大学入学共通テスト・日本史Bの分析【2023年1月14日実施分】
2023年1月14日に大学入学共通テスト(1日目)が実施されました。
本記事では大学入学共通テストの日本史Bを分析しています。
2022年度の試験と比較しています。
全体について
○出題内容について
史料や図表をもとに答える問題が多く出題された。
2022年度よりも史料問題が増加している。
知識を必要とする問題も出題されるが、考察系など知識を必要としない問題で失点をできるだけ防げるかが高得点につながっている。
○出題形式について
全問マーク式である。
前述した通り史料、図表など様々な形式で出題された。
○難易度について
史料読解問題が増えているため知識を必要とせず答えられた人が多かったと推察する。
よって2022年度と比べて易化している。
平均点は59.75点(6.94点UP)であった。
大問1について
2022年度と変わらず配点は18点、問題数は6問である。
地図と歴史がテーマで、会話や資料をもとに回答する問題が出題された。
資料は仁和寺所有の「日本図」、金沢文庫所蔵の「日本図」、『常陸国風土記』、『日本書紀』、『続日本紀』、「元禄常陸国絵図」から出題されている。
資料問題は6問中4問であり、年代整序問題や組合せ問題で知識が試された。
大問2について
2022年度と変わらず配点は16点、問題数は5問である。
日本古代の陰陽道の歴史がテーマで、文章や資料をもとに回答する問題が出題された。
資料は『朝野群載』、「九条殿遺誡」から出題されている。
資料問題は5問中2問であり、他の問題は年代整序問題、組合せ問題、文の正誤判定問題であった。
大問3について
2022年度と変わらず16点、問題数は5問である。
中世の京都がテーマで会話や資料をもとに回答する問題が出題された。
資料は山田邦和『京都都市史の研究』から作成された地図、『建武以来追加』、『大内氏掟書』から出題されている。
資料問題は5問中1問であり、他の問題は組合せ問題、年代整序問題、文の正誤判定問題、図の関係性を答える問題であった。
図の関係性を答える問題は経済の動きを模式的にあらわした図で、覚えているかよりも中世の京都における経済の動きを理解しているかどうかが問われた。
大問4について
2022年度と変わらず16点、問題数は5問である。
江戸時代における人々の結びつきについてがテーマで、文章や史料をもとに回答する問題が出題された。
資料は『安政文雅人名録』、『長崎実録大成』から出題されている。
資料問題は5問中2問であり、他の問題は文章の空所補充問題、年代整序問題、文の正誤判定問題であった。時代の背景などを理解しておく必要がある。
大問5について
2022年度と変わらず配点は12点、問題数は4問である。
幕末から明治にかけての劇の台本作成というテーマで、会話やメモを参照して回答する問題が出題された。
資料は『自由燈』9号から出題されている。
資料問題は4問中1問であり、他の問題は組合せ問題、年代整序問題、発言内容の正誤を問う問題が出題された。
発言内容の正誤を問う問題は3人の時代考証に関する発言をみて正しいか間違っているか判別する問題である。教科書のレベルを逸脱していないが、語句だけ覚えていても対処できない。
必ず流れで通史をおさえること。
大問6について
2022年度と変わらず配点は22点、問題数は7問である。
修学旅行の歴史がテーマで、資料をもとにして回答する問題が出題された。
資料は長商創立75周年記念誌編集委員会編『長商卒業生の生活と意見』、奈良県立図書情報館「子どもたちが見た満州」より作成された表、農商務省鉱山局編『鉱夫待遇事例』より作成された表、「入坑(母子)」山本作兵衛から出題されている。
資料問題は7問中2問で、他の問題は文章の空所補充問題、表などをもとに答える問題、文の正誤判定問題、正誤問題が出題された。
ストレートに知識が問われることは少なく、知識は必要とするけれども表などを見て応用しないといけない問題が多数出題されている。
まとめ
上述したとおり知識をそのままアウトプットするような問題は少なく、時代背景や流れを理解している必要がある問題が多い。
問題の種類としては資料問題、年代整序問題、文の正誤判定問題が多い。
教科書や一問一答を丸暗記するのではなく、出来事のつながりや関連情報を理解している必要があり、2024年度以降も読み取りを必要とする問題は出続けると予想する。