筑波大学(前期日程)の化学対策

本記事では筑波大学(前期日程)の化学対策について記載しています。
筑波大学の化学は学群・学類によって配点や試験時間が異なります。
| 学群 | 配点 |
| 社会・国際(国際総合) | 800 |
| 総合選抜(理系Ⅰ・Ⅱ)、理工(数・物理・工学システム・化・応用理工)、情報(情報科) | 500 |
| 総合選抜(理系Ⅲ) | 400 |
| 生命環境(生物)、医(医) | 300 |
| 人間(教育・心理・障害) | 265 |
| 生命環境(地球)、医(看護・医療科) | 200 |
| 生命環境(生物資源) | 150 |
試験時間は社会・国際・人間・医(看護)は60分、他は2科目で120分です。
筑波大学の入試情報
筑波大学の公式サイトをご参照ください。
各項目の傾向と対策
大問は全部で3つです。
大問ごとの問題と構成は下の表を参照してください。
| 2025年度 | 2024年度 | 2023年度 | |
| Ⅰ | ・鉄に関する総合 設問×5 | ・水分子の集合状態、燃料電池、光合成、炎色反応 設問×4 | ・酸化還元反応、EDTAによる金属イオンの定量、電池 設問×5 |
| Ⅱ | ・比熱、融解熱、飽和蒸気圧、蒸気圧降下 設問×7 | ・熱化学方程式、化学平衡、電離平衡、アレニウスの式、活性化エネルギー 設問×5 | ・塩化ナトリウム水溶液と硫酸銅(Ⅱ)水溶液の電気分解 設問×7 |
| Ⅲ | ・有機化合物の構造決定、不飽和脂肪酸、糖類 設問×9 | ・芳香族化合物の構造決定 設問×8 | ・C4H6O2の構造決定、ビニロン 設問×10 |
基礎概念をしっかり理解し、それをもとに自分で考えて問題を組み立てる力が求められる試験です。
難問が連続するタイプではありませんが、標準からやや難レベルの良問が多く、単純暗記だけでは対応が難しいことが特徴です。
理論、無機、有機の三分野がバランスよく出題され、誘導が少ない年度もあるため、化学の本質を理解した学習が重要になります。
●対策
理論化学は計算問題が多いわけではありませんが、化学平衡、酸塩基、中和、気体、溶解度、電池・電気分解など、基本原理を正しく使えるかが問われます。
特に、平衡の計算やpH計算は基礎的な理解ができていないと大きく失点するため、原理に立ち返って式を作る練習が必要です。
化学量論の処理も頻出であり、反応式をもとに物質量を丁寧に追う基本技能は必須です。
筑波大学は途中の式にも部分点がつくため、式の立て方や考え方を丁寧に書く習慣をつけておくことが大切です。
無機化学では、典型的な性質の暗記だけでなく、理由を説明する力が求められます。
たとえば、金属イオンの沈殿反応、気体の生成と検出、周期表と性質の関係など、基礎知識を土台にしながら、原理的な背景を理解することで安定した得点につながります。
筑波大学では、無機分野でも文章による説明問題が出ることがあり、性質を丸暗記しているだけでは対応が難しい場合があります。
したがって、なぜその反応が起こるのか、どのような条件で生成物が変わるのかといった点まで理解しておくと有利になります。
有機化学は、構造決定や反応経路の理解が問われることが多い分野です。
筑波大学では、典型的な有機化合物の構造や性質を踏まえた標準的な問題が中心であり、化学反応を順序立てて整理できる力が重要です。
特に、官能基の特徴、置換反応と付加反応、酸化還元のパターンを確実に理解しておく必要があります。
また、構造決定問題では、質量分析や赤外吸収のような高度な知識は不要ですが、分子式、反応性、におい、融点など基本情報から化合物を推定する力が求められます。
対策の中心としては、まず教科書レベルの基礎事項を徹底的に固めることが必須です。
化学基礎が曖昧な状態では、筑波大学の問題は解けるようになりません。
教科書、参考書、基礎問題集を使い、なぜその現象が起こるのか、どの原理が使われているのかを説明できるレベルまで理解を深めることが重要です。
特に理論化学の基本計算、無機の典型反応、有機の基本反応は、何度も復習する価値があります。
次に、標準問題レベルの演習が必要です。
重要問題集などのレベルを丁寧に解き、解法パターンを身につけることで、筑波大学レベルの問題に対応しやすくなります。
分野を横断した融合問題も出るため、知識が部分的ではなく全体としてつながっている状態を作ることが重要です。
演習を進める際には、答えだけを見るのではなく、解答に至る考え方を文章で説明できるかを意識すると、記述問題でも安定した得点が取れるようになります。
過去問対策は非常に効果的です。
筑波大学の化学は出題形式が安定しており、問題の構成、記述量、問われ方に大きな変化がありません。
数年分の過去問を解くことで本番の感覚をつかみ、必要な理解の深さが見えてきます。
最初は解説を読み込み、どの知識が不足していたのか、どこで考察が浅かったのかを確認し、二回目以降は制限時間を意識して解くことで、本番に対応できる総合力が身につきます。
総合すると、筑波大学の化学は、基礎理解、思考力、記述力の三つをバランスよく育てることが重要な試験です。
基礎を丁寧に固め、標準問題で実戦的な力を磨き、過去問で出題形式に慣れることで、安定して合格点に到達できます。
現象の背景を理解し、自分の言葉で説明できる力をつけることが、筑波大学の化学を攻略する鍵となります。
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