センター試験と共通テストの違い【英語(筆記)編】

すでに多くの人が知っていることかと思いますが、2021年1月から従来のセンター試験に代わり「大学入学共通テスト」が実施されます。

もちろん名称がかわるだけでなく内容も変更となり、あまり情報がない中対策をする必要が出てきます。

本記事では基本情報として従来のセンター試験と共通テストの大きな違いを英語(筆記)に限定してお伝えします。

大問数はセンター試験も共通テストも同じく6問ですので、設問ごとに解説します。
*共通テストは平成30年に実施された試行問題を参考にしています。
*センター試験も共通テストも同じく80分です。
*配点はセンター試験(筆記)が200点、共通テスト(筆記)が100点です。

大問1の違い

【センター試験】
センター試験の大問1はアクセント問題でした。

配点は14点で、「下線部の発音がほかと異なるものを選べ」や「第一アクセントの位置がほかと異なるっものを選べ」などの問題が出題されていました。

【共通テスト】
共通テストの大問1は手紙やウェブサイトなどの文章の読み取り問題です。

配点は10点で、センター試験と違う点は…
①設問が英語である。
②大問1から文章を読む必要がある。
③設問の答えに該当する部分だけを素早く読み取る必要がある。

アクセント問題であれば瞬時に解くことができますが、共通テストではいきなり文章から始まります。

文章の難易度は小問Aが英検3級レベル、小問Bが英検準2級レベル程度なので、しっかり勉強してきた受験生であれば瞬時に解くことができると思います。

大問2の違い

【センター試験】
センター試験の大問2は文法問題会話文の並べ替え問題でした。

配点は47点で、大問1のアクセント問題と同じく瞬時に答えを出すことができます。

問題内容は「空所にあてはまるものを選べ」や「空所を補い、最も適当な文を完成させよ(並べ替え)」や「会話が最も適当なやり取りとなるように組み合わせを選べ」などです。

【共通テスト】
共通テストの大問2は料理のレシピや記事などの文章の読み取り問題です。

配点は20点で、センター試験と大きく異なり、文法問題はいっさいなく文章の読み取りが続きます。

共通テストの大問2の大きな特徴はFact(事実)とOpinion(意見)を問う設問があるという点です。

具体的な設問例を出すと…
According to the website, one fact (not an opinion) about this recipe is that it is ( 9 ).
「ウェブサイトによると、このレシピに関する一つの事実(意見ではない)は「9」である」
この設問の下に4つの選択肢があり、そこから選ぶという問題です。

「事実」というのは「本当にあること」を指します。
つまり、人の感想や意見ではなく、文章中に実際のこととして明記されていることです。

「意見」というのは「あることに対する人の主張や考え」を指します。
つまり、上記の設問でいうと、「このレシピの料理はおいしい」とか「作るのが簡単なので子どもたちと作るといい」などが意見になります。

文章は英検準2級レベル程度ですので、あまり時間をかけずに進んでいきましょう。
*FactやOpinionを問う問題が必ずしも大問2にあるとは限らないのでご注意ください。

大問3の違い

【センター試験】
センター試験の大問3は文の取り除き問題会話文の読み取り問題でした。

センター試験では大問3から長文の読み取りが始まります。

配点は33点で、文のまとまりをよくするために除いたほうがいい文を指摘する問題や会話文の要約をして文章中の空欄を埋める問題などがありました。

【共通テスト】
共通テストの大問3はブログに書かれた(と仮定している)文章や雑誌に書いてある(と仮定している)文章などの読み取り問題です。

配点は10点で、共通テストは一貫して文章の読み取りです。

共通テストの大問3にある設問の中で特徴的な問題は「感情の変化を時系列で整理している問題」です。

具体的な設問例を出すと…
According to the story, Deborah’s feelings changed in the following order: ( 18 ).
① nervous → confused → happy → shocked → sorry
② nervous → confused → sorry → shocked → happy
③ nervous → happy → shocked → confused → sorry
④ nervous → happy → sorry → shocked → confused
⑤ nervous → shocked → happy → sorry → confused
⑥ nervous → sorry → confused → happy → shocked

以上のように感情の動きが矢印でつながっています。

共通テスト独特の問題ですが、文章を読みながら感情の動きがあった部分をチェックしていけばすぐに答えることができます。

文章は英検準2級と英検2級の間くらいです。

大問4の違い

【センター試験】
センター試験の大問4はグラフや表を交えた文章の読み取り問題でした。

配点は40点で、グラフと文章を読みながら設問に答えたり、表と文章を読みながら具体的な内容について設問に答えたりする必要があります。

【共通テスト】
共通テストの大問4はセンター試験と同様にグラフや表を交えた文章の読み取りです。

配点は16点で、センター試験と違う点は解答を複数選ぶ問題があるという点です。

「複数選ぶ」という条件なので解答が2つになるか、3つになるか、全部正解になるかはわかりません。

大問4から英文のレベルが上がり、英検2級レベル程度になります。

大問5の違い

【センター試験】
センター試験の大問5は長文読解問題でした。

配点は30点で、シンプルに文章を読んで、その内容に沿った設問を解いていくという流れです。

【共通テスト】
共通テストの大問5はセンター試験と同じく長文読解問題です。

配点は20点で、時系列に整理する問題や大問4と同じく答えを複数選ぶ問題があります。
*大問5の複数選ぶ問題(2問)については特に正答率が低く、それぞれ8.7%、19.2%でした。

また、「文章には直接的に書いていないけど、要するにこういうことがいえる」というタイプの問題もありますので、英語力以上に読解力が必要となってきます。

文章は英検2級レベル程度です。

大問6の違い

【センター試験】
センター試験の大問6は長文読解問題でした。

配点は36点で、シンプルに文章を読んで、その内容に沿った設問を解いていくという流れです。

【共通テスト】
共通テストの大問6はセンター試験と同じく長文読解問題です。

配点は24点で、グラフも記載されている問題もあります。

時間が足りていないのか大問6の正答率は非常に低いです。
*正答率は10~50%台程度です。

文章は英検2級レベル程度です。

総括

センター試験と共通テストの相違点は主に下記の通りです。
●総単語数は約4200語(センター試験2019年度)から約5400語(共通テスト)になる。
●発音や文法問題はなくすべて長文問題になる。
●設問がすべて英語になる。
●単語の注釈がない。
●解答が複数になる問題がある。
●文章のレベルは後半にいくにつれて上がっていく。
●時間管理がセンター試験より厳しくなる。


2021年1月に受験する人は長文対策を重視し、来年以降に受験する人は早めに文法・単語をつめこんでおきましょう。

形式は大きく変わりますが、基本的な能力をつけておけば問題なく対応できると思いますので、パニックにならずに冷静に対応していきましょう。