東京都立大学(前期日程)の日本史対策
本記事では東京都立大学(前期日程)の日本史対策について記載しています。
日本史の試験時間は90分で、配点は下記の通りです。
学部学科 | 配点 |
人文社会学部 | 200点 |
法学部、経済経営学部(経済経営学科一般区分)、都市政策科学部(都市政策科学科文系区分) | 150点 |
目標得点率は70~75%以上に設定して勉強していきましょう。
東京都立大学の入試情報
東京都立大学の公式サイトをご参照ください。
各項目の傾向と対策
大問は全部で4つです。
大問ごとの問題と構成は下の表を参照してください。
2024年度 | |
1 | ・弥生時代、古墳時代の墓 1. 下線部の理由について説明する(30字以内) 2. 下線部の背景について説明する(170字以内) |
2 | ・院政期の文化、民衆文化 1. 院政期の文化について説明する(80字以内) 2. 民衆文化の特色と背景について説明する(120字以内) |
3 | ・江戸時代の経済、明治時代の貿易の表 1. 海外渡航や貿易を制限したことについて(100字以内) 2. 1885年、1899年の貿易に関わる表からわかる変化(120字以内) |
4 | ・近現代の日本政治史(史料問題) 1. 史料から政党の誕生、展開、帰結を説明する(100字以内) 2. 史料をもとに第二次世界大戦後の政治体制の変化を説明する(100字以内) |
2023年度 | 2022年度 | 2021年度 | |
1 | ・国風文化 1. 空所補充問題(記述)×4 2. 下線部の理由を説明する(140字以内) | ・遺跡について 1. 空所補充問題(記述)×4 2. 利用できる食糧の総量が多くなった理由(200字以内) | ・天平文化 1. 仏像の制作方法について説明する(80字以内) 2. 仏教が保護された理由と実施されたこと(120字以内) |
2 | ・鎌倉幕府 鎌倉幕府の政治体制の変化を説明する(100字以内) | ・律令国家の支配と範囲、沖縄との関係 1. 東北経営の手法、状況、意図、政策を説明する(130字以内) 2. 琉球王国の繁栄について説明する(120字以内) | ・荘園経営に関する文章と史料 1. 荘園・公領の支配体制と阻止しようとした領主の行動について説明する(130字以内) 2. 検地条目を読んで、具体的なことについて説明する(130字以内) |
3 | ・新井白石の草稿、『大日本史』(史料問題) 1. 新井白石はどのように江戸幕府創設の正当性を理解しているか(100字以内) 2. 下線部について説明する(90字以内) | ・史料問題 1. 史料1の行動について説明する(140字以内) 2. 労働者が資本家に求めたことなどを説明する(100字以内) | ・江戸時代、明治時代の外国との関係に関する史料 1. イギリス船来港の反応と幕府の外国船対応策について説明する(100字以内) 2. 井上馨外相の条約改正交渉の顚末(120字以内) |
4 | ・二宮金次郎の生涯とその後 1. マニュファクチュアについて説明する(60字以内) 2. 下線部が起こった原因と運動の内容(100字以内) | ・近代日本の農業と工業の関係(史料問題) 1. 農業生産に従事する人の格差、利益について説明する(100字以内) 2. 経済政策について史料をふまえて説明する(150字以内) | ・大日本帝国憲法下の陸海軍(史料問題) 1. 史料を読んで日本の政治上の出来事を説明する(80字以内) 2. 史料を読んで意見交換ののちに起こった出来事と意見交換の話題となっている問題のきっかけ(160字以内) |
5 | ・アジア諸地域の取り扱い(史料問題) 1. 日本のアジア政策と日米関係に関する史料を読んで記述(60字以内) 2. 史料を読んでアメリカがとった政策を説明する(60字以内) |
2023年度に5つの大問が出題されているが、基本的に4題の構成です。
先史、古代~近現代まで幅広く出題されます。明治時代までを重点的に学習していきましょう。
語句の空所補充問題は年度によって出題されるときとされないときがあります。
●論述問題
ほとんどが論述問題で、語句の空所補充問題が出題されるとしても4問程度です。
各年度の総字数は2024年度が820字、2023年度が710字、2022年度が940字、2021年度が920字です。
2023年度は大問が5つありましたが、直近の4年の中では字数が一番少なかったようです。
だいたい800~950字程度と考えておけばいいでしょう。
まずは教科書や参考書で通史学習をしつつ、一問一答で用語を覚えていきましょう。
教科書や参考書を読むときは必ず流れを意識して知識が単発にならないようにしてください。
主に5W1Hを意識して読むと理解が深まる上に、論述をする際は必ず5W1Hを意識して記述する必要があるため一石二鳥です。
あらゆる歴史的事象、人々の行動、背景などは「なぜ?」「どうして?」という観点で通史学習をすることは必須です。
論述をするときは用語を羅列しただけのような文章は避けましょう。
例えば2018年度に出題された下記の問題を見てみましょう。
執権北条泰時の時代の政治体制の転換と、鎌倉の都市としての発展は、ある戦乱によって政治状況が大きく変わったことと深く関係している。その政治状況について100字以内で説明しなさい。
模範解答は下記の通りです。
朝廷と幕府との二次元的支配の状況は承久の乱に勝利した幕府が優位にたち、執権を補佐する連署、有力御家人から選ばれた評定衆の設置を経て、基本法として御成敗式目も制定され、合議にもとづく政治体制が構築された。
承久の乱、連署、評定衆、御成敗式目などの用語を単純暗記しているだけでは書くことができません。
また、それぞれの用語が指す内容と時代背景、原因と結果を理解していない限り論理的な文章としてアウトプットすることは難しいでしょう。
早めに通史学習をやりきり、論述対策をしつつ用語集などで深みのある学習をしていってください。