が仮説と一致するか
  • 誤差の原因は何か
  • 条件を変えると結果はどうなるか
  • 実験方法をどう改善するか

が問われます。

実験問題で必要なのは、実験器具の名称を暗記することではありません。

まず、

①実験の目的
②変化させる量
③一定に保つ量
④測定する量
⑤確かめたい関係式

を整理します。

例えば、周期Tと振り子の長さLの関係を確かめるなら、

T = 2π√(L/g)

をそのまま眺めるだけではなく、

T² = (4π²/g)L

と変形すれば、T²を縦軸、Lを横軸に取ったグラフが直線になると分かります。

このような式の直線化は、共通テストで非常に重要です。


4.グラフ問題は形だけで選ばない

6年間を通して、グラフを選ぶ問題や、グラフから物理量を読み取る問題が頻繁に出題されています。

グラフでは、

  • 縦軸と横軸
  • 単位
  • 原点を通るか
  • 傾き
  • 面積
  • 最大値・最小値
  • 変曲点
  • 初期条件
  • 正負

を確認します。

例えば速度−時間グラフなら、

傾き
=加速度

グラフと時間軸に囲まれた符号付き面積
=変位

です。

力−位置グラフなら、面積が仕事を表します。

圧力−体積グラフなら、気体がした仕事はグラフの面積と関係します。

グラフの「見た目」を覚えるのではなく、

傾きと面積が何を意味するか

を毎回確認してください。


5.数式とグラフを往復する力が必要

共通テストでは、式を求めて終わるとは限りません。

式からグラフを選ばせたり、グラフから式の関係を推定させたりします。

例えば、

y = a/x

なら反比例の曲線、

y = ax²

なら原点を通る放物線、

y² = ax

ならyを縦軸に取れば平方根型ですが、y²を縦軸にすれば直線になります。

物理の実験では、測定値の関係を直線化することで法則を確認することが多くあります。

そのため、公式を覚えるときには、

  • どの量に比例するか
  • どの量に反比例するか
  • どの量の2乗に比例するか
  • 直線化するには何を軸に取るか

まで考えましょう。


6.力学は毎年の最重要分野

力学は、6年間を通じて最重要分野です。

出題されやすいテーマは、

  • 等加速度直線運動
  • 落下運動
  • 運動方程式
  • 摩擦
  • 仕事とエネルギー
  • 運動量と力積
  • 衝突・分裂
  • 円運動
  • 万有引力
  • 単振動
  • 剛体のつり合い

です。

力学問題で最初に行うのは、公式を探すことではありません。

物体を一つ決め、働く力をすべて図示すること

です。

重力、垂直抗力、張力、摩擦力、ばねの力、電気力などを描き、座標軸を設定してから運動方程式を立てます。

この手順を飛ばすと、力の向きや符号を間違えやすくなります。


7.運動方程式では「誰について立てるか」を明確にする

運動方程式は、

合力 = 質量 × 加速度

つまり、

F = ma

です。

しかし、複数物体や台車、滑車などが登場すると、どの物体について式を立てているのかが曖昧になりがちです。

対策として、式の左に、

物体A:
物体B:

と書いてから立式しましょう。

また、連結された物体では、

  • 加速度が同じか
  • 糸の張力が同じか
  • 糸は伸びないか
  • 滑車に質量があるか
  • 摩擦を無視できるか

を確認する必要があります。

共通テストでは、問題文中の条件を読み落とすと、知識があっても誤答します。


8.エネルギー保存則は使える条件を確認する

力学的エネルギー保存則は非常に便利ですが、いつでも使えるわけではありません。

重力や弾性力のような保存力だけが仕事をする場合、

運動エネルギー+位置エネルギー

が保存されます。

一方、摩擦力が仕事をする場合には、力学的エネルギーが熱などへ変換されます。

その場合は、

初めの力学的エネルギー
+外力がした仕事
=後の力学的エネルギー

のように考える必要があります。

問題を見たら、

  • 摩擦があるか
  • 外力が仕事をするか
  • 衝突があるか
  • ばねを含むか

を確認してください。


9.運動量保存則は「系」を決める

衝突・分裂問題では、運動量保存則が重要です。

ただし、

何を一つの系として考えるか

を決めなければなりません。

物体AとBを一つの系として、衝突時間中に外力の力積を無視できるなら、

衝突前の全運動量
=衝突後の全運動量

となります。

一方、運動エネルギーは弾性衝突でなければ保存されません。

よくある誤りは、

「衝突だからエネルギーも保存する」

と考えることです。

運動量保存と力学的エネルギー保存は、成立条件が異なります。


10.円運動は向心力という新しい力を作らない

円運動では、

向心力 = mv²/r

という言い方をします。

しかし、「向心力」という特別な力が新たに存在するわけではありません。

重力、張力、垂直抗力、電気力などの合力の中心方向成分が、mv²/rになるという意味です。

したがって、

中心方向の合力 = mv²/r

と立式します。

鉛直面内の円運動では、位置によって重力の中心方向成分や速さが変化します。

運動方程式とエネルギー保存則を組み合わせる練習が必要です。


11.単振動は三つの見方をつなぐ

単振動では、

  • 加速度
  • 変位
  • 速度
  • エネルギー

の関係を整理します。

復元力は、

F = −Kx

加速度は、

a = −ω²x

です。

負号は、力や加速度が変位と反対方向を向くことを表します。

振幅の端では、

  • 変位最大
  • 速度0
  • 加速度の大きさ最大

中心では、

  • 変位0
  • 速度最大
  • 加速度0

です。

共通テストでは、位置・速度・加速度の時間変化をグラフで選ばせることがあるため、位相関係も理解しておきましょう。


12.電磁気は回路図を正確に読み替える

電磁気は力学と並ぶ最重要分野です。

頻出テーマは、

  • 電場・電位
  • コンデンサー
  • 直流回路
  • キルヒホッフの法則
  • 磁場
  • ローレンツ力
  • 電磁誘導
  • 交流
  • 荷電粒子の運動

です。

回路問題では、図の見た目だけで直列・並列を判断してはいけません。

同じ導線で直接結ばれた点は等電位なので、節点を書き直すと回路の構造が分かりやすくなります。

複雑な回路図を見たら、

①等電位点に同じ印を付ける
②節点を書き直す
③直列・並列を判断する

という手順を使いましょう。


13.オームの法則は電圧の向きを意識する

オームの法則は、

V = RI

です。

しかし、回路問題では符号が重要です。

電流の向きに抵抗を通過すると電位はRIだけ下がります。

電池を負極から正極へ通過すると、電位は起電力だけ上がります。

キルヒホッフの第2法則を使う場合は、回路を一周する向きを自分で決め、電位の上昇・下降を一貫して記録します。

最初に仮定した電流が負になっても、計算が間違っているとは限りません。実際の電流が仮定と逆向きだったという意味です。


14.コンデンサーは「電荷」と「電圧」を分けて考える

コンデンサーの基本式は、

Q = CV

です。

重要なのは、

  • 電源につながっているか
  • 電源から切り離されているか
  • 極板間隔を変えるか
  • 誘電体を入れるか
  • 他のコンデンサーと接続するか

です。

電源につながっていれば、基本的に電圧が一定です。

電源から切り離されていれば、外へ電荷が移動できないため電荷が一定です。

極板間隔や誘電率を変えると静電容量Cが変化し、その結果としてQやV、静電エネルギーがどう変化するかを考えます。

公式を個別に使うより、

何が一定で、何が変化するのか

を最初に整理してください。


15.電場と電位を混同しない

電場は、単位電荷に働く力を表すベクトル量です。

電位は、単位電荷当たりの位置エネルギーを表すスカラー量です。

電場の向きは、電位が高い方から低い方です。

等電位線と電気力線は直交します。

共通テストでは、点電荷の周囲の電気力線や等電位線を選ばせたり、グラフから電場の向きを判断させたりする問題が出ます。

一次元では、

電場 = −電位の位置による変化率

という関係があります。

電位−位置グラフの傾きの符号から、電場の向きを判断できるようにしましょう。


16.磁場中の荷電粒子は向きの判定を徹底する

磁場中を動く荷電粒子にはローレンツ力が働きます。

力の大きさは、速度と磁場が垂直なら、

F = |q|vB

です。

方向は、正電荷について右手を使って判断し、負電荷なら反対向きになります。

ローレンツ力は速度に垂直なので仕事をしません。

したがって、磁場だけが働く場合、速さは変化せず、進行方向だけが変わります。

円運動の半径は、

r = mv / (|q|B)

です。

共通テストでは、粒子の電荷の符号、曲がる方向、半径の大小を組み合わせて問う形式に注意してください。


17.電磁誘導は磁束の変化を見る

電磁誘導では、

誘導起電力の大きさ
=磁束の時間変化率

です。

重要なのは、磁場があるだけでは誘導起電力は発生しないという点です。

  • 磁場の強さが変化する
  • コイルの面積が変化する
  • コイルの向きが変化する
  • コイルが磁場領域へ出入りする

などによって磁束が変化すると、誘導起電力が生じます。

レンツの法則では、

磁束の変化を妨げる向きに誘導電流が流れる

と考えます。

現在の磁場を打ち消すのではなく、磁場の「変化」を妨げることに注意してください。


18.波動は図と式と時間変化を結び付ける

波動では、

  • 波の基本式
  • 横波・縦波
  • 反射
  • 定常波
  • 弦の振動
  • 気柱共鳴
  • 音波
  • ドップラー効果
  • 光の干渉・回折

が重要です。

波の基本式は、

v = fλ

です。

ただし、グラフが位置に対する波形なのか、時間に対する振動なのかを区別する必要があります。

位置−変位グラフから分かるのは波長です。

時間−変位グラフから分かるのは周期です。

この二つを混同すると、波長と周期を取り違えます。


19.波の進行方向は少し後の形を考える

ある瞬間の波形から媒質の速度方向を判断する問題は頻出です。

波が右向きに進むなら、少し後の波形は現在の波形を右へ移動したものです。

現在の点と、少し後の同じ位置の変位を比較すれば、その媒質が上向きか下向きかを判断できます。

公式だけで処理するより、

波形を進行方向へ少しずらす

方法の方が安定します。


20.定常波は節と腹を正確に読む

定常波は、同じ振幅・振動数を持つ逆向きの波が重なってできます。

節では振幅が0、腹では振幅が最大です。

隣り合う節の間隔、または隣り合う腹の間隔は、

λ/2

です。

節と隣の腹の間隔は、

λ/4

です。

弦や気柱では境界条件が重要です。

固定端は変位の節、自由端は変位の腹になります。

気柱の場合は、開口端と閉口端の条件を区別してください。


21.音やセンサーの波形は周期を先に読む

近年の問題では、マイクやセンサーで記録した波形のような、実測データに近いグラフも使われています。

波形が複雑でも、まず確認するのは、

  • 同じ形が繰り返される間隔
  • 周期
  • 振動数
  • 振幅
  • 時間軸の目盛り

です。

振動数は、

f = 1/T

で求めます。

波形の一つ一つの細かい凹凸に惑わされず、繰り返しの単位を見つけましょう。


22.光学では作図と位相条件が重要

光学では、

  • 反射・屈折
  • 全反射
  • レンズ
  • ヤングの実験
  • 回折格子
  • 薄膜干渉

などが出題されます。

レンズ問題では、

  • 実像か虚像か
  • 倒立か正立か
  • 拡大か縮小か
  • 物体と焦点の位置関係

を作図で確認します。

干渉問題では、光路差が、

明線:整数倍の波長
暗線:半波長ずれ

になることを基本とします。

ただし、薄膜干渉では反射時の位相変化があるため、単純な光路差だけで判断できない場合があります。


23.熱力学は状態量と過程を分ける

熱力学では、

  • 理想気体の状態方程式
  • 気体分子運動論
  • 熱力学第1法則
  • 定圧変化
  • 定積変化
  • 等温変化
  • 断熱変化
  • 熱機関

が重要です。

理想気体の状態方程式は、

PV = nRT

です。

熱力学第1法則は、教科書の符号規約に注意しながら、

加えた熱量
=内部エネルギーの増加
+気体が外部にした仕事

と整理します。

定積変化では体積が変わらないため、気体のした仕事は0です。

等温変化では理想気体の内部エネルギーが温度だけで決まるため、内部エネルギーの変化は0です。


24.圧力−体積グラフでは面積を見る

PVグラフでは、過程の曲線下の面積が気体のした仕事を表します。

体積が増える膨張では、気体が外部へ正の仕事をします。

体積が減る圧縮では、外部が気体へ仕事をします。

循環過程では、囲まれた面積が1サイクルで気体がした正味の仕事と関係します。

状態Aと状態Bの温度を比較する場合は、

T = PV/(nR)

より、PVの大小を比較します。

グラフの位置だけで温度を判断しないようにしましょう。


25.原子物理は短期間でも得点源にしやすい

原子物理では、

  • 光電効果
  • X線
  • 原子スペクトル
  • ボーア模型
  • 物質波
  • 原子核
  • 放射線
  • 半減期
  • 質量とエネルギー
  • 核反応

