大学入学共通テストについて新聞各紙のコメントをまとめました

2021年1月29日

2021年1月16日、17日に大学入学共通テストが実施されました。

本記事では読売新聞、朝日新聞、毎日新聞、産経新聞、日経新聞、千葉日報、朝日中高生新聞の共通テストに関する記事をまとめています。

全文ではなく、要約した内容となります。

最後にかまなび特進(文系)からも文系教科(英語、国語、世界史B、日本史B、地理B、政治経済、現代社会、倫理)の分析をふまえてコメントを残します。

読売新聞の記事

【2021年1月17日】
「知識偏重の1点刻み」との批判が多かったセンター試験から変わり、各教科で複数の資料を読み解かせる出題が相次ぎ、予備校や高校教員から「難しくなった」との指摘があがった。
「全体的に表やグラフ、複数の文章を比較させるなど、読解力や思考力を問う意図が明確な出題が多く、時間が足りない受験生もいただろう」「資料が複数あるので元の文を多角的に改めて参照しなければならない」などの声があった。

【2021年1月22日】
日常生活の一場面を素材に考えさせる問題が目立った。
複数の文章や図版も示され、受験生の「読解力」が鍵となった。

朝日新聞の記事

【2021年1月17日】
大学入学共通テストは従来のセンター試験が「知識を問う傾向が強い」という声があり導入が決まった。
複数の資料や会話文などが盛り込まれて問題の分量が増えるとともに、日常生活と関連付けようと学校での授業の様子を題材にした出題も多い。
今回、特に大きく変わったのは英語のリーディングで発音やアクセントの単独問題がなくなり、長い英文や資料などが増えたため問題量は6ページ増加された。
「特に地歴・公民・英語は、複数の資料が盛り込まれると同時に、問題の分量がかなり増えた。読解力がなく論理的に考えるのが苦手な現代の受験生には、厳しい出題となった」とのコメントがある。

【2021年1月18日】
2024年度以降の制度について今回の結果を踏まえて議論を重ねていく。
現在の中学2年生が大学受験をむかえる24年度以降の入試制度は「情報」が追加されるなど、出題科目の再編がおこなわれる見通しである。
入試改革の混乱、コロナ禍で不安をあおるような形になってしまったため、今回の結果や施策を入念に検証する必要がある。

【2021年1月22日】
難しいと予想されていた大学入学共通テストで手ごたえがあったとして、強気の出願をする受験生が増えそう。大手予備校のまとめでは、東京大をはじめとした旧7帝大などの難関大や、医学部医学科などを志望する受験生が昨年より増えている。
河合塾の約40万人のデータによると、旧7帝大に神戸大、東京工業大、一橋大を加えた難関10大学を志望する受験生は、昨年より7%多い。東大は5%、京都大は1%増だが、東京工業大が12%増、九州大と神戸大が10%増などと人気を集めている。
文理別では理系学部に人気が集まっている。難関大では理系が9%増、文系が4%増。
特に人気があるのは医学分野で、昨年より13%多い。ほかに薬学分野も17%増えている。
一方、文・人文や国際関係の分野や教員養成課程では、3~5%減った。

【2021年1月26日】
共通テストは「授業改善を求める強いメッセージになるだろう」。
「(英語の)プレゼンテーション資料を完成させる出題などは、授業でのプレゼン経験の有無で差が出る。文法・訳読の授業では対応できない。多様な教材や言語使用の場面を採り入れた授業が求められる」
一方、英語の問題の様変わりを懸念する声もある。
「筆者の伝えたいメッセージを深く読み解く問題がほとんどなかった。表面の情報を早く大量に処理する能力だけでいいのか」と不安がる。「実用英語の必要性はわかるが、言葉としてもっと深く向き合う英語力、言語力も同様に重視されるべきではないか」と話す。

