大学入学共通テスト・日本史Bの分析【2022年1月15日実施分】

2022年1月15日に大学入学共通テスト(1日目)が実施されました。

本記事では大学入学共通テストの日本史Bを分析しています。

2021年度の試験と比較しています。

全体について

○出題内容について
2021年度と同じく史料、表などから考察して回答する問題が出題されたが、2022年度は量が多く、時間をかなり取られた受験生が多いと思われる。2021年度の問題から覚えたことを単純にアウトプットして回答する問題が少ないことはわかっていた受験生も、今回その傾向がさらに強まったことにより困惑しただろう。

○出題形式について
全問マーク式である。
前述した通り史料、表、年表など様々な形式で出題された。

○難易度について
読解しなければならない量の多さと、それにあわせた形で基本的な知識をアウトプットしなければならないため、時間を多く取られてしまった受験生が多いと思われるため、2021年度より難化したと予想する。

大問1について

2021年度と変わらず配点は18点、問題数は6問である。
姓名に関する表などをもとに考察する問題である。
時事的な要素をあげるとすれば夫婦別姓問題だろう。

表の読解をしたうえで日本史の基本知識をもとに回答を判断する必要があるため比較的難易度の高い問題であった。読解力があれば書いてあることを読み取れば簡単に答えることができるが、読解力がないと余分に時間をとられてしまう形式である。

大問2について

2021年度と変わらず配点は16点、問題数は5問である。
日本古代の法整備の歴史と、中国の法典をもたらした遣隋使・遣唐使の派遣についての問題である。

年表や史料(古代の計帳)をもとにした問題であった。
年表は基本的な知識で回答できるが、史料問題は計帳の読み取りと基本知識の組み合わせで回答する問題なので大問1と同じように読解力や考察力が求められている。

大問3について

配点は2021年度と変わらず16点であるが、問題数が2021年度が4問、2022年度が5問であった。
中世の海と人々の関わりの歴史について先生と生徒の対話形式で問題が展開している。

図、史料、地図をふまえて回答する問題も出題されている。
誤文選択や年代の並べ替えなどの従来からある問題のほか、史料の読解も出題された。

大問4について

配点は2021年度と変わらず16点であるが、問題数が2021年度が4問、2022年度が5問であった。
近世の身分と社会に関連する問題である。

大問3と同じく誤文選択や年代の並べ替えなどの従来からある問題のほか、史料の読解も出題された。
2021年度の共通テストや模試問題集などでどれだけ対策をしていたかが点にも反映されているだろう。

大問5について

2021年度と変わらず配点は12点、問題数は4問である。
日本とハワイの関係に関連する問題である。

史料の読解と基本知識の確認(正しい組み合わせ選択問題、年代並べ替え問題)が出題された。

大問6について

2021年度と変わらず配点は22点、問題数は7問である。
日本における鉄道の歴史とその役割について述べた文章から出題された。
リード文でも書いてある通り日本において鉄道が開通して、2022年で150年をむかえるにあたって出題されている。

表の読み取り問題が多く、表に関連した誤文選択問題が出題された。
誤っている文を選べという指示は太字になっているが、見落とさないように注意しなければならない。

2000年代の首相である小泉純一郎も選択肢の中で登場している。
*「国鉄の民営化は小泉純一郎が首相の時に行われた」という文の正誤を判別する問題である。
正しくは中曽根康弘であり誤文である。小泉純一郎は郵政民営化を基本方針とした首相。

まとめ

基本知識の単純なアウトプットで回答できる問題は少なくなり、読解して考察する問題が主となっている。
具体的な歴史用語ではなく、史料に書いてある用語から歴史用語の何に該当しているのかを予想して回答する問題もある。

難化しているので2023年度は基本知識の単純なアウトプットの問題が本年度より多くなるかもしれないが、史料や表などの読解は避けて通れないため、過去問や模試問題集で対策をする必要がある。

国公立志望者で2次試験に日本史を選択している場合は、論述がある大学が多いので共通テストに対応するのは容易だと思うが、私立志望者は一問一答的な学習を主としている人が多いと思うので、より対策が必要である。

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