が重要です。

他分野に比べると学習範囲がまとまっているため、後回しにされがちですが、基本事項を整理すれば得点源にしやすい分野です。

光子のエネルギーは、

E = hf

です。

光電効果では、光の振動数が限界振動数を超えなければ、どれだけ強い光を当てても光電子は放出されません。

光の強さと振動数の役割を区別してください。


26.原子核では保存則を確認する

核反応では、

  • 電荷
  • 質量数
  • エネルギー
  • 運動量

の保存を確認します。

質量欠損に対応するエネルギーは、

E = Δmc²

です。

放射性崩壊では、

α崩壊
→質量数が4減り、原子番号が2減る

β⁻崩壊
→質量数は変わらず、原子番号が1増える

γ崩壊
→質量数・原子番号は変わらず、エネルギーを放出する

という変化を押さえましょう。


27.共通テスト特有の「会話による誘導」を利用する

共通テストでは、生徒や先生の会話が解法のヒントになることがあります。

会話文中の、

「この量を一定にすればよい」
「前の実験と比較しよう」
「グラフの傾きに注目しよう」
「この仮定が正しいなら」

といった発言は、解法の方向を示しています。

会話を単なる長い設定文だと思わず、

生徒の発言は、何を式にしようとしているのか

を考えましょう。

また、誤った仮説を述べる生徒が登場する場合もあるため、会話内容を無条件に正しいと思わないことも必要です。


28.前問の結果は次の設問で使う

共通テスト物理では、小問が独立しているとは限りません。

前問で導いた式、グラフ、比例関係が、次の設問のヒントになっています。

途中で分からなくなった場合でも、前問の結果が問題文中に示されていれば、それを使って先へ進めることがあります。

過去問演習では、

「なぜ前問でこの式を求めさせたのか」
「次の設問でどのように利用されたか」

まで確認してください。

誘導の構造を読む力が得点差になります。


29.単位と次元は強力な検算手段

選択肢に数式が並ぶ問題では、次元を確認すると誤答を消せることがあります。

例えば速度の単位は、

m/s

エネルギーの単位は、

kg・m²/s²

です。

求める量が時間なのに、選択肢の式が時間の次元を持っていなければ誤りです。

また、

  • 質量が大きいほど結果は増えるか
  • 距離を2倍にするとどうなるか
  • 極端な値を入れたとき不自然でないか

という極限・比例関係の確認も有効です。


30.有効数字と近似計算に慣れる

共通テスト物理では、選択肢から近い値を選ぶ問題があります。

細かい筆算より、概算で処理できることが多いです。

例えば、

√2 ≒ 1.4
√3 ≒ 1.7
π ≒ 3.14

などの基本近似を使います。

10の累乗を先に整理し、係数を後で計算するとミスが減ります。

また、選択肢の数値が大きく離れている場合は、1桁程度の概算で十分です。


31.目標60点なら基本公式を「使える状態」にする

50〜60点前後を目指す場合は、難しい考察問題へ進む前に、教科書の例題レベルを安定させてください。

優先順位は、

  • 運動方程式
  • エネルギー・運動量
  • 円運動・単振動
  • 直流回路
  • コンデンサー
  • 電磁誘導
  • 波の基本式
  • 気体の状態方程式
  • 原子物理の基本事項

です。

公式を見て意味を説明できるだけでなく、簡単な図から自分で式を立てられる状態を目指します。

各大問の前半や基本的なグラフ問題を確実に取ることが重要です。


32.70〜80点なら実験・グラフ問題を強化する

70点台まで来ると、典型問題はかなり解けるはずです。

ここから差がつくのは、

  • 見慣れない装置
  • 実験条件の整理
  • グラフの選択
  • 前問の結果の利用
  • 複数分野の融合
  • 符号や向きの判断

です。

過去問を解いた後、

この装置を教科書の典型模型へ置き換えると何になるか

を考えてください。

例えば複雑な乗り物でも、物理的には台車とばね、衝突、円運動などへ単純化できます。


33.90点以上なら処理速度と撤退判断が必要

90点以上を目指す場合、公式を知らないことより、

  • 問題文の条件を読み落とす
  • グラフの軸を見間違える
  • 正負を逆にする
  • 計算に時間を使い過ぎる
  • 一問に固執する

ことが大きな失点原因になります。

必要なのは、難問をすべて一度で解き切ることではありません。

短時間で方針が立たない場合は一度飛ばし、他の問題を確保してから戻る判断が必要です。


34.60分の時間配分

共通テスト物理は、60分に対して問題文と図表が多く、時間管理が重要です。

目安として、

  • 第1問などの小問集合に10〜12分
  • それ以外の各大問に12〜15分
  • 最後の5分程度を見直し

と考えます。

ただし、年度によって大問構成が異なるため、固定し過ぎないでください。

最初に全体を確認し、

  • すぐ解ける基本問題
  • 計算量の多い問題
  • 実験文の長い問題

を見分けるとよいでしょう。


35.過去問の効果的な復習方法

過去問は、点数だけ確認して終わらせてはいけません。

おすすめは次の手順です。

1回目

60分で本番と同じように解きます。

2回目

時間を気にせず、図、力、回路、グラフを書き直して解きます。

3回目

各設問について、

  • 使った法則
  • 立式の理由
  • 読み取るべき条件
  • 誤答した原因

を記録します。

4回目

数週間後に解き直し、設定を覚えているだけでなく、立式を再現できるか確認します。


36.ミスを四種類に分類する

復習では、ミスを次の四種類に分けると効果的です。

知識不足

公式や法則を知らなかった。

状況理解の失敗

どの物体にどの力が働くか分からなかった。

立式ミス

法則は分かったが、符号や条件を間違えた。

計算・読解ミス

単位、数字、選択肢、グラフの軸を見落とした。

知識不足なら教科書へ戻ります。

状況理解の失敗なら図を描く練習が必要です。

計算ミスだけなら、途中式や検算方法を改善します。

原因によって対策を変えなければなりません。


37.6年間から見える重要能力ランキング

必要な能力重要度
基本法則・公式の理解★★★★★
現象を図にする力★★★★★
実験条件の整理★★★★★
グラフの読解★★★★★
比例・反比例の判断★★★★★
前問の結果を利用する力★★★★★
単位・次元による検算★★★★☆
数値計算の速度★★★★☆
難しい公式の丸暗記★★☆☆☆
長大な記述計算★★☆☆☆

この表から分かるように、共通テスト物理は、難しい計算だけで差がつく試験ではありません。

むしろ、

基本法則を正しい状況で選び、図やグラフと結び付ける力

が重要です。


38.2025・2026年度から考える今後の方向性

直近2年を含む6年分から、今後の方向性はかなり明確です。

第一に、見慣れない装置のモデル化です。

題材が新しくても、台車、ばね、衝突、波、回路などの基本模型へ変換する力が問われます。

第二に、実験・測定データの重視です。

表やグラフから法則性を見つけ、仮説を検証する問題は今後も中心になるでしょう。

第三に、複数表現の往復です。

文章、図、数式、表、グラフの間を行き来する力が必要です。

第四に、分野横断です。

力学と電磁気、波動と実験、熱とグラフなど、複数単元を組み合わせる出題に注意が必要です。

第五に、教科書実験の理解です。

結果だけでなく、なぜその測定を行うのか、何を一定にするのかまで学ぶ必要があります。


結論――共通テスト物理は「公式を現象へ翻訳する試験」

2021〜2026年度の6年分を通して見ると、共通テスト物理の攻略法は明確です。

まず基本法則を身につける。

その上で、

物体と力を図示する。
回路を等電位点で書き直す。
実験の目的と変数を整理する。
グラフの軸・傾き・面積を確認する。
前問の結果を次の設問へつなぐ。
単位と極端な場合で検算する。

この一連の処理を身につける必要があります。

避けたい勉強法は、

公式集を暗記し、難しい問題集の計算問題だけを繰り返し、実験やグラフ問題を直前に練習する

という方法です。

おすすめの学習サイクルは、

教科書で法則の意味を理解する
→基本例題で立式を練習する
→教科書実験を確認する
→グラフと比例関係を整理する
→過去問で初見設定に適用する
→ミスの原因を分類する
→教科書へ戻る

という流れです。

共通テスト物理攻略を一言で表すなら、

「覚えた公式を、目の前の現象に正しく対応させる」

ことです。

問題文が長く、装置が複雑に見えても、

「どの物体を見るのか」
「どの力が働くのか」
「何が保存されるのか」
「グラフの傾きや面積は何か」
「どの量が一定なのか」

を一つずつ整理すれば、教科書で学んだ基本法則へ戻れます。

この変換力こそが、共通テスト物理で安定して高得点を取るための核心です。

化学

共通テスト化学の勉強について、

「無機化学と有機化学を暗記すれば得点できる」
「計算問題集をたくさん解けば対応できる」
「二次試験の化学ができれば、共通テスト対策は必要ない」

と考えている受験生は少なくありません。

もちろん、物質の性質、化学反応式、理論化学の公式などの基本知識は必要です。

しかし、アップロードいただいた2021〜2026年度の6年分を分析すると、共通テスト化学で測られているのは、知識や計算力だけではないと分かります。

中心となっているのは、

初めて見る実験・資料を、既知の化学知識へ変換する力

です。

実際の問題には、

  • 実験装置
  • 操作手順
  • 測定結果
  • グラフ
  • 数値表
  • 反応経路図
  • エネルギー図
  • 分子構造
  • 結晶構造
  • 滴定曲線
  • 生徒の考察
  • 身近な物質や工業製品
  • 未知物質の分析

などが数多く登場します。

教科書と同じ物質・同じ数値が出題されるとは限りません。

受験生は、

問題文を読む
→反応や実験を整理する
→物質量の関係を作る
→表・グラフと照合する
→必要な計算を行う

という処理を、限られた時間で行う必要があります。

今回は、2021〜2026年度の6年分をもとに、共通テスト化学の出題傾向と具体的な対策を解説します。


1.6年間を通して見える基本構成

共通テスト化学は、基本的に次の分野から出題されています。

  • 物質の構成・状態
  • 物質量と化学反応
  • 熱化学
  • 酸・塩基
  • 酸化還元・電池・電気分解
  • 反応速度・化学平衡
  • 無機化学
  • 有機化学
  • 高分子化合物
  • 複数分野を組み合わせた総合問題

2021・2022年度では、第1・第2問を中心に理論化学、第3問に無機化学、第4問に有機化学、第5問にテーマ型・総合型の問題が配置される構成が明確でした。

2021年度第5問ではグルコース、2022年度第5問では大気中のアルケンを題材とした総合的な考察が行われています。

2023〜2026年度も、理論・無機・有機・高分子を幅広く扱い、最後に複数の知識を統合する問題を置く方向が続いています。

したがって、

得意分野だけで押し切るのが難しく、全範囲の基礎完成が必要な試験

と考えるべきです。


2.2025年度以降も基本的な方向性は変わらない

2025年度から新しい学習指導要領に対応した出題へ移行しました。

問題のページ数や資料量、設問の見せ方には変化が見られますが、化学として必要な中心知識が大きく変わったわけではありません。

むしろ、

  • 複数の資料を比較する
  • 実験結果から規則性を見つける
  • 見慣れない反応を既知の法則で説明する
  • 反応経路や分子構造を段階的に推定する

といった共通テスト型の思考が、より明確に求められています。

そのため、2021〜2024年度の旧課程問題も、現在の共通テスト対策として十分に利用できます。

2025・2026年度を現行課程の確認に使い、2021〜2024年度を追加の資料読解・計算演習として使うとよいでしょう。


3.最大の特徴①――計算問題にも長い設定が付く

共通テスト化学の計算自体は、難関大学の記述問題ほど複雑ではないことが多いです。

しかし、

  • 何を求めるのか
  • どの反応が起きているのか
  • どの数値を使うのか
  • 余る物質は何か
  • グラフのどの点を読むのか

を判断するまでに時間がかかります。

つまり、難しさの中心は計算技術ではなく、

状況を化学反応式と物質量の関係へ翻訳すること

にあります。

文章が長いときは、読みながら、

  • 与えられた物質
  • 反応前の量
  • 反応した量
  • 生成した量
  • 反応後に残った量

を簡単な表にまとめましょう。


4.最大の特徴②――知識問題と考察問題が分離していない

無機化学や有機化学は暗記分野と思われがちです。

しかし、共通テストでは、性質や反応をそのまま答えさせるだけでなく、

  • 実験結果からイオンを特定する
  • 沈殿の有無から物質を判定する
  • 反応経路から有機化合物を推定する
  • 分子量や元素分析と構造を結び付ける
  • 表の数値から反応の規則性を発見する

といった形で出題されます。

知識と考察が一体化しているため、

「暗記問題」
「計算問題」

と分けて対策するだけでは不十分です。

覚えた知識を、実験結果を説明するために使える状態

にする必要があります。


5.理論化学の土台は物質量

共通テスト化学の計算で最も重要なのが物質量です。

基本式は、

物質量 mol = 質量 g ÷ モル質量 g/mol

粒子数 = 物質量 × アボガドロ定数

気体のモル体積を使える条件では、

物質量 = 気体の体積 ÷ モル体積

です。

濃度では、

モル濃度 mol/L
=溶質の物質量 mol ÷ 溶液の体積 L

となります。

計算前に、単位がmLのままになっていないか確認しましょう。

250 mLなら0.250 Lです。

共通テストでは、公式を覚えていても単位換算や反応係数を見落とすと失点します。


6.反応量計算は「化学反応式→モル比」の順番

化学反応の計算では、質量や体積を直接比較してはいけません。

まず化学反応式を作り、その係数比を物質量の比として使います。

基本手順は、

①化学反応式を書く
②与えられた量をmolへ直す
③係数比を使う
④求める単位へ戻す

です。

複数の反応物が与えられた場合は、どちらが不足するかを判断します。

それぞれについて、

物質量 ÷ 反応係数

を比較すると、先に消費される物質を判断しやすくなります。

反応後に残る物質まで問われる場合は、

初めの量 − 反応した量

を必ず計算してください。


7.気体問題は状態条件を確認する

気体では、

PV = nRT

が基本です。

ただし、複数状態を比較する場合は、

P₁V₁/T₁ = P₂V₂/T₂

と整理することもできます。

温度は必ず絶対温度Kへ直します。

セルシウス温度t℃と絶対温度Tの関係は、

T = t + 273

です。

また、気体の分圧、混合気体、水上置換では、

  • 全圧
  • 各気体の分圧
  • 水蒸気圧
  • 気体の物質量

を区別する必要があります。

水上置換で集めた気体については、

目的気体の分圧
=全圧 − 水蒸気圧

となる点に注意しましょう。


8.結晶は単位格子の図を立体的に読む

2023〜2026年度でも、結晶構造や粒子配置を図から考えさせる問題が見られます。

重要なのは、

  • 単純立方格子
  • 体心立方格子
  • 面心立方格子
  • 配位数
  • 単位格子中の粒子数
  • 原子半径と格子定数
  • 密度

です。

単位格子中の粒子数は、位置によって分担率が異なります。

頂点の粒子
→1/8個分

面心の粒子
→1/2個分

体心の粒子
→1個分

です。

密度を求める場合は、

密度
=単位格子中の粒子の質量 ÷ 単位格子の体積

を使います。

図を平面として見るのではなく、どの粒子が隣の単位格子と共有されているかを考えましょう。


9.溶液・溶解度は「溶媒」と「溶液」を区別する

溶解度は通常、

溶媒100 gに溶ける溶質の質量

として示されます。

溶液100 gに含まれる量ではありません。

再結晶の計算では、

高温で溶けている量
−低温で溶けたまま残る量

が析出量の基本です。

ただし、結晶水を含む塩が析出する場合は、結晶中へ水も取り込まれます。

そのため、溶質だけでなく水の量も変化します。

共通テストでは、溶解度曲線や実験操作と計算を組み合わせる問題が出やすいため、グラフの横軸・縦軸・温度条件を確認してください。


10.熱化学はエネルギー図を読めるようにする

熱化学では、

  • 発熱反応・吸熱反応
  • 反応エンタルピー
  • 生成エンタルピー
  • 燃焼エンタルピー
  • 結合エネルギー
  • ヘスの法則

が重要です。

反応エンタルピーは、

生成物のエンタルピー
−反応物のエンタルピー

で考えます。

発熱反応では生成物の方が低くなり、反応エンタルピーは負です。

吸熱反応では生成物の方が高くなり、正です。

エネルギー図では、

  • 反応物
  • 生成物
  • 活性化エネルギー
  • 遷移状態
  • 触媒の有無

を確認します。

触媒は反応経路を変えて活性化エネルギーを小さくしますが、反応前後のエンタルピー差や平衡定数そのものは変えません。


11.酸・塩基はpH計算だけではない

酸・塩基では、

  • 酸・塩基の定義
  • 強酸・弱酸
  • 電離度
  • 水素イオン濃度
  • pH
  • 中和
  • 塩の加水分解
  • 緩衝液
  • 中和滴定

