大学入学共通テスト・地理Bの分析【2021年1月16日実施分】

2021年1月16日に大学入学共通テスト(1日目)が実施されました。
本記事では大学入学共通テストの地理Bを分析しています。
平成30年に実施された試行調査と比較しています。
全体について
○出題内容について
自然環境、産業、都市と人口、地誌、地域調査から出題された。
問題数は試行調査と変わらず32問である。
アメリカの地誌については大統領選に影響を受けた出題であると予想する。
○出題形式について
3項目6択問題など新形式の問題が増えている。
地図やグラフ、表などは地理の問題には欠かせない要素なのでこの点はセンター試験と変わらない。
○難易度について
センター試験と比較すれば難しく感じるだろうが、試行調査と比較すると難易度は変わらない。
大問1について
大問1は世界の自然環境に関する問いである。(配点は20点)
問1は標高差の小さい2つの都市を答える問題であった。
海の近くのアと海から遠いイを比較すると問題文の条件に合う。
問2は冬に雨が多いことから地中海性気候を想起し、亜寒帯低圧帯を選べる。
問3はbとdに関しては災害のきっかけである。「ツ」に関しては雨季で比較する。
問4は図を2つ見て答える問題であった。同じ選択肢になることに注意をする。
問5は誤りを含むものをすべて選ぶ問題であった。
ヤの発言内容にある「森林の有無は降水量のみで決まる」という文章が間違い。
問6は夏に氷河が融けた水が増加することに注目する。
大問2について
大問2は産業に関する問いである。(配点は20点)
問1のA~Cはそれぞれ小麦の生産量で決定する。
多い順にロシア、アメリカ、フランスである。
問2は中国の漁獲量と養殖業生産量に注目する。
水産物への需要拡大につき、中国において淡水魚類養殖の割合が増えてきている。
問3は条件の「輸送費は距離に比例して増加し、距離当たり輸送費について、原料は製品の2倍の費用がかかる」から選択する。
問4はKにおける北海道の29という数字に注目する。また、製品の冷蔵、冷凍の必要性を考える。
問5は中国への投資増加に注目する。
問6はコンビニエンスストアがロードサイド(幹線道路など通行料の多い道路の沿線)の立地が少ないことを考慮にいれて回答する。
大問3について
大問3は都市と人口についての問いである。(配点は20点)
問1は中国に人口が多い地域を選べばよい。
問2はオーストラリアにて移民の数が多いことに注目する。
キはケニア、クは少子化が進んでいる韓国である。
問3はアメリカとマレーシアに移民先の国籍を有する者が多い点に注目する。
アメリカは英語を公用語としており、マレーシアはイギリスの植民地であった。
問4は地域を都市部、住宅地、郊外にわけて考える。
問5は観光やレジャーのために、と書いてあるので別荘などの住宅が多くなり、転出者や転入者の多いと書いてあるので、空き家が多くなる。
問6はxが誤りである。地図をみれば簡単に正答を選ぶことができる。
大問4について
大問4はアメリカ合衆国の地誌に関する問いである。(配点は20点)
問1はサンベルトとラストベルトから考えれば正答を選ぶことができる。
サンベルトは北緯37度以南の地域を指し、1970年代以降発達した。
ラストベルトは中西部地域と大西洋岸中部地域の一部にわたる脱工業化が進んでいる地域である。
問2はネブラスカの農業用水、マサチューセッツの生活用水に注目する。
問3はミシガンが寒冷な地域であることに注目する。
問4はアフリカ系とアジア系のグラフに注目する。
問5は外国生まれの人口の割合が多い西海岸と貧困水準以下の収入が多い南部に注目する。
問6は図と文章をみれば簡単に答えがわかる。衰退した地域では工場の海外移転を抑制する政策をとる必要がある。
大問5について
大問5は京都府の宮津市の地域調査から出題されている。(配点は20点)
問1は図をみれば簡単にわかる問題である。
問2は地図をしっかり確認すれば簡単にわかる問題である。
問3は衛星写真をもとに判別する問題である。
問4については丹後に秋から冬にかけて「うらにし」と呼ばれる湿った季節風が吹き、生産が縮小するのは安価な製品が輸入の急増によるものであり、ブランド化で海外に進出している。
問5は資料をしっかり読みこめばわかる問題である。
問6は統計図の読み取りをすればわかる問題である。
まとめ
他の教科と同様に基本的な知識を確実に身につけていることと図や表、グラフなどをしっかり観察することが重要である。
一問一答的に知識をいれて勉強してきた受験生は解くのに苦労するであろう。
普段から参考書や問題集にあるグラフや地図を細かく観察していることが実力に結びつくと考える。