朝日中高生新聞の記事

【2021年1月24日】
平均点はセンター並みで、塾や予備校の関係者が「予想外」とする結果になった理由が準備の徹底。
受験生ははやい時期から「共通テストは難しくなる」と聞かされ、心構えができていました。
過去問がないことから勉強にも工夫をこらしました。20年のセンター試験が共通テストを先取りするような出題を盛り込み、平均点が低かったこと、本番の共通テストは試行調査の内容をさらに修正し、難易度をおさえた可能性が高いことなども理由に挙げられそう。

毎日新聞の記事

【2021年1月17日】
入試改革が混乱する中、コロナ禍でさらに追い打ちをかけられる中、大学入学共通テストが始まった。
受験生の中にはコロナの影響で個別試験が実施されないことを考慮し、大学入学共通テストの点数で合否が決まる大学への出願を多くした人もいる。
共通テストは今年初めての実施ということもあり、対策用の問題集がほとんどない中対策しなければならず苦慮した。
共通テストはセンター試験の時代から兆候が見られた「文章やグラフなど多様な資料を読み解く力や思考力をみる」という傾向が一層明確となった試験であった。

産経新聞の記事

【2021年1月18日】
今回の共通テストでは経済統計など実社会のデータを示した資料を分析する実用的な問題も出された。
全国4会場で指示に従わずマスクを正しく着用しなかったことによる失格者が計4人いた。

日経新聞の記事

【2021年1月18日】
知識だけでは歯が立たない問題が増えたものの、盛りだくさんの情報を読みこなす力も必要になり、物事を深く考える力の測定には課題を残した。
高校教員や予備校講師から「センター試験に比べてやや難化した」「消去法では解けない問題が増えた」などの分析が相次いだ。
「思考力や判断力が測れる設問ではあったが、時間が短すぎる。結果的に情報処理力が問われることになった」とのコメントもある。
OECDの18年の学習到達度調査(PISA)では、日本の15歳の読解力が参加国・地域中15位と過去最低の順位に沈んだ。
これからの時代に必要な力をどう測るか、課題は山積みである。

千葉日報の記事

【2021年1月18日】
大看板だった大学入学共通テストへの英語民間検定試験と記述式問題の導入見送りを余儀なくされた。
今後、2つをどう扱い、改革を進めるのかが課題となっている。
2013年ごろから構想が始まった入試改革は、知識の確認にとどまらず、思考力・判断力・表現力をはかるとうたう。
自己評価を問われたセンター担当者は「現場の先生など作った人間以外の批判を受けなければならない」としながらも、「われわれとしては『いけている』と思っている」と自信をのぞかせた。
今後、急速な少子化が進み、志望者が減っているため、21年度には年間数億円の赤字に転落する。
そのため、試験改革に際して必要な財源を確保することができず、経費面でハードルが高くなっている。

かまなび特進(文系)からのコメント

今回、文系教科を一通り解いて分析をしてみた結果、各紙が報じている通り知識偏重の問題はかなり減り、資料や図、レポートやメモなどを通じて読解力や思考力、応用力が試されていると感じた。
ワンガリ・マータイ氏を題材にした問題やキャッシュレス社会をきっかけとしている問題など目をひくような出題はあったものの、それ自体は問題を解くうえでほとんど関係ないことなので気を取られすぎて本質を見失わないようにしたい。
各教科のまとめで何度か述べているが、「AだからB」といった一問一答的な勉強をしていると少なくとも共通テストでは歯が立たない。実際に生徒に指導をしていても思考を発展させることができるタイプはごく稀で、それだけで選べる大学が限られてしまう。
また、なぜかわからないが大学入学共通テストにいろいろな機能を期待しすぎているような感じもする。日経新聞が書いているような深い思考力はわざわざ大学入学共通テストで測らなければならないものなのか。大学入学共通テストの受験者はだいたい後ろに国立大学の二次試験などが控えており、そこで深い思考力が測られるのではないかと思う。
試験自体としては課題は残るだろうが、センター試験も導入してしばらくは平均点が安定せず、ある程度安定するまで教科によっては十数年を要している。受験生の声も試験作成に配慮されるだろうが、あまり惑わされず基礎力をしっかり磨いていけばどのような形式でも満足な回答ができるはずである。