が重要です。

基本式は、

pH = −log₁₀[H⁺]

です。

ただし、酸のモル濃度がそのまま水素イオン濃度になるのは、強酸が十分に電離すると考えられる場合です。

弱酸では電離平衡を考える必要があります。

また、中和計算では単に液量を足すのではなく、

酸が放出できるH⁺の物質量
=塩基が受け取れるH⁺の物質量

を使います。

硫酸や水酸化バリウムなど、価数が1ではない物質に注意してください。


12.滴定問題は反応前・当量点・反応後を分ける

中和滴定や酸化還元滴定では、当量点の前後で溶液中の主要成分が変わります。

中和滴定なら、

当量点前

加えた滴定液が不足し、もとの酸または塩基が残る。

当量点

化学量論的に過不足なく反応する。

当量点後

加えた滴定液が過剰になる。

という区別が必要です。

滴定曲線では、

  • 初期pH
  • 急激にpHが変化する部分
  • 当量点
  • 指示薬の変色域

を読み取ります。

指示薬は、当量点付近の急変域と変色域が重なるものを選びます。


13.酸化還元は電子数をそろえる

酸化還元反応では、

酸化
→電子を失う

還元
→電子を受け取る

という定義を確認します。

反応式を作るときは、酸化数の増減、または半反応式を使って電子数をそろえます。

共通テストでは、

  • 酸化剤・還元剤の判定
  • 反応量計算
  • 滴定
  • 電池
  • 電気分解

がつながって出題されます。

過マンガン酸カリウム、二クロム酸カリウム、チオ硫酸ナトリウムなど、代表的な試薬の反応は、条件とともに整理しましょう。


14.電池は電子・電流・イオンの動きを区別する

電池問題では、次の三つを区別してください。

  • 電子の移動
  • 電流の向き
  • 電解質中のイオンの移動

電子は外部回路を負極から正極へ移動します。

電流の向きはその逆です。

負極では酸化、正極では還元が起こります。

ダニエル電池なら、

負極:Zn → Zn²⁺ + 2e⁻

正極:Cu²⁺ + 2e⁻ → Cu

です。

塩橋や隔膜は、各溶液の電気的中性を保ちながら、反応物が直接混合するのを防ぐ役割を持ちます。


15.電気分解は電気量から電子の物質量へ進む

電気分解では、

電気量Q
=電流I × 時間t

です。

電子の物質量は、ファラデー定数Fを用いて、

電子の物質量
=Q/F

と求めます。

その後、半反応式の電子数と生成物の係数比を使います。

基本手順は、

①電気量を求める
②電子の物質量へ直す
③半反応式の比を使う
④質量・体積などへ変換する

です。

電極が不活性か、銅など反応に関わる物質かによって、電極反応が変わる点にも注意しましょう。


16.反応速度は「何が変化したか」を考える

反応速度へ影響する主な条件は、

  • 濃度
  • 温度
  • 圧力
  • 固体の表面積
  • 触媒

です。

濃度や圧力が高いと、一般に粒子同士の衝突頻度が増加します。

温度が高いと、活性化エネルギー以上のエネルギーを持つ粒子の割合が増えます。

固体を細かくすると表面積が増え、反応できる場所が増えます。

共通テストでは、複数の実験結果から、どの条件が反応速度へ影響したかを判断させます。

比較する実験は、

調べたい条件以外が同じになっているか

を確認してください。


17.化学平衡は変化を打ち消す方向を考える

化学平衡では、

  • 平衡定数
  • 反応商
  • ルシャトリエの原理
  • 圧力・濃度・温度の影響
  • 触媒
  • 電離平衡
  • 溶解平衡

が重要です。

平衡状態に変化を加えると、その変化を打ち消す方向へ平衡が移動します。

ただし、触媒は正反応・逆反応の両方を速めるため、平衡へ到達する時間は短くなりますが、平衡組成は変えません。

圧力変化では、気体の物質量の合計が少ない側・多い側を確認します。

温度変化では、反応が発熱か吸熱かを確認してください。


18.平衡定数は化学反応式とセットで扱う

平衡定数の式は、化学反応式の係数に依存します。

例えば、

aA + bB ⇄ cC + dD

なら、濃度平衡定数は概念的に、

K = [C]^c[D]^d / ([A]^a[B]^b)

です。

化学反応式を逆向きにすれば、平衡定数は逆数になります。

係数をn倍すれば、平衡定数はn乗になります。

したがって、Kの数値だけを覚えるのではなく、どの反応式に対応する値かを確認する必要があります。


19.無機化学は「色・沈殿・気体」を整理する

無機化学では、

  • 単体・化合物の性質
  • 気体の製法
  • 沈殿反応
  • 錯イオン
  • 金属イオンの分離
  • 工業的製法
  • 金属の反応性

が中心です。

頻出事項は表にして整理すると効果的です。

例えば気体なら、

  • 臭い
  • 水への溶けやすさ
  • 酸化還元性
  • 捕集法
  • 確認方法

をまとめます。

沈殿なら、

  • 生成するイオンの組合せ
  • 沈殿の色
  • 酸・塩基への溶解
  • アンモニア水への溶解
  • 過剰試薬での変化

を整理します。


20.無機化学は周期表と結び付ける

無機化学を物質ごとの丸暗記にすると、知識量が増え過ぎます。

周期表と結び付けると整理しやすくなります。

同族元素は価電子数が同じで、化学的性質に共通点があります。

一方、原子半径、イオン化エネルギー、電気陰性度などは周期表上で一定の傾向を示します。

ただし、第2周期元素と第3周期以降の元素では、結合や酸化数の取り方に違いが見られる場合があります。

共通点と例外の両方を整理してください。


21.金属イオンの分離はフローチャートを自作する

複数の金属イオンを分離する問題は、共通テストと相性がよい形式です。

覚えるときは文章ではなく、試薬を加える順序をフローチャートにします。

例えば、

塩化物イオンを加える
→硫化物イオンを加える
→水酸化物を沈殿させる
→アンモニアや過剰の水酸化物イオンで溶解を確認する

といった流れです。

各段階で、

  • 何が沈殿するか
  • 何が溶液中に残るか
  • 沈殿の色は何か
  • 過剰試薬で溶けるか

を確認しましょう。


22.工業化学は原料・触媒・条件・生成物を一組にする

工業的製法では、

  • アンモニアソーダ法
  • ハーバー・ボッシュ法
  • 接触法
  • オストワルト法
  • アルミニウム製錬
  • 鉄鋼
  • 電解ソーダ工業

などが重要です。

名称だけでなく、

原料/触媒/温度・圧力/生成物/副生成物

をセットで覚えてください。

また、反応条件は平衡・反応速度・設備費用などの妥協で決められます。

例えば発熱反応だから低温ほど平衡上有利でも、低温では反応速度が遅くなるため、実際には適度な温度が選ばれます。


23.有機化学は官能基から反応を予測する

有機化学では、物質名を個別に暗記するより、官能基ごとの反応を理解することが重要です。

主な官能基は、

  • 炭素−炭素二重結合
  • ヒドロキシ基
  • アルデヒド基
  • ケトン基
  • カルボキシ基
  • エステル結合
  • アミノ基
  • アミド結合

です。

アルコールの酸化なら、

第一級アルコール
→アルデヒド
→カルボン酸

第二級アルコール
→ケトン

と進みます。

第三級アルコールは、通常の穏やかな酸化では対応するカルボニル化合物を作りにくいことを押さえましょう。


24.構造決定は条件を一つずつ使う

有機化合物の構造決定では、一度に正解を当てようとしないことが重要です。

使う条件は、

  • 分子式
  • 不飽和度
  • 元素分析
  • 分子量
  • 銀鏡反応
  • ヨードホルム反応
  • 炭酸水素ナトリウムとの反応
  • 加水分解生成物
  • 酸化生成物
  • 置換体の数

などです。

まず分子式から不飽和度を確認します。

次に官能基を絞り、炭素骨格を考えます。

最後に、すべての反応結果と矛盾しないか確認してください。

一つの条件だけに合う構造を選ぶのではなく、全条件を満たす必要があります。


25.異性体は「漏れなく、重複なく」数える

異性体問題では、思いついた構造を順番に描くだけでは、重複や数え漏れが生じます。

おすすめは、

①炭素骨格を変える
②官能基の位置を変える
③置換基の位置を変える
④幾何異性体・光学異性体を確認する

という順番です。

芳香族化合物では、ベンゼン環上の置換位置について、

  • オルト
  • メタ
  • パラ

を区別します。

対称性によって同一になる構造にも注意してください。


26.芳香族化合物は反応経路図で整理する

芳香族化合物では、

  • ベンゼン
  • ニトロベンゼン
  • アニリン
  • フェノール
  • 安息香酸
  • サリチル酸
  • アゾ化合物

などが関連して出題されます。

物質を一つずつ覚えるのではなく、反応経路図を自分で描きましょう。

例えば、

ベンゼン
→ニトロ化
→ニトロベンゼン
→還元
→アニリン

という流れです。

フェノールやアニリンについては、酸・塩基としての性質や、塩化鉄(III)水溶液、さらし粉水溶液などとの反応も整理します。


27.油脂・糖類・アミノ酸は構造と反応量を結び付ける

天然有機化合物では、

  • 油脂
  • セッケン
  • 糖類
  • アミノ酸
  • タンパク質
  • 核酸

が重要です。

2021年度第5問ではグルコースが題材となり、構造や反応を総合的に考えさせています。

糖類では、

  • 単糖・二糖・多糖
  • 還元性
  • 加水分解
  • α型・β型
  • グリコシド結合

を整理します。

油脂では、エステル結合の数、けん化、付加反応、ヨウ素価などを構造と結び付けます。

アミノ酸では、双性イオン、等電点、ペプチド結合が重要です。


28.高分子はモノマーと結合様式を見る

高分子化合物では、

  • 付加重合
  • 縮合重合
  • 共重合
  • 天然高分子
  • 合成樹脂
  • 合成繊維
  • ゴム
  • 生分解性高分子

などが問われます。

高分子名だけを暗記するのではなく、

  • モノマー
  • 繰り返し単位
  • 重合形式
  • 結合
  • 性質
  • 用途

をセットで覚えます。

ポリエチレンやポリプロピレンは付加重合、ナイロンやポリエステルは縮合重合という基本区別を確実にしましょう。

平均分子量と重合度の関係は、

平均重合度
=高分子の平均分子量 ÷ 繰り返し単位の式量

で考えます。


29.テーマ型総合問題は「初見知識」に動揺しない

第5問などでは、教科書で大きく扱われていない物質や反応が題材になることがあります。

2022年度では、大気中のアルケンに関する反応が扱われました。

このような問題では、必要な情報の多くが問題文や図表に示されています。

初めて見る反応名があっても、

  • 炭素数
  • 官能基
  • 原子数の保存
  • 電荷
  • 酸化数
  • 反応係数
  • グラフの変化

を使えば解けるように設計されています。

知らない題材と、知らない化学を同一視しないこと

が大切です。


30.グラフ問題は軸と条件を最初に確認する

共通テスト化学では、

  • 溶解度曲線
  • 滴定曲線
  • 反応速度
  • 平衡組成
  • 吸光度
  • 電池の特性
  • 生成量の時間変化
  • 温度と物性の関係

など、さまざまなグラフが使われます。

最初に確認するのは、

①縦軸
②横軸
③単位
④実験条件
⑤原点を通るか
⑥増加・減少
⑦極限でどうなるか

です。

グラフを見た印象だけで選ばず、化学式や比例関係と一致するかを確認しましょう。


31.表から法則を見つける問題では比を取る

複数の実験結果が表で示された場合は、

  • 一つの条件だけが変わっている組
  • 変化量の比
  • 生成量の比
  • 反応時間の比

に注目します。

反応速度式を推定する問題なら、ある物質の濃度だけが変化している実験を比較します。

濃度を2倍にしたとき、速度が2倍なら一次、4倍なら二次と考えられます。

複数条件が同時に変わる実験を最初に比較すると、関係を特定しにくくなります。


32.実験操作は理由まで説明できるようにする

実験操作では、

  • ろ過
  • 蒸留
  • 分液
  • 再結晶
  • 昇華
  • クロマトグラフィー
  • 滴定
  • 気体の捕集
  • 洗浄
  • 乾燥

が重要です。

例えば滴定で使用する器具では、

ビュレット
→滴定に使う溶液で共洗い

ホールピペット
→量り取る溶液で共洗い

三角フラスコ
→蒸留水でぬれていても、入れた物質量は変わらない

という違いがあります。

操作手順だけでなく、

その操作をしないと、測定値が大きくなるのか小さくなるのか

まで考えましょう。


33.誤差問題は結果への影響を追う

実験誤差については、「誤差が生じる」で終わらせず、求める値が大きくなるか小さくなるかを追います。

例えば滴定で、ビュレット内部が水でぬれたまま標準溶液を入れると、標準溶液が薄まります。

薄い溶液で当量点へ達するには、通常より多くの体積が必要です。

この測定値を本来の濃度だと思って計算すると、求める値がずれます。

誤差問題は、

操作ミス
→実際の濃度・物質量がどう変わるか
→測定値がどう変わるか
→計算結果がどうずれるか

の順に考えましょう。


34.選択肢は単位と極端な場合で検算する

計算式を選ぶ問題では、単位を確認すると誤答を消せることがあります。

濃度を求める式なら、最終的な単位がmol/Lになる必要があります。

密度ならg/cm³などになります。

また、

  • 濃度が0ならどうなるか
  • 反応時間が十分長ければどうなるか
  • 平衡定数が非常に大きければどうなるか
  • 試薬を過剰に加えたらどうなるか

という極端な場合を考えることも有効です。


35.目標60点なら全分野の基本事項を固める

50〜60点前後を目指す場合は、難しい総合問題より、各大問の基本問題を確実に取ることが重要です。

優先するのは、

  • 物質量
  • 気体
  • 溶液濃度
  • 酸・塩基
  • 酸化還元
  • 電池・電気分解
  • 無機の色・沈殿・気体
  • 有機の官能基
  • 高分子のモノマー

