東京大学の英語対策【文法・語法問題編】

本記事は東京大学の英語で出題される文法・語法問題に焦点をあてたものです。

毎年、大問4にて文法・語法問題が出題されています。

東大英語の文法・語法問題における大前提、傾向と対策を記載しています。

文法・語法問題の大前提

東京大学の英語は結論からいうと大学入試の中でもトップレベルで難解で、直前に知識をつめこんだりしても全く歯が立たない問題構成です。

一部「東大英語は英語力をはかる試験からはほど遠く、まったく実用的ではない」という指摘がありますが、このとらえかたは少し間違っており、外面的なことだけ見てものを言っていると感じます。

東大は「英語力」ではなく、「学力」を試しており、「学力」とは今まで培ってきた論理的思考や基礎知識をアウトプットする際の柔軟さ、瞬時に核を見抜く力などを指します。

文法・語法問題においても「学力」が試されており、単純な知識のアウトプットだけでは問題を解くことができませんし、解けたとしても高得点は望めないでしょう。

ネット検索をしてみると、単純な知識のアウトプットだけで解ける問題だけ抜粋して「ほら、東大英語でもこんなに簡単に解けるんだよ」という記事がありますが、このようなタイプの問題がすべてではなく、むしろ圧倒的に少数派です。こういった記事は無益に等しいので無視してかまいません。

東大英語の文法・語法問題は標準的な参考書や問題集にのっている文法や語法を誰にでもわかりやすく、かみ砕いて説明できるまで習熟していることどのような英文でも解釈して理解できることが大前提です。
たくさんの知識があることよりも、誰でも知っている知識を誰よりも知っていることに重点が置かれます。

過去問演習をするときは最初は時間無制限でやってみましょう。
時間をかけても解けない問題は、時間的制約があったら、なおさら解けません。
こういうステップを面倒くさがると全く点が取れません。

とはいえ、文法・語法問題は数ある問題のうちの一つであり、ここで時間をかけすぎないようにしてください。どうやっても攻略できそうにないというときは捨ててもかまわないと思います。
*捨てるときはそれを他の大問や他の教科でどうカバーするかを考えてからにしましょう。

傾向と対策

過去28回分の文法・語法問題を調査しましたが、主に文法・文脈上取り除くものを指摘する問題、誤りを指摘する問題、文章の中での整序問題が多数出題されています。

誤っているものを指摘するときでも、整序問題でも必要なのは「文脈の把握」です。
単問とは違い、文章の中で出題されるので、それだけ誤りの種類や整序の出題パターンも増えます。

『東大の英語』(教学社出版)という過去問集には著者があつめた正答率データがあります。
英語が得意な人は正答率20~30%以上の問題までの正解を目指し、苦手な人でも正答率50%以上の問題は解けるようにしたいところです。
中には正答率が10%前後の問題がありますが、これは別に捨ててもかまいません。

文法・文脈上取り除くもの、誤りを指摘する問題
要するに間違えを指摘する問題ですが、間違えにはいくつかのパターンがあります。
・文脈上、ある語のせいで意味が通らなくなっている
・文法的・語法的に用法が誤っている
・文法的に不要
・用いている熟語の形が異なっている
・用いている代名詞が異なっている
・存在すべき語句が存在しない

などです。

中でも文脈上、ある語のせいで意味が通らなくなっているパターン用いている代名詞が異なっているパターンについては発見が難しいです。実際に正答率もかなり低いです。

前者も後者も「文法・語法的な間違えを探そう」という意識で文章を読んでいると見落としてしまうからです。
表面的に間違えを追うのではなく、しっかり文章の中身まで入り込んで探してください。

ここで英文解釈が正確にできているかが問われます。
文章もわかりやすいものではないので、英文解釈が曖昧だと意味をとるのにも一苦労です。

文法的・語法的誤りは下記のようなパターンが多めです。
・関係詞の誤り
関係代名詞の後ろが完全な文になっているので1語削除する
前置詞+関係代名詞の前置詞を削除する
前置詞+名詞+関係代名詞となっているが後ろが完全な文となっているので名詞を削除する
主格の関係代名詞がないため、関係代名詞を補う
連鎖関係代名詞節なのにSVS’V’という構造になっているのでS’を削除する
例)This is the pen I think it is used by him. → itが不要
・倒置構造の文の誤り
・分詞、分詞構文の誤り
・some, any, almost, most, all, other, each otherなどの使用法の誤り
・the 比較級, the 比較級など2文にわたった表現

など。

また、単語についていかに多く知っているかよりも、英単語の多義性に注意してください。
覚える際に「どういった用法で使用されるのか」や「他に意味があるのか」などに気を配りましょう。

コロケーションや一単語一義で覚えていると手も足もでないでしょう。
単語や熟語については『鉄力会 東大英単語熟語 鉄壁』が良書なので使用してみてはいかがでしょうか。

その他、東大に限らず正誤問題でよく出題されるパターンを列挙しておきます。
・単数・複数の間違い
・熟語の前置詞が違う
・動名詞、to 不定詞の間違い
・自動詞・他動詞の間違い
・主語が違う
・時制が違う
・冠詞のミス


文章の中での整序問題
一般的な整序問題は組み合わせをつくり、つなげていけば大体答えにたどり着きますが、東大の場合は、そのようなパズル的な解法で解答にたどりつくことは困難です。

理由としては、組み合わせをつくっても何パターンか出来上がってしまい、結局文脈上、意味上で考えなければならないからです。
当然のことながら、典型的な問題ではありませんので、パッと見では何が答えになるのかわからないと思います。

基本的な知識を自由自在にアウトプットすることができ、かつ文脈上または意味上、通用する文を考えることによってようやく正答にたどりつきます。

また、文章中に出題されますので、カッコの中だけでなく、前後がどうなっているのかも確認しましょう(文脈、意味を把握するときに必ず確認すると思いますが)

自分の考えに問題をあわせようとするのではなく、思いついたことが通用しなさそうなら別ルートで考えてみるという柔軟さが求められています。

そのためには事前にいろいろなルートについて習熟しておく必要があり、問題パターンに限らず基礎知識の習熟は欠かすことができません。

まとめ
他にもいくつかパターンがありますが、近年はほとんど文章中の間違い指摘と整序問題です。
読解力を求める傾向が強くなっているので、文法・語法・熟語について習熟しているのは大前提として、英文解釈力をあげていってください。
「こうきたら、こう」みたいな一問一答的な勉強をしている人は高確率で玉砕するので、今一度勉強法や勉強に対する姿勢を見直してみてはいかがでしょうか。