レベル別の英語長文読解の内容・傾向と勉強の方針について

本記事では偏差値別の英文読解の日本語訳を通じて、身につけるべき能力とその学習方針について記載しています。
*偏差値は河合塾が公表している数値が基準です。
*代表的な長文の訳の一部を記載しています。

偏差値65~70以上の大学の英語長文

機械学習の分野は主に3つの大きな領域から成り立っている。教師なし学習では、機械は単にデータの山を与えられ、それを理解し、パターンや規則性、また、データを要約したり表現したり視覚化するための有用な方法を見つけ出すよう指示される。教師あり学習では、システムには分類またはラベル付けされた一連の例が与えられ、まだ見たことのない、あるいはその根拠が未知の新しい例について予測するように指示される。強化学習では、システムは報酬と罰のある環境に置かれ、罰を最小にしつつ報酬を最大にする最善の方法を見つけ出すように指示される。
この3つの面すべてで、世界がなんらかの形で、このような数学的・計算的モデルに引き渡されつつあるという感覚が高まっている。その複雑さはースプレッドシートに収まるようなものから、人工知能と呼んでも差し支えないようなものまでさまざまだがー人間の判断とより伝統的な種類の明示的にプログラムされたソフトウェアの両方に、着実に取って代わりつつある。

早稲田大学 文化構想学部2024年度の英語より 出典:パスナビ(https://passnavi.obunsha.co.jp/univ/3190/kakomon/

偏差値60~64の大学の英語長文

2年前、私の一番愛情深く横柄でメロドラマチックなおばが、イーストロンドンの大通りにある私のアパートに泊まりに来た。毎朝、彼女は額にのせたアイマスク以外は、完全に身支度を整えて現れ、少しの間雑談をしたあと、声を張り上げた。「よく眠れたかって聞かないの?とてもひどかったわ!サイレンよ! 夜通しバスが走り 回って,罪人たちを運ぶの。この騒音が私を殺してしまうわ。私が死んだらあなた後悔するわよ!」
彼女の叫び声はやりすぎのように聞こえるかもしれない。しかし、どんなに大げさな親戚でも、この脅威の危険性について、言いすぎというわけではなかった。それはあまりにも長い間、認識されずに潜んでいたのだ。私たちの町や都市の騒音は私たちを殺しているーその証拠は積み重なっている。
全国各地で住民が定期的に安全ではないレベルの騒音にさらされている。昨年、国連(UN)はロンドンをヨーロッパで最も騒々しい都市の1つだと宜言した。ロンドンの住民は、平均86デシベル(dB)の騒音に常にさらされており、これは世界保健機関(WHO)の安全基準である53dBを大幅に超えている。その結果は何だろうか。聴力の低下、平均余命の短縮、心臓発作や脳卒中,不安やうつ病、2型糖尿病のリスクの増加である。子供たちについては、騒音と認知発達および行動問題の間に関連がある可能性が探られている。交通騒音はひどい生理的ストレスで、受動喫煙と比べられてきた。…

明治大学 法学部2024年度の英語より 出典:パスナビ(https://passnavi.obunsha.co.jp/univ/3120/kakomon/

偏差値55~59の大学の英語長文

絵文字はデジタルの世界から生じた最初の言語であり、情報を伝える魅力的で便利な方法を提供している。その小さな記号は、目が2つあってにっこり笑った口元の丸くて黄色い顔の「スマイリー」から逆に考案されたと言われている。:)や;)のような句読点から生み出された表情である顔文字の改良版だ。絵文字はさまざまで、色鮮やかで、生き生きしている。最初のものはNTTドコモに勤務し、情報を伝える単純だがおもしろい方法を生み出したいと思っていた日本人作家によって1999年に生み出された。その人によって作られた絵文字一式の原型には、場所、食べ物、天気、交通、動物、活動、気分など、物事や状況を表現する176個の記号が含まれていた。これらは今やニューヨーク近代美術館の永久収蔵品の一部になっている。…

明治学院大学 全学部日程2022年度の英語より 出典:『大学入試シリーズ 明治学院大学 全学部日程』

偏差値50~54の大学の英語長文

今日私たちは非常に複雑な世界に暮らしている。世界がいかに小さくなり、よりつながりつつあるかについて人はよく口にするが、同時に、私たち皆が互いにより良く理解しあることに対する必要性も高まりつつある。
4、50年前と比べると、今日の人々は地球上の様々な地域の人々とますますコミュニケーションをとらなければならないし、仕事となると特にそうだ。このように異なる国や文化に属する人々と今までになレベルでコミュニケーションをとり仕事をするようになると、私たちは、私たちとは異なる地域のー異なる物事のやり方を持ち、異なる言語的背景を持つー人々の考え方とコミュニケーションのとり方にはまだ大きな違いがあるということを理解する必要がある。…