です。

理論計算だけに時間を使わず、無機・有機の基本知識も早めに完成させてください。

知識問題を安定させると、計算問題へ使える時間が増えます。


36.70〜80点なら資料処理と融合問題を強化する

70点台まで来ると、典型問題はかなり解けるはずです。

ここから差がつくのは、

  • 長い実験文
  • グラフの選択
  • 未知物質の構造決定
  • 複数段階の反応量計算
  • 平衡や滴定の条件整理
  • 理論と無機・有機の融合

です。

過去問を解いた後、

題材を知らなくても、問題文のどの情報を使えば解けたか

を確認しましょう。


37.90点以上なら速度と精度の両立が必要

90点以上を目指す場合は、知識不足よりも、

  • 単位換算
  • 反応係数
  • 過剰・不足
  • グラフの軸
  • 有効数字
  • 正誤問題の読み違い
  • 計算への固執

が大きな失点原因になります。

一問の計算が複雑になった場合は、途中結果を整理し、後で戻れるようにして先へ進む判断も必要です。

無機・有機の知識問題は短時間で処理し、考察問題へ時間を残しましょう。


38.60分の時間配分

共通テスト化学は、60分に対して情報量と計算量が多い試験です。

目安として、

  • 各大問に10〜12分程度
  • 最後に5分程度の見直し

を考えます。

ただし、年度によって設問量やページ数が異なるため、完全に固定する必要はありません。

最初に全体を確認し、

  • 知識で即答できる問題
  • 短い計算問題
  • 長い総合問題

を見分けましょう。

一問で4〜5分以上止まると、その後の問題に影響します。


39.過去問の効果的な復習方法

過去問は、正解番号だけを確認して終わらせないでください。

おすすめは次の手順です。

1回目

60分で本番と同じように解きます。

2回目

時間を気にせず、反応式、物質量、実験条件を書き直して解きます。

3回目

誤答した問題について、

  • 知識不足
  • 反応式の誤り
  • 条件の読み落とし
  • 計算ミス
  • グラフの誤読

のどれかを記録します。

4回目

関連単元を教科書や資料集で復習します。

5回目

数週間後に解き直し、計算過程と判断根拠を再現できるか確認します。


40.6年間から見える重要能力ランキング

必要な能力重要度
物質量・反応量計算★★★★★
実験条件の整理★★★★★
グラフ・表の読解★★★★★
無機化学の基本知識★★★★★
有機構造の推定★★★★★
酸・塩基・酸化還元★★★★★
化学平衡の理解★★★★☆
高分子化学★★★★☆
単位・概算による検算★★★★☆
難しい公式の丸暗記★★☆☆☆

共通テスト化学では、暗記も計算も必要です。

しかし、それらを別々に身につけるだけでは不十分です。

問われているのは、

覚えた知識と計算方法を、初めて見る実験へ適用できるか

ということです。


41.2025・2026年度から考える今後の方向性

直近2年を含む6年間から、今後の方向性はかなり明確です。

第一に、資料量の多い実験・探究問題です。

実験方法、結果、グラフ、考察を一つの流れとして扱う問題が今後も中心になります。

第二に、複数分野の融合です。

理論計算と無機反応、有機構造と反応量、高分子と物性などを組み合わせる出題に注意が必要です。

第三に、未知物質・未知反応の活用です。

教科書で見たことのない物質でも、与えられた情報と基本法則から判断させます。

第四に、表・グラフからの法則発見です。

単に数値を読み取るだけでなく、比例関係や反応次数、当量関係を見抜く力が求められます。

第五に、実験操作の理由です。

正しい操作を選ぶだけでなく、なぜ必要か、誤ると結果がどう変化するかまで理解する必要があります。


結論――共通テスト化学は「知識と計算を実験へ適用する試験」

2021〜2026年度の6年分を通して見ると、共通テスト化学の攻略法は明確です。

まず基本知識と基本計算を身につける。

その上で、

反応式を書く。
すべての量をmolへ直す。
実験の目的と条件を整理する。
表やグラフの軸を確認する。
過剰な物質と不足する物質を判定する。
構造や反応結果が全条件と一致するか確認する。
単位と概算で検算する。

この一連の処理を身につける必要があります。

避けたい勉強法は、

無機・有機は一問一答だけ、理論化学は公式代入だけ練習し、実験考察は過去問で初めて扱う

という方法です。

おすすめの学習サイクルは、

教科書で原理と物質の性質を理解する
→基本問題で反応式と物質量計算を練習する
→資料集で実験・色・沈殿を確認する
→反応経路図を自分で作る
→過去問で初見資料へ適用する
→ミスの原因を分類する
→教科書へ戻る

という流れです。

共通テスト化学攻略を一言で表すなら、

「覚えた化学を、初めて見る実験の中で使えるようにする」

ことです。

問題文が長く、知らない物質が登場しても、

「何が反応するのか」
「物質量の比はいくつか」
「何が一定なのか」
「グラフは何を表すのか」
「どの官能基が反応したのか」

を一つずつ整理すれば、教科書で学んだ基本事項へ戻ることができます。

この変換力こそが、共通テスト化学で安定して高得点を取るための核心です。

生物

共通テスト生物の勉強をしていると、

「教科書の用語は覚えたのに、過去問では点が取れない」

「実験問題の文章が長く、何を考えればよいのか分からない」

「グラフの選択肢がどれも同じように見える」

と感じることがあります。

これは、共通テスト生物が単なる知識試験ではないからです。

もちろん、細胞、代謝、遺伝、恒常性、生態、進化などの基本知識は必要です。しかし、2021〜2026年度の問題を通して見ると、知識をそのまま答えさせる問題よりも、

初めて見る実験や資料に対して、既習の生物学的知識を使い、妥当な結論を導けるか

を問う問題が中心になっています。

今回、2021年度から2026年度までの6年分を比較すると、共通テスト生物で求められる能力は、次の五つに整理できます。

  • 生物学の基本知識
  • 実験条件を整理する力
  • 図・表・グラフを読む力
  • 結果と考察を区別する力
  • 複数の情報を結び付ける力

この記事では、6年分の過去問から見える傾向を整理し、得点につながる具体的な対策を解説します。


1.共通テスト生物は「暗記した知識を使う試験」

共通テスト生物にも、知識だけで処理できる問題はあります。

例えば、

  • 細胞小器官の働き
  • DNAの構造と複製
  • 転写と翻訳
  • 酵素の性質
  • 神経やホルモンの働き
  • 免疫細胞の役割
  • 植物ホルモン
  • 生態系の物質循環
  • 自然選択と進化
  • 系統樹の読み方

などです。

ところが、問題の題材は教科書と同じ形では出てきません。

2021年度では乳糖の消化とラクターゼ活性を題材に、能動輸送、浸透圧、遺伝子発現、優性・劣性、ハーディ・ワインベルグの法則、自然選択まで関連付けて問われました。

つまり、一つの題材の中で、

消化・吸収
→細胞膜を介した輸送
→遺伝
→集団遺伝
→進化

と、複数の単元を横断しているのです。

このような問題では、用語を一つずつ独立して覚えているだけでは対応できません。

重要なのは、

ある現象を見たときに、関連する単元や原理をすぐ呼び出せること

です。

「ラクターゼは酵素である」と覚えるだけでなく、酵素活性、遺伝子発現、対立遺伝子、表現型、自然選択までつなげて説明できる状態を目指しましょう。


2.6年間を通じて一貫する最大の特徴は実験・考察問題

2021〜2026年度を通して特に目立つのが、実験を題材とした問題です。

実験問題では、単に「この実験器具の名称は何か」と聞かれるわけではありません。

多くの場合、

  • 何を確かめるための実験か
  • どの条件を変えたか
  • どの条件をそろえたか
  • 何を測定したか
  • 対照区はどれか
  • 結果から何がいえるか
  • 次にどのような実験を行うべきか

が問われます。

2021年度では、外来生物であるアノールトカゲを人工島に導入し、個体群密度や生息場所の変化を追跡する実験が出題されました。

ここで必要なのは「外来生物」という用語の知識だけではありません。

ブラウンアノールを導入した島と導入していない島を比較し、両者の違いを種間競争によって説明する必要があります。

比較の基本構造は、

導入区:ある要因を加える
非導入区:その要因を加えない
両者の差:加えた要因の影響

です。

この構造は、遺伝子、ホルモン、酵素、光、温度、捕食者、栄養塩など、どの分野の実験にも共通します。


3.実験問題は「目的・操作・結果・結論」に分解する

長い実験文を最初から最後まで読むだけでは、条件が混乱しやすくなります。

そこで、実験を次の四段階に分けてください。

目的

何を明らかにしたいのか。

操作

どの条件を人為的に変えたのか。

結果

実際にどのような数値や現象が得られたのか。

結論

結果から何がいえるのか。

例えば、ある物質Xが細胞分裂を促進するか調べる実験なら、

目的:物質Xが細胞分裂に与える影響を調べる
操作:物質Xを加えた群と加えない群を用意する
結果:物質Xを加えた群で細胞数が増えた
結論:実験条件の範囲では、物質Xが細胞分裂を促進した可能性がある

と整理します。

「可能性がある」とする点も重要です。

一つの実験結果から、どの生物、どの濃度、どの環境でも必ず同じ結果になるとは限りません。共通テストでは、実験結果を過度に一般化した選択肢が誤答として出されます。


4.仮説と結果を混同しない

共通テスト生物では、生徒や研究者が仮説を立て、その仮説を検証する実験が頻繁に登場します。

ここで注意したいのは、

仮説として書かれていることが、実験で証明された事実とは限らない

という点です。

例えば、

「遺伝子Aが物質Bの合成に必要である」

という仮説を立てたとします。

遺伝子Aを働かなくした個体で物質Bが減少すれば、仮説を支持する結果です。しかし、遺伝子Aが直接物質Bを合成しているとは限りません。

遺伝子A
→酵素Cをつくる
→別の反応を促進する
→物質Bが増える

という間接的な関係もあり得るからです。

問題文中の、

  • 示唆された
  • 支持された
  • 推測される
  • 明らかになった
  • 必要である
  • 十分である

という表現の違いにも注意しましょう。


5.対照実験を見抜く力が非常に重要

実験問題で安定して得点するためには、対照実験を理解する必要があります。

対照区とは、調べたい条件以外をできるだけ同じにして、その条件だけを加えない、または標準状態にした実験区です。

例えば、光が種子の発芽に与える影響を調べるなら、

実験区:光を当てる
対照区:暗所に置く

とします。

ただし、温度、水分、種子の種類、種子数、観察時間などはそろえなければなりません。

条件を複数同時に変えると、結果の違いが何によって生じたのか判断できないからです。

過去問を解くときは、各実験について、

  • 独立変数:実験者が変えた条件
  • 従属変数:測定した結果
  • 統制変数:一定にした条件

を書き出すと、問題の構造が明確になります。


6.グラフ問題では、まず軸と凡例を確認する

共通テスト生物では、折れ線グラフ、棒グラフ、散布図、ヒストグラム、個体群の変化、酵素反応曲線など、さまざまなグラフが出題されます。

グラフを見た瞬間に曲線の形だけで判断するのは危険です。

最初に確認するのは、

  • 横軸は何か
  • 縦軸は何か
  • 単位は何か
  • 実験区と対照区はどれか
  • 測定時点はいつか
  • 平均値か個々の値か

です。

例えば横軸が「時間」なら時間的変化を読みますが、「物質濃度」なら濃度依存性を読みます。同じ右上がりのグラフでも意味は全く違います。

縦軸についても、

個体数
個体群密度
増加率
生存率
遺伝子発現量
酵素活性

は別の量です。

個体数が増えていても、個体群の増加率は低下していることがあります。


7.グラフから読み取れることと、知識から推測することを分ける

グラフ問題で最も多い失敗は、グラフに示されていない情報まで読み込むことです。

例えば、ある温度以上で酵素活性が低下している場合、一般的にはタンパク質の立体構造の変化が考えられます。

しかし、グラフから直接分かるのは、

「その温度範囲で測定された酵素活性が低下した」

ことです。

「酵素が完全に失活した」「すべての分子が変性した」とまでは断定できない場合があります。

資料から直接分かる事実と、生物学の知識を使って説明する背景を分けてください。

資料から分かること:何が増減したか
知識から説明すること:なぜ増減した可能性があるか

この区別ができると、断定しすぎた選択肢を除外しやすくなります。


8.表の読み取りでは、一度に全体を見ない

表には複数の条件や測定値が並んでいるため、一度にすべて理解しようとすると混乱します。

まず、比較したい二つの行または列だけを見ます。

例えば、

条件遺伝子A物質X反応
1ありあり起こる
2なしあり起こらない
3ありなし起こらない

という結果なら、条件1と2の比較から遺伝子Aの必要性を考え、条件1と3の比較から物質Xの必要性を考えます。

基本は、

一つだけ条件が異なる組合せを比較する

ことです。

情報量の多い表ほど、全体を眺めるより、必要な比較を小さく切り出す方が正確です。


9.遺伝情報分野は毎年のように重要

DNA、遺伝子発現、遺伝、バイオテクノロジーに関する問題は、6年間を通して重要な位置を占めています。

特に整理しておきたいのは、

DNA
→転写
→mRNA
→翻訳
→タンパク質
→形質

という基本の流れです。

ただし実際の問題では、この流れに、

  • 突然変異
  • 塩基置換
  • SNP
  • 遺伝子組換え
  • 制限酵素
  • 電気泳動
  • プラスミド
  • 遺伝子発現の調節
  • タンパク質の機能
  • 表現型の変化

