東京大学(前期日程)の生物対策

本記事では東京大学(前期日程)の生物対策について記載しています。
試験時間は理科2科目で150分で、配点は2科目で120点です。
東京大学(前期日程)の入試情報
東京大学の公式サイトの情報をご確認ください。
各項目の傾向と対策
大問は全部で3つです。
大問ごとの問題と構成は下の表を参照してください。
| 2025年度 | 2024年度 | 2023年度 | |
| 第1問 | ・線虫の塩走性と連合学習、寿命の制御遺伝子のはたらき 設問×10 | ・エンハンサーと相分離を介した転写活性の制御 設問×12 | ・組換え、DNA二本鎖切断修復、遺伝性がん 設問×15 |
| 第2問 | ・花の性決定、ミトコンドリア遺伝子の伝達 設問×9 | ・フロリゲン遺伝子の発現量の制御、遺伝子発現と気象データの統計モデリング 設問×14 | ・維管束の構造、師管へのスクロースの積み込みとポリマートラッピング、転流、窒素同化、Shoot/Root比 設問×11 |
| 第3問 | ・種間競争とニッチ分化、遺伝的多様性、間接効果 設問×11 | ・発生のしくみ、細胞接着 設問×12 | ・ABO式血液型の抗原と自然抗体、糖転移酵素活性、SARS-CoV-2のmRNAワクチン 設問×11 |
26年分の問題を分析した結果、出題頻度の高い分野は以下のようになりました。
1位:分子生物学、遺伝学(約27%)
遺伝子発現、DNAの複製・修復、遺伝的変異、PCR法、遺伝子組換え
2位:動物生理学(約19%)
恒常性(浸透圧、体温)、ホルモン、神経、免疫、循環
3位:細胞生物学(約15%)
細胞分裂、細胞周期、細胞膜の構造と機能、細胞内小器官
4位:発生生物学(約12%)
発生過程、分化、幹細胞、再生医療
5位:生態学・進化学(約12%)
種間相互作用、個体群動態、生物多様性、適応進化、種分化
・2000年代前半:生態学や進化学といった、マクロの視点を問う問題が比較的多く見られました。
生物集団や環境との関わりをテーマにした、フィールドワーク的な思考を要する問題が特徴的でした。
・2010年代:この時期から、分子生物学、遺伝学、免疫学の比重が高まります。
遺伝子ノックアウトマウスを用いた実験や、モノクローナル抗体の作成など、現代的な実験手法を題材にした問題が増加しました。
生物学のミクロな側面への理解がより一層求められるようになりました。
・2020年代以降:がん生物学、再生医療(幹細胞)、神経科学といった、医学や応用科学に直結するテーマが目立ちます。
特に、線虫やマウスなどのモデル生物を用いた行動生物学の実験や、最新の知見を基にした問題が出題されており、高校生物の教科書の範囲を超えた、より専門的でタイムリーな話題への関心が問われています。
東大生物は古典的な生物学の知識基盤の上に、現代生物学のフロンティアで議論されている最新のトピックを積極的に取り入れる傾向があります。
●対策
・長文読解と実験考察が核となる問題構成
ほとんどの問題が長文のリード文と詳細な実験データで構成されています。
単に知識を問う一問一答形式の問題はまったくなく、提示された文章やデータを正確に読み解き、そこから論理的に結論を導き出す能力が試されます。
多くの問題は下記のような構造になっています。
1. 導入文:問題の背景となる生物学的現象や原理を説明する文章
2. 実験・観察:複数の実験や観察データ(図、表、グラフ)が提示される
3. 設問:リード文と実験結果を踏まえて、考察、論述、計算などを行う
このプロセスは大学での実験の縮図です。未知の現象に対して、仮説を立て、実験を行い、結果を解釈するという科学的探究のプロセスそのものが、入試問題として出題されます。
・多くの設問タイプへの対応力
1. 論述問題:「~の理由を○○字以内で述べよ」という形式が最も代表的です。単なる知識の羅列ではなく、問題文中の根拠(実験結果など)と自身の知識を結びつけ、論理的に説明する構成力が求められます。字数制限内に要点を簡潔にまとめる記述力も重要です。東大生物の成否は、この論述問題の出来に大きく左右されると言っても過言ではありません。
