共通テスト 現代社会 完全攻略
本記事では共通テストの科目である現代社会の対策を記載しています。
センター試験と共通テストの過去問をもとに分析しています。
分析にあたりセンター試験については19回分、共通テストについては3回分を実際に解いています。
共通テストの現代社会の問題数は30問で、試験時間は60分です。
全体の傾向について
共通テストがセンター試験と違う点は共通テストの方が考察問題が多く、読解する量も多いという点です。
考察問題の数はセンター試験が36問中2問程度なのに対し、共通テストは2021年度が30問中8問、2022年度が30問中13問となっています。
*知識がなくても文章やグラフなどを読んで解ける問題を考察問題としています。
したがって、問われていることが理解できなかったり、解くのに時間がかかると時間内に終わらない可能性があります。とはいえ知識問題は知っていれば瞬殺することができるので多くの受験生は間に合わないということはないと思います。
考察問題について
●考察問題の概観
考察問題は知識がなくても文章を読解すれば回答することができるので、可能な限り落としたくない問題です。
センター試験と異なる点は、センター試験では文章やグラフ、図などが割と簡素で条件を確認しやすかったのですが、共通テストは複数の資料を参照したり、計算問題については計算する量が若干増えています。
センター試験の問題も共通テストの対策に役立つうえ、共通テストはまだ過去問が少ないので積極的に利用した方がいいです。
●回答方法
1. まずは問題文をよく読み、条件の確認と問われていることの確認を行います。
2. 選択肢の1番から順に文を確認していきます。
ここで資料に記載されている数値をもとに考察する問題の場合、割合・比率なのか単純に記載されている通りの数で考察するのかを考えます。意外と見落としてしまい、そのままの数値で何の計算もせずに直感で答えてしまうことがあります。そもそも割合の計算方法がわからない人は気をつけてください。
例えば、「○○の○○%が~」となれば割合の問題だとわかります。
基準や観点などから抽象化して回答する問題もあります。
示された基準や観点は「つまりどういうことがあてはまるのか」を考えて考察する必要があります。
3. 「~より多い」などの比較表現やグラフの種類(円グラフ、折れ線グラフ、帯グラフなど)に惑わされないようにする。
前者は日本語の問題ですが、比較表現があり、文章も多いと情報処理がうまくいかずにケアレスミスにつながります。
4. 計算問題があれば単純な四則演算でも気をつける。
計算問題はすべて簡単な四則演算で回答することができますが、小数点などがあるとケアレスミスが多くなります。苦手な場合は整数にして計算するのもありです。割合の大小問題であれば大まかな割合がわかればとけるので律儀に小数点つきで計算する必要はありません。
この1~4の手順を守れば多くの問題に対応することができます。
また、グラフの波線や点線、無印、点、塗りつぶしなども見間違えないようにしましょう。
計算式が問題用紙を埋め尽くさないようにすることにも注意です。(見にくいからです)
その他、時間短縮のために1から4までの選択肢をすべて確認していくのではなく、該当する選択肢が見つかったら他の選択肢は検討せずに次にいきましょう。
知識問題について
知識問題は基本的に市販の参考書を1冊勉強すればじゅうぶんに対応することができます。
ただ、中でも頻出の分野があるので政治分野、経済分野、社会・倫理分野にわけてチェックしていきましょう。
すべて重要ですが、中でもほとんど確実に出題されているだろう分野は赤で記載しています。
●政治分野
国家の3要素、領土・領空・領海
ホッブズ、ロック、ルソーの思想
アメリカ独立宣言、フランス人権宣言の文言
F・ルーズベルトの4つの自由
国際人権規約
難民の地位に関する条約
子どもの権利条約
代表的な憲法訴訟(合憲か違憲かを特にチェック)
国家賠償請求権
教育基本法、少年法
日米安全保障条約、日米地位協定、思いやり予算、集団的自衛権
日本の統治機構すべて(免責特権、国会の種類、衆議院の優越、弾劾裁判所、内閣の仕事、行政委員会、裁判所(裁判員裁判)など)
違憲立法審査権、イギリス・アメリカの政治制度
地方自治の直接請求権(請求の種類、必要署名数、請求先、請求後の動き)、地方分権一括法、地方財政の歳入
オンブズマン制度、省庁再編図(庁から省になったところ、年号も)