などが組み合わされます。

例えばDNAの塩基が一つ変化しても、必ずアミノ酸が変わるわけではありません。遺伝暗号には縮重があるからです。

また、アミノ酸が変化しても、タンパク質の機能が必ず失われるとは限りません。

したがって、

塩基配列の変化
→コドンの変化
→アミノ酸配列の変化
→立体構造や機能の変化
→表現型の変化

を一段ずつ判断する必要があります。


10.遺伝子実験は「何を見分けているか」を考える

DNA断片や電気泳動の問題では、細かい操作を丸暗記するより、操作によって何が区別できるかを理解しましょう。

電気泳動では、基本的にDNA断片の長さの違いが移動距離の違いとして現れます。

一般に、短いDNA断片ほどゲルの中を移動しやすくなります。

制限酵素を利用する場合は、

  • どこでDNAが切断されるか
  • 切断後に何本の断片が生じるか
  • それぞれの長さはいくつか
  • 同じ長さの断片が重なっていないか

を確認します。

環状DNAでは、切断箇所が1か所なら断片は1本、2か所なら通常は2本です。直鎖DNAでは切断箇所がnか所なら、通常はn+1本の断片が生じます。

この違いは頻出なので、図を描いて確認できるようにしましょう。


11.代謝分野では「物質とエネルギーの流れ」をつかむ

呼吸、発酵、光合成などの代謝分野も重要です。

ここでは、反応式だけを暗記するのではなく、

  • どこで行われるか
  • 何が材料になるか
  • 何が生成するか
  • ATPがどこでつくられるか
  • 電子や水素がどこへ移動するか

を整理してください。

呼吸なら、

解糖系
→クエン酸回路
→電子伝達系

光合成なら、

光化学反応
→ATP・NADPHの生成
→カルビン回路
→有機物の合成

という流れです。

ミトコンドリアや葉緑体の模式図が出たとき、名称だけを答えるのではなく、その場所で何が起こるかまで説明できるようにします。

特に、膜を隔てた水素イオン濃度の差とATP合成は、文章・模式図・実験結果のいずれでも問えるテーマです。


12.恒常性では「刺激から応答まで」を一本の流れにする

神経、ホルモン、血糖調節、免疫などの恒常性分野では、登場する物質や器官が多いため、用語暗記だけでは混乱します。

例えば血糖調節なら、

血糖値上昇
→すい臓のβ細胞
→インスリン分泌
→細胞へのグルコース取り込みやグリコーゲン合成
→血糖値低下

という流れを作ります。

血糖値低下の場合は、

血糖値低下
→すい臓のα細胞
→グルカゴン分泌
→肝臓でのグリコーゲン分解など
→血糖値上昇

となります。

ホルモンについては、最低限、

  • 分泌器官
  • 標的器官
  • 作用
  • 分泌を促進・抑制する条件

をセットで覚えてください。

神経では、刺激、受容器、感覚神経、中枢、運動神経、効果器という情報の流れを押さえます。膜電位のグラフが出た場合は、脱分極、再分極、イオンの移動を関連付けます。


13.植物分野は後回しにしない

受験生が苦手にしやすいのが植物分野です。

しかし、過去問では、

  • 光合成
  • 気孔の開閉
  • 蒸散
  • 水の移動
  • 植物ホルモン
  • 光周性
  • 屈性
  • 発芽
  • 成長
  • 根や茎の構造

などが幅広く出題されています。

植物分野で重要なのは、名称を覚えることより、環境刺激と植物の反応をつなげることです。

例えば光屈性なら、

一方向から光
→光受容
→オーキシンの分布が変化
→茎の両側で成長量に差
→屈曲

という流れです。

実験では、先端を切除する、先端を覆う、寒天片を置く、光の方向を変えるといった操作が行われます。

各操作について、

この操作によって、光の受容・情報伝達・成長のどこが妨げられるのか

を考えることが大切です。


14.生殖・発生では、図を時系列で読む

生殖・発生分野では、受精、卵割、原腸形成、胚葉分化、誘導などが問われます。

模式図が複数並んでいる場合は、個々の名称を当てる前に、時間の流れを確認します。

受精
→卵割
→胞胚
→原腸胚
→器官形成

という大きな順序を押さえた上で、外胚葉・中胚葉・内胚葉の位置と分化先を整理します。

発生実験では、

  • どの部分を除去したか
  • どこへ移植したか
  • 何が形成されたか
  • 正常な胚と何が違うか

を確認します。

移植した組織そのものが器官になる場合と、周囲の細胞に働きかけて器官形成を誘導する場合を区別する必要があります。


15.生態分野では「個体数」だけを見ない

個体群、生物間相互作用、物質生産、生態系などの生態分野も、資料問題の題材として非常に使いやすいため頻出です。

個体群の問題では、

個体数の変化
=出生数+流入数-死亡数-流出数

という関係を押さえます。

個体数が増加したからといって、出生率だけが上昇したとは限りません。死亡率の低下や他地域からの流入も考えられます。

また、個体群密度が高くなると、餌や生息場所をめぐる種内競争が強まり、増加率が低下することがあります。

被食者と捕食者の変動では、一般に被食者の変化に少し遅れて捕食者が変化します。しかし、実際のグラフでは気候、移動、他の餌生物などの影響もあるため、単純化しすぎないことが大切です。


16.物質生産の計算は用語の関係を図式化する

生態系の物質生産では、用語の関係を正確に理解する必要があります。

植物の場合、基本的な関係は、

総生産量=純生産量+呼吸量

したがって、

純生産量=総生産量-呼吸量

です。

植物体が動物に食べられたり、枯死したり、落葉したりする場合は、その量も現存量の変化に関係します。

現存量の増加量だけを見て、純生産量と判断しないようにしましょう。

動物の場合には、摂食量、同化量、呼吸量、成長量、排出量などが登場します。

文章を読んだら、物質がどこから入り、どこへ出ていくかを矢印で描くと計算しやすくなります。


17.進化・系統分野では、見た目よりデータを優先する

進化や系統の問題では、アミノ酸配列、DNA塩基配列、形態的特徴などを比較して系統関係を考えます。

例えば二種間で異なるアミノ酸の割合が小さければ、一般に共通祖先から分岐してからの時間が短いと考えられます。

ただし、系統樹を読むときは、枝の左右の並びに惑わされてはいけません。

重要なのは、

どの分岐点を共有しているか

です。

系統樹の枝を分岐点を中心に回転させても、系統関係は変わりません。

また、現在生きている種について、「一方がもう一方から直接進化した」と判断するのは通常不適切です。両者は共通祖先から分岐したと考えます。


18.計算問題は複雑な数学ではなく、生物学的な意味が中心

共通テスト生物の計算では、高度な数学はほとんど必要ありません。

主に必要なのは、

  • 割合
  • 単位換算
  • 増加率
  • 確率
  • 遺伝子頻度
  • 面積・体積
  • グラフからの概算

です。

ハーディ・ワインベルグの法則では、二つの対立遺伝子A、aの頻度をp、qとすると、

p+q=1

遺伝子型頻度は、

AA=p²
Aa=2pq
aa=q²

となります。

重要なのは公式を暗記するだけではなく、問題に示された数値が遺伝子頻度なのか、遺伝子型頻度なのか、表現型頻度なのかを区別することです。

劣性形質の頻度が示されている場合、それは通常qではなくq²です。


19.単位と分母を必ず確認する

計算問題では、計算そのものより、分母の取り違えによる失点が多くなります。

例えば、

「全個体に占める割合」
「生存個体に占める割合」
「雄だけに占める割合」
「単位面積当たりの個体数」

はすべて分母が違います。

割合を求める前に、

割合=該当する量÷基準となる全体

と書き、分母が何かを確認しましょう。

また、

  • mgとg
  • μmとmm
  • mLとL
  • 分と秒
  • cm²とm²

などの単位にも注意が必要です。

選択肢の桁が大きく異なる場合は、単位換算を問われている可能性があります。


20.正解を探すより、誤った選択肢を切る

共通テスト生物では、正しいもの、誤っているもの、適当なものの組合せを選ばせる問題が多くあります。

正解がすぐ分からない場合は、選択肢を一つずつ判定します。

典型的な誤答には次のパターンがあります。

  • 物質や器官の名称を入れ替える
  • 促進と抑制を逆にする
  • 原因と結果を逆にする
  • 実験結果を過度に一般化する
  • 必要条件と十分条件を混同する
  • 資料にない因果関係を付け加える
  • 「必ず」「すべて」など強すぎる断定をする

選択肢の前半が正しくても、後半が誤っている場合があります。最後まで丁寧に読みましょう。


21.文章量が多い問題では、設問を先に確認する

共通テスト生物は、実験の背景説明が長い傾向があります。

文章を最初から完璧に理解しようとすると、時間が足りなくなります。

おすすめは、

1.テーマと実験目的を確認する
2.設問を読む
3.何を探すべきか把握する
4.必要な部分を問題文や資料に戻って読む

という順序です。

設問が基本知識だけで解けるなら、長い実験文を細部まで読む必要はありません。

一方、グラフや実験結果を使う問題では、該当箇所へ戻って条件を確認します。

すべてを同じ濃さで読むのではなく、設問に必要な情報を選んで読むことが、時間短縮につながります。


22.60分の時間配分を決めておく

生物は、計算量より文章量と資料量によって時間を使う科目です。

目安としては、

  • 最初の45〜50分で全問に触れる
  • 残り10〜15分で保留問題と見直し
  • 一つの小問に3分以上止まり続けない

という配分がおすすめです。

長い実験問題で条件整理に時間がかかる場合は、印を付けて後回しにします。

知識問題や簡単なグラフ問題を先に確実に取ることが重要です。

見直しでは、

  • 「正しい」「誤っている」の読み違い
  • 選択肢番号のずれ
  • グラフの凡例の取り違え
  • 単位換算
  • 分母の設定
  • 複数選択条件

を確認しましょう。


23.過去問復習では、正解の根拠を言葉にする

過去問を解いた後に解答番号だけ確認しても、考察力はなかなか伸びません。

復習では、各問題を次の三種類に分類します。

知識不足

用語、仕組み、公式を知らなかった。

資料読解の失敗

軸、条件、凡例、数値を読み違えた。

論理判断の失敗

結果からいえないことを選んだ、因果関係を逆にした、必要条件と十分条件を混同した。

分類した後、

「なぜ正解なのか」
「誤答選択肢のどこが違うのか」
「どの資料を使えば判断できたのか」

を説明します。

特に、四つの選択肢をすべて訂正する方法が効果的です。


24.実験問題は「自分なら次に何を調べるか」まで考える

過去問の実験を復習するときは、正解を確認して終わりにせず、追加実験を考えてみましょう。

例えば、

「物質Xを加えると遺伝子Aの発現量が増加した」

という結果なら、

  • 物質Xの濃度を変える
  • 処理時間を変える
  • 別の組織でも調べる
  • 遺伝子Aを欠損させる
  • 遺伝子Aを過剰に発現させる
  • タンパク質量も測定する

などの追加実験が考えられます。

この練習をすると、実験の目的、因果関係、検証方法への理解が深まり、初見の考察問題に強くなります。


25.教科書は「太字」だけでなく図と実験を見る

共通テスト生物対策では、教科書の太字語句だけを覚える勉強は不十分です。

むしろ重要なのは、

  • 模式図
  • グラフ
  • 実験
  • コラム
  • 写真
  • 図の注釈

です。

過去問に出てきたテーマを教科書へ戻って確認するときは、関連する図を自分で説明してください。

例えばミトコンドリアの図なら、

「内膜はどこか」
「マトリックスでは何が起こるか」
「水素イオン濃度の差はどこにできるか」
「ATP合成酵素はどこにあるか」

を確認します。

図を見て説明できる知識は、共通テストの資料問題で使いやすい知識です。


26.得点別の対策――まず60点を目指す場合

50〜60点未満の段階では、考察問題の技術以前に、基本知識に穴がある可能性があります。

最初に、

  • 細胞と分子
  • 代謝
  • DNAと遺伝子発現
  • 遺伝
  • 神経とホルモン
  • 免疫
  • 植物の反応
  • 生殖と発生
  • 個体群と生態系
  • 進化と系統

の基本事項を一通り完成させます。

用語を見て意味を答えるだけでなく、

「どこで起こるか」
「何が原因か」
「何が結果として生じるか」

を短く説明できるようにしましょう。

この段階では、難しい実験問題に長時間取り組むより、教科書レベルの知識問題を落とさないことが優先です。


27.70〜80点を目指す場合

70点前後から差がつくのは、実験条件と資料の読み取りです。

対策として、

  • 実験区と対照区を特定する
  • 独立変数と従属変数を書く
  • グラフの軸と単位を確認する
  • 結果から直接いえることを書く
  • 誤答選択肢を訂正する

という復習を徹底します。

また、単元を横断する問題に備え、

遺伝子発現と発生
代謝と恒常性
環境と個体群
遺伝と進化
植物ホルモンと成長

のように、関連する単元をつないで整理しましょう。


28.90点以上を目指す場合

90点以上を目指す段階では、知識量だけでなく判断の精度が重要です。

失点しやすいのは、

  • 条件の一部を見落とす
  • グラフの凡例を逆に読む
  • 実験結果を過度に一般化する
  • 選択肢の微妙な表現差を見逃す
  • 計算の分母を間違える
  • 時間をかけすぎて後半を急ぐ

といった場面です。

過去問では、正解できた問題についても、

「他の選択肢がなぜ誤りか」

まで確認してください。

また、制限時間を少し短く設定して演習し、見直し時間を確保する練習も有効です。


29.6年間から見える重要能力ランキング

能力重要度
基本用語・基本原理の理解★★★★★
実験条件の整理★★★★★
グラフ・表の読解★★★★★
結果と考察の区別★★★★★
遺伝情報分野の理解★★★★★
複数単元を結び付ける力★★★★★
計算・単位換算★★★★☆
模式図の読解★★★★☆
選択肢の誤り発見★★★★★
細かい用語だけの暗記★★★☆☆

