東京都立大学(前期日程)の世界史対策
本記事では東京都立大学(前期日程)の世界史対策について記載しています。
世界史の試験時間は90分で、配点は下記の通りです。
学部学科 | 配点 |
人文社会学部 | 200点 |
法学部、経済経営学部(経済経営学科一般区分)、都市政策科学部(都市政策科学科文系区分) | 150点 |
目標得点率は70~75%以上に設定して勉強していきましょう。
東京都立大学の入試情報
東京都立大学の公式サイトをご参照ください。
各項目の傾向と対策
大問は全部で4つです。
大問ごとの問題と構成は下の表を参照してください。
2024年度 | |
1 | ・北西ヨーロッパの民族移動 1. 空所補充問題×5 2. 下線部についての一問一答 3. 下線部についての一問一答、「ラヴェンナ」、「聖像禁止令」を用いてフランク王国とローマ教会の結びつきが強化された背景を説明する(270字以内) |
2 | ・元の歴史 1. 空所補充問題×7 2. 下線部についての一問一答 3. 下線部について説明する(80字以内) 4. 下線部について説明する(60字以内) |
3 | ・大航海時代 1. 空所補充問題×6 2. 資料を読んで説明する(80字以内) 3. 「クリオーリョ」、「トゥサン=ルヴェルチュール」、「コーヒー」、「インディオ」を用いて奴隷制度の推移、政治的・経済的背景を説明する(250字以内) |
4 | ・国際連盟、国際連合 1. 空所補充問題×6 2. 「中国政府」、「関東軍」、「執政」を用いて日本が国際連盟を脱退した経緯を説明する(160字以内) 3. 下線部について説明する(130字以内) |
2023年度 | 2022年度 | 2021年度 | |
1 | ・漢の歴史 1. 空所補充問題×7 2. 下線部について説明する(60字以内) 3. 下線部について説明する(40字以内) 4. 「災害・重税」、「奴隷・小作人」、「所有制限」、「郷挙里選」を用いて下線部への政府対応、豪族の勢力伸長について説明する(130字以内) | ・ローマの歴史 1. 空所補充問題×4 2. 下線部について説明する(90字以内) 3. 下線部について説明する(200字以内) | ・「海の民」の移動 1. 空所補充問題×5 2.下線部について説明する(110字以内) 3. 下線部についての一問一答 4. 「シノイキスモス」、「アクロポリス」、「アゴラ」を用いて下線部の成立とその都市景観について説明する(100字以内) |
2 | ・中世のローマ教皇が発した文書(史料問題) 「聖職叙任権」、「十字軍」、「インノケンティウス3世」、「大空位時代」を用いて11世紀中頃~13世紀中頃の皇帝権、教皇権がおかれた状況と関係を説明する(400字以内) | ・唐の歴史 1. 空所補充問題×7 2. 下線部について説明する(70字以内) 3. 下線部について説明する(60字以内) 4. 「アム川・シル川」、「東西交易」、「植民集落」、「モンゴル文字・満州文字」を用いてソグド人が経済、宗教、文字文化に果たした役割を説明する(140字以内) | ・イスラーム世界の歴史 1. 空所補充問題×7 2. 下線部について説明する(120字以内) 3. 下線部についての一問一答 4. 下線部について説明する(50字以内) |
3 | ・ナポレオンの大陸支配崩壊後のヨーロッパ 1. 空所補充問題×6 2. 下線部について説明する(40字以内) 3. 下線部について説明する(80字以内) 4. 下線部について説明する(100字以内) 5. 下線部についての一問一答 | ・インド亜大陸の歴史 1. 空所補充問題×7 2. 下線部について説明する(40字以内) 3. 下線部について説明する(60字以内) 4. 下線部について説明する(50字以内) | ・神聖ローマ帝国 1. 空所補充問題×2 2. 下線部についての一問一答 3. 下線部についての一問一答 4. 下線部についての一問一答 5. 「無敵艦隊」、「オスマン帝国」、「オランダ」、「ポルトガル」を用いてフェリペ2世の対外関係について説明する(200字以内) |
4 | ・感染症と人類の歴史 1. 「ビスマルク」、「先占権」、「ベルギー」を用いて下線部の会議が開催された経緯、会議の内容を説明する(130字以内) 2. 「清」、「銀」、「茶」を用いて香港の植民地化の戦争が起こった背景を説明する(190字以内) | ・E.H.カーの引用文 1. 「ウィルソン大統領」、「海外植民地」、「アルザス・ロレーヌ」、「国際連盟」、「賠償金支払い」を用いてパリ講和会議で議論されたドイツとの講和条約と新たなヨーロッパ新国際秩序の形成について説明する(200字以内) 2. 下線部について説明する(120字以内) | ・康有為が光緒帝に出した著作の序文(史料問題) 1. 「夷狄」、「満州人」、「中国文明」、「儀礼」を用いて朝鮮が「小中華」意識を持つようになった背景、その結果起こった儒教受容における変化について説明する(80字以内) 2. 下線部についての一問一答 3. 史料から読み取れることを説明(130字以内) |
空所補充問題、一問一答形式の問題、記述説明問題、論述問題という構成に変化はありません。
求められる知識自体は教科書レベルを逸脱していませんが、記述、論述問題が大半を占めるので、ここを意識した通史学習が必要となります。
●空所補充問題、一問一答形式の問題
教科書や参考書で通史学習をしつつ、一問一答問題集で用語を確認していけば対策することができます。
記述形式なので難しい漢字やカタカナの覚え違いに気をつけましょう。
●記述・論述問題
下線部の用語や文について説明する問題や指定語句を用いて論述する問題が出題されます。
各年度の総字数は2024年度が1030字、2023年度が1170字、2022年度が1030字、2021年度が790字です。
2021年度は一問一答の出題が多く、字数は1000字を下回っていましたが、2022年度からは1000字を超えています。
2023年度には400字という大論述問題が出題されているので、より徹底した通史学習が求められます。
まずは教科書や参考書で通史学習をしつつ、一問一答で用語を覚えていきましょう。
教科書や参考書を読むときは必ず流れを意識して知識が単発にならないようにしてください。
主に5W1Hを意識して読むと理解が深まる上に、論述をする際は必ず5W1Hを意識して記述する必要があるため一石二鳥です。
あらゆる歴史的事象、人々の行動、背景などは「なぜ?」「どうして?」という観点で通史学習をすることは必須です。
論述をするときは用語を羅列しただけのような文章は避けましょう。
例えば2018年度に出題された下記の問題を見てみましょう。
下線部(4)について、ユスティニアヌス帝の死後から7世紀末までの東ヨーロッパの動向を、以下の4つの語句をすべて用いて、140字以内で説明しなさい。使用した語句には下線を引くこと。
[語句] ランゴバルド ササン朝 イスラーム 軍管区制
模範解答は下記の通りです。
国力が低下したビザンツ帝国は、ランゴバルド王国やフランク王国にイタリアを奪われた。7世紀にササン朝やブルガール人の侵入を受け、イスラーム勢力にはシリア・エジプトを奪われた。ビザンツは異民族の侵入に対処するため、領土を軍管区にわけ、司令官に軍事と行政の権限を与える軍管区制を敷いた。
各用語を一問一答的に覚えていてもつながりを理解したり、覚えていたりしなければ論述問題を書くことができません。
模範解答の内容はすべて教科書に書いてあることです。
それぞれの用語が指す内容と時代背景、原因と結果を理解していない限り論理的な文章としてアウトプットすることは難しいでしょう。
早めに通史学習をやりきり、論述対策をしつつ用語集などで深みのある学習をしていってください。