西洋建築史のまとめ
世界史は通史のほかに文化史など覚えなければいけないことが多いです。
本ブログでは通史ではなく、意外とノーマークな部分をまとめて発信します。
本記事では西洋の建築史をまとめています。
西洋建築は大きくわけて下記の3種類になります。
・神々のための建築
・国王のための建築
・人々のための建築
各時代によって特色がありますので整理していきましょう。
神々のための建築
【エジプト建築】
・時期
紀元前27世紀~
・背景
王権(中央集権制)の成立
・特色
ピラミッドなどが代表的な建築物で、王権を象徴しており、神殿も大規模である。
石灰岩、花こう岩などの石造である。
・代表的建築物
ギザのピラミッド(紀元前26世紀ごろ)
カルナックのアメン大神殿(紀元前14世紀ごろ)
【オリエント建築】
・時期
紀元前21世紀~
・背景
乾燥した気候、激しい民族興亡
・特色
迫り出し式アーチ工法をつかい、泥レンガで城壁、神殿などをたて、戦時を意識している。
・代表的建築物
ジッグラド(イラク、紀元前25世紀ごろ)
ペルセポリス(イラン、紀元前5世紀ごろ)
【ギリシア建築】
・時期
紀元前7世紀~
・背景
アクロポリスの丘を中心とした都市国家
・特色
円柱の半径を基準とした比例の定式で建造されている神殿建築と、神殿を中心とした都市国家。
主にペロポネソス半島と南イタリアを発祥とするドーリア式、小アジア一帯を発祥とするイオニア式がある。
また、イオニア式の発展形としてコリント式がある。
・代表的建築物
コンコルディア神殿(シチリア、紀元前6世紀ごろ)
パルテノン神殿(ギリシア、紀元前5世紀ごろ)
【エトルリア建築】
・時期
紀元前8世紀~
・背景
地中海での交易
・特色
石造城壁の都市、アーチ工法。
【ローマ建築】
・時期
紀元前8世紀~
・背景
ローマ帝国の成立
・特色
共同住宅、浴場、劇場、競技場など巨大建築物が建てられた。
本体をレンガとコンクリートでつくり、仕上げに石をつかう。
エトルリア建築とギリシア建築の影響をうけている。
・代表的建築物
コロッセウム
水道橋
凱旋門
公衆浴場
道路
パンテオン
【ヘレニズム建築】
・時期
紀元前4世紀~
・背景
アレクサンドロス大王の遠征
・特色
新都市を建設し、劇場、図書館などもつくる。
建物の対称性を重んじている。
オリエント建築、ローマ建築の影響をうける。
【ビザンツ建築】
・時期
4世紀~15世紀
・背景
ローマ建築の技術とオリエント建築の技術を統合
・特色
東欧中心。
上からみるとギリシア十字型が多く、ドームとモザイク壁画が特徴。
・代表的建築物
聖マルコ大聖堂(ヴェネツィア)
聖(ハギア)ソフィア大聖堂(トルコ)
【初期キリスト教建築物(バシリカ様式)】
・時期
4世紀~8世紀
・背景
ローマのキリスト教公認
・特色
南欧中心
ローマの公共建築の様式。
上からみると長方形のバシリカ式教会堂が特色。
バシリカはギリシア語で「広間」という意味。
・代表的建築物
聖マリア=マッジョーレ聖堂(ローマ)
【イスラーム建築】
・時期
6世紀~
・背景
イスラームの拡大、偶像崇拝の禁止
・特色
ビザンツ建築の影響をうける。
タマネギ型のドーム。
内側の鍾乳石状のスタラクタイト(つらら石形状という意味)。
アラベスク装飾。
・代表的建築物
アルハンブラ宮殿(スペイン)
岩のドーム(イェルサレム)
【ロマネスク建築】
・時期
11世紀~12世紀
・背景
中世世界の成立
・特色
南欧中心
教会はラテン十字型(長十字)が多い。
石造ヴォールト(かまぼこ型)、厚い壁、小さい窓、半円アーチなど。
ビザンツ建築とイスラーム建築の影響をうける。
・代表的建築物
ピサ大聖堂(ピサ)
ヴォルムス大聖堂(ドイツ)
ロンドン塔(ロンドン)
クリュニー修道院(マコン近郊)
マインツ大聖堂(マインツ)
【ゴシック建築】
・時期
13世紀~15世紀
・背景
「見る聖書」としての役割をはたす
・特色
西・北欧中心。
初期キリスト教建築の影響をうける。
12世紀以降、北フランス~西欧に波及。
高い尖塔、尖塔アーチ、ステンドグラスなど。
・代表的建築物
シャルトル大聖堂(フランス)
ミラノ大聖堂(ミラノ)
ランス大聖堂(フランス)
ケルン大聖堂(ドイツ)
ノートルダム大聖堂(フランス)
ブールジュ大聖堂(フランス)
聖ドニ大聖堂(サンドニ)
カンタベリ大聖堂(カンタベリ)
【ルネサンス建築】
・時期
15世紀~
・背景
ルネサンスの隆盛、建築家の誕生
・特色
ローマ建築とビザンツ建築の影響をうける。
点対称の平面をもつ集中形式の建築が理想とされる。
大ドームと列柱が特徴。
・代表的建築物
聖マリア=デル=フィオーレ大聖堂(フィレンツェ)
聖ピエトロ大聖堂(バチカン)
サンタンドレア教会(マントヴァ)
シュノンソー城(ロワール地方)
国王のための建築
【バロック建築】
・時期
17世紀~
・背景
反宗教改革、絶対王政期
・特色
教会や国王の権威を誇示する、豪華・躍動の文化。
スペインを通じて中南米にも広まった。
都市は壮麗な道路・広場・噴水なども水戸的に造営された。
・代表的建築物
ヴェルサイユ宮殿(フランス)
リュクサンブール宮殿(フランス)
【ロココ建築】
・時期
18世紀~
・特色
フランスにおけるサロンの流行
・特色
繊細・優雅な様式。
重厚なバロック様式と比較して白を基調とした上品な室内装飾、家具調度品など。
・代表的建築物
サンスーシ宮殿(ドイツ)
スービーズ館(フランス)
人々のための建築
【近代建築運動】
・時期
19世紀末~
・背景
産業革命後の社会の近代工業化。
19世紀後半に、鉄・ガラス・コンクリートなどの新建材登場。
・特色
伝統的な建築様式では対応できないときに、伝統を否定し、新たに理想社会をつくろうという動きが社会主義と連動して起きた。
参考文献:『最新世界史図説タペストリー』、『詳説世界史研究』
まとめ
別々に発展しているようにみえる建築様式ですが、ごらんのとおり影響しあいながら発展をしてきました。
また時代背景も反映しており、繁栄の時代であれば豪華な建築になるというイメージです。
そして「誰・何」に向けた建築様式なのかもしっかりとらえておくと覚えやすいですね。
後回しにしがちな建築様式ですが、整理しておくと覚えやすいので本記事を参考にしてインプットしていきましょう。