大学入学共通テスト・国語の分析【2021年1月30日実施分】
2021年1月30日に大学入学共通テスト第二日程(1日目)が実施されました。
本記事では大学入学共通テスト第二日程の国語を分析しています。
センター試験と第一日程の国語と比較をしています。
全体について
●出題内容について
第一日程と同じく評論文、小説、古文、漢文の構成であった。
現代文について第一日程ではノートをまとめる問題が出たが、第二日程では意見交換という前提の問題が出題された。古文・漢文はほとんど第一日程と変わらない。
●出題形式について
全問マーク式。回答数は第一日程が38個だったのに対し、第二日程では37個であった。
現代文については評論文、小説ともに本文の内容について意見交換をおこなうという設定の問題が出題された。
古文についてはほとんどセンター試験と変わらない内容であった。
漢文については本文とは別の資料が引用され、それを踏まえて解く問題が出題された。
●難易度について
出題形式については共通テストらしい問題が一部出題されたが、基本的にセンター試験と同じような内容である。小説問題については素直に回答すればいい問題が多く易化している。全体としてはやや易化と予想する。
大問1について
大問1は多木浩二の『「もの」の詩学』から出題されている。多木浩二氏の著書は入試現代文において頻出である。(配点は50点)
漢字問題、本文の内容をもとにした問題で構成されている。
漢字問題は基本的なものばかりなので満点を狙いたい。
内容を問う問題については消去法で解くことをオススメする。
センター試験と変わらず2つの選択肢以外は論外の内容というパターンが多いためパッと見の選択肢の多さに惑わされずに済む。
本文の内容について意見交換をして、本文の主旨に合致しない意見を選ぶ問題については新傾向ではあるものの、難易度はそこまで高くなく、他の設問と同じように本文の内容を理解していれば正答を選ぶことができる。
大問2について
大問2は津村記久子の『サキの忘れ物』から出題されている。この著作は2017年発表であり、読みやすい内容となっている。(配点は50点)
頭を悩ませるような問題は少なく、素直に選択肢を確認すれば正答を選ぶことができる。
本文も難しい表現などは使用されておらず、場面も想像しやすいのではないかと思う。
新傾向の生徒の話し合いからの出題も、目新しさはあるものの要するに本文の内容を理解しているかどうかを問うてるだけなのであせらずに解いていきたい。
大問3について
大問3は『山路の露』から出題されている。『山路の露』は『源氏物語』の補作であり、確認されている補作のうち最古のものである。紫式部以外の人が書いた『源氏物語』の続編にあたるものである。
『山路の露』のような作品は擬古物語といい、センター試験では頻出の問題であった。
第一日程では5首の和歌を考察する必要があったが、第二日程では2首にとどまった。
一つ一つの文を解釈する問題よりは文章全体を見なければいけない問題が多い。
目新しい問題はなく、センター試験の過去問などで対策をしていれば対応できる内容である。
大問4について
大問4は北宋の文章家である曾鞏の『墨池記』から出題されている。
また、問7は『晋書』「王羲之伝」から引用された問題であった。(配点は50点)
漢文の知識があれば簡単に解ける問題があるものの、内容の理解を問う問題については事前にしっかり漢文を読む練習をしていないと解きにくい問題があった。
第一日程よりはやや難しくなっている。
軽視されがちな科目ではあるが時間を見つけて念入りに対策をしておきたい。
まとめ
全体的な傾向としてセンター試験を踏襲した内容になっており、共通テストらしい問題は少なかった。
本年の反省点をいかして次年度以降も改善をしていくのだろうが、基本的にセンター試験の過去問が対策に最適な教材となっている。
読解にはある程度の練習が必要であるので、対策の方法はないとあきらめずに、できる限りのことをやってから試験に臨んだ方がいい。