筑波大学(前期日程)の国語対策

2023年6月29日

本記事では筑波大学前期日程の国語対策について記載しています。

筑波大学の国語は学群・学類によって配点や試験時間が異なります。

総合選抜:500点満点
人文学類:600点満点
比較文化学類:400点満点
社会学類:400点満点
教育学類:250点満点
心理学類:250点満点
障害科学類:250点満点
看護学類:200点満点


総合選抜~障害科学類は120分(大問1~大問4)
看護学類は90分(大問1~大問2)

過去の出典

筑波大学の国語はすべて記述です。
現代文2題、古文1題、漢文1題という構成で、現代文は大問1が評論、大問2が小説となっています。

●現代文(評論)の過去の出典
2015年度:三嶋博之『エコロジカル・マインド』
2016年度:渡部信一『ロボット化する子どもたち』
2017年度:仲正昌樹『いまを生きるための思想キーワード』
2018年度:佐藤弘夫『死者のゆくえ』
2019年度:佐藤健二『ケータイ化する日本語-モバイル時代の”感じる””伝える””考える”』
2020年度:隈研吾『小さな建築』
2021年度:中谷文美『働く-性別役割分業の多様性』
2022年度:松田美佐『うわさとは何か』

●現代文(小説)の過去の出典
2015年度:梨木香歩「渡りの一日」
2016年度:山田詠美『晩年の子供』
2017年度:幸田文『藤』
2018年度:湯本香樹美『ポプラの木』
2019年度:杉本秀太郎「大文字」
2020年度:森浩美『家族連写』
2021年度:内田百閒『冥途』
2022年度:藤原てい『旅路』

●古文の過去の出典
2015年度:『大和物語』
2016年度:『後撰和歌集』
2017年度:『十訓抄』
2018年度:『沙石集』
2019年度:『古今著聞集』
2020年度:『源氏物語』
2021年度:『大和物語』
2022年度:『源氏物語』鈴虫巻

●漢文の過去の出典
2015年度:『柳河東集』
2016年度:『貞観政要』
2017年度:『春秋左氏伝正義』
2018年度:仲長統「楽志論」
2019年度:顔之推『顔氏家訓』
2020年度:『世俗新語』劉孝標注
2021年度:菅原文時『封事三箇条』
2022年度:『唐詩紀事』

各項目の傾向と対策

●全体の傾向
現代文は傍線部の内容を簡潔に説明する問題や理由を説明する問題が主となっています。
古文は現代語訳、心情説明、理由説明、主語の決定などが主となっています。
漢文は理由説明、書き下し文、現代語訳、指示されている部分の内容説明などが主となっています。
どれも標準的な内容ではありますが、記述であるため中途半端な知識や理解だとじゅうぶんな点数をとることができません。
現代文の記述練習に時間をかけることができない受験生は積み上げてきた勉強がそのまま結果に出やすい古文、漢文の対策に特化してしまうというのも1つの戦略です。

現代文(目標解答時間:大問1,2あわせて60分)
評論、小説ともに難解な用語あったり、背景がわかりにくいものではなく、標準レベルです。
しかし、注目すべき点はすべて記述ということであり、内容を理解したうえで設問で聞かれていることをじゅうぶんに満たす回答を時間内につくれるかどうかということです。

勉強方法としては、まず文章の徹底理解につとめるようにしましょう。
いきなり制限時間をもうけると、ほとんど内容を理解しないままその場しのぎの回答を作成することになり、じゅうぶんな学習効果はのぞめません。

時間を無制限にして、文章を最初から最後まで一言一句もらさず読み切るという勉強を重ねていると、今まで注目できずに理解不足になっていたことがわかるようになります。

文章をきちんと理解する段階がおおむね完了したら、実際に回答をつくりながら、文章の構成力をあげる練習をしましょう。
回答を作り終えたら、学校の先生や塾の先生、講師に内容を確認してもらうとより効果的です。

小説問題は心情を説明する問題が多いので、できる限り文章の中に入り込み、自分も登場人物になったつもりで読んでいきましょう。

●古文(目標解答時間:25分)
出典は受験古文において頻出のものばかりです。
古文単語、文法をおさえていることは前提として、和歌の修辞法、古文常識など、少しでも文章の理解度を高めるために知識をつけていきましょう。

毎年、和歌の解釈が頻出となっています。
和歌で表現されている心情を説明するには前後の文章の理解は必須です。
和歌の解釈は前提として、背後に込められている想いを文章から推測していくからです。

文法と単語をある程度つめたら、読解の練習をしていきましょう。
暗記物は覚えたらそれで完璧ということはなく、文章中での使われ方も学んでいかないと効果を発揮しません。

読めるようになったら、現代文と同じように記述の練習を重ねていきましょう。
勉強すればするだけ成績があがっていく科目ですので、確実におさえるようにしてください。

●漢文(目標解答時間:25分)
現代語訳や書き下し文、内容説明問題が多く出題されます。
難問奇問は出ないので、句法と主な漢字を覚えて、読解の練習を重ねていきましょう。

白文の解釈も出題されますので、返り点や送り仮名などのない文も理解できるように読解の勉強のときから漢字から様々な意味が浮かぶように練習しましょう。

現代文、古文と同様、記述の練習が必要ですので、これもまた頭の中だけで完結することがないように、実際に回答を書いてみる必要があります。

現代文、古文、漢文に共通することは、採点者がわかるように記述するということです。
自分が書いた回答を補足で説明しなければ伝わらないような文章を書いたら、間違いなく大幅に減点されます。

独りよがりではなく、文章をすみまで解釈して、理解した内容が伝わるように構成を考え、実際に書くという練習を重ねていきましょう。