選挙制度
日本政党史(特に55年体制)
国際連合の組織、国際連合の問題点、PKO
軍縮機関の設立、核軍縮
民族紛争(旧ユーゴ、チェチェン、パレスチナ、アフガンなど)
●経済分野
代表的な経済学説(アダムスミス、リカードの比較生産費説、社会主義)
*リカードの比較生産費説は計算問題で頻出
景気循環の種類(名称、周期、原因となる要素)
企業の種類、会社設立の出資者、会社企業の分類
株式会社の仕組みについて(株主総会との関わり)
企業倫理に関する用語(コンプライアンス、メセナ、フィランソロピーが頻出)
需給曲線
寡占市場における非価格競争、外部不経済
カルテル、トラスト、コンツェルン
独占禁止法による持株会社の解禁
国民所得の計算
インフレ、デフレ、スタグフレーション
通貨の流れ
金融政策(公開市場操作、支払準備率操作、信用創造)
金融の自由化、護送船団方式
財政の機能と財政政策
国債発行の原則、直間比率、垂直的公平、水平的公平、消費税
財政投融資
傾斜生産方式、ドッジライン、シャウプ勧告
高度経済成長の要因、石油危機~バブル経済
アジア通貨危機、金融再生法
中小企業について
農業問題(農業基本法、食糧管理制度)
ラウンド交渉
消費者の4つの権利
消費者保護行政(PL法やクーリングオフなど)、トレーザビリティ
労働に関する法律
日本の労働問題
社会保障について(後期高齢者医療制度)
年金保険について
GATT、WTO
ブレトンウッズ体制の崩壊、スミソニアン協定
UNCTAD
アジアNIES、BRICS
EUの統合とマーストリヒト条約、リスボン条約、ギリシア危機、ブレグジット
地域的経済統合
ODAについて
●社会・倫理分野
地球環境問題について
環境対策(バーゼル条約、ワシントン条約、生物多様性条約、ラムサール条約など)
国連人間環境会議、国連環境開発会議
環境問題をめぐる用語(ナショナルトラスト、ゼロエミッション、グリーン購入法など)
日本の公害、公害対策基本法の7つの公害、環境基本法
公害の行政判断の目安となるルール(PPP、無過失責任)
リサイクル関連法
人口ピラミッドの特徴と日本のピラミッドの推移
資源・エネルギー問題
青年期の課題と人間形成(第二次性徴、第二反抗期、マーガレットミードなど)
ルソーの第二の誕生(「存在するため→生きるため」という順番)、レヴィンのマージナルマン、ホリングワースの心理的離乳、ヤマアラシのジレンマ
アイデンティティの拡散(エリクソン)、ハヴィガーストの青年期の発達課題、スチューデントアパシー
防衛機制の読解問題
マズローの5段階の欲求
大衆社会(リースマンの他人指向型)
テクノストレス、デジタルデバイド、メディアリテラシーなど
SOHO、ユビキタス、SNS
文化相対主義とエスノセントリズム
女性の労働力率のM字カーブ
男女参画社会基本法、NPO
柳田国男と和辻哲郎
近代哲学(ベンサム、JSミル、キルケゴール、サルトル、マザーテレサ、フロムなど)ルースベネディクトの欧米と日本の意識の違い、アマルティアセン、ハーバーマス、アドルノなど
死の判定、臓器移植
リビングウィル、インフォームドコンセント、出生前判断、遺伝子組み換え食品
ブレインストーミング、ロールプレイ、アンケート、プレゼンテーション、ディベート
以上の黒字部分はあまり出題されないということではなく頻出ではあるのですが、特に赤色は必ず頭に入れておかなければならない部分ということを示しています。
時事問題も出題されますが、あっても1~2問程度なので、まずは上記の分野を重点的に強化すべきです。
勉強する時の注意点
過去問をやればわかると思いますが、用語を単体で覚えていても何の意味もありません。
必ずその用語がどのような背景で説明されているのかを把握してください。
共通テストで現代社会を利用する受験生のほとんどが国公立大学を志望していると思いますので、参考書に書いてあることをすべて隅々まで覚えようとするのではなく、頻出分野や過去問を解いて正答率が低い分野を中心に効率よく勉強していきましょう。
参考書を通読したあと、センター試験の過去問を10年分、共通テストの過去問はすべてやり、理解不十分な分野は参考書を再読するという流れを地道にたどっていけば簡単に80点以上はとれる科目になります。
勉強期間は1~2ヶ月といったところでしょう。
素早く必要な知識を頭にいれて、考察問題に慣れておくことが高得点につながります。