この表からも分かるように、共通テスト生物は、

知識が不要な思考力試験

ではありません。

正確には、

知識を土台として、資料と実験から判断する試験

です。

知識がなければ資料の意味を理解できず、資料読解の練習がなければ覚えた知識を問題の中で使えません。


30.今後も続くと考えられる出題方向

2021〜2026年度の問題を見ると、今後も次の傾向は続くと考えられます。

第一に、初見の研究や実験を題材にする問題です。

第二に、複数の図・表・グラフを組み合わせて判断する問題です。

第三に、遺伝子、代謝、恒常性、生態などを一つの題材の中で横断する問題です。

第四に、仮説、実験方法、結果、考察という科学的な探究過程を問う問題です。

第五に、教科書の知識を現実の生物現象へ適用する問題です。

題材そのものを予想することは困難です。しかし、題材が初見でも、問題の構造には共通点があります。

目的を確認する。
条件を比較する。
資料を読む。
基本知識を当てはめる。
結論の範囲を判断する。

この処理を身につければ、未知の題材にも対応できます。


結論――共通テスト生物攻略の鍵は「知識を実験の中で使うこと」

2021〜2026年度の共通テスト生物を通して見える最も重要な傾向は、

覚えた知識を、初めて見る実験や資料の中で使わせる

という点です。

高得点を取るために必要なのは、用語集を何周したかだけではありません。

DNAの知識を遺伝子実験で使う。
酵素の知識を反応曲線の解釈に使う。
ホルモンの知識を血中濃度の変化に使う。
生態の知識を個体群のグラフに使う。
進化の知識を系統樹や配列比較に使う。

この「知識と資料の接続」が重要です。

おすすめの学習サイクルは、

教科書で基本原理を理解する
→図や実験を説明する
→問題集で単元別に確認する
→過去問を時間内に解く
→実験条件と全選択肢を分析する
→不足した知識を教科書へ戻って補う

という流れです。

過去問を解くときは点数だけを見ず、

「この実験は何を確かめたかったのか」
「なぜこの対照区が必要なのか」
「このグラフから直接いえることは何か」
「選択肢はどこまでなら正しいのか」

まで考えてください。

共通テスト生物攻略を一言で表すなら、

「覚える生物」から「根拠をもって考える生物」へ

ということです。

基本知識を正確に身につけ、その知識を実験、グラフ、表、模式図の中で使う訓練を重ねれば、題材が初見でも安定して正解へ到達できるようになります。

地学

共通テスト地学の勉強をしている受験生からは、

「地学は暗記科目だと思っていたのに、過去問では資料を読めない」

「地質図や天気図の見方が分からない」

「天文の計算問題になると手が止まる」

「教科書に載っていない地域や天体が出ると不安になる」

という声をよく聞きます。

確かに地学では、岩石・鉱物、地震、火山、地層、大気、海洋、恒星、宇宙など、非常に幅広い知識を覚えなければなりません。

しかし、2021〜2026年度の6年分を比較すると、共通テスト地学が本当に測ろうとしているのは、用語の暗記量だけではありません。

重要なのは、

地学の基本法則を使い、初めて見る図・表・グラフ・観測データから地球や宇宙の現象を読み解く力

です。

問題には、

  • 地震波形
  • 走時曲線
  • 地質断面図
  • ルートマップ
  • 岩石の顕微鏡写真
  • 気象観測データ
  • 天気図
  • 海流図
  • HR図
  • スペクトル
  • 恒星の明るさや距離のグラフ
  • 惑星や衛星の模式図

などが次々と登場します。

今回は、アップロードされた2021〜2026年度の問題をもとに、共通テスト地学の出題傾向と具体的な対策を詳しく解説します。


1.共通テスト地学は「四分野を資料で考える試験」

高校地学の内容は、大きく次の四分野に分けられます。

  • 固体地球
  • 地質・地史
  • 大気・海洋
  • 宇宙

共通テストでは、この四分野から毎年広く出題されます。

一つの分野だけが極端に得意でも、安定して高得点を取ることは困難です。

さらに、2021年度第1問では「地球に多量の水が存在すること」を中心テーマとして、海洋と大気の関係、岩石の部分融解、生命が存在できるハビタブルゾーンなどを横断的に扱いました。

これは共通テストらしい構成です。

水という一つのテーマから、

海洋
→大気現象
→地球内部
→マグマの発生
→惑星環境
→恒星とハビタブルゾーン

へと話が広がっています。

つまり、単元別に覚えた知識を、問題の題材に応じて呼び出す必要があるのです。


2.「教科書にない題材」が出ても慌てる必要はない

共通テスト地学では、特定の地域、実際の地震、火山、観測所、天体、探査データなどが題材になることがあります。

その名称を知らないと、

「こんなものは習っていない」

と感じるかもしれません。

しかし、題材が初見であっても、解答に必要な原理は通常、教科書の範囲内です。

例えば知らない火山が出ても、

  • 火山体の形
  • マグマの粘性
  • 二酸化ケイ素の割合
  • 噴火様式
  • 火山噴出物

の関係を使って判断できます。

知らない恒星が出ても、

  • 表面温度
  • 光度
  • 半径
  • スペクトル型
  • HR図上の位置

を利用できます。

したがって、固有名詞を知っているかどうかではなく、

資料の中から既習事項につながる情報を見つけられるか

が重要です。


3.6年間で一貫している最大の特徴は図表・グラフの多さ

2021〜2026年度の地学では、文章だけで完結する問題より、図表やグラフを使う問題の存在感が非常に大きくなっています。

2023年度には、観測点と震源の位置、地震波形、地質構造、鉱物組成、地層の重なり、気象・海洋データ、恒星の性質などを示す多様な資料が使われました。

2024年度でも、観測値の散布図、地形図、火山の模式図、地質図、海流図、天体の分布図などが並びます。

2025年度には、惑星や恒星に関する図、岩石の組織、圧力・温度と鉱物の関係、気象図、天体写真などが使用されています。

2026年度でも、大気構造、地震分布、地質断面、気象現象、恒星のデータなど、複数の資料から関係を見抜かせる問題が目立ちます。

したがって、地学対策では、

「文章を読んで用語を答える練習」

だけでは不十分です。

図を見て、何を表しているか説明する練習

が必要です。


4.グラフは「軸・単位・増減」の順に読む

地学のグラフを見たときは、曲線の形を直感だけで判断してはいけません。

最初に、次の五点を確認します。

1.横軸は何か
2.縦軸は何か
3.単位は何か
4.比例関係か、反比例関係か
5.どの範囲で増加・減少しているか

例えば、地下の深さと地震波速度の関係を示すグラフなら、深くなるほど速度が単純に増加するとは限りません。

物質の状態や組成が変わる境界では、速度が不連続に変化することがあります。

恒星のグラフでも、横軸が表面温度である場合、HR図では高温側が左に置かれることがあります。一般的な数学のグラフと同じ感覚で読むと、方向を逆にしてしまいます。

図を見るたびに、

右へ行くと何が増えるのか

を確認しましょう。


5.資料から分かる事実と、知識による説明を分ける

共通テストでは、グラフや観測結果からいえることを判断させる問題が頻出します。

ここで注意したいのが、資料に書かれていない因果関係を勝手に作らないことです。

例えば、ある地域で地震の発生数と火山活動が同時期に増加していたとしても、そのグラフだけから、

「火山活動が地震を引き起こした」

と断定できるとは限りません。

資料から直接いえるのは、

「両者が同じ時期に増加した」

ことまでかもしれません。

同様に、気温と二酸化炭素濃度が同時に変化しているグラフを見ても、そのグラフだけで原因と結果の方向まで確定できるとは限りません。

資料問題では、

  • 観測された事実
  • 地学知識による解釈
  • 資料だけでは判断できないこと

を区別する必要があります。


6.固体地球分野――プレート運動を土台にする

固体地球分野で最も重要な土台は、プレートテクトニクスです。

プレート境界は、次の三つに整理します。

  • 発散境界
  • 収束境界
  • すれ違う境界

発散境界では、中央海嶺などで新しい海洋プレートが形成されます。

収束境界では、沈み込み、海溝、火山帯、深発地震などが関係します。

すれ違う境界では、プレート同士が水平方向にずれ、トランスフォーム断層が形成されます。

重要なのは、名称だけでなく、

プレートの動き
→地形
→地震の分布
→火山活動
→マグマの生成

を一つの流れとして理解することです。

地図上に震源が並んでいる場合は、深さにも注目します。

海溝側で浅く、大陸側へ向かうほど深くなるなら、沈み込むプレートに沿った震源分布を示している可能性があります。


7.地球内部は「物質」と「力学的性質」の分類を区別する

地球内部の区分には、二つの考え方があります。

物質の違いによる区分は、

地殻
→マントル
→核

です。

力学的性質による区分では、

リソスフェア
→アセノスフェア

などを考えます。

この二つを混同しないことが重要です。

例えばリソスフェアは地殻だけではなく、上部マントルの最上部も含みます。

また、外核は液体、内核は固体ですが、どちらも主に鉄を中心とする核に含まれます。

S波が外核を伝わらないことは、外核が液体であると判断する重要な根拠です。

地球内部については、

  • P波とS波の性質
  • 地震波速度
  • 不連続面
  • 密度
  • 圧力
  • 温度
  • 物質の状態

を相互に関連付けておきましょう。


8.地震問題では走時曲線と初期微動を確実にする

地震分野では、震源、震央、地震波、初期微動、走時曲線などが頻出です。

基本関係は、

初期微動継続時間=S波到着時刻-P波到着時刻

です。

一般に震源距離が大きくなるほど、P波とS波の到着時刻の差は大きくなります。

走時曲線では、

  • 横軸が震央距離
  • 縦軸が到着時刻
  • 傾きが波の速さと関係する

ことを押さえます。

距離-時間グラフで傾きが大きいほど速い、と考えがちですが、走時曲線が「横軸=距離、縦軸=時間」なら、傾きは時間÷距離です。

したがって、傾きが小さい方が速いことになります。

グラフの形式によって意味が変わるため、公式を機械的に当てはめず、軸を確認してください。


9.地震波形は到着順と振幅を見る

複数の観測点の地震波形が示されたら、まずP波とS波の到着時刻を確認します。

一般に、

P波到着
→小さな揺れ
→S波到着
→大きな揺れ

という順序です。

ただし、実際の波形では単純に見えない場合があります。

そこで、

  • 最初に振れ始める時刻
  • 振幅が急に大きくなる時刻
  • 観測点ごとの時間差
  • 震源からの距離

を比較します。

震源決定の問題では、複数地点から推定した震源距離を使います。地図上で観測点を中心とする円を描き、その交点から震央を求める考え方も確認しましょう。


10.火山・マグマは二酸化ケイ素と粘性を結び付ける

火山問題では、マグマの化学組成、温度、粘性、噴火様式、火山地形が関連付けて問われます。

基本的には、二酸化ケイ素の割合が多いマグマほど粘性が大きくなります。

整理すると、

二酸化ケイ素が少ない
→粘性が小さい
→流れやすい
→比較的穏やかな噴火
→玄武岩質マグマ

二酸化ケイ素が多い
→粘性が大きい
→流れにくい
→爆発的な噴火になりやすい
→流紋岩質マグマ

となります。

ただし、実際の噴火様式には揮発性成分なども関係します。

写真や模式図から火山を判断する場合は、山の高さだけでなく、斜面の傾き、溶岩の広がり方、火口周辺の構造に注目しましょう。


11.鉱物・岩石は「名前」より成因を理解する

岩石分野では、火成岩、堆積岩、変成岩の分類が基本です。

火成岩では、

  • 火山岩か深成岩か
  • 斑状組織か等粒状組織か
  • 有色鉱物と無色鉱物の割合
  • マグマの組成
  • 冷却速度

を関連付けます。

地下深くでゆっくり冷却すれば、結晶が成長しやすく等粒状組織になります。

地表付近で急速に冷却すれば、細粒の石基中に斑晶が見られる斑状組織になりやすくなります。

顕微鏡写真が出たときに、岩石名だけを当てようとすると難しく感じます。

まず、

「結晶の大きさはそろっているか」
「大きな結晶と細かい部分に分かれているか」
「明るい鉱物と暗い鉱物の割合はどうか」

を確認してください。


12.変成作用では温度・圧力・鉱物を結び付ける

変成岩の問題では、温度と圧力の条件に応じて安定な鉱物が変化します。

ここでは鉱物名を単独で暗記するより、

  • 接触変成作用
  • 広域変成作用
  • プレートの沈み込み
  • 地下深部の温度と圧力
  • 変成度

をつなげることが重要です。

圧力-温度図が示された場合は、まず横軸・縦軸を確認し、岩石がどの経路を通ったかを追います。

ある鉱物が存在することは、その岩石が経験した温度・圧力条件を推定する手掛かりになります。

したがって、

鉱物を覚える
→その鉱物が形成される条件を覚える
→プレート運動や変成作用と結び付ける

という順番で整理すると、資料問題に対応しやすくなります。


13.地質・地史分野――地層は時間の順序を復元する

地層問題の中心は、

地層や地質構造から、出来事の前後関係を判断すること

です。

基本原理として、

  • 地層累重の法則
  • 切るものは切られるものより新しい
  • 貫入岩体は周囲の地層より新しい
  • 断層は切っている地層より新しい
  • 不整合には時間的な空白がある

を使います。

例えば、褶曲した地層を花こう岩が貫き、その両方を断層が切っているなら、

地層の堆積
→褶曲
→花こう岩の貫入
→断層運動

という順序を考えます。

ただし、侵食や不整合が途中に入る場合は、さらに細かく分ける必要があります。


14.地質図は「平面図から立体構造を復元する」問題

地質図は、多くの受験生が苦手にする分野です。

しかし、見るべきポイントを固定すると処理しやすくなります。

最初に確認するのは、

  • 地層の走向
  • 地層の傾斜
  • 地層の新旧
  • 断層の位置
  • 地形の等高線
  • 鍵層

です。

露頭線が等高線とどのように交差しているかを見ると、地層の傾きを推定できます。

地層境界が等高線にほぼ平行なら、地層が水平に近い可能性があります。

谷を横切る地層境界の曲がり方から傾斜方向を考える場合もあります。

地質図対策では、解説を読むだけでなく、簡単な断面図を自分で描く練習が必要です。


15.化石は示準化石と示相化石を区別する

化石に関する基本分類は必ず押さえておきましょう。

示準化石は、地層が形成された年代を推定する化石です。

条件として、

  • 生存期間が比較的短い
  • 広い範囲に分布する

ことが重要です。

示相化石は、当時の環境を推定する化石です。

例えば、浅い海、暖かい海、寒冷な地域、陸上など、特定の環境と関係する生物の化石が利用されます。

「この化石が出たから新生代である」という年代判断と、「この化石が出たから浅海である」という環境判断を混同しないようにしてください。


16.地質年代は生物の変遷とセットで覚える

地質年代は、

先カンブリア時代
→古生代
→中生代
→新生代

という大区分を押さえた上で、代表的な生物や地球環境の変化を配置します。

例えば、

  • 生命の誕生
  • 酸素濃度の増加
  • カンブリア紀の生物多様化
  • 生物の陸上進出
  • 恐竜の繁栄
  • 被子植物の発展
  • 大量絶滅
  • 哺乳類の繁栄
  • 人類の出現

