大学入学共通テスト・世界史Bの分析【2021年1月30日実施分】

2021年1月30日に大学入学共通テスト第二日程(1日目)が実施されました。

本記事では大学入学共通テスト第二日程の世界史Bを分析しています。

センター試験、第一日程の問題と比較をしています。

全体について

●出題内容について
世界史上の植民地について、世界史上の工業・産業の変化について、世界史におけるグローバルな接触や交流について、世界史上の指導者や君主について、世界史上の国際関係について出題された。
第一日程と変わらず地図やグラフなどの資料や生徒の会話などを考察して解く問題があった。

●出題形式について
全問マーク式。回答数は第一日程が34個であったのに対し、第二日程は33個であった。
上述したとおり地図やグラフ、文章を読み解く問題が多い。

●難易度について
直接知識を問われる問題は少なく、資料やグラフの読解に少々時間がかかる。
第一日程と同程度の難易度であると予想する。

大問1について

大問1は世界史上の植民地についての問題であった。(配点は22点)

問1は要約3まで読んでリベリアであると判断できる。
リベリアの場所も把握していなければならない。

問2はリベリアと南アフリカの共通性について問われた。

問3~問5は「パン=ヨーロッパ」について地図を見ながら回答する問題であった。

問6はイギリス人ラッフルズの考えについて述べた文章を読解する問題である。
かなり簡単なのでこの問題は落とせない。

問7はシンガポールについて基本的な知識を問われた。

大問2について

大問2は世界史上の工業・産業の変化に関する授業の様子を取り上げた問題である。(配点は12点)

問1は度重なる戦火や不平等条約という言葉から中国を連想する。
イに入る国名はグラフを読み取ればわかる。

問2は第二次産業革命であり、第一次ではないことに注意する。
第二次の特徴は石油と電力で、第一次は石炭である。

問3は年代で判断する。また、ドイツ関税同盟の役割を把握している必要がある。

問4は生徒たちのパネルの正誤問題である。年号をしっかり把握すること。

大問3について

大問3は世界史におけるグローバルな接触や交流について述べた文章をもとにした問題である。(配点は15点)

問1はメキシコ中央高原の文明(ティオティワカン文明)についての問題である。
迷う選択肢はなく明らかに太陽のピラミッドである。

問2はアメリカ大陸原産のものではない食材を選ぶ。サトウキビはインド原産である。

問3はイに入る国名がジャガイモ飢饉などの言葉からアイルランドであるとわかる。
カトリック教徒解放法が1829年、ワット=タイラーの乱は1381年、ジロンド派が政権を掌握するのは1792年である。

問4は簡単な知識問題である。
ユトレヒト条約はスペイン継承戦争・アン女王戦争の講和条約であり、プロノイア制はビザンツ帝国の軍事制度である。

問5については先生の会話から中国の王朝が明であることを把握して解く問題である。

大問4について

大問4は世界史上の指導者や君主をテーマにした問題である。(配点は27点)

問1、2は史料の読解と知識問題である。
史料はオクタヴィアヌス(アウグストゥス)の業績を指す。

問3はエチオピアとアラビア半島南部について問われている。

問4は3人の生徒の正誤問題である。

問5はサファヴィー朝がスンナ派ではなく十二イマーム派を採用していることを知っていればわかる。

問6は自由フランス政府がイギリスのロンドンで展開したことを知っていること、シラクの演説内容を把握することが必要であった。

問7は朝鮮半島の文字といえばハングルであることは明らかである。読み取れる事柄も簡単に把握することができる。

問8は中国の文化史についてである。

問9は空欄エに入るのは西夏であるが、選択肢の比較だけでわかる問題である。

大問5について

大問5は世界史上の国際関係について書かれた文章を読んで答える問題である。(配点は24点)

問1は中東戦争を起こった順に並べ替える問題である。
オイルショックは1973年の第四次中東戦争での石油輸出停止が原因である。
スエズ運河国有化をめぐる戦争は1956年の第二次中東戦争である。
イスラエルがヨルダン川西岸、シナイ半島を占領したのは1967年の第三次中東戦争である。

問2は空欄にエルサレムが入ることが分かれば簡単な問題である。

問3は年代からイに新をたてた王莽が入ることが分かる。
王莽は前漢の外戚である。

問4は文章から渤海であると判断する。骨品制は新羅の制度であるため、④が正解となる。

問5は三跪九叩頭を拒否したマカートニーが入り、目的は貿易上の規制の緩和である。
アマーストは礼を拒否した結果、謁見を拒否されている。

問6は独ソ不可侵条約の前に起きた出来事を選ぶ。

問7はズデーテン地方の割譲という言葉からチェコスロヴァキアであると判断する。
状況から宥和政策であることは明らかである。

問8は対ソ干渉戦争を切り抜けるために戦時共産主義を実施したことを知っていればわかる。

まとめ

資料やグラフを読み解けばわかるような問題があり、求められている知識も教科書に書いてある基本的なことだけである。

しかし、流れや歴史的意義などを考えず、一問一答的な勉強をしてきた受験生にとっては回答しにくい問題であったといえる。

歴史を学ぶ意義とは何なのかを意識しながら勉強すれば簡単な内容となっている。