大学入学共通テスト・世界史Bの分析【2022年1月15日実施分】
2022年1月15日に大学入学共通テスト(1日目)が実施されました。
本記事では大学入学共通テストの世界史Bを分析しています。
2021年度の問題と比較しています。
全体について
○出題内容について
2021年度と同じように基本的な知識を問う問題、資料や表を考察して解く問題、生徒同士の会話から推察して解く問題などが出題された。また、絵画をもとにした問題も出された。
○出題形式について
全問マーク式である。
正文選択の問題が大幅に増えており、誤文選択の問題は出題されなかった。
○難易度について
2021年度と同じく単純な知識のアウトプットでは解けない問題が多く、読解する必要がある。
表にある数値をもとに考察する問題が1題出題されたが、2021年度の例があり今回は対策をしっかりしてきている受験生が多く、総合的に判断して易化したと予想する。
大問1について
配点は2021年度が15点、2022年度が27点
問題数は2021年度が5問、2022年度が9問
世界史上の学者や知識人について述べた文章を読んで答える問題である。
地図をみて都市の位置を指定する問題はセンター試験のときから頻出であり、今後も出題されると思うので2023年度以降の世界史受験者は普段から地図を確認しておくこと。
資料から推察する問題は、世界史の用語を単純に覚えているだけでは対応することができない。
その用語がどういうものなのか、どういうことに歴史的な関わりがあるのかというところまで意識して覚えないといけない。
大問2について
配点は2021年度が18点、2022年度が15点
問題数は2021年度が6問、2022年度が5問
ある出来事の当事者の発言や観察者による記録から出題されている。
「スペイン最後の植民地」に含まれる地域を世界の地図から指定する問題が出題されている。
歴史的事象の年代や場所などの基本的な知識を総動員させる必要がある。
締結した条約の相手国とその内容を問う問題が出題されていることから、冒頭でも述べたように用語の丸暗記ではなく、その関連知識についても気を配る必要がある。
大問3について
配点は2021年度も2022年度も同じく24点
問題数は2021年度も2022年度も同じく8問
世界史上の人々の交流や社会の変化について述べた文章から出題された。
形式は生徒同士の会話、人口の推移に関する表である。
前問と同じく歴史的事象の因果関係をおさえないと解けない問題が出されている。
表は年代別に人口の推移が記載されており、その年代に起きた事象と表の数字から考察させる問題が出題されている。
大問4について
配点は2021年度が26点、2022年度が17点
問題数は2021年度が9問、2022年度が6問
歴史上の出来事や人物に関する問題である。
ある議論の中で異なる見方と、それぞれの根拠を選択する問題があり、歴史を大枠でとらえて理解していることも求められている。
税制というテーマに沿って数カ国を挙げ、時代もまたがって出題された。
テーマ史はどの試験でも頻出なので通史だけでなく、複数テーマの中で世界史をとらえる必要がある。
大問5について
配点は2021年度も2022年度も同じく17点
問題数は2021年度も2022年度も同じく6問
世界史上の墓や廟について述べた文章から出題された。
サン=ドニ大修道院付属聖堂内の墓棺群の配置推定復元図とメロヴィング家とカロリング家の王・王妃に関する文から復元図の指定の場所に配置されている人物を考察する問題が出題された。
読解力と基本知識が試されている。
中国史もあわせて出題されており、地図の問題も出題された。
中国の地図は頻出なので、次年度以降の受験者は必ずおさえておくべき。
まとめ
今後の共通テストも同形式で出題されると予想する。
易化しているので2023年度はもう少し難しくなるだろうが、問われている知識は教科書レベルの域を出ておらず、事前に共通テストの過去問や模試問題集などを駆使して対策をすればじゅうぶん対応できるレベルである。
後ろにひかえる私立入試、国公立入試と比較すればはるかに簡単な問題なので、ただの通過点としてとらえておくといい。