大学入学共通テスト・英語(リスニング)の分析【2021年1月16日実施分】

2021年1月16日に大学入学共通テスト(1日目)が実施されました。

本記事では大学入学共通テストの英語(リスニング)を分析しています。

平成30年に実施された試行調査と比較しています。

全体について

○出題内容について
会話内容やイラストの状況を説明する問題、対話の内容をもとに各設問に答える問題、図表を参照しながら答える問題、ワークシートに記入しながら回答する問題、図や講義内容をもとに答える問題、4人の会話をもとに答える問題などセンター試験と異なり、多種多様な出題であった。

○出題形式について
大問3から大問6までは文の読み上げが1回だけであった。
試行調査では大問3は2回の読み上げであったが、変更となっている。
また、一部メモをとりながら整理する問題がある。

○難易度について
大問1から大問3までは試行調査と変わらず平易であり、失点することはできない。
しかし、後半については1回きりの読み上げに加え、発言内容や状況を整理し、図表などを見ながら解答する必要があるため難易度が高い。総合的に考えると、試行調査より難化している。

大問1について

Aは英文の内容と最もよくあっている選択肢を選ぶ問題、Bは英文の内容と最もよくあっているイラストを選ぶ問題であった。(配点は25点)

試行調査と大きく変わらず読まれる英文は平易なうえ、2回読まれるため、ここで失点することは避けたい。

大問2について

大問2は2人の会話を聴いて、その内容に最もあっているイラストを選ぶ問題であった。(配点は16点)

イラストの内容を直接的に示す表現は使われないので、状況をもとにどのイラストが適しているのかを判断する必要がある。

いつも一問一答的な問題を解いていた人(思考を要する問題を解いていない人)はここで明暗がわかれてしまう。

大問3について

大問3は短い会話をきき、すでに書かれている状況をもとに、記載されている問題に答えるものであった。(配点は18点)

冒頭でも述べた通り、2回から1回きりの放送となっており、気を付けなければならなかった。

中にはイギリス出身者が会話主体ということもあり、イギリス英語が放送される設問もある。

大問2と同じように答えに直結する発言がない場合があるので頭の中で言いかえて正答を選ぶ必要がある。

総合的に試行調査よりもやや難化している。

大問4について

大問4はグラフの穴埋めや表の穴埋め、条件に沿った選択肢を選ぶ問題であった。(配点は12点)

円グラフの穴埋め問題については数字の処理や順番の整理が回答するうえで必須となった。

DVDの割引については最後までしっかり聞かないと正解することができない。

条件に沿った選択肢を選ぶ問題についても問題にある表を一つずつ埋めながら整理していけば問題なく答えることができる。

音声は1回きりしか流れないため聞き漏らさないように細かくメモをとっていくことが必要である。

大問5について

大問5は「幸福感」を題材として、ワークシートの空欄を埋めたり、内容と一致している選択肢を選ぶ問題であった。(配点は15点)

ワークシートを埋める問題は試行調査と同じなので、事前に試行調査の問題を解いていたり、予備校が主催している模試で対策をしていれば答えることができる問題である。

しかし、問題と音声の両方に注意をはらう必要があるため、問題としては難易度はやや高い。

大問6について

大問6はフランス留学についての対話、レシートの電子化をめぐる4人の議論から出題された。(配点は14点)

すべてアメリカ英語というわけではなく、日本人の英語話者もおり、パニックにならずに聴き取って整理できるかがポイントである。

問題Bのレシートをめぐる4人の議論からの問題が今回、一番受験生を悩ませた問題であると予想する。

試行調査と同じ問題ではあるものの、誰が発言しているのかがわかりにくく、内容を整理することが困難であった。

メモをする欄があるので、これを利用して簡単にまとめることができている人は回答することができたと思われる。

大問6が一番正答率が低いであろう。

まとめ

センター試験と異なり、アメリカ英語のほかにイギリス英語など多様な人種の英語が放送された。

試行調査と比べて1回のみの放送の問題が増えており、しっかり説明を読んでいない受験生はここでペースが崩される。

筆記と同じく、いかに設問を正しく理解し、臨機応変に対応できるかが問われている。

暗記すれば解けるような問題ばかり解いてきた受験生はここで引っかかってしまう。

普段から受験英語ではなく「言語としての英語」として理解し、慣れていることが必要である。