埼玉大学 理学部・工学部(後期日程)の化学対策

本記事では埼玉大学 理学部・工学部(後期日程)の化学対策について記載しています。
理学部と工学部の配点は下記の通りです。
| 学部・学科 | 配点 |
| 理学部基礎化学科 | 1200点 |
| 工学部応用化学科 | 600点 |
| 理学部分子生物科 | 300点 |
| 理学部数学科 | 200点 |
試験時間は120分です。
埼玉大学の入試情報
埼玉大学の公式サイトをご参照ください。
各項目の傾向と対策
・理学部
大問は全部で3つです。
大問ごとの問題と構成は下の表を参照してください。
| 2025年度 | 2024年度 | 2023年度 | |
| 1 | ・周期律、アンモニアの圧平衡定数と濃度平衡定数、電気分解の反応、イオン結晶の結晶構造 設問×6 | ・2族元素の性質、硫酸バリウムの溶解度積 設問×7 | ・結晶の構造と性質 設問×7 |
| 2 | ・軽水素と重水素の同位体効果 設問×7 | ・ダニエル電池、鉛蓄電池、硫酸の電離定数 設問×7 | ・アンモニアの性質、ハーバー・ボッシュ法とルシャトリエの原理 設問×8 |
| 3 | ・アセトアニリドの合成経路、ベンゼン1置換体の推定 設問×7 | ・カルボン酸の性質と反応、油脂の構造 設問×10 | ・芳香族化合物の合成経路 設問×7 |
| 2022年度 | 2021年度 | 2020年度 | |
| 1 | ・硫黄とその化合物の性質、鉛蓄電池 設問×7 | ・両性元素、溶解塩電解、六方最密構造 設問×6 | ・ケイ素の性質、単位格子、フッ化水素の性質と電離定数 設問×15 |
| 2 | ・ヘンリーの法則、炭酸の電離平衡 設問×5 | ・反応速度と化学平衡、熱化学方程式 設問×9 | ・アボガドロ定数の定義、N2O4とNO2の化学平衡 設問×9 |
| 3 | ・異性体の分類、C5H8O2の構造推定 設問×6 | ・ナフタレンの構造異性体、合成染料、合成繊維、アセチレンの反応と性質 設問×12 | ・アミノ酸の性質と等電点、トリペプチドの構造、構造式決定 設問×12 |
・工学部
大問は全部で4つです。
大問ごとの問題と構成は下の表を参照してください。
| 2025年度 | 2024年度 | 2023年度 | |
| 1 | ・クロム酸イオンの電離平衡、組成式と原子量、酸化還元滴定、金属イオンの定性分析 設問×16 | ・水素と貴ガスの性質と反応、電気分解、液体空気の量的関係 設問×14 | ・ナトリウムの単体と化合物、溶解度と溶解度曲線 設問×26 |
| 2 | ・ヨウ化水素の反応速度と化学平衡、アレニウスの式、圧平衡定数と濃度平衡定数 設問×11 | ・希薄溶液の性質 設問×13 | ・エタノールの工業的製法と利用、熱化学方程式、水上置換、エタノールの脱水反応 設問×11 |
| 3 | ・芳香族化合物の分離と推定、グリセリンエステルの構造推定 設問×12 | ・ベンゼンの反応、アイソトポマーの存在比、フェノール類の性質、C16H17NOの構造推定、セッケンと合成洗剤 設問×18 | ・脂肪族炭化水素の性質と構造異性体、メタンハイドレート 設問×13 |
| 4 | ・合成高分子化合物の利用と性質、セルロース 設問×18 | ・アミノ酸とタンパク質の性質、等電点、ペプチドを構成するアミノ酸の推定 設問×12 | ・糖の構造と反応、ゴムの構造と性質 設問×18 |
| 2022年度 | 2021年度 | 2020年度 | |
| 1 | ・リン・硫黄の単体と化合物、中和滴定、酸化還元滴定 設問×14 | ・金属元素の性質、一次電池、溶解塩電解、金属の製錬 設問×14 | ・遷移元素の性質、イオン化傾向、オストワルト法と硝酸の反応、単位格子 設問×12 |
