大学入学共通テスト・現代社会の分析【2022年1月15日実施分】

2022年1月15日に大学入学共通テスト(1日目)が実施されました。

本記事では大学入学共通テストの現代社会を分析しています。

2021年度と比較しています。

全体について

○出題内容について
2021年度と同じくセンター試験ほど直接知識を問われる問題は少なく、資料や図などを駆使して考察する問題が多くなっている。
問題数にすると、知識問題:考察問題=17問:13問なので、考察問題が多くなったとはいえ知識問題対策も欠かすことができない。

〇出題形式について
2021年度と変わらず全問マーク式、30問である。

〇難易度について
2021年と難易度は変わらない
考察問題に時間はかかるが、知識を必要としないので落とせない。

大問1について

大問1は市役所での就業体験に参加し、活動の記録カードを作成したという設定の問題である。

知識問題は8問中5問、考察問題は3問である。

考察問題は選挙方式による当選者の変化を計算する問題で、計算方法も書いてある。
ドント式は頻出なので名称だけでなく(今回は問題文に書いてあるが)計算方法も頭に入れておかなければならない。

また、一票の格差についての考察問題、国際連合PKOの予算分担率と人員派遣数の表から読み取れる問題が出題された。

知識問題はセンター試験と変わらず、用語を知っているだけでは対応することができず、その用語がどのような背景で使用されているのかを知っておかなければならない。

大問2について

大問2は校長先生の講話から出題された。

知識問題は5問中4問、考察問題は1問である。

考察問題は心理学者マーシャがエリクソンのアイデンティティの概念を発展させて4つの分類にわけたものをもとに考察する問題である。
4つの選択肢にある文章を読んで、前半と後半でわけて考えれば容易に回答できる。

知識問題は用語を応用させて考える問題が出題されている。

大問3について

大問3は高校生でも参加可能な大学の講義をもとに出題された。

知識問題は6問中2問、考察問題は4問である。

考察問題は債権に関する事例が不良債権のどの分類にあてはまるかを考察する問題である。
また、信用創造について3つの銀行、3つの会社と預金・融資額、中央銀行の預金準備率を条件から計算する問題である。
その他、貨幣の四つの機能から考察する問題、年齢階級別労働率のグラフから考察する問題が出題された。

知識問題についてはバブル経済の発展と崩壊の過程について時系列に並べる問題が出題された。
また、男女雇用機会均等法の内容に関する知識の確認問題も出題された。

大問4について

大問4は「共同体を問い直す」というテーマで授業がおこなわれ、そこで配布されたプリントをもとに出題されている。

知識問題は6問中5問、考察問題は1問である。

考察問題は一人一人の個性や能力を承認し、活躍を促すための自治体や企業の取り組みとして適さない事例を選ぶ問題が出題された。

知識問題は異なる文化の人との対話、共生のあり方について、医療に関する自己決定、知的財産権、個人情報の法整備についてなど多種多様な形で出題された。

大問5について

大問5は持続可能な社会形成について出題された。

5問すべてが考察問題であった。

高齢化率、合計特殊出生率の上位・下位のランキング、東京圏と地方圏の転出・転入のグラフから考察する問題、社会資本について文章から判断する問題、自治体とNPOの関わり方についての問題、農業地域の課題とその具体的対策をあてはめる問題、持続可能性を高めるための観点からその具体策を選択する問題である。

どの問題も冷静に条件や文章を確認していけば容易に回答できるものだが、試験という緊張感がある中で長い文章に対応するのは少々しんどい思いをしただろう。

まとめ

知識問題は用語の丸暗記ではまったく対応することができないので、参考書などでインプットする際は、その用語がどのような文脈で出ているのか、その用語をどのように使用し、考えることができるのかを意識する必要がある。

考察問題は模試、問題集、過去問をつかって入念に準備をしておく必要がある。
条件を一つ一つ確認して情報を整理する練習を重ねていくこと。