などです。

細かい年代数値をすべて暗記するより、

「どちらが先か」
「どの代に属するか」
「どの大量絶滅と関係するか」

を優先しましょう。


17.大気分野――高度と気温の関係を確実にする

大気の鉛直構造では、

対流圏
→成層圏
→中間圏
→熱圏

の順序を押さえます。

気温変化は、

対流圏:高度とともに低下
成層圏:高度とともに上昇
中間圏:高度とともに低下
熱圏:高度とともに上昇

が基本です。

ただし、単に曲線の形を暗記するのではなく、理由も理解しましょう。

成層圏ではオゾンが紫外線を吸収するため、上層ほど高温になります。

対流圏では、地表付近が太陽から直接加熱されるというより、地表が太陽放射を吸収し、その地表から大気が加熱されることが重要です。

大気圧や密度は高度とともに低下しますが、一定の割合で直線的に低下するわけではありません。


18.断熱変化とフェーン現象は数値問題にも対応する

上昇する空気は周囲の気圧が低くなるため膨張し、温度が低下します。

下降する空気は圧縮され、温度が上昇します。

乾燥断熱減率は、代表的には高度100mにつき約1℃です。

湿潤な空気が上昇して凝結が始まると、潜熱が放出されるため、気温の低下率は乾燥断熱減率より小さくなります。

フェーン現象では、

風上側で上昇
→冷却
→凝結・降水
→水分を失う
→風下側で下降
→乾燥断熱的に昇温

という流れを理解します。

計算では、上昇凝結高度の前後で気温減率を切り替えることがポイントです。


19.天気図は気圧配置だけでなく風も読む

天気図では、高気圧・低気圧の位置だけでなく、

  • 等圧線の間隔
  • 前線の種類
  • 風向
  • 風速
  • 気温
  • 降水域
  • 低気圧の移動

を総合的に判断します。

北半球の地上付近では、高気圧の周囲で時計回り、低気圧の周囲で反時計回りの風が吹きます。

ただし、風は等圧線に完全に平行ではありません。地表付近では摩擦の影響を受け、低圧側へ少し斜めに吹き込みます。

等圧線の間隔が狭いほど気圧傾度が大きく、一般に風が強くなります。

天気図を解くときは、

気圧配置
→風向
→空気の性質
→雲・降水
→気温変化

という順序で考えると整理しやすくなります。


20.前線問題は断面構造をイメージする

温暖前線では、暖気が寒気の上を緩やかにはい上がります。

そのため、前線の接近に伴って巻雲、高層雲、乱層雲などが広い範囲に現れ、比較的長時間の降水になりやすくなります。

寒冷前線では、進んできた寒気が暖気の下へ入り込みます。

上昇が急なため、積乱雲が発達し、狭い範囲で強い雨が降ることがあります。

閉塞前線は、寒冷前線が温暖前線に追いついて形成されます。

記号だけを覚えるのではなく、前線面を横から見た断面図を自分で描けるようにしましょう。


21.海洋分野では風・海流・密度をつなげる

海洋分野では、

  • 表層海流
  • 深層循環
  • 海水温
  • 塩分
  • 密度
  • 湧昇
  • エルニーニョ・ラニーニャ

などが重要です。

表層海流には大規模な風系やコリオリの力が関係します。

深層循環には、主に水温と塩分による密度差が関係します。

一般に、

水温が低い
→密度が大きい

塩分が高い
→密度が大きい

という関係です。

ただし、グラフ問題では水温と塩分の両方が変化する場合があります。一方だけで判断せず、資料中の密度や水塊の情報を合わせて考えましょう。


22.日本周辺の海流は地図上で覚える

日本周辺では、暖流と寒流の位置を地図上で整理します。

代表的な暖流は、

  • 黒潮
  • 対馬海流

です。

代表的な寒流は、

  • 親潮
  • リマン海流

です。

黒潮と親潮が接する海域は潮目となり、栄養塩や魚類資源とも関係します。

海流名だけを暗記するのではなく、

  • どこから流れてくるか
  • どちら向きに流れるか
  • 暖流か寒流か
  • 日本の気候や漁場にどう影響するか

を地図で確認してください。


23.エルニーニョは通常時との比較で理解する

赤道付近の太平洋では、通常、貿易風によって暖水が西部へ運ばれます。

そのため東部では、深層から冷たい海水が上昇しやすくなります。

エルニーニョ現象時には貿易風が弱まり、暖水域が東へ広がり、東部の湧昇が弱まります。

対策では、

通常時
エルニーニョ時
ラニーニャ時

の三つを並べて、

  • 貿易風
  • 海面水温
  • 暖水の位置
  • 湧昇
  • 大気の上昇域
  • 降水域

を比較しましょう。

図を見ずに文章だけで覚えるより、太平洋を東西に切った断面図を描く方が定着します。


24.宇宙分野――天体のスケールを整理する

宇宙分野では、天体同士の大きさや位置関係を整理する必要があります。

太陽系
→恒星の集団
→銀河系
→銀河群・銀河団
→宇宙の大規模構造

という階層を押さえましょう。

単位も重要です。

  • 天文単位
  • 光年
  • パーセク

が何を表すか確認します。

1天文単位は、地球と太陽の平均距離に相当します。

1光年は、光が1年間に進む距離です。

パーセクは年周視差と関係する距離の単位です。

数値を丸暗記するだけでなく、太陽系内、恒星間、銀河間でどの単位を使うのが適切か判断できるようにしましょう。


25.恒星はHR図を中心に整理する

恒星分野の中心はHR図です。

HR図では一般に、

  • 横軸:表面温度またはスペクトル型
  • 縦軸:光度または絶対等級

が使われます。

表面温度は左側ほど高く、右側ほど低く配置されることが多いため注意してください。

主系列星は、左上から右下へ帯状に分布します。

そのほか、

  • 赤色巨星
  • 超巨星
  • 白色矮星

の位置を整理します。

恒星の光度は、表面温度だけでなく半径にも関係します。

低温でも半径が非常に大きければ明るくなり、高温でも半径が小さければ暗いことがあります。

「高温だから必ず明るい」と単純に判断しないようにしましょう。


26.等級・距離・明るさの関係を理解する

見かけの等級は、地球から見た明るさを表します。

絶対等級は、恒星を一定の距離に置いたと仮定したときの明るさです。

等級は数値が小さいほど明るいことに注意してください。

また、光源から受け取る光の強さは、距離の2乗に反比例します。

明るさをL、距離をrとすれば、観測される光の強さFは、おおよそ、

F=L÷(4πr²)

と表されます。

同じ光度の恒星なら、距離が2倍になると見かけの明るさは4分の1になります。

公式だけでなく、距離が大きくなるほど光が球面上に広がるため薄まる、という意味まで理解しましょう。


27.スペクトル問題は波長と温度を読む

恒星や惑星のスペクトルも重要な資料です。

連続スペクトルの強度が最大となる波長は、温度が高いほど短くなります。

つまり、

高温
→短波長側で強い
→青白く見える

低温
→長波長側で強い
→赤く見える

という関係です。

吸収線からは、恒星大気などに含まれる元素を推定できます。

また、スペクトル線が基準位置より長波長側へ移動する赤方偏移、短波長側へ移動する青方偏移から、天体の視線方向の運動を考える問題もあります。

グラフでは、波長の単位と、ピーク位置・吸収線位置のどちらを見ているのか確認してください。


28.恒星の進化は質量によって分ける

恒星の進化は、誕生時の質量によって大きく異なります。

太陽程度の質量の恒星では、

星間雲
→原始星
→主系列星
→赤色巨星
→惑星状星雲
→白色矮星

という流れが基本です。

大質量星では、

主系列星
→超巨星
→超新星爆発
→中性子星またはブラックホール

という進化をたどります。

すべての恒星が超新星爆発を起こすわけではありません。

また、主系列星として存在する時間は、一般に大質量星ほど短くなります。燃料は多くても、エネルギー消費が非常に激しいからです。


29.太陽系分野では比較表を作る

太陽系の問題では、地球型惑星と木星型惑星の比較が基本です。

性質地球型惑星木星型惑星
主な構成岩石・金属水素・ヘリウムなど
平均密度大きい比較的小さい
半径小さい大きい
衛星数少ない傾向多い傾向
目立たないもつ
太陽からの位置内側外側

ただし、個々の惑星には例外的な特徴があります。

公転周期、自転周期、大気成分、表面温度、衛星などについて、数字を大量に丸暗記するより、惑星間の大小関係とその理由を理解しましょう。


30.地学の計算問題は「単位と比例関係」が中心

共通テスト地学では、高度な数学より、基本的な比例・反比例、速さ、時間、角度、単位換算が重要です。

代表的な関係は、

速さ=距離÷時間

密度=質量÷体積

平均変化率=変化量÷経過時間

です。

地震、プレート運動、堆積速度、恒星までの距離、光の伝わる時間など、題材が変わっても計算の構造は基本的です。

プレートが1年間に数cm移動する場合、100万年間では非常に大きな距離になります。

ただし、cm、m、kmと年、万年、億年が混在するため、単位換算に注意してください。

計算を始める前に、すべての値を同じ単位へそろえましょう。


31.選択肢は「一部分だけ正しい」ものに注意する

地学の選択肢では、前半は正しいが後半が誤っているものがよく作られます。

典型的な誤答パターンは、

  • P波とS波の性質を入れ替える
  • 上昇気流と下降気流を逆にする
  • 暖流と寒流を入れ替える
  • 示準化石と示相化石を混同する
  • 自転と公転を混同する
  • 見かけの等級と絶対等級を混同する
  • 温度とスペクトル型の関係を逆にする
  • 地層や地質構造の新旧を逆にする

などです。

正解を直接探すより、

明確に誤っている部分を見つけて消去する

方が安定します。

選択肢を読むときは、主語、方向、大小、時代、場所を一つずつ確認してください。


32.時間配分は最初の50分で一周する

共通テスト地学の試験時間は60分です。

計算だけでなく、地質図や複数資料の読み取りに時間がかかります。

目安としては、

  • 最初の45〜50分で全問に触れる
  • 残り10〜15分で見直す
  • 一問に3分以上止まり続けない

という配分がおすすめです。

地質図や複雑な計算で手が止まったら、印を付けて先に進みます。

知識で処理できる問題、単純なグラフ問題を先に確保してください。

見直しでは、

  • 正しいものか誤っているものか
  • 横軸と縦軸
  • 単位
  • 方角
  • 地層の新旧
  • 等級の大小
  • 選択肢番号

を重点的に確認します。


33.過去問は「正解したか」より「何を根拠にしたか」

過去問を解いた後に、

「正解は3番だった」

と確認するだけでは、初見資料への対応力は伸びません。

復習では、間違いを次の三種類に分けましょう。

知識不足

用語、法則、典型現象を知らなかった。

資料読解の失敗

軸、単位、凡例、方角、地層境界などを読み違えた。

論理・計算の失敗

比例関係、新旧関係、因果関係、単位換算を誤った。

その上で、

「どの資料のどこを使ったのか」
「どの地学知識が必要だったのか」
「他の選択肢はどこが誤りなのか」

を説明してください。


34.地学では資料集と図説の活用が非常に重要

地学は視覚的な理解が特に重要な科目です。

文章だけでは理解しにくいものとして、

  • 鉱物と岩石
  • 火山地形
  • 地層
  • 褶曲・断層
  • 天気図
  • 海流
  • 惑星
  • 太陽表面
  • 星雲・銀河

があります。

過去問で岩石の写真が出たら資料集へ戻る。

地質構造が出たら断面図を見る。

天気図が出たら前線の断面を確認する。

恒星が出たらHR図へ戻る。

このように、

過去問→資料集→教科書→もう一度過去問

という往復を行うと、知識が実際の図やデータと結び付きます。


35.目標60点前後なら基本事項と典型図を優先する

50〜60点未満の段階では、まず四分野の基本事項をそろえることが優先です。

特に、

  • プレート境界
  • P波とS波
  • 火成岩の分類
  • 地層の新旧
  • 大気の鉛直構造
  • 前線
  • 海流
  • HR図
  • 太陽系
  • 恒星の進化

を重点的に学習してください。

用語だけでなく、典型的な図を見て名称や現象を説明できるようにします。

この段階では、細かい数値の暗記より、

「何が増えると何が減るか」
「どちらが先か」
「どの方向へ動くか」

を正確にすることが大切です。


36.70〜80点を目指すなら資料読解と計算を強化する

70点前後になると、基本知識はかなり身についています。

ここから差がつくのは、

  • 地震波形
  • 走時曲線
  • 地質図
  • 圧力-温度図
  • 気象観測グラフ
  • 海洋断面図
  • HR図
  • スペクトル

などの資料問題です。

過去問を解くときは、資料の横に、

横軸
縦軸
単位
増減
使う法則

を書き込みます。

計算問題では、途中式と単位を必ず残しましょう。

正解した問題でも、選択肢の消去根拠を確認すると、判断の精度が上がります。


37.90点以上を目指すなら「細部の読み違い」を防ぐ

90点以上を目指す段階では、知らない知識よりも、

  • 方角を逆に読む
  • グラフの軸を見落とす
  • 等級の大小を逆にする
  • 地層の新旧を取り違える
  • 単位換算で桁を誤る
  • 資料からいえないことまで断定する