| 2 | ・酢酸の滴定曲線、電離平衡とpH、緩衝液、塩の加水分解 設問×10 | ・反応速度、圧平衡定数 設問×12 | ・物質の三態、弱酸の電離と凝固点降下、反応熱 設問×7 |
| 3 | ・C19H28O4の構造決定 設問×8 | ・C9H12Oの構造式決定、芳香族化合物の合成経路 設問×14 | ・芳香族化合物の合成と性質 設問×12 |
| 4 | ・合成高分子化合物の性質 設問×17 | ・核酸、ATP 設問×22 | ・アミノ酸とタンパク質の性質、ケルダール法、酵素の性質 設問×16 |
両学部に共通して、「平衡」と「有機構造決定」は合否を分ける重要分野です。
化学平衡: 圧平衡定数Kpと濃度平衡定数Kcの関係式導出は、何度も繰り返し出題されています 。
芳香族の反応: ベンゼンからアニリン、フェノール、サリチル酸を経て医薬品に至る合成経路は完璧にする必要があります 。
また、2024・2025年度には「重水素(D)」を用いた平衡や同位体に関する問題など、やや特殊な設定の問題も登場しており、基礎を柔軟に応用する力が試されています。
●対策
・理学部
理学部の化学は、標準的な知識から思考力を要する応用問題まで幅広く出題され、記述量が多いのが特徴です。
【傾向分析】
理論化学の深化: 溶解度積、電離平衡、反応速度、気体の状態方程式など、計算過程を伴う問題が必出です。特に2024年度の溶解度積や、2021年度の五酸化二窒素の分解速度などは、データの数値を用いた正確な解析が求められます。
無機・結晶構造の頻出: 2族元素の性質や遷移元素の反応、結晶の密度計算などが高い頻度で出題されます 。2020年度にはダイヤモンドとケイ素の密度比較が出題されました。
有機・天然高分子の構造決定: 油脂の構造推定、ペプチドの配列決定、核酸の分子量計算など、複雑なパズル要素を含む問題が目立ちます 。2024年度の油脂Aの構造決定は非常に論理的な思考が必要です。
【対策】
図示・記述の習得: 冷却曲線や電位変化のグラフ、結晶の原子配置図を正しく描けるようにしておきましょう。
「導出過程」の徹底練習: ほぼ全ての計算問題で過程の記述が求められるため、立式から単位の扱いまで論理的に説明する練習を積んでください。
物理化学的視点の強化: 反応速度式(アレニウスの式など)や熱力学的数値(生成熱)など、物理寄りな理論分野を教科書レベルを超えて理解しておく必要があります。
・工学部
工学部の化学は、工業的製法や材料の性質など、実用的な側面を重視した出題が特徴的です。
【傾向分析】
工業的プロセスと材料化学: アンモニア(ハーバー・ボッシュ法)やアルミニウムの溶融塩電解、形状記憶合金、合成樹脂(ナイロン66等)など、工業的な製造法や材料の用途に関する問題が頻出です。
電池とエネルギー: 鉛蓄電池や空気アルミニウム電池など、電気化学の応用問題がよく出されます。
糖類・繊維の構造: セルロースの誘導体(トリニトロセルロース、レーヨン)やアミロースの構造など、高分子分野の知識が詳細に問われます。
計算問題の精度: 滴定の計算や混合気体の燃焼熱など、有効数字を指定した標準〜やや難レベルの計算が確実に含まれます。
【対策】
高分子の計算慣れ: 重合度や分子量から官能基の数を逆算する計算に習熟してください。
教科書の「コラム」や「参考」まで網羅: 合成洗剤、肥料の製法、プラスチックの種類など、生活に関連する化学知識を整理しておいてください。
反応式の完答: 酸化還元反応(過マンガン酸カリウム等)や、有機化合物の多段階合成経路の反応式を澱みなく書けるようにしましょう。
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