大学入学共通テスト・国語の分析【2022年1月15日実施分】

2022年1月15日に大学入学共通テスト(1日目)が実施されました。

本記事では大学入学共通テストの国語を分析しています。

2021年度の試験と比較しています。

全体について

○出題内容について
現代文は文章の読解と整理メモの穴埋め、ノートの穴埋めとなっている。
古文は文章の読解と生徒同士の話し合いの穴埋めとなっている。
漢文は文章の読解である。

○出題形式について
全問マーク式である。
配点は2021年度と変わらず、評論が50点、小説が50点、古文が50点、漢文が50点である。

○難易度について
現代文の大問1は一部変わった形式で話題となっていたが、難易度は標準である。
大問2の小説は表現の意味を問う問題がなくなっており、問1から内容を問う問題であったため、読解力に自信がない受験生は昨年より難化したと感じたと予想する。
古文は文章ⅠとⅡにわかれており、生徒同士の話し合いをもとにした問題も新たに出題された。
漢文は例年通り語句の意味を問う問題などが出題された。また、詩の形式名を問う問題も出題された。
総合的に判断して、やや難化していると予想する。

大問1について

宮沢賢治の「よだかの星」を参照して「食べる」ことについて考察した文章が出題された。
文章Ⅰと文章Ⅱにわかれており、2021年度とは異なる形式である。
出典は文章Ⅰが檜垣立哉の『食べることの哲学』、文章Ⅱが藤原辰史の『食べるとはどういうことか』である。

問1の漢字問題にも新傾向が見られ、2021年度は5問すべて傍線部に相当する漢字を選ぶ形式であったが、2022年度は同形式のものは3問のみであり、残り2問は傍線部と異なる意味のものを選ぶ問題であった。

文章ⅠとⅡを読んで「食べる」ことについて自分の考えを整理するメモの穴埋め問題が出題されており、文章を文字通り理解する他、抽象化してまとめる能力も問われている。

大問2について

黒井千次「庭の男」の一節から出題された。
センター試験を含め、2021年度までは問1が文中の表現の意味を問う問題であったが、2022年度は問1から内容に関する問いであった。

2021年度は文章の批評文をもとに回答する問題が出題されたが、2022年度は文中の「案山子」と「雀」に関する俳句の内容をまとめたノートの穴埋め問題が出題された。

問1から内容に関する問題であるため、従来の形式で練習をしてきた受験生や読解力に自信がない受験生は余分に時間をとられてしまったと予想する。

大問3について

文章Ⅰは『増鏡』の一節、文章Ⅱは『とはずがたり』の一節から出題された。

例年通り問1は傍線部の解釈問題が出題された。
読解は基礎的な文法、単語、敬語などの知識と読解の演習で対応できるものである。

文章Ⅰと文章Ⅱに関する生徒同士の話し合いの問題は2021年度には出題されなかった。
ぼんやりと「こんな感じの内容な気がする」程度では解けないので、2023年度以降に受験する人は読解の演習をまじめに取りくんだ方がよい。

大問4について

阮元の『揅経室集』から出題された。
漢詩の問題は2020年度センター試験、2021年度共通テストに続き3年連続である。

例年通り、波線部の漢字の意味を問う問題、傍線部の返り点の付け方と書き下し文を選ぶ問題、傍線部の解釈の問題が出題された。また、久しぶりに詩の形式名を問う問題が出題された。

漢文は例年通り基本的な学習をおこなっていればじゅうぶん対応できるレベルである。

まとめ

緊張感のあるなか、多くの文章を冷静に読解していくことは至難のわざである。
本番までに実際の試験を想定して勉強を重ねてきた人と何となく問題集などをやってきた人のあいだで大きな差となる。

2023年度以降の受験生は知識問題は確実に得点できるようにして、読解は正確に読む練習→時間内に読む練習という順序で勉強し、過去問で本番に近い状況下で演習を重ねることを忘れないようにしたい。

2023年度は同形式になるか、また異なる形式になるのかは不明なので模試の問題集や2021年度、2022年度の問題などを利用して対策をすすめていくようにしてほしい。