といったミスが大きな問題になります。

演習後は、知識ノートだけでなく「ミスの型」を記録しましょう。

例えば、

「HR図では温度が左ほど高いことを再確認」
「走時曲線は傾きが小さい方が速い」
「断層は切っている地層より新しい」
「等級は数値が小さい方が明るい」

のように、自分専用の注意事項を作ると効果的です。


38.6年間から見える重要能力ランキング

能力重要度
四分野の基本知識★★★★★
図・表・グラフの読解★★★★★
地学現象の因果関係★★★★★
地質図・断面図の理解★★★★★
天気図・気象資料の読解★★★★★
地震波・走時曲線の理解★★★★☆
HR図・スペクトルの理解★★★★★
比例・単位換算★★★★☆
選択肢の誤り発見★★★★★
細かな数値の丸暗記★★★☆☆

ここから分かるのは、

地学は暗記科目であると同時に、観測資料から地球と宇宙を推理する科目

だということです。

知識は必要ですが、知識だけで完成するわけではありません。


39.2021〜2026年度から考える今後の出題方向

6年分を見ると、今後も次の傾向が続く可能性が高いでしょう。

第一に、実際の観測・調査を題材とする問題です。

第二に、複数資料を組み合わせて判断する問題です。

第三に、一つのテーマから複数分野へ展開する問題です。

第四に、グラフの傾向や前後関係を読み取らせる問題です。

第五に、資料からいえる範囲を慎重に判断させる問題です。

したがって、出題される火山名や天体名を予想する勉強より、

  • プレート運動なら何を確認するか
  • 地質図なら何を読むか
  • 天気図ならどの順番で考えるか
  • HR図ならどの軸を見るか
  • グラフならどの量を比較するか

という処理手順を身につける方が効果的です。


結論――共通テスト地学は「知識を使って地球と宇宙を読み解く試験」

2021〜2026年度の6年分から見える共通テスト地学の中心は、

基本知識を、初めて見る観測資料に適用すること

です。

地震の用語を覚えるだけではなく、波形や走時曲線から震源を考える。

岩石名を覚えるだけではなく、組織や鉱物から成因を考える。

前線記号を覚えるだけではなく、気圧配置から風・雲・降水を考える。

恒星の分類を覚えるだけではなく、HR図やスペクトルから性質と進化を判断する。

このような「知識から現象へ」「資料から原理へ」という往復が必要です。

おすすめの学習サイクルは、

教科書で原理を理解する
→資料集で図や写真を確認する
→典型問題で使い方を練習する
→過去問を60分で解く
→全選択肢と全資料を分析する
→不足した知識を教科書へ戻って補う

という流れです。

過去問を解くときも、点数だけを見るのではなく、

「この図の横軸と縦軸は何か」
「この地層の前後関係はどうなるか」
「この気象現象を起こした空気の動きは何か」
「この恒星がHR図のそこに位置するのはなぜか」
「資料から直接いえるのはどこまでか」

まで確認してください。

共通テスト地学攻略を一言で表すなら、

「覚えた地学を、観測資料の中で使えるようにする」

ことです。

地学は範囲こそ広いものの、現象を支える原理には一貫性があります。図やグラフを見た瞬間に、プレート運動、地層の新旧、大気の運動、海水の密度、恒星の温度や光度といった基本原理を呼び出せるようになれば、初見の地域や天体が題材になっても、安定して高得点を狙えるようになります。

情報Ⅰ

2025年度から、大学入学共通テストに「情報Ⅰ」が本格導入されました。

情報Ⅰについて、

「パソコンに詳しければ解ける」
「プログラミングだけ勉強すればよい」
「新しい科目なので対策方法が分からない」

と考えている受験生もいるでしょう。

しかし、2025・2026年度の問題を比較すると、共通テスト情報Ⅰは、特定のプログラミング言語や機器の知識を競う試験ではありません。

中心となるのは、

情報の仕組みを理解し、図・表・疑似コード・データから論理的に判断する力

です。

この記事では、2年分の過去問から見える出題傾向と、具体的な対策を解説します。


1.試験全体は四つの領域から構成される

情報Ⅰの学習内容は、次の四領域に整理できます。

  • 情報社会の問題解決
  • コミュニケーションと情報デザイン
  • コンピュータとプログラミング
  • 情報通信ネットワークとデータの活用

実際の共通テストも、これらを幅広く問う構成です。

2025・2026年度ともに、情報モラル、デジタル表現、ネットワーク、プログラミング、統計・データ分析が出題されています。

つまり、

「プログラミングは得意だが、データ分析は勉強していない」

「用語は覚えたが、疑似コードを追えない」

という状態では安定しません。

全領域を一通り完成させる必要があります。


2.最大の特徴は、知識と読解を組み合わせること

情報Ⅰにも、知識だけで解ける問題はあります。

例えば、

  • 著作権
  • 個人情報
  • 情報セキュリティ
  • 二進法
  • 論理演算
  • 画像のデジタル化
  • IPアドレス
  • 暗号化
  • データベース

などです。

しかし、実際の問題では、知識をそのまま答えさせるより、具体的な場面に当てはめて判断させる傾向が強くなっています。

情報システムの図、Webサービスの画面、通信の流れ、画像処理の手順などを示し、

「この目的に最も適した方法は何か」

を考えさせます。

したがって、用語集を丸暗記するだけではなく、

その技術が何のために使われ、どのような問題を解決するのか

まで理解しましょう。


3.第1問は小問集合――広い知識と素早い判断が必要

第1問は、情報Ⅰの各領域から基本事項を幅広く問う小問集合です。

2025年度では、7セグメントLEDによる数字表示などを題材として、情報のデジタル表現や論理的な判断を求めました。

2026年度でも、デジタル情報、画像、情報量、情報社会に関する知識を、図や具体例の中で使わせています。

第1問の特徴は、一問ごとの難度は極端に高くない一方、出題範囲が広いことです。

対策では、教科書の全範囲について、

  • 用語の意味
  • 目的
  • 長所と短所
  • 具体例

をセットで覚えます。

一問に時間を使いすぎず、知識問題をテンポよく処理することも大切です。


4.情報社会分野は「安全性・権利・信頼性」で整理する

情報社会の問題では、単純な道徳判断ではなく、制度や技術を踏まえた判断が必要です。

特に重要なのは、

  • 個人情報とプライバシー
  • 著作権
  • 肖像権
  • 不正アクセス
  • パスワード管理
  • フィッシング
  • マルウェア
  • バックアップ
  • 情報の信頼性
  • デジタルデバイド

です。

例えばパスワード対策なら、「複雑にする」だけでなく、サービスごとに異なるものを使う、多要素認証を利用するなど、漏えい後の被害拡大を防ぐ視点も必要です。

情報の信頼性を判断するときは、

「誰が発信したか」
「根拠が示されているか」
「別の情報源でも確認できるか」
「情報は最新か」

を確認しましょう。


5.情報デザインは「見栄え」ではなく伝達目的を考える

情報デザインでは、画面、図、Webページなどを、利用者へ分かりやすく伝える方法が問われます。

重要なのは、単に美しいかどうかではありません。

  • 誰に伝えるのか
  • 何を伝えるのか
  • どの順番で伝えるのか
  • 誤解なく操作できるか
  • 色覚や視覚特性に配慮しているか

を考えます。

色だけで情報を区別すると、利用者によっては判別できない可能性があります。色に加えて、形、文字、模様なども利用するのが適切です。

画面上のボタンやアイコンについても、

利用者が説明なしで役割を推測できるか

という視点が重要です。


6.デジタル表現では二進法と情報量を確実にする

コンピュータ内部では、文字、数値、音、画像などがデジタルデータとして扱われます。

基本事項として、

  • 二進法と十進法の変換
  • ビットとバイト
  • 文字コード
  • 画像の画素数
  • 色の階調
  • 音の標本化・量子化
  • データ圧縮

を押さえてください。

基本関係は、

1バイト=8ビット

です。

画像データでは、おおよそのデータ量を、

画素数×1画素当たりのビット数

で考えます。

縦800画素、横600画素、1画素24ビットなら、

800×600×24ビット

です。

バイトへ直す場合は8で割ります。KBやMBへ直すときの単位換算にも注意しましょう。


7.ネットワーク分野は、通信の流れを図で理解する

ネットワークについては、用語を単独で覚えると混乱しやすくなります。

最低限、

利用者の端末
→ルータ
→インターネット
→Webサーバ

という流れを理解しましょう。

重要用語には、

  • LANとWAN
  • プロトコル
  • IPアドレス
  • ドメイン名
  • DNS
  • Webサーバ
  • クライアント
  • パケット
  • 暗号化
  • 公開鍵と秘密鍵

などがあります。

DNSは、ドメイン名とIPアドレスを対応させる仕組みです。

通信データは、一般に小さな単位であるパケットに分割して送られます。インターネットでは、すべてのパケットが必ず同じ経路を通るとは限りません。

ネットワーク図が出たら、矢印を追いながら、

「誰が誰に何を送っているか」

を確認してください。


8.プログラミング問題はコードを書く試験ではない

情報Ⅰのプログラミングでは、特定の言語を使ってプログラムを一から作ることは求められません。

中心となるのは疑似コードの読解です。

必要なのは、

  • 変数
  • 代入
  • 配列
  • 条件分岐
  • 繰り返し
  • 論理演算
  • 関数
  • 添字

の理解です。

2025・2026年度ともに、問題文で処理の目的を説明し、その処理を実現する疑似コードの空欄や実行結果を考えさせています。

見慣れない記号があっても、問題冒頭の説明に従えば解けるように作られています。

したがって、記号を暗記するより、

各行で変数の値がどう変わるか

を追跡することが重要です。


9.疑似コードはトレース表を作って読む

疑似コードを頭の中だけで追うと、繰り返しの途中で値を見失います。

そこで、変数の値を記録するトレース表を作りましょう。

例えば、

繰り返し回数ixtotal
初期状態30
1回目133
2回目258

という形です。

特に注意したいのは、

  • 初期値
  • 繰り返しの開始値と終了値
  • 条件が成立する瞬間
  • 配列の添字
  • 代入の順番

です。

「x=x+1」は方程式ではなく、現在のxに1を加えた値を、新しいxとして代入する処理です。


10.アルゴリズムは処理の目的を先に確認する

プログラムを一行目から読む前に、

「何を求めるプログラムなのか」

を確認してください。

目的が分かれば、各変数の役割を推測しやすくなります。

例えば最大値を求める処理なら、

1.最初の値を暫定的な最大値にする
2.次の値と比較する
3.より大きければ更新する
4.最後まで繰り返す

という構造になります。

合計、平均、件数、探索、並べ替え、シミュレーションについても、基本的な処理の型を理解しておきましょう。


11.データ活用は「グラフを選ぶ力」から始まる

データ分析では、目的に応じて適切なグラフを選ぶ必要があります。

  • 項目別の大小比較:棒グラフ
  • 時間的な変化:折れ線グラフ
  • 全体に占める割合:円グラフ・帯グラフ
  • 二変量の関係:散布図
  • 分布の形:ヒストグラム
  • 中央値や四分位範囲:箱ひげ図

2025・2026年度では、複数の統計表、散布図、箱ひげ図などを読み、データ間の関係や適切な説明を選ばせる問題が出されています。

グラフの見た目だけで判断せず、軸、単位、対象、人数、期間を確認しましょう。


12.相関関係と因果関係を区別する

散布図で二つの値に相関が見られても、一方が他方の原因とは限りません。

例えば、商品Aの売上と商品Bの売上が同時に増えていても、AがBを増やしたとは断定できません。

季節、人口、景気など、別の要因が両方に影響している可能性があります。

したがって、

相関がある

因果関係が証明された

という区別が重要です。

選択肢に「必ず」「原因であることが分かる」といった強い表現があれば、資料がそこまで示しているか確認してください。


13.平均値だけでなく分布を見る

平均値が同じ二つの集団でも、データの散らばり方は異なることがあります。

そこで、

  • 平均値
  • 中央値
  • 最頻値
  • 範囲
  • 四分位範囲
  • 分散
  • 標準偏差

の意味を理解しましょう。

箱ひげ図では、中央値、四分位数、最大値・最小値の位置を読みます。

箱が長ければ中央付近のデータの散らばりが大きく、中央値が箱の中央からずれていれば分布が左右対称でない可能性があります。

平均だけで「こちらの集団の方が優れている」と判断しないことが重要です。


14.60分の時間配分を決めておく

情報Ⅰは文章量と資料量が多く、後半のプログラミングやデータ分析に時間を取られやすい試験です。

目安として、

  • 第1問:10〜12分
  • 第2問:12〜15分
  • 第3問:15〜18分
  • 第4問:15〜18分
  • 見直し:5分程度

を考えましょう。

一つの疑似コードで止まり続けると、データ分析に使う時間がなくなります。

解法が見えない問題には印を付け、先へ進む判断も必要です。


15.過去問は正解番号ではなく処理過程を復習する

情報Ⅰの復習では、間違いを次の三種類に分類します。

知識不足

用語、制度、ネットワーク、統計指標を知らなかった。

処理の失敗

二進法、データ量、変数、配列、繰り返しを誤った。

資料読解の失敗

軸、単位、凡例、母集団、相関関係を読み違えた。

プログラミング問題では、正解コードを眺めるだけでなく、初期値から最後までトレースし直します。

データ分析では、正解の選択肢だけでなく、誤答がなぜ資料からいえないのかを説明しましょう。


結論――情報Ⅰは「仕組みを理解して情報を処理する試験」

2025・2026年度の過去問から見える情報Ⅰの中心は、

情報技術の基本知識を、具体的な問題解決に利用すること

です。

用語を覚える。
ネットワークの流れを理解する。
疑似コードを一行ずつ追う。
グラフから必要な情報を取り出す。
相関と因果を区別する。
目的に適した表現方法を選ぶ。

この一連の力が求められます。

おすすめの学習サイクルは、

教科書で基本事項を理解
→二進法・情報量を計算
→疑似コードをトレース
→グラフ・統計問題を演習
→過去問を60分で解く
→全選択肢の根拠を確認

という流れです。

情報Ⅰ攻略を一言で表すなら、

「用語を知る」から「情報を使って問題を解決する」へ

ということです。

プログラミング経験が少なくても、基本構造を理解し、表を書いて丁寧に追跡すれば十分対応できます。2年分の過去問を繰り返し分析し、初見の題材でも処理手順を崩さない力を身につけることが、高得点への最短ルートです。

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