2. 計算問題:遺伝の法則に基づく分離比の計算、酵素反応速度、個体群密度など、定量的な思考を要する問題も頻出です。問題文の条件を正確に把握し、計算ミスなく処理する能力が求められます。
3. 用語・空欄補充問題:基本的な知識を問う問題ですが、教科書の範囲を超えた専門用語が出題されることもあります。ただし、多くは文脈から推測可能であり、読解力が助けになります。
4. 選択問題:単純な正誤判断だけでなく、「適切な実験をすべて選べ」「結果から導かれる結論として正しいものをすべて選べ」といった、深い考察を必要とする形式が多いのが特徴です。
これらの設問にバランス良く対応できる総合力が、東大生物攻略には不可欠です。
●東大生物を攻略するための具体的な対策
対策1:知識と思考力の両輪を鍛える
東大生物は、単なる知識の量と思考力のどちらか一方だけでは攻略できません。この二つは車の両輪であり、バランス良く鍛えることが不可欠です。
• 知識の盤石な土台作り:まずは、教科書レベルの知識を完璧に定着させることが大前提です。特に、分子生物学、遺伝学、動物生理学といった頻出分野は、隅々まで深く理解しておく必要があります。図説や資料集も活用し、生物用語や現象の正確な定義、そしてそれらの関連性を体系的に整理しましょう。
• 思考力・論述力の養成:知識をインプットするだけでなく、それを使って考える訓練が必須です。過去問や標準〜発展レベルの問題集を活用し、「なぜそうなるのか?」を常に自問自答する癖をつけましょう。特に論述問題では、自分の考えを論理的に構成し、過不足なく表現する練習が不可欠です。書いた答案は必ず学校の先生や予備校講師に添削してもらい、客観的なフィードバックを得ることが上達への近道です。
対策2:実験考察問題へのアプローチを確立する
東大生物の核となる実験考察問題には、解くための「型」があります。以下の手順を意識して問題に取り組むことで、安定して得点できるようになります。
1. 実験の目的を把握する:まず、「この実験は何を明らかにしようとしているのか?」という目的を正確に掴みます。多くの場合、リード文の冒頭や実験の説明文に記載されています。
2. 仮説と対照実験を意識する:実験の背景にある仮説は何か、そしてその仮説を検証するために設定された「対照実験(コントロール)」はどれかを明確にしましょう。対照実験との比較によって、実験結果の意味が明らかになります。
3. 図・表・グラフを正確に読み解く:横軸と縦軸が何を表しているか、どのような条件下でデータが取得されたかなど、図表の情報を丁寧に確認します。わずかな違いが結果の解釈を大きく左右することがあります。
4. 結果から言えることだけを根拠にする:考察する際は、必ず実験結果という客観的な事実に基づいて論理を展開します。自分の思い込みや知識だけで結論を急がず、データが示していることを謙虚に読み取ることが重要です。
対策3:最新の生命科学トピックにアンテナを張る
近年、医学応用や最新技術に関連するテーマが増加していることから、教科書の範囲に留まらず、現代の生命科学の動向に触れておくことが有効な対策となります。
• 科学ニュースサイトや雑誌の活用:『Newton』や『日経サイエンス』といった科学雑誌、あるいは信頼できるウェブメディアで、生命科学分野の最新の研究成果に目を通しておくと良いでしょう。CRISPR-Cas9(ゲノム編集)、iPS細胞、オプトジェネティクス(光遺伝学)、がん免疫療法といったキーワードは、背景知識として持っておくと、問題文の理解を大いに助けてくれます。
• 知識として覚える必要はない:最新トピックを暗記する必要はありません。大切なのは、「今、生命科学の世界ではこんなことが注目されているのか」という知的好奇心を持ち、科学的な考え方に慣れ親しんでおくことです。その経験が、初見の問題に対する思考の柔軟性や、テーマの背景を推測する力につながります。
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