東洋大学 統一入試2021年度の英語より 出典:『大学入試シリーズ 東洋大学 文学部・経済学部・経営学部・法学部・社会学部・国際学部・国際観光学部』

偏差値40台の大学の英語長文

私たちの多くは、トーマス・エジソン、ヘレン・ケラー、アイザック・ニュートンのような成功者の業績を知っている。しかし、これらの人々を偉業へと駆り立てた特別な人々、つまり彼らの教師について詳しく知っている人は少ない。

例えばトーマス・エジソンは、最初の録音機を発明し、電気照明を大量生産したが、授業に集中するのが難しかった。…

亜細亜大学 経営学部・経済学部・法学部・国際関係学部・都市創造学部2022年度の英語より

偏差値40台の大学の英語長文は短いか、長めでも注釈が多くあったり、語彙や設問のレベルは高くないことが多いのですが、偏差値50から高校標準レベルの語彙や英語表現を身につけた上で文章を読んでいく必要が出てきます。
偏差値60から標準~難関レベルの英単語や英熟語、文法などは身につけたことを前提として、かなり長い文章を読解していく必要があります。
偏差値65以上から難関レベルの語彙や表現を身につけたことを前提として、長い上に、日本語訳を見ても理解しづらい文章を短時間で読んでいく必要があり、設問も抽象的で長文の内容を参照しづらいものが出てきます。

まとめると受験生で単語や熟語の暗記、文法の理解が曖昧な上に、長文読解の勉強をしていない時点で、基本的に英語に関しては解ける可能性のある問題が偏差値50未満の大学のものだけということになります。大学・学部・年度によって難易度が異なるので、この基準は厳密なものではないですが、だいたい当てはまると思います。

学習の方針について

主に語彙力や文法力の学習が間に合わなかったり、長文読解の勉強が不十分であったりするのが一般入試で苦戦するポイントですが、どのように学習していけばいいのでしょうか。

第一に「早めに効果のある勉強を始める」ことが必要です。
かまなび特進で様々な生徒を見ていると、一般的な高校生が半年以上かけて勉強する内容を、進学校に通う高校生は1~3週間でやってしまいます。とにかく勉強に取りかかるスピードとやりきるスピードが違うので、この差が開いたまま受験生になっても追いつきようがありません。
早めに始めてもマイペースに勉強していると、勉強していなかった進学校の高校生が受験生になったときに、あっという間に追いつかれます。
むしろ長期間にわたって小さく勉強するから身につかないとも言えます。
始めにやった内容を3ヶ月後にようやく復習する人と、3日後に復習する人で身につき方が違うことは当然です。
大人になって生涯学習として勉強する分にはマイペースでいいのですが、試験のような締切が決まっているものについてはマイペースな性格との相性が非常に悪いです。
一般入試で勝負したい人は1~2年生の間に、なんでも早めに取りかかる習慣と1つのことをやりきる習慣を身につける必要があります。

第二に「早めに進学方法を変更する」ことが必要です。
受験生の中には一般入試、推薦入試、総合型選抜のどれにするのかを、いつまでたっても決められない人がいます。
それぞれに手を伸ばしておけばチャンスが広がると考えている傾向にありますが、どれも中途半端に終わることが多いです。
私立大学を中心として一般入試以外の選抜方法が拡充しているので、どうしてもマイペースを崩すことができない場合は、早期に推薦入試や総合型選抜などに向かって進むべきだと考えます。
それでも推薦入試では定期テストの勉強をする必要がありますし、総合型選抜の場合は早めにプレゼンテーションや面接、小論文の準備を始める必要がありますので、一つのことを決めてやり始めるまでに数年以上経過してしまう人は、周囲の人のサポートがない限り厳しいかもしれません。

私立大学(特に文系)は英語が合否を決める教科になる傾向があるので、ここで大きく出遅れると、一般入試では選べる大学が少なくなります。難関大学に合格する高校生は英語が得意なことが圧倒的に多いです。
理系であっても難関大学に合格する高校生は苦手だったり、嫌いだったりしても英語の学習は必ずやっています。
よっぽど数学や理科ができる場合は例外がいるかもしれませんが、このような高校生は進学校であっても一部です。



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